矢樹純(やぎ じゅん)とは、日本のミステリー作家、漫画原作者である。女性。
概要
1976年12月4日、青森県青森市生まれ。弘前大学人文学科卒。
2002年、3歳下の妹の漫画家・加藤缶(現:加藤山羊)とタッグを組み、共同ペンネーム「加藤山羊」の原作担当として漫画原作者デビュー。
2011年、第10回『このミステリーがすごい!』大賞に応募した「Sのための覚え書き かごめ荘事件のこと」が最終選考で落選したが、「隠し玉」として2012年に宝島社文庫から『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』として刊行され「矢樹純」として小説家デビューする。これが契機となってか、2013年から妹との合作の漫画の方は「原作:矢樹純/漫画:加藤山羊」と分けて表記されるようになり、「加藤山羊」は妹のペンネームということになった。
ところがこの小説デビュー作が全く売れなかったそうで、宝島社からはこの1作で切られてしまい、執筆した続編も宙に浮いてしまう。仕方ないのでその続編『がらくた少女と人喰い煙突』などの作品群を2015年からKindleで販売しながら拾ってくれる出版社を探すことになった。
2017年、『がらくた少女と人喰い煙突』が河出書房新社に拾われ河出文庫から書籍化。さらに漫画の方も2011年から「ビッグコミックオリジナル増刊」に連載していた『あいの結婚相談所』が(単行本が売れず打ち切りが決まっていたにもかかわらず)テレビ朝日系列でテレビドラマ化される。
2019年、3冊目の小説として祥伝社文庫からミステリー短編集『夫の骨』が刊行(Kindleで販売していた短編集『かけがえのないあなた』の収録作8編のうち5編に書き下ろし4編を追加したもの)。これがじわじわと話題になり、翌2020年に表題作の短編で第73回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。
これでミステリー作家として軌道に乗り、以降はコンスタントに新刊が出ている。漫画原作の方も引き続き並行して継続しており、妹とのタッグでは『リモート・パラサイト』、それ以外では『バカレイドッグス』(作画:青木優)、『怪談ルゥプ』(作画:加藤網未)などがある。2023年には漫画の『女囚霊』が実写映画化。
小説では出世作の『夫の骨』がどんでん返しものの短編集だったため、以降もどんでん返しを軸にした短編集・短編連作が中心(『不知火判事の比類なき被告人質問』のオビにいわく〝どんでん返しの新女王〟)だが、長編ではエキセントリックな探偵役の本格ミステリ、冒険小説、青春ミステリなど多彩。初めて読むならまあ順当に出世作の『夫の骨』か『妻は忘れない』あたりだろうが、ピンときたものから手に取るといいだろう。
作品リスト
小説
- Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件 (2012年、宝島社文庫)
- がらくた少女と人喰い煙突 (2015年、Kindleストア→2017年、河出文庫) - Kindle版は販売停止。
- 或る集落の● (2015年、Kindleストア) - 販売継続中。
- かけがえのないあなた (2016年、Kindleストア) - 販売停止。
- 夫の骨 (2019年、祥伝社文庫)
- 妻は忘れない (2020年、新潮文庫)
- マザー・マーダー (2021年、光文社)
- 残星を抱く (2022年、祥伝社)
- 不知火判事の比類なき被告人質問 (2022年、双葉社)
- 幸せの国殺人事件 (2023年、ポプラ社)
漫画原作
- イノセントブローカー (加藤山羊名義、2008年、小学館、全1巻)
- 女囚霊 塀の中の殺戮ゲーム (加藤山羊名義、2010年、小学館、全1巻)
- あいの結婚相談所 (作画:加藤山羊、2014年-2017年、小学館、全4巻)
- 禁忌 絶対にやってはいけない13のこと (作画:加藤山羊、2014年、秋田書店、全1巻)
- イミガタリ~忌み語り~ (作画:加藤山羊、2017年、まんが王国コミックス)
- バカレイドッグス (作画:青木優、2018年、講談社、全3巻)
- バカレイドッグス Loser (作画:青木優、2019年-2021年、講談社、全5巻)
- 怪談ルゥプ (作画:加藤網未、2020年-2022年、GANMA!、全6巻)
- リモート・パラサイト~顔のない鬼が僕らを喰らう~ (作画:加藤山羊、2020年、秋田書店、上下巻)
- やぎのふしぎ 加藤山羊×矢樹純 初期短編集 (作画:加藤山羊、2021年)
関連商品
小説
漫画
関連リンク
- 矢樹純公式サイト
- やぎのくらし
- 公式ブログ
- 矢樹純(@yagi_jun)
- 本人のTwitter(X)
- 矢樹 純 | note
- 公式note
関連項目
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