
石油原料節約パッケージとは、2026年にカルビーが一部商品へ採用した、白黒基調の2色印刷パッケージである。
概要
2026年5月12日、カルビーは「ポテトチップス」「かっぱえびせん」「フルグラ」など計14品について、包装に使用する印刷インクの色数を従来仕様から2色へ変更すると発表した。
中東情勢の緊迫化により、一部の印刷原材料が調達しにくくなったことへの対応である。商品を休売するのではなく、包装を簡素化することで安定供給を続ける狙いがあった。
同年5月25日の週から順次店頭に登場し、袋には大きく「石油原料節約パッケージ」と表示された。裏面にも、より多くの客へ商品を届けるため、印刷に使うインクを抑えている旨の説明が記載されている。
少なくとも今回の公式発表で明示されている変更は、印刷インクの色数を2色にしたことのみであった。
袋のサイズやフィルムの厚さを変えた、あるいは包装用プラスチックを何%減らした、という発表ではない。カルビーは別途、包装の薄型化やチャックの廃止などにも取り組んでいるが、それらは石油原料節約パッケージとは別の施策である。
なぜ白黒になったのか
食品の袋に使われる印刷インクは、色の成分だけでできているわけではなく、顔料を袋へ定着させる樹脂や、印刷時に使う溶剤なども必要になる。[1]
こうした樹脂・溶剤の多くは、原油から得られるナフサを出発点とする石油化学製品である。そのため、ナフサや関連素材の供給が不安定になると、包装用インクにも影響が及ぶ。
そこでカルビーは、印刷に使用する色数とインク量を抑えた。袋そのものをなくすことは食品の保存や衛生上難しいため、まずは商品の識別や法定表示に必要な情報を残し、装飾を減らして印刷コストを抑えるという判断である。
デザイン
通常のカルビー商品は、味ごとに異なる背景色、商品の写真、ロゴ、キャラクターなどを大きく配置している。
一方、石油原料節約パッケージでは、それらの多くを省略。白地に黒を中心とした文字と最低限の図柄を置く、非常に簡素なデザインとなった。
商品名は大きく書かれているため、何味なのかは判別できる。しかし売り場では、試作品、業務用商品、あるいは印刷途中の袋にも見えかねない異彩を放っていた。
その簡素さ自体が注目を集めたため、結果として通常パッケージ以上に目立っていた可能性もある。
対象商品
当初発表された対象は、内容量や販路の違いを含む次の14品である(同じ商品でも、内容量や販売先が異なるものを含む数字となっている)。
- ポテトチップス うすしお味:55g、70g、160g
- ポテトチップス コンソメパンチ:55g、160g
- ポテトチップス コンソメWパンチ:61g
- ポテトチップス のりしお:55g、70g、160g
- 堅あげポテト うすしお味:65g
- 堅あげポテト ブラックペッパー:65g
- かっぱえびせん:77g
- フルグラ:330g、700g
多くの商品は2026年5月25日の週以降、堅あげポテト2品は6月22日の週以降に展開予定とされた。
SNSでのブーム
石油原料節約パッケージは、メーカーの想定とは別の方向でも注目を集めた。
商品写真や装飾が省かれた結果、袋の表面には広い余白が生まれた。ここを絵を描くためのキャンバスと捉え、油性ペンなどで好きなキャラクターやオリジナルイラストを描き、XやInstagramへ投稿する遊びが2026年6月ごろから広がった。
カルビーが企画したキャンペーンではなく、購入者やイラストレーターが始めた自発的なブームであった。
ブームの初期に大きな反響を呼んだのが、漫画家・一葵さやかによる作品で、「かっぱえびせん」の袋に『名探偵プリキュア!』のキュアアルカナ・シャドウを描いたもの。これがXに投稿後、ニュースサイトで報道されるなどして大きな反響を集めた。
影響は大きく、プロアマ問わず様々なクリエイターが作品を公開。声優の中田譲治[2]や漫画家の大塚志郎[3]、ナイツの土屋伸之[4]なども作例を発表している。
ピクシブなどでは「ポテチアート
」などと呼ばれているようである。
カラー印刷の再開
石油原料節約パッケージは恒久的なデザイン変更ではなく、原材料の調達不安に対応するための一時的な措置だった。
2026年7月9日、カルビーは原材料の調達見通しを踏まえ、対象商品の一部で表面のフルカラー印刷を段階的に再開すると発表した。対象は次の8品である。
- ポテトチップス うすしお味:55g、70g
- ポテトチップス コンソメパンチ:55g
- ポテトチップス コンソメWパンチ:61g
- ポテトチップス のりしお:55g
- かっぱえびせん:77g
- フルグラ:330g、700g
2026年7月27日の週から順次生産を切り替え、店頭には商品ごとに7月末から8月下旬以降に並ぶ予定とされた。フルグラ2品は表面だけでなく、裏面を含む全面のカラー印刷を再開する。
ただし、カルビーは「節約を継続してカラー印刷を再開する」と説明しており、単純に以前とまったく同じ仕様へ一斉に戻すわけではない。また、残る6品については、7月9日の発表時点でカラー印刷再開の時期が示されていない。
このため、通常パッケージと石油原料節約パッケージが店頭でしばらく混在する可能性がある。
なお、具体的なインク使用量や、石油原料を何%削減できたかは今のところ公表されていない。
余談
非常時や物資不足の際、商品の包装から色や装飾が消える例は過去にも存在した。
とはいえ、日常的に見慣れたポテトチップスやかっぱえびせんが一斉にモノクロになる光景は珍しい。国際情勢と石油化学産業、印刷会社、食品メーカー、そして近所のお菓子売り場が一本につながっていることを、非常に分かりやすい形で見せたパッケージともいえる。
お絵カキコ
関連動画
関連項目
関連リンク・出典
脚注
- *これは絵の具も同様で、例えば油絵に使用される絵の具は油と顔料を混成してキャンバスに定着するようになっている。
- *中田譲治 @joujinakata123 さん の 2026年6月24日 の投稿

- *大塚志郎 @shiro_otsuka さんの 2026年6月28日 の投稿 - x.com

- *ナイツ土屋伸之 @tsuchiyawosagase さん の 2026年7月12日 の投稿 - instagram

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