禁足地とは、入ってはいけない場所である。
曖昧さ回避
概要
法律や物理的な危険性などの観点から出入りが禁止されているものもあるが、宗教的な理由や地域の伝承により出入りしてはいけないとされるところに「禁足地」という言葉が使われやすい。見かけることは稀だが、兵庫県出石神社や奈良県大神神社・石上神宮のように神社の敷地内にあるものが大半であり、神域とされていることも多い。広さは山の全体に及ぶものから、家の敷地ぐらいのものもあれば、1m2に満たないものもある。
中には千葉県市川市の「八幡の藪知らず」のように、市街地の中にあったりもする。市街地にある「切ってはいけない樹木、取り壊してはいけない塚がある一画」も禁足地扱いされることがある。
禁足地に入るとどうなるかは様々な言い伝えがあり、神隠しや祟りに遭う、命を失うとも言われる。一方、所有する神社などの清めの儀式を行えば入ることができるとされるところもある(無論、全ての場所に当てはまるわけではない)。
道が整備されていなくて危険だったり、他人が所有する敷地だったりすることもあるので、霊的なものを信じていなくても、むやみやたらと禁足地に入ってはいけない。外から眺める、拝む程度にしておくとよい。
もともと禁足地だったところが、明治期の神仏分離令などの影響で立ち入りが自由となった事例もある。埼玉県氷川神社の「蛇の池」のように、近年でも禁足地が開放されることがある。
なお、「禁足」という語だけであれば概ね「外に出るのを禁止する」という意味となる。それを踏まえると本来の禁足地は「中にあるものが外に出てはいけない(出してはいけない)」という意味なのではないかとも言われる。
ただし他のWebページでも「入ってはいけない」とする説明が多く、広くその意味で解釈されているため、当記事では禁足地は「入ってはいけない」という説明としている。ちなみに以下は大正時代の関東大震災に関する文章で、宗教とは関係なく「禁足地」が使われている文の例だが、これは「入ってはいけない場所」と読んだほうが自然と思われる。
上野公園内には、平素は禁足地の芝生にまで避難者の小屋が至る所に建っている。警視庁建築のはずのバラックは、敷地の指定だけでまだ着手に及んでいない。
喜田貞吉『震災後記』(1923年)
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関連項目
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