福井鉄道とは、福井県に存在する鉄道会社である。愛称は『福鉄』(ふくてつ)。
概要
元々は名鉄グループの子会社であったが、経営悪化のために2008年に自治体出資の団体に株式譲渡され第3セクター会社となっている。
鉄道事業
現在保有する路線は福武線(田原町~たけふ新(旧:越前武生))のみとなっている。
福井市内は「フェニックス通り」と呼ばれる大通りの真ん中を走る。福井駅からはやや離れているため、途中の福井城址大名町(旧:市役所前)停留所から福井駅停留所まで「ヒゲ線」と通称される支線が延びている。
全区間でJR西日本北陸本線と並行している。
かつては鯖江から織田(現越前町)へ向かう鯖浦線(せいほせん)や武生と粟田部(旧今立町)・鯖江市戸口を結んでいた南越線があったが廃止されている。
特徴
併用軌道を行く大型電車
福鉄福武線の最大の特徴は、大型電車が市の中心部の真ん中を走っていたことである。
これはアメリカのインターアーバンと呼ばれる都市鉄道と同じく、郊外では専用軌道を快走し、その電車が市街地の併用軌道にそのまま乗り入れる形態をとっており、それが現存しているためである。
本家アメリカではモータリゼーションの波に飲まれ、シカゴに一路線(サウスショアー線)が残るのみだが、ここ福井では今もこのスタイルがとられている。日本でもかつては新潟交通など類例があったが、同じ事情で数を減らしたため、福井鉄道は日本でもごく貴重な存在となっていた。
京阪京津線も同様の存在であり、大型4連が地上を走り、さらに地下鉄にまで直通してしまうためそちらに注目を奪われがちではある。
しかし、ここ福井鉄道は地方私鉄であり、後述の自社発注車200形をはじめとした、古きよき時代の趣きある電車が現役で走っていたという点こそが、福武線ならではの魅力といえよう。
2006年に名古屋鉄道譲りの低床路面電車が導入されてからは、特に経年の進んでいた車両が廃車され、200形、600形、610形といった残った大型高床車は主にラッシュ用や土休日の朝方などを中心とした運用になっていた。鉄道ファンならぜひ一度乗りに行くと楽しいだろう。起点の越前武生駅ではDVDや古いキップなどの鉄道グッズも売られている。
しかし、2013年に完全新車となる超低床電車・F1000形が導入され、高床車は多くが置き換えられてしまった。現在は600形がごくまれに走る程度になっている。
大型車の車外ステップ
高床電車はドアと連動してステップが開くようになっており、これを昇降して電車に乗り降りするようになっている。大型車の市内乗り入れ事例が減り低床電車が増えた現在では、これも福井鉄道独特の設備となっている。
併用軌道区間での急行運転(廃止)
福武線は路線延長が長いため急行運転が行われている(普通電車追い越しはない)。かつては併用軌道区間でも通過駅があった。道路の真ん中の安全地帯で普通電車を待っていても、結構なスピードで電車が駆け抜け、迫力はあるが、電車を待つとき、写真を撮るときは要注意といえるものだった。
2016年以降路面電車区間での通過はなくなったものの、スピードを出しながら自動車をどんどん追い抜く路面電車の姿は必見。
「○○新」という駅名
普通、既存の駅名との混同を避けるためには、「新大阪駅」「新松田駅」のように、最初に「新」をつける方法が一般的である。
しかし、ここ福井鉄道では、「武生新」「福井新」のように、末尾に「新」をつけるという珍しい方法がとられていた。
しかしながら、これは2010年に「西武生」(現北府)とともにそれぞれ「越前武生」「赤十字前」と改称され、一時消滅していた。今もそれぞれの駅舎に、駅名を書き換えた跡が残っている。
ところが北陸新幹線に越前たけふ駅が開業することになったため、同名である越前武生駅を改称することになり、2023年に「たけふ新」と改称。これによって「○○新」が復活することになった。
車両
名鉄岐阜市内線・美濃町線・揖斐線の廃止を受け、これらの路線を走っていた路面電車(低床車両)型800形、770形、880形を含め
鉄道型200形、600形、610形が在籍する。
なお、800形は福鉄での使い勝手が悪かったのか2018年に運用を停止、同じく800形を受け入れた豊橋鉄道に譲渡された。
770形と880形は2車体連接車で、福井同様併用区間と専用区間のあった岐阜線で使用するためのステップが装備されている。二段上昇窓が880形で固定窓が770形。この他車幅も770形の方が多少ながら絞られている。一時期770形はえち鉄直通運用に就いていたこともあったが、現在はFUKURAMとFUKURAM LINERにその運用を譲り福鉄線内運用となっている。
また2021年度より車齢の高い880形の延命工事が開始され、東洋電機製造の電装品により、走行装置がVVVFインバータ制御・回生ブレーキ装備に更新された車両が登場した。
2013年3月31日よりLRV、F1000形(愛称:FUKURAM)を導入した。
在来大型車の置き換えを目的としているため、3連で30メートル制限ギリギリであり国内のLRVの中では最大の定員数である。自動車との事故に巻き込まれ、長らく運用を外れていたが修復し運用復帰…と思いきや、原因不明軌間が広がりすぎていたことが原因による脱線事故により運休したことも。
現在はカラーリングのそれぞれ異なる4編成が元気に運行している。
2023年3月27日よりアルナ車両製「リトルダンサー」シリーズの新型LRV、F2000形
(通称:FUKURAM LINER)を導入した。
朝ラッシュの低床車の予備車確保、老朽化していた880形の置き換えを目的に導入され、丸みを帯びたデザインのF1000形とは対照的に、直線的なデザインが特徴となっている。
2023年現在は1編成が運行されている。
200形は福井鉄道自主発注車であり、運転開始から50年経過後も走り続けていた。セミクロスシートの連接車という全国でも珍しい存在である。又、映画やしゃべる白犬が出てくる某携帯CMにも出演している。その縁で「お父さん」(カイ君)は北府駅の名誉駅長となっている。F1000形の導入に伴い201編成は廃車となった。続いて202編成も故障の為廃車となり残すは203編成のみとなっているものの、検査切れで事実上の休車。今後は北府駅に建設が予定されている鉄道博物館行きが検討されている。
600形はかつて名古屋市営地下鉄で走っていた車両を第三軌条からパンタに集電形式を変更、さらに単行+2扉化改造したもの。しかし使い勝手が悪く(奇しくも、800形で再び福鉄と単行運用の相性の悪さが露呈することになる)、早々と2編成導入されたのが1編成廃車になり、残った1編成も定期運用はなかった。ところが、2015年10月にF1000形の原因不明の脱線事故に伴いF1000形と200形が運行を中止。
ニートレインとして寝ていたところ緊急で通常運用に抜擢されており、今後も「ビア電」などのイベント用兼予備車として残ることが決定している。1編成1車両だが運転士と車掌が乗務。
600形の2両編成版・610形は主に朝夕のラッシュ時にしか運用されていない…が意外と日中普通列車で動いていたりする。F1000形導入により廃車された。
2013年にはドイツ製の元シュツットガルト市電(735形)を旧:土佐電鉄(現:とさでん交通)より購入し、2014年4月より「レトラム」の愛称で土休日に運行を開始。春と秋限定でイベント運行されている。なお、購入に際し735形からF10形に改番している。
今後の動向
福鉄名物ともいえる鉄道形(大型高床車)については、新型車両の導入により2016年までに置き換えられた。
利用者の増加のためにえちぜん鉄道との連携を強化しており、木造駅舎でそれぞれ一面一線だった田原町駅を改良、2016年3月27日より、越前武生~鷲塚針原間での相互直通運転を開始した。
また、福井という土地柄雪が多いため、除雪用の機関車が導入されていたが、それらも車籍のないモーターカーに置き換えられることが決まっている。
バス事業
福鉄バス、及び福鉄観光と呼ばれている。一般路線は福井県苓北南部と・嶺南東部地域を中心に展開し、福武線と並行する形になるものの福井市の中心部へも乗り入れる路線を持つ。
高速路線は大阪、名古屋、東京へ路線を展開。夜行バスも運行している。
運行中の高速バス
- わかさライナー(東梅田駅・OCAT行 単独運行。大阪側の運行支援は近鉄バスが担当)
- 北陸道特急バス(福井⇔名古屋行 名鉄バス・JR東海バス・京福バス)
- ドリーム福井号・昼特急(東京駅行 京福バス・JRバス関東)
- 福井 - 大阪線(阪急三番街高速バスターミナル行 阪急観光バス・京福バス)
ちなみに
2005年、福井鉄道設立60周年ということでロゴマークを変更することになった。
当時、福井鉄道は名鉄グループに入っていたことも影響してか、
「MEITETSU」に準じロゴマークを「FUKUTETSU」に変更した。(wikipediaより)
そのためロゴの雰囲気が名鉄と似ている。
関連動画
関連項目
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