概要
東野圭吾の出世作であり、1998年9月10日に文藝春秋から発売された。京極夏彦との対談で本人が語っているところによれば、もともとは笑える小説として書いたつもりが結果的に泣ける話になってしまったという。1998年度のベストミステリーとして話題となった名作で、「週刊文春ミステリーベストテン」第3位、「このミステリーがすごい!」第9位にランクインしたほか、東野はこの作品で第52回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞している。
1999年には滝田洋二郎監督、広末涼子・小林薫のダブル主演で映画化されたほか、2007年にはフランスでリメイクされ映画化(タイトルは「秘密 THE SECRET」)。また2010年には志田未来の主演によるテレビドラマも放送されている。なお、それぞれの作品の設定は微妙に異なるがその説明は割愛する。
あらすじ
1985年、自動車部品の夜勤から帰った杉田平介は、朝食を口にしながら観ていたテレビで衝撃的なニュースを知らされる。それは妻・直子と娘・藻奈美が長野県の実家へ向かうために乗った志賀高原行きのスキーバスが、崖から転落事故を起こし多数の死傷者を出したというものだった。直子は搬送先の病院で死亡が確認されたが、藻奈美は奇跡的に死の淵から生還。しかし、その藻奈美の肉体に宿っていたのはなぜか死んだはずの直子の精神であった。このことは2人だけの秘密となり、直子は家の外では藻奈美としてふるまいつつ家庭内では夫婦として平介と共に生活。しかし徐々に男としてのパワーを失っていく平介と、2度目の青春を積極的に生きようとする直子の間ではしだいに心の溝が生まれていく。一方で平介はバス事故を起こした運転手の遺族と交流をもつようになり、事故の背景に何があったか迫っていくことになる。
主な登場人物
- 杉田平介
- 自動車部品メーカーの生産工場に勤めるエンジニア。バブル景気に向かっていく時代ということもあり多忙な日々を送る。スキーバス事故に家族が巻き込まれたのをきっかけに奇妙な家族生活に巻き込まれていき、愛娘の外見をした妻との関係に苦悩する。
- 杉田直子
- 平介の妻。帰省中のスキーバス事故によって死去するが、どういうわけか藻奈美として転生する。その後は二度目の人生を自立した女性として生きようと決意、猛勉強の末著名な進学校に合格。青春を謳歌する中で夫との軋轢が生まれる。
- 杉田藻奈美
- 平介・直子夫妻の娘。事故当時小学5年生で、一度は瀕死の危機に陥るも直子の意識を宿した状態で息を吹き返した。美少女で学校内には複数のボーイフレンドがいる。得意教科は算数→数学と理科。
- 橋本多恵子
- 藻奈美の小学校時代の担任教師で、20代半ばの美人。娘の体になった妻とセックスできずに悩む平介が毎晩オナニーのネタにしていた。
- 梶川幸広
- スキーバス事故を起こし死亡したバス運転手。極端な超過勤務をしていたことが事故の要因に。事故当時は別の女性と再婚していたにもかかわらず、札幌にいる前妻・根岸典子に仕送りをしていた。
- 梶川逸美
- 梶川と後妻の間に生まれた娘で、事故当時中学1年生。事故直後に母親も心臓発作で急逝してしまったため、親せきの家に引き取られる。
- 根岸文也
- 幸広の息子(親権は幸広の元妻である典子)で、札幌に住む大学生。母と自分を捨てたとして幸広を憎んでいた。大学では自動車部に所属している。
- 相馬春樹
- 高校に進学した藻奈美(中身は直子)のテニス部の先輩。藻奈美(くどいようだが中身は直子)に好意を寄せており、クリスマスイブに彼女をデートに誘う。
関連動画
関連項目
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