税金単語

ゼイキン
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税金英:tax)とは、正しくは租税といい、地方公共団体が強制的に償で徴収する銭のことをいう。
 

概要

定義

地方公共団体)が、その統治領域内に住所を持つ個人・法人や、その統治領域内に住所を持たずに経済活動をする個人・法人から、強制的に償で徴収する銭を租税という[1]
 

強制的に無償で徴収する金銭が租税

住民または「住所を持たずに統治領域内で経済活動をする者」が、地方公共団体)に対して自発的に償で納付する銭は、租税とは言わず、寄附という。

地方公共団体)が住民または「住所を持たずに統治領域内で経済活動をする者」から強制的に有償で徴収する銭がある。「有償で」というのは「物資やサービス提供する代償として」という意味である。負担、手数料、専売物資の価格、の独占事業の料が挙げられる。

こうした銭を租税に含むかどうかで学説が分かれている。詳しくは本記事の『租税狭義説と租税広義説』の項を参考されたい。
 

国籍を問わず、統治領域内の全員に課すのが基本

「税金とは、中央政府地方公共団体が、その統治領域内に住所を持つ住民に対して、またはその統治領域内に住所を持たず経済活動する者に対して、籍を問わずに強制徴収する銭である」と基本的に考えることができる。

籍を問わないというのが特徴である。日本に住んでいるイタリアサッカー選手日本の税務署へ全世界で稼いだ所得について所得税を払うし、イタリアに住んでいる日本人サッカー選手イタリアの税務署へ全世界で稼いだ所得について所得税を払う(詳しくは本記事末尾の『複数ので所得を得る個人・法人への課税』の項を参照のこと)。

日本人であっても、日本を脱出して税率の安いに居住し、その地で経済活動をすれば、その地で稼いだ所得について日本の税務署へ税金を払わずに済む。税金を安くして持ちを熱心に誘致するのことをタックスヘイブン租税回避地)という。

日本中世江戸時代では、年貢の取り立てが厳しい武士貴族・社寺・地方族の所領から一家そろって脱出して、年貢の取り立てが優しい武士貴族・社寺・地方族の所領へ移住する現があった。これを欠落(かけおち)exitという[2]。欠落されて統治領域内から脱出されると、その武士貴族・社寺・地方族は脱出者に対してなかなか手出しができなかった。
  

徴税対象品の変遷 物納と銭納(金納)

人類の歴史のなかで、様々なものが徴税対品となってきた。

日本奈良時代では租庸調の制度が実施され、や布が徴税された。このように物品を徴収する租税制度を物納という。

また、奈良時代にはでできた金属貨幣が流通し、金属貨幣を徴税することが行われた。このように貨幣を徴収する租税を銭納とかという。

物品と金属貨幣の両方を徴税する制度は江戸時代まで長々と続いた。明治時代になって、徴税対通貨に一本化した。日本だけでなく、近代・現代の世界においては、通貨のみを徴税対品とする例が極めて多い。
  

強制労働も租税の一種とする考え方

労働を強制することも租税の一種と捉えることができる。強制労働のことを労役とか夫役(ぶやく)という。

日本奈良時代では徭役(ようえき)が課せられた。江戸時代街道の近くに住む住民には助郷(すけごう) という大名の参勤交代をお手伝いする労働が課せられた。明治時代になって労働を強制する制度が止された。

兵役を強制することも租税の一種ととらえることができる。兵役を務めるということは、軍隊に入って労働するというのと同じだからである。日本奈良時代では防人(さきもり)の制度があった。明治時代になって明治憲法が施行されると第20条により民に兵役の義務が課せられ、徴兵制が導入された。昭和22年1947年)になって日本国憲法が施行され、徴兵制が終わった。

2021年現在日本において、労働または兵役を民に強制する制度は存在しない。
 

徴税の実働部隊

日本において、税金を徴収する機関は、国税庁である。国税庁財務省の外局として設置されている。国税庁の下部組織が税局で、税局の下部組織が税務署である。

日本税局や税務署は、色々と優秀で、何事も手抜かりがなく、恐るべき組織として知られている。彼らの行う税務調は、しばしば宅捜索を伴うことがある。税局や税務署の宅捜索は底的で、中のものをひっくり返しつつ、何もかも調べ尽くしていく。

納税の義務を怠っていると見られる者に対し、まずは税務署が相手する。税務署の手だけでは足らないとき、税局の察部の察官(通称:マルサ)が応援に入り、裁判所状を得て宅捜索する。さらに悪質な滞納がある場合、税徴収官が出てきて、裁判所状なしで宅捜索する。税徴収官のなかでも特別税徴収官(通称:トッカン)は、権限が強い。
 

脱税に対するお仕置き

脱税をすると、警察逮捕され、検察に起訴され、裁判所で裁判が行われる。税金に関する法律は多く存在するが、「脱税したら10年以下の懲役または1,000万円以下の罰刑あるいはその併科(両方の刑が科されること)、ただし罰額は脱税額を限度として増額される可性がある」という罰則が規定されていることが多い(記事1exit記事2exit)。

有罪判決を受けて懲役刑を受けるときは、法務省が管理する刑務所叩き込まれ、自由が奪われた生活を強制されることになる。ご飯は栄養満点のものが出てくるが、とにかく自由が少なくて、あまり楽しくない。
 

租税に関する様々な熟語

納税 政府地方自治体に対して税金を納付すること
徴税 政府地方自治体が税金を徴収すること。課税ともいう
税率 課税対に対して徴税する割合・
増税 税金の税率を増やすこと
減税 税金の税率を減らすこと
免税 課税を免除すること。英語で言うとデューティー・フリー(duty free
節税 制度を利用したり制度の抜けをつついたりして、納税額を減らすこと。これを行っても犯罪にならない
脱税 納税すべきなのに経理書類を不正操作するなどして納税の義務を果たさないこと。これを行うと犯罪になる
税務 税金に関わる事務

 

租税狭義説と租税広義説

有償で徴収する金銭

負担、手数料、専売物資の価格、の独占事業の料などがある。つまり、地方公共団体)が物資やサービス提供する代償として、有償で徴収する銭のことである。

それぞれの例を挙げて表にすると、次のようになる。

負担 都市計画負担道路負担河川負担下水道事業受益者負担
手数料 ごみ処理手数料
専売物資の価格 1984年以前で専売社が専売していたタバコの値段
の独占事業の料 2006年以前で郵便局提供していた郵便

 

これらも地方公共団体)が徴収する銭なので、租税によく似た存在である。
 

租税狭義説と租税広義説

地方公共団体)が民(住民)から強制的に償で徴収する銭を租税という」という定義を租税狭義説という。つまり負担などを含めない考え方である。

これに対し、「地方公共団体)が民(住民)から強制的に償で徴収する銭だけでなく、地方公共団体)が民(住民)から強制的に有償で徴収する銭も含めて、租税という」という考え方を租税広義説という。こちらは負担などを含むという考え方である。
 

日本における変遷

明治憲法が施行されていた時代は、第62条第2項exitではっきりと租税狭義説が採用されていた。

1947年5月3日になって日本国憲法が施行されるようになると、第30条で納税の義務が明記されたが、租税狭義説をとるのか租税広義説をとるのか憲法の条文で明言されていなかった。

1947年3月31日に施行された財政法では第3条exit租税広義説を採用した。ところがその後すぐに成立した「財政法第三条の特例に関する法律」で、「タバコの価格と、電信・電話の料と、郵便局郵便郵便郵便為替郵便振替に関する料と、国鉄の運賃は、租税と同じ扱いにする。しかし私鉄運賃と電気ガスなどは財政法第3条の例外として、租税と同じ扱いにしない。料正に当たって法律国会の議決も必要ない」ということにした[3]

日本最高裁旭川市国保料訴訟exit2006年3月1日判決で「特別の給付に対する反対給付として徴収する銭は憲法第84条が直接適用されない」という意味の言葉を述べている。これを言い換えると「物資やサービス提供する代償として徴収する銭は租税に含まれない」となる。つまり租税狭義説を採用したことになる。

ただし、同じ判決で「租税以外の課であっても、賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては、憲法84条の趣旨が及ぶ」と述べている。これを言い換えると「物資やサービス提供する代償として銭を徴収する時の強制性が租税のように強ければ、それは租税と扱う」となり、租税広義説を一部だけ認めたといえる。
  

租税に関する憲法条規

憲法第30条の納税義務

租税を納める義務は、日本国憲法第30条において定められている。「民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」という短い条規となっている。

憲法というものは、権者の行動を規定して、権を制限し、被統治者である民の安心と自由を確保するために制定されている[4]。つまり、憲法とは政府公務員に対する命の集積なのである。

ところが何事も例外があり、日本国憲法の中には民に義務を課す条文が3つある。そのうちの1つが日本国憲法第30条である。

また、先述のように日本政府外国人にも納税の義務を課している。

日本人に対しては日本国憲法第30条法律で納税義務を課し、外国人には法律だけで納税義務を課しているのである。
 

租税法律主義

租税を徴収することで民生活に多大な影が発生する。民にとってコロコロと税率を変えられては迷惑である。

者の都合でコロコロと税率が変わっていく現を防ぐため、日本国憲法は「租税の制度を決めるとき、法律で定めねばならない」という原則を定めている。これを租税法律とか租税法定という。

日本国憲法第30条の「民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」という条規と、日本国憲法第84条の「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」という条規に、租税法律義が盛り込まれている。
 

租税法律主義で租税の制度を定める難易度が高くなっている

法律というのは、作ったり変更したりするのに多大な労が必要である。日本国憲法41条で「国会は、権の最高機関であつて、一の立法機関である」と定められており、法律を通すためには必ず国会の議決を得なければならない。

国会は年がら年中開かれているわけではなく、毎年1月から6月まで150日間の日程で開催される通常国会[5]と、毎年10月から12月まで50日間程度の日程で開催されることが恒例となっている臨時国会がある程度である。つまり1年365日のうち200日ほどしか国会が開催されていない。

1年365日のうちのほとんどで国会を開く通年国会にするのは、理がある。国会議員が地元民と交流する時間を確保すべきという意見もあるし、官庁にとって国会対策というのは大変な緊を強いられるので官庁の体を維持するため通年国会を避けるべきという意見もある[6]

国会日程が限られていて、提出された法案をちゃんと審議しなければならないから、それにより政府から提出される法案の数も限られたものとなる。2021年1月から6月まで開催された通常国会政府から提出された法案は63で、成立した法案は61である(記事exit)。「通常国会150日間で1000の法案を出してほとんど審議せずにすべて可決する」とか、そんなことができるわけがない

このように、租税法律義によって租税の制度を定める難易度がとても高くなっている。
 

永久税主義と一年税主義

先述のように租税を導入するときには法律で定めなければならないが、その法律の効果が続く期間をどのようにするかで違いがある。

永久というのは、租税を定める法律をいったん制定してしまえば、あとは法律正があるまで毎年徴税することができるというものである。つまり租税を定める法律の効果が続く期間を永久とみなすものである。較的に立法の手間が少なくて済み、為政者にとって好都合なものである。

一年税というのは、租税を定める法律の効果が続く期間を1年かぎりとするものである。租税を定める法律を1年おきに制定しなければならない。毎年法律を制定しなければならず、非常に立法の手間がかかり、為政者にとって厳しいものである。

日本では明治憲法第63条exitにより永久義が導入された。日本国憲法の租税関連の条規には永久税を明示する表現が存在しないが、明治憲法時代の慣習をそのまま引き継いで永久義を採用している。
 

税制に影響を与える自民税調

租税を徴収することで、民生活に多大な影が発生する。それゆえ、租税の制度を決めるときは、影を受ける民の意見をよく受け取ることが重要とされている。

民の意見をかき集めることが得意なのは、国会議員である。民の選挙を経なければ国会議員になることができない(日本国憲法第43条)。

日本自民党には、自由民主党税制調自民税調)という審議機関がある。この自民税調は、租税に関する発言権を強く持っている。自民税調で決まった税制がそのまま採用される、と思っていいぐらいである。

内閣総理大臣の諮問機関として、政府税制調会(政府税調)というものがある。ところが、長年にわたり、政府税調の意向よりも自民税調の意向の方が重んじられており、「党高政低」と言われてきた(天気予報でよく使われる東高西低という表現をもじっている)。
  

税金の種類

税金の一覧の記事も参照のこと。
 

課税権者に着目した分類

課税する機関がどこかによって租税を大別すると、(中央政府)が課税すると、地方公共団体が課税する地方に分けられる。
 

税収の使い道に着目した分類

租税を庫に納めたあとの使い方によって租税を大別すると、特に使途を定めず政の全般に使用することができる普通税(一般税)と、特別に使途を定めてある的税に分けられる。

普通税の方が数が多く、的税は数が少ない。的税は復興特別所得税電源開発促進税、狩猟税、事業所税、都市計画税が挙げられる(松戸市作成資料exit)。
 

税負担の尺度となる課税ベースに着目した分類

税負担の尺度となる課税ベースがどれかによって租税を大別すると、資産課税等、消費課税、所得課税の3つになる。

資産課税資産の取得・保有・移転等に対して課税される。資産の取得で課税されるものは相続税贈与税資産の保有で課税されるのは固定資産税と都市計画税、資産の移転で課税されるものは登録免許税と印税と不動産取得税である[7]

資産課税の多くは、他者からも明確に把握できる土地や資産を課税対とすることから徴税が行いやすく、歴史的には最も中心的な課税であったと言える[8]。言い換えると、人類の歴史の一番最初から存在していた租税だと言える。江戸時代には田畑という資産に対して課税される年貢が租税の中心だった[9]。とはいえ、資産課税の中には他者から明確に把握しづらくて徴税しづらい租税があり、1950年から1953年まで日本に導入された富裕税が典である。貸借対照表バランスシート)を作ってその純資産を課税対にするので、計算の手間が非常に多く、税務当局にとって困難が多い税金だった[10]

事業税は、資本や出資が1億円以上の大企業に対して、一部を外形標準課税で行っている。この場合の外形標準とは資本のことである。ゆえに「事業税の一部は資産課税」ということができる。


消費課税は財・サービスの消費に対して課税される。消費税酒税タバコ税、揮発油税(ガソリン税)、関税など。

消費課税も徴税が行いやすく、歴史的に古い税である。徴税に関して事務的なをさほど必要としないため、発展途上国の税務署でも徴税しやすい。このため発展途上国では消費課税が中心的になりやすい[11]。逆進性が高くて貧困層への負担が大きくなるのが短所である[12]


所得課税は収入・利益といった「ある期間を通じて稼ぎ出したお金」に対して課税される。正確には「収入」「利益」ではなく、所得税の場合は「収入」から経費を引いて「総所得」を計算し、総所得からさまざまな控除を引いて「課税所額」を計算してそれに対して課税するし、法人税の場合は「税引き前当期純利益」から益算入額や損不算入額を足したり益不算入額や損算入額を引いたりして「所得」を計算してそれに対して課税する。

個人に対する所得税法人に対する法人税が代表的である。

所得課税は収入・利益を計算できる事務的なを多く必要とするため、徴税が難しい。史上初めて所得税を導入したのは1798年の英国で、近代国家がもうすぐ成立する頃である。発展途上国では税務署も企業事務が低いので、所得課税が難しく、所得課税による税収の割合が少ない傾向にある。

控除などで所得の額を調整することができ、政府にとって細やかな政策を導入しやすいのが長所である。経済的弱者には控除をたっぷり付けて所得税の税額が減るようにしよう、という政策を行いやすい。
 

税負担者と納税者が一致するかどうかに着目した分類

負担者と納税者が一致することを立法者が予定している税を直接税という。

負担者と納税者が一致しないことを立法者が予定している税を間接税という。
 

累進性や逆進性に着目した分類

累進税とか累進性が強い税というのは、高所得者の収入に対する税負担の割合が高くて、低所得者の収入に対する税負担の割合が低い税制である。所得税累進課税が例に挙げられる。

累進税でも逆進税でもない税というのは、高所得者の収入に対する税負担の割合と、低所得者の収入に対する税負担の割合が、同じになる税制である。所得税の一課税(フラットタックス)が例に挙げられる。

逆進税とか逆進性が強い税制というのは、高所得者の収入に対する税負担の割合が低くて、低所得者の収入に対する税負担の割合が高い税制である。消費税や人頭税[13]が例に挙げられる。
 

「税金は罰金」の考え方と「税金は財源」の考え方

機能的財政論という財政思想がある。政府には自中央銀行が発行する通貨自由に獲得できる巨大な権があるので、税収を上回る政府支出を行ってよいのであり、経済に与える効果がどのようになるかを考えて政府の財政を決めるべきである、という考え方である。

機能的財政論から、「税金は罰」という考え方が導かれる。税金は政府が望ましくないと思う行動に対する罰であり、財の確保を第一に考えて課するものではい、という考え方である。


機能的財政論の対義は、健全財政論とか均衡財政論と呼ばれるものである。これは「税金は財」という考え方である。

2020年現在日本の官庁や国会議員は、健全財政論(均衡財政論)と「税金は財」という考え方を中心に動いている。増税するときに「増税分は、被災地の財にします」「増税分は、社会保障の財にします」と国会議員や大臣が述べることが、恒例となっている。

使途を定めずに徴収する租税を普通税、使途を定めて徴収する租税を的税という。機能的財政論や「税金は罰」の考え方からは、「租税というのはすべてが普通税であるべきだ。的税というのは不自然だ」ということになる。健全財政論(均衡財政論)や「税金は財」の考え方からは「的税というのは税金のあり方の1つであり、十分に正当性がある租税だ」ということになる。
 

国定信用貨幣論(租税貨幣論)

国定信用貨幣論租税貨幣論)という通貨に関する理論がある。これは、「政府が徴税対物と定めたものは自然通貨になる。租税によって通貨がこの世に生まれる」といった理論である。

そして、「税務署の人員を増やすなどして徴税権を強めると、みんなが税務署を恐れるようになり、通貨をありがたがるようになり、通貨価値が上がっていく。税務署の人員を減らすなどして徴税権を弱めると、みんなが税務署をみくびるようになり、通貨価値が下がって通貨切れのようになる」と論じていく。発展途上国通貨が暴落して切れになるのは、その政府の徴税権が弱くて税務署がナメられているからである、と論じるのである。

国定信用貨幣論租税貨幣論)の思想は、2020年現在世界で流通している不換銀行券不換紙幣)を非常に上手く説明できるという長所を持っている。不換銀行券不換紙幣)は塊との交換が保されていないただの切れなのに、なぜか流通している。国定信用貨幣論租税貨幣論)なら、「政府が徴税するから、不換銀行券のような切れが通貨になるのだ」とごく簡単に説明できる。
 

租税が課される根拠

「なぜ民・住民に対して租税が課されるのか」「なぜ民・住民は租税を納めなければならないのか」と考えることは古今東西政治学・財政学の大きなテーマである。
 

租税利益説

「租税はサービスの対価であり、人々は享受するサービスに応じて納税義務を課せられる」とする考え方を租税利益説という。詳細は当該記事を参照。
 

租税義務説

租税はサービスを維持するための義務であり、人々は各人のに応じて納税義務を課せられる、という考え方を租税義務説という。詳細は当該記事を参照。
 

「税金は罰金」(租税罰金説)

租税は政府が考える理想的な社会像を実現するために民へ課せられる義務であり、人々は各人の悪行に応じて納税義務を課せられる、という考え方を「税金は罰」とか租税罰説という。機能的財政論から導かれる考え方である。詳細は当該記事を参照。
 

複数の国で所得を得る個人・法人への課税

本項では21世紀の日本を例にして、複数ので所得を得る個人・法人への課税について解説する。
 

日本に住所を持つ個人、日本に本店を持つ法人

日本の税制というのは、個人については「日本住所を持つ」、法人については「日本本店を持つ」ということを重視している。その個人の籍は全く関係がなく、その法人の構成員の籍も全く関係がない。

Xというがあるとして、日本と同じような税制を採用していることにする。

日本住所を持つ個人Aさん日本国内で1000万円の所得を稼ぎ、日本以外のX500万円の所得を稼いだとする。その場合、Aさんに対して日本の税務署は全世界所得の1500万円に対して所得税を課税する。また、Aさんに対してXの税務署はXで得られた500万円所得に対してのみ課税する。

ただし、日本の税務署は、Xの税務署が徴税した税額を税額から控除する。Xタックスヘイブンで異様に安い所得税だったら、500万円所得にかかる日本の税務署の徴税額がほとんど削られないし、X日本より所得税が高いだったら500万円所得に対して日本の税務署は徴税するどころかお金を払わねばならないだろう。

法人にとっても話は同じである。

日本本店を持つ法人Bが日本国内で1000万円の所得を稼ぎ、日本以外のX500万円の所得を稼いだとする。その場合、法人Bに対して日本の税務署は全世界所得の1500万円に対して法人税を課税する。また、法人Bに対してXの税務署はXで得られた500万円所得に対してのみ課税する。ただし、日本の税務署は、Xの税務署が徴税した税額を税額から控除する。
 

日本に住所を持たない個人、日本に本店を持たない法人

日本住所を持たずX住所を持つ個人Cさんが日本国内で1000万円の所得を稼ぎ、日本以外のX500万円の所得を稼いだとする。その場合、Cさんに対して日本の税務署は日本で得られた1000万円に対して所得税を課税する。また、Cさんに対してXの税務署は全世界で得られた1500万円所得に対して課税する。ただし、Xの税務署は、日本の税務署が徴税した税額を税額から控除する。

法人にとっても話は同じである。

日本本店を持たずX本店を持つ法人Dが日本国内で1000万円の所得を稼ぎ、日本以外のX500万円の所得を稼いだとする。その場合、法人Dに対して日本の税務署は日本で得られた1000万円に対して法人税を課税する。また、法人Dに対してXの税務署は全世界で得られた1500万円所得に対して課税する。ただし、Xの税務署は、日本の税務署が徴税した税額を税額から控除する。
   

ここまでのまとめ

日本の税務署は、日本住所を持つ個人や日本本店を持つ法人に対して、全く遠慮せずに、全世界所得を対に課税している。

日本の税務署は、日本住所を持たない個人や日本本店を持たない法人に対して、ちょっと遠慮して、「日本国内で稼いだ分の所得」のみ、いわゆる地所得を対に課税している。


この方法は、日本を始めとして多くの々が採用している[14]
  

日本に本店を持たない法人が日本の消費者相手にインターネット電子取引をする場合

日本本店を持たず、異様に法人税が安いタックスヘイブン本店を持ち、インターネットを通じてソフトウェア動画など電子的商品を日本の消費者へ売りさばくIT企業がいる。

そういうIT企業に対して日本の税務署は「この所得は日本国内で稼いだ分の所得である」とすることができず、法人税を課税することができず、頭を悩ませている。これは日本の税務署に限ったことではなく、世界の税務当局にとって悩みの種である。2012年頃から際的な議論が進められている。
 

資料

日本の税金 第3版 岩波新書(岩波書店)三木義一 218~225ページexit_nicoichiba税のタブー インターナショナル新書(集英社インターナショナル)三木義一 242~245ページexit_nicoichiba日本経済新聞2021年6月6日記事exit
 

関連動画

関連静画

関連商品

関連リンク

Wikipedia記事

官公庁ウェブサイト

関連項目

脚注

  1. *日本国憲法論 法学叢書7 2011年4月20日初版(成文堂)佐藤幸治exit_nicoichiba530ページには、「租税」とは、地方公共団体)がその経費を支弁するため民から強制的に償で徴収する銭をいう。と書かれている。日本の税金 第3版 岩波新書(岩波書店) 三木義一exit_nicoichiba218222ページには、日本住所を持たない外国人・外法人日本で稼いだ所得を日本の税務署に申告して所得税法人税を納めることが記されている。この2書の記述を勘案した。
  2. *似たような言葉に逃散exitがあるが、逃散は他領へ逃げ込まずその所領にとどまったままで行うストライキす用である。
  3. *日本国憲法論 法学書7 2011年4月20日初版(成文堂)佐藤幸治 530ページ
  4. *立憲主義のコトバンク記事exit日本国憲法論 法学書7 2011年4月20日初版(成文堂)佐藤幸治 5ページを参考に記述した。
  5. *憲法第52条exit国会法第2条・第10条でそのように決まっている。
  6. *日本国憲法論 法学書7 2011年4月20日初版(成文堂)佐藤幸治 446ページには「会期制がイギリスで誕生し、それが一般化した背景には、議会の議事の効率性を高めるとか、議員が選挙民と接触する機会を多くするとか、行政府の機を不必要に阻すべきでないとか、様々な要因が働いていたものと思われる。」という記述がある。

    また、霞ヶ関の掟 官僚の舞台裏(日本文芸社)林雄介exit_nicoichiba64ページには「ヶ関で一番、厄介仕事国会対策なのだ。特に自分の課に関係する質問があれば、答弁を作成しなければいけないが、答弁が当たっていなくても全ての議員の質問が出尽くすまで役所で待機しなければいけない。これを国会待機という。官僚の庭崩壊のたる原因である。とにかく、官僚の仕事は頭労働というより体勝負の世界なのである。省で何か不祥事や事件でも起ころうものなら、例えば、外務省不祥事狂牛病でも起ころうものなら、マスコミも大挙してきて、課内はパニックになるのだ。官僚は、マスコミ対応、国会対応で24時間、省内を走り回り、さらに国会議員や関係業界の幹部、役所のOBへの根回しに追われることになる」という記述がある。
  7. *わが国税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択- 税制調査会2000年答申exitの、資産課税exitの部分を出典とした。
  8. *「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える(ぎょうせい)伏見俊行、欣欣 12~13ページ
  9. *税務大学校が作成した資料exit
  10. *「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える(ぎょうせい)伏見俊行、欣欣 74ページ
  11. *「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える(ぎょうせい)伏見俊行、欣欣 13ページ
  12. *わが国税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択- 税制調査会2000年答申exitの、消費課税exitの部分を出典とした。
  13. *人頭税は21世紀の世界ではほとんど導入されていない税制である。人の身体そのものを資産と考えてその資産に対して課税しているので一種の資産課税であり、また納税者と負担者が一致しているので直接税である。人頭税は高所得者も低所得者も全く同じ額を払う。
  14. *税のタブー インターナショナル新書集英社インターナショナル三木義一 227ページイタリア進出コンサルティング記事exitを読むとイタリアでもこの制度になっていることが分かる。

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税金

11 ななしのよっしん
2021/01/21(木) 14:15:37 ID: i95qz63O+Z
租庸調の時代でさえ自然災害が起きて納税が難しくなったら免除してたんだからさー、コロナが収束するまで減税とかしてよ
12 ななしのよっしん
2021/02/25(木) 22:38:29 ID: zrnTkYnRoc
コロナ庫使い果たしてるから増税するゾ
使いみちは秘密にするけど20に増税するゾ
13 ななしのよっしん
2021/04/08(木) 00:07:05 ID: iJcsc6M5BZ
使いが妥当なら税率9割でも民はついてくると思うよ
実際に持ちから8割近く課税してた時代もあったわけだし

持ちや都会だけに媚びても国家が硬直化と地盤沈下を起こすことが、この数十年で分かったんだから
今度はその反省を活かせばいい、はずなんだが

逃げ切ろうとしてるからね。
14 ななしのよっしん
2021/04/24(土) 03:46:37 ID: o1uDSx4E6z
>>6
はい、デブの運賃2倍ぐらい実現不可能税金ですね。あと相続税って知ってる? 
それと相続人が居ない場合その人の資産は死後庫に入ります。それが日本500ぐらいあります。
15 ななしのよっしん
2021/04/24(土) 03:58:44 ID: o1uDSx4E6z
これソース
https://www.sankei.com/smp/west/news/210204/wst2102040011-s1.htmlexit
16 ななしのよっしん
2021/04/25(日) 22:01:38 ID: zrnTkYnRoc
死ぬのを待ってたら遅すぎるからただちに増税すべきなんだよなぁ…具体的には30以上
17 ななしのよっしん
2021/05/23(日) 18:57:00 ID: o1uDSx4E6z
はい、革命でも起こして下さい
18 ななしのよっしん
2021/05/25(火) 00:05:50 ID: o1uDSx4E6z
>>13
というかお前はどれぐらい税金払ってるのさ
もしかしなくても無能な働き者になってませんか
19 ななしのよっしん
2021/06/28(月) 10:10:40 ID: py+bI4pbXl
税金は財ではない
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12683021116.htmlexit
20 ななしのよっしん
2021/07/09(金) 19:15:02 ID: hEqqj2FW/e
格差が開いてるならなおのこと相続税資産課税に所得税増税したほうが負担もにできるし税収も確保できるじゃん
なんでやんないの?い袖は振れないって知らないの?

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