第二次ランテマリオ会戦単語

4件
ダイニジランテマリオカイセン
4.1千文字の記事
  • 0
  • 0pt
掲示板へ
銀河英雄伝説戦闘
ロイエンタール元帥叛逆事件(新領土戦役)
第二次ランテマリオ会戦
基本情報
時期 : 新帝国2年 11月24日12月3日
地点 銀河帝国新領土・ランテマリオ
結果 銀河帝国軍(ミッターマイヤー軍)の勝利
詳細情報
交戦勢
ローエングラム朝銀河帝国
ミッターマイヤー
ロイエンタール
(新領土治安軍)
指揮官
宇宙艦隊長官
ウォルフガング・ミッターマイヤー元帥
元新領土総督・元帥
オスカー・フォン・ロイエンタール
動員兵
ミッターマイヤー艦隊
黒色騎兵艦隊
ワーレン艦隊
(合計42770隻)
銀河帝国新領土治安
 グリルパルツァー艦隊
 クナップシュタイン艦隊
(最大35800隻)
ロイエンタール元帥叛逆事件
ウルヴァシー事件 - 第二次ランテマリオ会戦
前の戦闘 次の戦闘
ウルヴァシー事件 第十一次イゼルローン要塞攻防戦

第二次ランテマリオ会戦とは、「銀河英雄伝説」の戦闘の一つである。

概要

帝国2年10月ウルヴァシー事件にはじまる新領土総督ロイエンタール元帥叛逆事件において、銀河帝国宇宙艦隊長官ウォルフガング・ミッターマイヤー元帥率いる討伐軍とオスカー・フォン・ロイエンタール揮する新領土治安軍との間に発生した戦闘

帝国双璧一の正面決戦であることから双璧の争覇戦”とも呼ばれたこの戦いは、ロイエンタール元帥叛逆事件におけるほぼ一の戦闘であったが、戦術レベルでは明確な決着がつかないまま戦場外の要素によってロイエンタール軍の敗亡が決定づけられることとなった。

経緯

ロイエンタール元帥叛逆事件の発端がウルヴァシー事件であることに疑問の余地はないが、実際の叛乱自体の起点は明確にされないままに事態が変転した。11月14日には宇宙艦隊長官ミッターマイヤー元帥の率いる叛乱討伐軍が集結を了して出征、16日にはロイエンタール元帥号を剥奪し新領土総督職から解任する旨の布告が発せられるに至った。

これに対しロイエンタール側は新領土全域を戦場とした壮大緻密な縦深作戦を立案したものの、"疾風ウォルフ"と名高いミッターマイヤー元帥の進攻速度ロイエンタールの予測をもえ、討伐軍本隊は縦深作戦の実施前に新領土を半ばまで到達した。

この報を受けたロイエンタールは速やかに縦深作戦を中止して麾下の部隊を再集結させ、フェザーン方面からハイネセンへの戦略的要処であるランテマリオ域においてミッターマイヤー軍との交戦に突入することとなった。

戦力

第二次ランテマリオ会戦に先立って麾下の部隊への公式揮権を失ったロイエンタール軍の総兵は明確ではないが、ロイエンタールが新領土総督として揮していた新領土治安軍の兵は艦艇3万5800隻、兵員522万6400名におよんだ。会戦への参加兵の中には、新領土治安軍に所属しウルヴァシー事件後にロイエンタール側への帰属を言明したアルフレット・グリルパルツァーブルーノ・フォン・クナップシュタイン大将の艦隊も含まれていた。

これに対し、侵攻側となるミッターマイヤー元帥麾下の討伐軍総兵ミッターマイヤー艦隊のほか黒色騎兵艦隊、ワーレン艦隊を加えた艦艇4万2770隻、兵員460万8900名を擁した。このうち黒色騎兵艦隊は回廊の戦い以降旧ファーレンハイト艦隊を合しており、旧来の黒色騎兵艦隊との間に若干の間隙が存在していた。

このミッターマイヤー軍は艦艇数においてロイエンタール軍を駕する戦であったが、第二次ランテマリオ会戦に至るまでのミッターマイヤー軍の猛進撃はビッテンフェルトワーレン両上級大将の艦隊を置き去るものにならざるをえず、会戦開始時における投入戦は兵員259万名とロイエンタール軍の兵員を大きく下回ることとなった。

かしこれは同時に、分散したミッターマイヤー軍を各個撃破する好機をロイエンタールにあえて示したものでもあった。ミッターマイヤー元帥はこの叛乱討伐において、神速の新領土進攻とこの各個撃破の機会の二点をもってロイエンタールに当初の持久策を捨てさしめ、戦略レベルでの短期決戦によって決着をつけるという戦略を取っており、ロイエンタールはこれを無視できずにランテマリオ決戦を挑むこととなる。

戦闘経過

緒戦

11月24日9時50分、両軍は5.4の間を隔てて戦闘を開始した。

前述のとおり、この時点でのミッターマイヤー軍の兵ロイエンタール軍より大きく劣っていた。このためミッターマイヤーロイエンタール軍の積極攻勢に対して揮下の機動戦を活動させての守勢にし、戦術レベルでは持久戦に持ち込んで後続部隊の到着を待つことになる。

25日8時30分、強行軍による脱落艦を出しつつも一万隻以上の兵を維持する黒色騎兵艦隊が戦闘に加入する。黒色騎兵艦隊はそのままロイエンタール左翼に猛撃を加え、9時15分にはミッターマイヤー軍本隊もそれに呼応して前進を開始した。ロイエンタール左翼黒色騎兵艦隊の突入に動揺し、さらには黒色騎兵艦隊中で旧ファーレンハイト艦隊所属部隊の連携が遅れたために混戦状態に陥った。

同日19時にはワーレン艦隊も戦場に到着して両軍の全部隊が出そろい、両者の戦はほぼ拮抗する。

会戦中盤

戦闘中盤、ロイエンタールミッターマイヤー軍最前面で突出して猛攻を加えていたミッターマイヤー元帥麾下のバイエルライン艦隊を自軍の一部後退によってそのまま引きずり込み、さらに直属の部隊を巧妙に動かしてその退路を半分遮断することに成功した。十字火を受けたバイエルライン艦隊は副官レマー中将のほか指揮官3名を失う大損を受けたものの、ミッターマイヤーによって救出される。

これを受けたミッターマイヤー元帥ロイエンタール本隊よりその麾下のグリルパルツァークナップシュタイン両艦隊から崩すことを企図し、両艦隊に圧倒的な戦速度を以って火を集中した。迎え撃つクナップシュタイン大将必死に戦線の維持を試みたものの、自身ロイエンタール軍への加担に疑念をいだいていたこともあって全には発揮し得ず、11月29日6時9分に旗艦を撃沈され戦死した。

これにより、戦況は一気にミッターマイヤー軍優勢に傾いた。しかしロイエンタールは自軍の火力分布の均衡をあえて崩し、ミッターマイヤー本隊と黒色騎兵艦隊の間を火によって分断する。黒色騎兵艦隊は猛火を受けて潰走寸前に陥ったが、ビッテンフェルト上級大将の叱による士気の異常上昇が戦術的敗勢を越してその前進を再開させたことで、ロイエンタール軍は戦線を全面的に後退させざるを得なくなった。

会戦後半

以後数日、戦況は拮抗を維持したが、12月1日16時黒色騎兵艦隊が再編のため一時後退すると、前線においてロイエンタール軍が数的優勢を得ることとなった。ロイエンタールはこの隙を衝き、正面戦線を縮小して火力を集中し、同時に直属機動部隊を繞回進撃させミッターマイヤー軍左側面を攻撃しての半包囲を企図したが、ワーレン艦隊が即応迎撃したため寸前で阻止される。

この時、ワーレン艦隊旗艦<火竜>が損傷するほどの戦が三時間にわたって交えられたが、ミッターマイヤー元帥がこれに対応してグリルパルツァー大将の守るロイエンタール軍防衛線の浸透突破を図ったため、ロイエンタールは攻勢を断念してグリルパルツァー艦隊の援護に回った。ロイエンタール軍はさらに突破口を逆に利用してミッターマイヤー軍の側面を衝き、ミッターマイヤー軍は60万kmにおよぶ後退を余儀なくされた。

なお戦闘は続いたが、12月3日イゼルローン共和政府がイゼルローン回廊帝国軍通過を認め、メックリンガー艦隊がハイネセンへ進撃しているとの急報が戦場に届くと、根拠地失陥と挟撃の危険を悟ったロイエンタールは全軍の撤退を決める。ミッターマイヤーも両ビッテンフェルトワーレン両艦隊の交互射撃を以って前線を押し上げたが、ロイエンタールは直属部隊で前進を阻止する一方で麾下の部隊を着実に後退させ、僅かな損をうけたのみで撤退に成功した。

会戦後

ロイエンタール軍は撤退後も全な統制を維持して整然とハイネセンへ後退し、ミッターマイヤー軍はこれを追撃した。12月7日ミッターマイヤー軍がロイエンタール軍後尾を捕捉すると、ロイエンタールは自軍に迎撃態勢を示する。しかし迎撃態勢が完成する直前、かねてからロイエンタール軍に異心を抱いていたグリルパルツァー大将ロイエンタール軍本隊への攻撃を命じた。

グリルパルツァー艦隊の兵員さえも急な命に戸惑う中、戦死したクナップシュタイン大将の残存部隊がこの背信に対して猛然と反撃したものの、ロイエンタール軍は甚大な損を被ることとなった。ロイエンタール自身も旗艦<トリスタン>への直撃弾により重傷を負ったが、なお冷静に潰乱寸前の自軍を統率した。しかし<トリスタン>の損傷もしく、12月8日0時40分、旗艦以下一部の艦艇は統制を維持したままにハイネセンへの敗走に移った。

結果

ロイエンタール軍(新領土治安軍)の最終的な損は甚大なものとなった。会戦中のクナップシュタイン大将の戦死に加え、追撃戦後の敗走ではバルトハウザーシュラー両指揮官も戦死している。このほか、敗走中に殿軍をつとめたディッタースドル大将を始めとする残存将兵の多くが降して討伐軍に受け入れられている。一方でミッターマイヤー軍でも、副官レマー中将を失ったバイエルライン艦隊を中心に多くの犠牲を出した。

会戦自体の戦術的決着はつかなかったが、会戦中にもたらされたメックリンガー艦隊のイゼルローン回廊通過の報により、ロイエンタール軍の撤退という形で戦闘は終結した。追撃戦で重傷を負ったロイエンタールは治療を拒否し、そのままハイネセンの執務室で死を迎えることとなる。

関連動画

関連商品


OVAでは本戦が96話『に生き・・・』、追撃戦が97話『に斃れ』に所収。

関連項目

【スポンサーリンク】

  • 0
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

ニコニコ動画 (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: ゲスト
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

第二次ランテマリオ会戦

2 ななしのよっしん
2016/02/15(月) 20:59:21 ID: QG/JbL2Gtw
結果として、ロイエンタールビッテンフェルトを甘く見過ぎてたんだろうか
👍
高評価
0
👎
低評価
0
3 ななしのよっしん
2016/02/16(火) 20:30:27 ID: 0jZWWn9Peh
そもそもこの戦い自体、第三次ラグナロック作戦みたいなもんだよね。
この時のミッターマイヤー艦隊の急進って、「狭くとも深く、そしてく」式で敵本拠地に迫るという、本家ラグナロック完成形とも言える国家戦略なんじゃないかな。

こうしてみるとミッターマイヤーの用兵としての特性は「既存の用兵術を洗練させる」ことにあるのかな。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
4 ななしのよっしん
2016/04/12(火) 13:30:45 ID: z7FQitB9dc
>2
戦闘継続を断念したのはメックリンガー艦隊が後方に回り込んだためだか
甘く見ていたのはイゼルローンの孺子だろう
👍
高評価
0
👎
低評価
0
5 ななしのよっしん
2016/05/09(月) 05:30:02 ID: QG/JbL2Gtw
>>4
いや、その前の段階で「まずい、このままだと消耗戦で相討ちだ」とロイエンタールが危惧してるんで、元々ミッターマイヤー本隊を十分各個撃破できると判断したんだろうなぁと、と。ミッターマイヤー量を見誤るということはないだろうから、そうすると2番手のビッテンフェルトが思ったよりく来たか、来ても大したことないと甘く見てたかのどっちかじゃないかと思ったので。
ワーレンを軽視してたのかもしれないけど、ワーレン到着しても勝てるならそもそも各個撃破しなくても勝てるってことだし)

バイエルライン切り崩した後、同じことビッテンフェルト相手にやろうとして失敗するし。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
6  
2016/07/30(土) 10:21:28 ID: X0qQ9ZQaJz
???「人を褒めるときは大きなで!」
👍
高評価
0
👎
低評価
0
7 ななしのよっしん
2017/06/08(木) 21:56:38 ID: 0jZWWn9Peh
ミッターマイヤースレで「ミッターマイヤーは一個艦隊の定数を6,000隻くらいを定数に削減したいんじゃないか」って考察したことがあるんだよね。
その仮説に沿って想像すると、この会戦時のバイエルライン艦隊などの部隊も正しくは「分艦隊」じゃなく「再編後の制式艦隊」で、「ミッターマイヤー艦隊」や「ワーレン艦隊」も慣例でそう呼称しちゃってるけど、「長官直轄第1連合艦隊」とか「第2軍集団」とかそういう正式名称があったんじゃないかな。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
8 ななしのよっしん
2019/12/11(水) 19:43:01 ID: s79wnkH9KJ
ロイエンタールミッターマイヤーも大きなミスをしていないのがすごいな
その時その時の最善の策を取っている
👍
高評価
1
👎
低評価
0
9 ななしのよっしん
2020/05/22(金) 17:21:31 ID: RJFdFjPzGt
銀河英雄伝説の会戦で
お互いの&戦が拮抗しているのって
これとバーミリオンくらいか。
👍
高評価
1
👎
低評価
0
10 ななしのよっしん
2020/07/13(月) 09:24:31 ID: QG/JbL2Gtw
バーミリオンは対称的に、お互いの実が高いレベルで拮抗した結果、よくいえばダイナミックに戦況が動く、悪くいえばグダグダな行き当たりばったりな戦いになったからなぁ
👍
高評価
1
👎
低評価
0
11 sage
2022/03/14(月) 01:37:44 ID: foalLRQ9Qp
バーミリオンの場合、互いの指揮官が敵を自分より上に置いてしまい、どこか不得手な戦いを自らにしてしまった感はあるね
会戦そのもので見たら、ヤンの柔軟性が勝ったと言うか信頼を置く参謀の差が出たと言うか
👍
高評価
1
👎
低評価
0

急上昇ワード改