筑波洋とは、特撮ドラマ『仮面ライダー(新)』の主人公にして、スカイライダーに変身する青年である。
演:村上弘明
概要
城北大学の学生で、ハングライダークラブに所属していた。
偶然からネオショッカーを脱走した志度博士に遭遇し、博士を追ってきた怪人・ガメレオジンによって瀕死の重傷を負わされてしまうが、洋を助けたい一心の志度博士に改造手術を施され、改造人間として復活。自分に備わった力を持って、憎むべき悪=ネオショッカーを倒すために戦うことを決意する。
基本的には明るく心優しい、それでいて勇敢という理想的な性格をしており、改造人間となった自分の体に苦悩することは一切なく(戸惑うことはあった)、悪と戦える力を自分に与えてくれたとして、志度博士に逆に感謝するなど前向きな性格の持ち主でもある。見ず知らずの志度博士を救うために奔走したことからもわかるとおり、元から正義感が非常に強い。子供好きの面もあり、ブランカに出入りしているシゲルを弟のように可愛がっている。
ハングライダークラブに所属していたこともあって、ハングライダーは得意。これがセイリングジャンプ時のバランス調整等を容易に行うことが出来た要因と思われる。見た目は優男ではあるが、空手の世界チャンピオンである三好良一に直接教えを受けていたこともあり、格闘能力も非常に高い。いざと言う時の判断力も高く、幾度となく危機的状況に追い込まれながらも、機転を利かせて脱出したり一発逆転の活路を開くこともあった。
初期は学生的な地味な服装であったが、パワーアップを果たしたあたりから次第に活動的なファッションになり、言動も熱血漢の側面が色濃く打ち出されるようになる(「貴様ら人間の敵だ!許さん!」など)。マンションで1人暮らしをしており、つがいのハムスターを飼っている模様。バイク搭乗時やハングライダー使用時に使うヘルメットは、後頭部に「Hiroshi」と書き込まれている。
家族は1話の時点で「3年前に両親と妹を事故でいっぺんに亡くした」と説明していたが、実は父親は高名な科学者であり、ネオショッカーへの参画を拒んだために妻ともども事故に見せかけて殺されていた。しかし終盤52話において、実際には洋の両親は生きていたことが判明する(妹の存在はなかったことにされており、さらに劇中時間でネオショッカーとの戦いが開始してから1年以上が経過しているにもかかわらず、52話の時点で「両親が死んでもう3年」というセリフがあったりと、設定のズレが見られる)。
スカイライダー
志度博士によって改造手術を受けた筑波洋が変身する改造人間本来の姿であり、新たな「仮面ライダー」である。改造人間となったことを嘆いたり苦悩することもなく、自分に備わった力を悪の秘密結社・ネオショッカーを倒すために使うことを決意するその雄姿に、かつて世界を幾度となく救った仮面の戦士の姿を見た志度博士によって命名された。
基本的には掛け声(当初は「変身!」、35話より「スカイ!変身!」)と共に特定のポーズを取ることで、変身ベルト「トルネード」が体外に装着され、ベルトの風車部から風力エネルギーを取り込んで変身を完了する。1話では変身する方法を知らなかったものの、アリコマンドとの格闘中に取ったアクションが偶然にも変身ポーズそのものになっていたため、初変身を果たすことが出来た。ただポーズを取らずとも掛け声だけで変身したり(52話、劇場版)、掛け声すら出さずに変身できたり(15話、31話など)、簡易的なポーズのみで変身する(30話)ことも可能。また風力エネルギーを必要とする割には、水中での変身もできる(6話、20話)。
能力面における最大の特徴は、腰に装着された重力低減装置を用いて、「セイリングジャンプ」と呼ばれる滑空飛行を行うことが出来る点である。飛行時の速度は時速800kmであり、飛行の際は首のマフラーが自分の身長ほどに伸び、安定翼の役目を果たす。
バッタ(イナゴ)をモチーフとした改造人間であるため、かつてのライダー1号・2号と同様に脚力に優れ、垂直跳びで30m、幅跳びで100m、走り幅跳びでは350mという能力を備え、重力低減装置を併用した場合は、単なる垂直跳びでも実に200mもの高空に到達することが可能となる。
敵との格闘においてはオーソドックスな格闘スタイルで臨むが、キック主体の戦法を挑むことが多い。敵怪人に止めを刺すときの必殺技も、スカイキックを初めとした蹴り技がほとんどであった。アリコマンドが使用している武器を奪って利用することも見られた。
28話において、先輩である7人ライダーとの特訓、そして7人からのエネルギー電流を受け取ることでパワーアップを果たし、体色がライトグリーンを主体とした明るい配色となる。さらに99種類の技と百万馬力の力を会得し、数々の技を用いて強力な怪人と相対することになる。
アブンガーの調査によれば、1日に消費するエネルギー量は10万カロリー、一度のスカイキックで消費するエネルギーは2万カロリーとのこと。
ネオショッカー大首領との最終決戦において8人ライダーのエネルギーを結集する形でセイリングジャンプを敢行、大首領の動きを封じた上で、7人ライダーと共に宇宙へ飛び、大首領と運命を共にした…と思われていたが、次作「仮面ライダースーパー1」の劇場版では7人ライダーと共に健在な姿を見せた。その後も「仮面ライダーZX」や平成のオールスター映画などに登場している。また、1982年9月放映の「オレたちひょうきん族」の人気ヒーロー「THE・タケちゃんマン」の37話にタケちゃんマンの助っ人として登場するという、珍しいゲスト登場の経験もある。
担当スーツアクターの中屋敷鉄也(現・中屋敷哲也)は、ライダーマン以外の歴代ライダーをすべて演じた経験があり、本作でもその経験を存分に生かして円熟したライダーアクションを披露した、元祖・ミスター仮面ライダーである。本人もこの時期が一番自分の思うとおりに演じられたと、後に語っている。
余談だが9話ではコブランジンの変身態として素顔で出演しており、筑波洋を演じる村上弘明と格闘(つまり「ライダー対ライダー」)を演じている。
主な必殺技
- セイリングジャンプ
重力低減装置を使用しての滑空飛行能力。最大速度は時速800kmで、他の人物を背中に乗せての飛行も可能。主に索敵や調査の場合に使用され、怪人との戦闘の際に使われることは稀であった。
2クール目に入った時点で使用されなくなるが、強化後も使えなくなったわけではなく、49話では宇宙ロケットからの脱出時に使用した旨を本人が述べており、最終話では8人ライダー合同でセイリングジャンプを実行した。
(よく「色が変わったためにバンク映像が使えなくなったから飛ばなくなった」と言われることがあるが、実際には上記の通りパワーアップ前の14話から使用されなくなっている。ただしバンク映像に関しては、その映像を作成するのに必要なecgシステムの使用料が非常に高額であったこと、また当時は機材そのものが国内になく、映像素材をアメリカに空輸する必要があったため、その辺の手間も考慮して新規のバンク映像は撮影されなかったものと思われる。) - スカイキック
スカイライダーの得意技であり必殺技。バッタ(イナゴ)をモチーフとした脚力を生かし、最大200mの高空へ跳躍後、空中前方宙返りからキックを繰り出す。足のファイティングシューズにより威力が倍化されており、数多くの怪人を葬った技であるが、16話でのネオショッカー側の分析によれば、パワーは500キロ(「キロ」以降の単位が何なのかは不明)。
一度使うとエネルギーを全放出してしまい、使用直後の0.5秒間はまったくの無防備状態になってしまうのが最大の弱点である。アブンガーにその弱点をつかれ、窮地に陥ることもあった。
なお特訓に次ぐ特訓を重ねれば、アリコマンドでもスカイキックと同等の威力のキック技を習得することが可能らしく、さらにはアブンガーも平然と「アブンガースカイキック」を使用していた。 - ライダーブレイク
愛車・スカイターボを使っての体当たり攻撃。スカイターボ前輪部に装備された高振動発生装置R=H=Vを使用することで前輪を硬質化させ、ウイリー走行の状態で障害物に突撃し破砕する。
あくまで障害物を破砕するためにのみ使用しており、敵怪人に対して使ったことは一度もなかった。派生技として、18話で送電線を切る際に使用したスカイターボジャンプ、40話で空飛ぶオカッパ法師を叩き落したスカイターボアタックがある。 - 大回転スカイキック
スカイキックを弾くほどの頑健な装甲を持つ強敵・サイダンプを打倒するため、ストロンガーとの共同特訓の末に編み出した必殺技。
空中での前方宙返りを複数回繰り返し、蹴り足に遠心力を加えて威力を増大させて放つ。サイダンプとの再戦では回転数が足りずに二度放っても通用しなかったが、さらに回転数を上げた三度目の攻撃でようやく倒すことが出来た。
27話では7人ライダーの攻撃によって満身創痍の状態となったネオショッカー戦車に最後の一撃を加える際に使用しており、この時は失敗することなく一撃で完全に破壊している。 - スカイドリル
腕の一部をドリルのように回転させて壁などを粉砕する。初使用時の22話ではかなりの激痛を伴ったようで、うめき声を上げながら使っていたが、後に27話や49話で使用した時は平然と使っている。
敵怪人に対して使用されたことは一度もない。 - 三点ドロップ
空中で敵の両手と両足とを同時に抑え込み、敵をえび反りにした状態で背中に足をかけ、敵の体を押し出すような体勢のまま落下、地面に激突させる荒業。
強化したスカイライダーの初の決め技であり、強化前はまったく歯が立たなかった強力怪人・グランバザーミーを倒した技でもある。 - 槍渡り陽炎の術
劇中で初めて明言された「スカイライダー・99の技の1つ」。自分の体重をゼロにして敵の持つ槍の上に乗り、槍を使用不能にする忍術。
「特訓に次ぐ特訓で会得した」技とされ、槍の達人である黄金ジャガーの攻撃を封じるために使用した。 - スカイフライングソーサー
空中で体を大の字に広げ、そのまま側転のように回転を繰り返し、威力を高めたキックを放つ99の技の1つ。
一度しか使用されないことの多い99の技の中では珍しく、42話のゾンビーダ戦と50話のタガメラス戦とで2回使用されている。 - スカイダブルキック
敵が放ってきたキックに自分のキックをぶつけ、その反動を利用して空中で反転、再度の蹴りを放つ技。仮面ライダーV3が得意としていた「V3反転キック」と同じような技である。
スカイターボ
スカイライダーの専用オートバイであり、筑波洋が常用しているバイクが、ライダーへの変身、または「スカイターボ!」のコールに合わせて変形する(変形プロセスは23話で披露)。
ジェット噴射機構を備えており、それを併用することにより最高速度1,200kmという歴代ライダーマシン中トップクラスのスピードを出すことが出来る。前輪部に搭載された高振動発生装置を使って前輪を硬質化させ、障害物に体当たりして破壊するライダーブレイクが必殺技。
かなりの衝撃にも耐えられるほどの頑丈さを誇り、傾斜角90度ほどの壁を走破することも可能。また直接の描写はなかったものの、水中の走行もできるらしい。スカイライダーの脳波コントロールによる自動操縦が可能。
劇中では2話より登場し、13話から走行時の効果音が若干変更された。
余談
演じた村上弘明は本作が俳優としての本格デビュー。大学生であった彼は演技の勉強はほとんどしておらず、さらにはオートバイの免許も持っていなかったため、撮影開始当初はかなりの苦労を強いられたらしい。
本作終了後は所属していた事務所の方針もあり、ライダーに関する取材等は極力控えることが多かったが、近年は事務所を移籍したこともあって、インタビューなどで当時を振り返ることも多くなっている。
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関連項目
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