筑豊電鉄(筑豊電気鉄道)とは、福岡県北部で路線を営業する鉄道事業者。
西日本鉄道(西鉄)の完全子会社である。
概要
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筑豊電鉄2000形電車 |
北九州市八幡西区の黒崎駅前駅から、直方市の筑豊直方駅までを結んでいる筑豊電気鉄道線を運営している。使用している車両は全て路面電車型のものであるが、全線が鉄道事業法の適用を受けた「鉄道」である。
元々の北九州市内の終点は熊西駅であり、ここから西鉄北九州線(軌道)に乗り入れていた。西鉄北九州線は2000年11月26日をもって全廃されたが、黒崎駅前~熊西間のみは廃線とはならず西鉄が所有を続け(第三種鉄道事業者)、筑豊電鉄が借り受ける(第二種鉄道事業者)ことで営業を継続することとなった(同時に、この区画も軌道から鉄道に切り替えられた)。
なお、同区間は一元管理による効率的な運営を図るため、2015年3月1日より筑豊電鉄に承継されている。
途中駅の筑豊中間駅までは日中でも毎時4~5本の運行本数が確保されているものの、そこから先はラッシュ時でもあまり運行本数は多くない。2016年3月12日のダイヤ改正より、朝・夕方ラッシュ時間帯以外でワンマン運転を開始することとなった。
かつては路面電車の西鉄北九州線(現在は廃止)と合わせて折尾・戸畑・小倉・門司方面への長い電車ネットワークを誇り、筑豊電鉄からも八幡や小倉まで乗り入れを行っていた。北九州の工業地帯が盛況だったときは、三交代の仕事に合わせて1日3度のラッシュアワーがあったらしい。
前述の通り、筑豊電鉄の車両は路面電車タイプだが、これがのんびりコトコト走るかと思ったらとんでもない。モーターが悲鳴をあげつつ坂道を駆け上がり、最高速度60km/hで平坦直線区間を疾走するのだからあなどれない(車両が車両だけに、60km/hでもかなりのスピード感である)。
幻の福岡延伸計画
この路線は八幡市(現:北九州市)黒崎から福岡市新堀町に至る57.4kmの高速鉄道として計画されており、1949年12月27日に地方鉄道敷設免許が申請され、翌年12月23日に認可された。そして、1956年3月21日に貞元(現:熊西)~筑豊中間間7.3kmが開通し、1959年9月18日に筑豊直方駅まで開通した。
ここから先は筑豊本線を乗り越える計画となっており、筑豊直方駅は高架駅として建設された。
ところが、1968年5月25日に篠栗線の篠栗~桂川間が開業して筑豊本線と連絡すると、福岡への延伸計画は断念されてしまう。1971年5月29日に筑豊直方~福岡間地方鉄道(未成線)の運輸営業廃止が申請され、同年7月21日に認可された。
化石路線
全国的に知名度のさほどないこの鉄道だが、吊り掛け駆動(モーターを直接車輪とつなげる、昔ながらの動力方式)以外の電車が1956年3月21日の開業から2015年3月14日までの59年間、一度も導入されたことがないという、日本有数の化石路線であった。1988年に冷房つきの3000形電車が投入されたが、中身は旧西鉄福岡市内線や旧西鉄北九州線の電車、つまり1960年代水準の電車とほとんど変わらない(むしろ走行用の機器は、それらから使いまわしている)。35パーミル近い急勾配が数箇所あることから、頑丈で整備しやすい電車を現場が好んでおり、新型動力を入れることにも消極的だったようだ。
2015年3月14日、ついに待望の新型車両である5000形電車が登場した。5000形電車はカルダン駆動方式であり、筑豊電鉄の営業用車両における吊り掛け率100%の歴史に幕が下ろされた。
2015年4月現在、筑豊電鉄に在籍している車両は2000形電車3両×5編成(かつては7編成であったが2001号、2005号が廃車解体された)、3000形電車2両×9編成、5000形電車3両×1編成の計15編成である。(吊り掛け率93%)
かつてワンマン電車はまったく運転しておらず、すべての電車には、両替用の黒い肩下げカバンを首からぶら下げた車掌が乗り込んでいた。また自動券売機を置いてあるのは黒崎だけである。しかし、2014年よりホームへのミラー設置、自動放送の導入、自動両替機付運賃箱の設置、ドア扱いを車掌から運転士に変更などワンマン運転が可能な状態が整えられ、そして2016年、ついに朝夕のラッシュ時を除きワンマン運転化されることとなった。
2018年現在は2000形、3000形のほか、超低床電車の5000形が走っている。
自治体による活性化策
2014年に北九州市、中間市、直方市の3市による支援の下で2015年3月より西鉄のIC乗車券nimocaを導入すること、2018年3月までに5000形電車を計4編成導入することが決定された。筑豊電鉄が独自に新型車両を導入するのは初のことである。最初の1編成は2015年3月14日に営業運転を開始し、同時にnimocaも利用可能となった。
これとは別に、延伸計画も検討されている。筑豊直方駅は直方市中心部から約1キロ離れた郊外に建設されており、筑豊本線直方駅との乗り換えにも徒歩15分ほどを要する。直方市は「JR駅付近までの延伸は市民の願いとして常にあった」として、2014年度の予算にJR駅付近まで延伸するルートや需要などを検討する費用1000万円を計上した。
筑豊電気鉄道線駅一覧
駅番号 | 駅名 | 乗換 | 駅周辺・備考 |
CK01 | 黒崎駅前駅 | ![]() ┗鹿児島本線(黒崎駅) |
コムシティ1Fに駅がある 西鉄黒崎バスセンター JCHO九州病院 岡田宮 黒崎井筒屋 仰星学園高等学校 |
CK02 | 西黒崎駅 | 黒崎工場併設 2021年10月1日から営業休止(4年間予定) |
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CK03 | 熊西駅 | イオンタウン黒崎 | |
CK04 | 萩原駅 | 星琳高等学校 | |
CK05 | 穴生駅 | ||
CK06 | 森下駅 | ||
CK07 | 今池駅 | 福岡県立北筑高等学校 | |
CK08 | 永犬丸駅 | 福岡県立八幡南高等学校 | |
CK09 | 三ヶ森駅 | ||
CK10 | 西山駅 | ||
CK11 | 通谷駅 | 筑豊電気鉄道本社併設 福岡県立中間高等学校 イオンなかま店 |
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CK12 | 東中間駅 | ||
CK13 | 筑豊中間駅 | 垣生公園 | |
CK14 | 希望が丘高校前駅 | 遠賀川水源地ポンプ室(明治日本の産業革命遺産) 希望が丘高等学校 |
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CK15 | 筑豊香月駅 | 吉祥寺 | |
CK16 | 楠橋駅 | 楠橋電車営業所・車両基地併設 | |
CK17 | 新木屋瀬駅 | ||
CK18 | 木屋瀬駅 | 木屋瀬宿 | |
CK19 | 遠賀野駅 | ||
CK20 | 感田駅 | イオンモール直方 JCHO福岡ゆたか中央病院 福岡県立直方高等学校 福岡県立筑豊高等学校 |
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CK21 | 筑豊直方駅 | 大和青藍高等学校 |
黒崎駅前駅〜西黒崎駅間はわが国の普通鉄道しては最も駅間が短い区間のひとつである(もうひとつは松浦鉄道西九州線の中佐世保駅〜佐世保中央駅間)。
関連動画
関連項目
関連リンク
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