この記事は重要なネタバレを多く含むので閲読の際には注意されたしッッ |
範馬勇次郎とは、地上最強の生物であり、全ての男たちの、否、全ての雄共の憧れである。
CV:乃村健次(TV第1作)/ 大塚明夫(TV第2作)/ 中嶋比呂嗣(ゲーム「バキ最強列伝」)/ 堀秀行(ゲーム「餓狼伝」シリーズ)/ 小山力也(デジタルコミック)。
地上最強の生物は何者か
アフリカの草原には百獣の王ライオンがいる。
その彼らさえ手が出せない裏の番長、カバ。
陸上最大の動物、ゾウ。
その速さはまさに神速、チーター。
世界中にいるほぼ不死の生物、クマムシ。
どんな斬撃にも耐え分裂するプラナリア。
北極の覇者、ホッキョクグマ。
リンゴを握りつぶした祖父。
彼らは確かに強い。
しかし彼らもあの男、否、あの超雄にとってはただの餌なのだッッッ
その雄の名は、範馬勇次郎
彼こそが真の地上最強の生物に他ならない。
彼の背中に「鬼の面」が現れた時、全ての対戦相手は息絶える・・・ッッッ!
おはオーガ!勇ちゃんだホ!
ふたば☆ちゃんねる虹裏では、範馬勇次郎が「おはオーガ!勇ちゃんだホ!」と言いながら登場し、
息子である刃牙から「だから流行んねえって!」と突っ込まれる台詞コラ画像が投下されて以来、
範馬勇次郎といえば語尾に「ホ!」を付けるという誤った認識が定着し始めている。
概要
身長190cm、体重120kg、年齢38歳。めふんが好物の地上最強の生物。範馬刃牙(とジャック・ハンマー)の父親にして最大の敵でもある。
悪魔に例えられる風貌で、肩ほどまでの赤髪をオールバックにし、激昂した時や戦闘時にはワラワラと逆立つ。服装も軽装で、上下黒のカンフー着にカンフーシューズである。
勇次郎を象徴するものといえば「オーガ」という渾名の由来になっている背中の鬼である。ストライダムによると若い頃から筋トレ感覚で銃火器が飛び交う戦場を駆け巡り(もちろん勇次郎は素手)、絶え間ない殺戮の日々を過ごしていくにつれ、背中の打撃用筋肉(ヒッティングマッスル)が異常発達していき、やがて鬼の顔に見える変貌を遂げたという。人類史上においては勇次郎以外にもこの境地に達した者がおり、刃牙も浮かび上がらせることができる他、古代ピラミッドの壁画にも背中に鬼を生かせた悪魔のような人間が描かれているという。しかし勇次郎はさらに上の段階があり、本気の力を振り絞って構えることでまるで鬼が哭いているように歪む。この状態から繰り出される打撃は人知を超え、悪魔の域に達する。
ちなみに、当初は背中に大きな龍の入れ墨があり、戦うと背中の龍が暴れているように見えるという設定だったらしい。
その圧倒的戦闘能力は超大国の国家軍事力にも匹敵するとされ、アメリカが勇次郎個人に対して友好条約を結んでいる。勇次郎の行動はアメリカの軍事人工衛星によってビスケット・オリバ、純・ゲバルと共にアメリカの脅威となる三名として365日24時間監視されており、車等の移動以外で戦ったり走るなどして時速4km以上の速さで動くと衛星の緊急作動によって地球上の全てのカーナビに送られてくる情報が70mずれる。
「今から首相をブチ殺しに行くぜ」と総理大臣官邸に電話で予告し、それに応じて緊急配備された機動隊やSPを素手で突破し総理大臣室に悠々と上がり込んでいる。結局首相はブチ殺さなかったが、地上最強の生物を拘束できる権力・武力は存在しないため、一切無責問である。そもそも一人の暴力で国家が揺らぐ事実など公に出来るはずがないので当然の話ではあるが。
地上最強と呼ばれているものの、ストライダムによれば宇宙が光速で限りなく膨張し続けてるが如く、毎秒成長期でその力はいまだ限界に達していないという。当初は世界中の格闘家から「誰もがオーガに技をかけるのを夢見る」と称されるほど格闘家の最大の目標であったが、物語が進むにつれ勇次郎があまりにも強くなりすぎたため誰も名乗りを上げるものはいなくなってしまった(花山薫が範馬勇次郎と戦いたいと徳川光成に申し出たときの「懐かしい。そんな勇ましい言葉久しく耳にしとらんでの」の言葉からも伺える)。
さらにストライダムによれば勇次郎のその強さの根源は、勇次郎が持つ圧倒的なエゴイズムにあるという。自分以上の強者を断じて認めない、自分が地上最強の生物であることに微塵の疑いも持ってない自己中心的思想の持ち主であり、その意志の強さは過去の偉大な指導者や英雄、宗教の教祖まで、歴史を動かしてきた人物に匹敵すると語っている。
栗谷川曰く、水より酸素よりSEXより戦いを優先させるという。戦いに関してはひたすら純粋であり刃牙や天内悠のように戦いに友情や愛などの感情を持ち込むことを
と散々にディスっており、戦いの最中に相手に負けを認めるよう懇願した天内悠に至っては(勇次郎自身で「俺のお墨付きだ」と出場するよう推薦したにも関わらず)肩から腹筋のあたりまでめり込む手刀をお見舞いし髪の毛を掴んで頭皮ごと剥がれる勢いで投げ飛ばすなどしてボコボコに痛めつけた。たぶん死んだ。
一方で本気を出させた愚地独歩に感謝したり、後述のベストバウトにも挙げられる互角の戦いを繰り広げた郭海皇に対して友情を感じるなど、例外はあるようだ。
ファイトスタイル
小細工などは一切せず、超人的な身体能力と泉のように湧き出る闘争心をもって戦い、武器はおろか技すら使わない(後述だが現代格闘技や古代中国拳法に関しても博識であり、決して使えないわけではない。ピクルとの力比べの際にはピクルの圧倒的な筋力に対して咄嗟に合気を繰り出している)。鬼の顔を哭かせてブン殴るなど勇次郎の攻撃は単純明快だがすべて一撃必殺の圧倒的破壊力を持つ。
ストライダムも人間を対象にした技術にすぎない格闘技では倒すことはまず不可能だとし、当の本人もそれらの技術や理論は弱者の小細工として退け、自分以外の全員で共有すればいいと語った。破壊力だけでなく格闘センス自体が天性のものであり、郭海皇が一生をかけて身に着けた消力(シャオリー)を目の前で一度披露されただけで完璧に再現してみせた。下手な絵で有名なピカソが実はその気になれば非常に写実な絵を描けるように、勇次郎も全ての格闘技をマスターしているのだろうか。
人物
勇次郎が刃牙を行きつけのホテルに招いての食事の際、ホテルのマネージャーが刃牙に語ったところによると、健啖家で何でも食べるが、牛や鶏といった家畜の肉より鹿や猪の様な野性的な肉を好むという。テーブルマナーにも精通していて、刃牙の作った夕食を食べるときにいただきますの会釈をする、刃牙が感動するほど美しく箸を持つ、綺麗に残さず食べる、魚の食べ方も非常に綺麗など、その生き方からは想像もできないほど礼儀が良い。力無き者の希望となる偉人を尊敬する面もあり、決してただの傍若無人の戦闘中毒者では無い。また、酒も非常に強くアルコール度数70%のスコッチをストレートのままジョッキで一気飲みしても酔わない(常人なら死ぬ恐れもある)。
東京のど真ん中で繰り広げた刃牙との対決によって世界中に地上最強の生物として顔が知られてしまい、子供にサインを求められるようになって以来、出歩く時はサングラスを着用している。ちなみにサインは書いた。書いたというか邪魔だと言いつつ指で色紙を十字に切ってみせた(子供も大喜びしていて、見ていた花山曰くあれはサインより嬉しい)。
格闘技に関しては何でも知っていて現代格闘技から古代中国拳法に至るまで、知らないことはない。柳龍光の毒手に関する中国史を事細かく解説したり、解説役が不在の時は解説にまわることもある。
また、限りない人間を殺傷し尽くしてきたその尋常ではない戦闘経験から、人間を一目見ただけで、例えば老人なら関節や腰、果ては虫歯や病気にいたるまで、本人が気づいていない微細な癌細胞ですら弱点、すなわち急所として全て分かってしまうというもう超能力のような力を持っている。徳川光成を面会した際には、本人すら自覚がなかった癌に徳川が侵されていることを瞬時に分析。「ちゃんと健康診断受けてんのかなと思ってな」と他人を気遣う衝撃の優しさが飛び出した。それに対し「オーガが他人を気遣うなど自分が何を言ったかワカっとるのか!」と激昂した徳川が吐血してブッ倒れた時にも側近に「医者を呼んでやれ」と言ってあげるなどやっぱり優しい。
生い立ち
195X年4月早朝、ただ1人でアメリカに勝利した男、範馬勇一郎の息子としてこの世に生を受ける。この瞬間世界の国家指導者は一斉に、どこかの国にとんでもない兵器が生まれたということを直感で察知し、核兵器の保有を決意した。
出生時、自らを取り上げる産婆に対して威圧(てかテレパシー)を送って腰を抜かせた
俺を取り上げろッ
同じくテレパシーのような威圧で授乳を強要されるという母親として計り知れない屈辱を受けた母親は出産後、出家して仏門に帰依していて、「最初で最後の子でした」と述べている。
若い頃はのちに幼年期の刃牙も修行することになる飛騨の山小屋で安藤と丸太切りの競い合いをしていたり、耐久力を鍛えるため自らを谷底に投げ込んだ絶壁が飛騨にあることから、一時期は飛騨の地で暮らしていたとされる。
その後は傭兵として銃火器の飛び交う各国の戦場に素手で参加し、ベトナム戦争ではゲリラ兵として戦う姿が作中で描かれている。
16歳の頃、戦場で出会った傭兵ジェーンをレイプし、ジャックハンマーを産ませた(その後ジャックとは最大トーナメント編で再会するものの、刃牙に教えられるまでジャックが実子だと気づいていなかった)。
19歳の時、大企業である朱沢コンツェルンの御曹司、朱沢鋭一・江珠夫妻のハネムーン中に突如乱入。鋭一を殺害して江珠を寝取り、江珠との間に刃牙をもうける。
刃牙を最強の戦士として育てるべく、幼少期から過酷なトレーニングを課す(崖から突き落とすetc)。その後は刃牙を江珠に預けて各国の戦場を放浪していたが刃牙が13歳になったころ、江珠が刃牙に科学的なトレーニングを課せていたことにブチ切れ、自分のやり方で刃牙を育てるため、刃牙vs花山薫の決着後に乱入。互角の戦いを繰り広げて既に満身創痍の両者を徹底的に痛めつけ、花山には以来ピンチになると走馬灯の様によぎる程のトラウマを植え付けた。
後日、花山や幾多のファイターと修行を重ねた刃牙と再戦するが圧倒的な力でこれを退ける。刃牙が満身創痍となったところで母親としての本能を取り戻した江珠が勇次郎の前に立ち塞がるがベアハグで江珠を殺害。以後多少のつかみ合いなどはあるものの、キチンとした刃牙との戦いはこれと最終章の2回だけである。
地下闘技場編~最大トーナメント編
地下闘技場編では刃牙vsマウント斗羽を大人しく観戦。この時は一人称が「私」などとても物静かだった。後に愚地独歩と対決し、序盤は大好きな刃牙の前で思わぬ苦戦をして滅多に見られない冷や汗タラタラ状態になるものの途中から圧倒。独歩の右目を潰し、背中の鬼を哭かせた本気の打撃で独歩の心臓を停止させて勝利する(後に独歩は鎬紅葉により蘇生)。刃牙に背中の鬼を初めて見せたのもこの時である。
最大トーナメント編では大会を観戦するべく、ハワイから戦闘機を使って来日。参加者のジャガッタ・ジャーマンを粉砕。代わりに天内悠を推薦するが、独歩vs天内悠の試合において戦いに慈愛を持ち込み、果ては対戦相手である独歩に負けを認めるよう懇願する天内に前述の通り凄惨の限りの暴行をし、そのまま大会参加者を次々に粉砕する大暴走を始める。最後は大型動物用の麻酔銃によって昏睡する。この場面は今だ語り継がれる(ネタ的に)伝説のシーンである。たぶん今やっても効かない。目が覚めた後は閉じ込められていた鋼鉄製の扉を簡単にブチ破り、これから刃牙との対戦に臨む烈海王に範馬の血に対する警告を行うものの、大人しく観戦する。
刃牙vsジャック・ハンマーの決勝直前に、決勝後に立ち会う約束をジャックから受ける。決勝後、満身創痍のジャックとジャックの得意技である噛みつきで対決し、これを一蹴。ジャックに「狙いは頸動脈のみに絞れ。着衣の上から噛む時は服の生地に注意しろ、前歯を持っていかれることもある」とアドバイス(実子であるジャックへの教育は後にも先にもこれだけである)。さらに「日に二度敗れるバカがいるか」と一喝する。ちなみに勇次郎の優勝予想はジャックだった。
最凶死刑囚編
刃牙の力を引き出させるため、死刑囚であるシコルスキーに刃牙の彼女・松本梢江を誘拐するよう助言する。シコルスキー曰く「子煩悩」。その後刃牙と梢江のデートをストーキングし、花山に「武を取るか女を取るか」と諭されたことによって決心した刃牙が今まさに梢江と結ばれるという瞬間に部屋に乱入。
禁欲の果てにたどり着く境地などたかが知れたもの――強くなりたくば喰らえ
というとても父親らしい素敵なアドバイスをして消える(ちなみに刃牙と梢江はこの後ティッシュ数箱を使い切る濃厚な夜を過ごした)。
その後、刃牙を毒手で危篤にさせた死刑囚・柳龍光と渋川剛気の対決の地に向かう。しかし渋川到着前に乱入した本部以蔵に毒手を切り落とされた柳がいっこうに負けを認めないことにブチ切れ、裏拳で一撃で柳を葬る。全部アンタが倒してくれりゃいいじゃん…。
中国大擂台賽編
郭海皇から100年に一度、中国武術最高位の称号"海皇"を決める大会である大擂台賽(だいらいたいさい)への招待を受け、中国に飛ぶ。1回戦の相手、烈海王の師匠である劉海王との対決では顔面の皮膚を丸剥がしにするなどして圧勝。次々に海王たちが倒されていく状況を見かねた郭海皇により中国vs日米連合軍の5vs5に変更され、
こうまで魂胆が見え透いてるとよォ
気の毒すぎてとてもツッコめねェよ
との名言を発して爆笑し、これを受ける。勇次郎曰く「生まれて初めてのチームプレイ」だが、刃牙、ビスケット・オリバ、マホメド・アライJr、寂海王を束ねて円陣を組んだり、戦いに臨むオリバに激励として背中を叩いたり、オリバが凱旋した時にはシャレとして顔に優しくパンチする、刃牙が秒殺で勝利してきた時は刃牙とハイタッチをするなど、結構上手くやっている。
大将戦では究極の暴力vs究極の武として郭海皇と対決。序盤は郭海皇の壁を破壊する威力の攻めの消力に僅かに劣勢であったが「調子こかせてもらうぜ」と背中の鬼を出した後は圧倒。鬼を哭かせ、郭海皇の鼓膜を破壊。まさにトドメが刺されようとした瞬間、郭海皇が絶命。診断結果は老衰。これまでにない極上のごちそうが目の前で賞味期限切れした勇次郎は拳をわななかせるのであった。これが勇次郎の唯一勝てなかった試合である。しかしこれは郭海皇の擬態死であり、実は死んでいなかった。その知らせを聞いた勇次郎は激昂すると思いきや「さすがは海皇ということだ」と納得。郭海皇も勇次郎を範馬海皇と呼び、海皇の称号を与えるが勇次郎は気持ちだけ受け取るとこれを拒否。100年後の再戦を約束した2人の間には奇妙は友情のようなものが芽生えていた。
ピクル編
"ウェルカムピクル……ようこそ未来へ"
地中深くの岩塩から白亜紀を生き抜いた原始人復活との報道を受け、我慢出来るはずもなくピクルの収容施設に図らずも集ってしまった烈海王、愚地独歩らを初めとする8人の戦士達の前に現れ、まるで烏合の衆と一瞥。この時点ではまだまだ未熟だった愚地克己に対して「何一つプランも立たぬまま、やればなんとかなるだろうと。敗北を予感しながらも父親を前にしてうっかり虚勢を張ってしまう。だから俺にも父親にも刃牙にも相手にされんのだ」と克己の考えをすべて見透かし、大勢の前で余りにも散々な言い様。いくら相手が地上最強といえどここまでコケにされては黙っていられるはずもなく、克己が上段回し蹴りを繰り出すが涼しい顔で靴紐を奪い、隅っこであやとりでもしてな、と言いつけもう本当にかわいそう。
そのまま強化ガラスの中にいるピクル目がけて前進し全身で強化ガラスを押し割って侵入。この時の変顔はアメトークの刃牙芸人の回で取り上げられるほどの名場面。オジャマ…。
そのままピクルに対し、力比べを慣行。勇次郎の力が歴戦のライバルであったティラノサウルスと重なって見えたピクルが本気を出し、勇次郎に合気を使わせるに追い込む。
野郎……ッッ俺を技術に追い込みやがった……ッッッ
ピクルが合気で吹っ飛び、起き上がったところで米軍の仲裁が入る。米軍に烈海王ら8名の目的が窃盗や破壊で無いことは百も承知だろうと述べ、不法侵入を無責問にすることを条件に、ピクルから手を引き帰宅。
その後覚醒した克己がピクルと戦い、勝利には至らなかったものの大健闘した際には独歩に飲みに誘われ、「だから相手にもされんのだ――」の一言がなければ克己は今のあのままだったと感謝される。勇次郎も出来損ないのボンボンとしては上等の出来だろうと褒め称える。よかったね克己。ピクル復活について独歩と「こんなことが起こるなんて偶然じゃない。思い上がっていい。神様か誰かが気づいちまった。地球史上最強を決めるのは今しかない」と語り合う。友達いたんだ。
ジャック・ハンマーがピクルに敗北した後、徳川光成の所も訪れ、ジャックの血に流れる範馬の血は薄いと述べた(徳川曰く、勝てぬなら血が薄いとは呆れ返る自負心じゃ)。徳川に「おぬしはやらんのか?」と問われると「刃牙とピクルは戦う運命。立っていた一人を俺が喰らうまで」と答える。結局ピクルとの対決は収容施設での力比べだけで、直接対決は実現しなかった。このためピクルと勇次郎どちらが強いかというのはハッキリせずファンの間しばしば議論が白熱している。
地上最強の親子喧嘩編
物語序盤からアフリカの軍隊を壊滅させてしまう化け物のような象を抹殺したり、時速20kmの流れるプールで1時間以上バタフライで泳ぐなど大活躍。刃牙がシャドーボクシングでカマキリと戦い勝利したという報告をストライダムから受けると、エフッエフッエフッと座っていたソファが木っ端微塵になる程の大爆笑を披露し、想像上のカマキリなど現実の子犬にも劣る代物、と(俺はこんぐらいやってんだぜそろそろ戦おうぜ!という)刃牙の挑発を一蹴。
アメリカ大統領ボッシュの運転する車に乗車中、カーナビの狂いからオリバとゲバルの開戦を察知。「俺だけ仲間外れかよ」と参戦し損ねたことを悔やんでいた。ゲバルとの直接対決はなかったもののゲバルの育てた部下に対し、良き教育を受けた証だと褒め称え、おめえの師匠を喰ってみてえと述べたり、ゲバルへの興味は津々のようだ。
ストライダムとの食事の際、「刃牙が親子らしくゆっくり二人で食事をしたい、勇次郎に飯を炊かせたいと言っている」と聞かされると「俺が…飯を炊く…」と髪の毛を逆立て、持っているナイフとフォークが体温でクニャクニャになるほど激昂。しかし退席した後は「飯炊きかァ…」と感慨深い様子でつぶやいていた。ストライダムと再び面会した際には「戦場生活は長ぇ、料理くらいは―」と語り、料理経験はあるようだ。
その後、勇次郎と友好条約を結んでいるアメリカ大統領バラク・オズマが極秘来日し、内閣総理大臣・波斗山征夫や警視総監、防衛大臣ら計6人による範馬勇次郎についての情報交換、地上最強の親子喧嘩が開戦間近であり、民間人の避難についてなどの極秘会議が行われる。その際、友好条約の儀式を行った時にオズマが勇次郎は自らの憧れであったと頼み込み、勇次郎に石炭を握って石炭の粉にして貰った物を一同に見せ、私がオーガへリクエストし、私がやらせたのだと調子に乗って自慢しているところに乱入。「この男は忍び込まない―自らを取り巻く最高峰の警備は壊滅した」と実感した6名の前に歩み寄ってオズマを震え上がらせ「条約を結ぶ際に交わした宣誓を今一度繰り返せ」と日本のトップたちの前で屈辱的に宣誓させる。宣誓中の「氏における一切の生活を侵害することなく」の一文に触れ「俺の生活に一切関わらぬ野郎が、どの面さげて我が家の親子喧嘩に首を突っ込む――貴様ら俺ン家に喧嘩売ってんのかッッ」となんだか父親らしく激怒。オズマは咄嗟に「家庭問題、親子喧嘩、その表現へりくだるにも程がある。君たち親子の衝突は戦争に匹敵する――そうである以上我々は人々を人種の隔たり無く守らなければならない!!」と反論。建前から外れ、初めて真実を口にしたオズマに対して笑みを浮かべ「視界には入るな、厳守しろ」とこれを容認する。
刃牙がゴキブリダッシュを習得した頃、夜の隅田川を歩いていた勇次郎に10億ボルトの落雷が直撃する。もちろん無事。当時隅田川では花火大会が開かれていて見物客でごった返していたが、勇次郎に落ちたおかげで全員無事。これをニュースとして取り上げた東大の教授が説明しきれず混乱してしまう、アナウンサーも頭蓋骨がまるで怒っているかのようと述べるなど、一部で都市伝説として語られていた地上最強の生物、範馬勇次郎の存在が世間に徐々に認知されていく。
これをテレビで見ていた徳川光成曰く「飛行機に落雷があっても尖った放電装置が取り付けられているから雷はそこから逃げる。それと同じく尖ったものを雷が探した結果、勇次郎に落ちた」だそう。尖がり過ぎだっつーの、勇次郎ォォォォ!!
その後は堅苦しくも刃牙と親子として接する。まずティータイムとして家でコーヒーを淹れていた刃牙のもとを訪れる。刃牙の家に行くのはこれが初めて。刃牙の淹れたコーヒーを二口で飲み干し「キサマの望む親子関係とは、こういうことか」述べる。刃牙に「俺が親父と戦うとしたら決まった日時までにトップコンディションを作るような試合じゃない、親子として共に生きていく中でほんの些細なことがきっかけで喧嘩になり――」という刃牙の考えに納得し、早速「この俺に不味いコーヒーを飲ませるとはどういうことだ」と取ってつけたような喧嘩を吹っ掛ける。これに対し刃牙は土下座、勇次郎は拍子抜けする(ちなみに二口で飲み干してるので実は美味かった)。勇次郎曰く「家庭の和み――さしたる興味もなく、理解も出来ぬ」。
愚地独歩と再び飲んだ際に「恋をしている」と発言して独歩を死ぬほど動揺させた。その恋の相手は息子・刃牙であり、刃牙に手も足も出ない夢をよく見るなど、刃牙の成長がこの上なく楽しみで「いつも心の片隅に刃牙がいる」と述べ、親子喧嘩を前にウッキウキの様子で独歩もとても羨ましがっていた。
その後は刃牙の要望に応え、刃牙の家に再び訪れ、刃牙の作った夕食を二人で食べる(この時日本の自衛隊は範馬親子接触の報を受け大騒ぎだった)。前述の通り非常に礼儀正しい面を刃牙に見せ
漫然と物を口に運ぶな
何を前にし、何を食べているのかを意識しろ
それが命食うものに課せられた責任
義務と知れ
や、刃牙が添加物の多いパックのメカブを体に良いからよく食べていると言うと
防腐剤…着色料…保存料…様々な化学物質
体によかろうハズもない
しかし、だからとて健康にいいものだけを採る
これも健全とは言い難い
毒も喰らう
栄養も喰らう
両方を共に美味いと感じ
血肉に変える度量こそが食には肝要だ
など凄まじくマトモなことを言って「強くなれ」以外の教育を刃牙に初めて行い、刃牙を泣きそうにさせた。刃牙曰く「なんてステキな裏切りの数々」。
その翌日、刃牙を自らの行きつけのである高級ホテルでのディナーに招待する。ホテルでの食事にも関わらずTシャツにジーンズの格好で来た刃牙を叱るが「ちゃんと教えられたことなかったし」と論破される。
一触即発となるがなんとか怒りを堪え、刃牙との初めての外食が始まった。刃牙に食器の使い方を教えたりするなど、ここでもステキな裏切りを連発し刃牙を尊敬させ、食事を終える。食後のコーヒーを飲んでいる時、刃牙になぜ母親である江珠を殺したのかと禁断の質問をされ、刃牙に胸倉を掴まれて首を絞められるなどの挑発についに堪忍袋の緒が切れ、刃牙の顔面を掴み、強化ガラスをブチ割って超高層ホテルから飛び降りた。かくして地上最強の親子喧嘩の火蓋は切って落とされた。
地上最強の親子喧嘩(大量のネタバレを含むので注意)
序盤は躾としてビンタやつねり、鞭打(全身を脱力させ手足を鞭のように撓らせて攻撃する技)で攻撃していたが同レベルの反撃しかしない刃牙にしびれを切らせ
もういい加減によォ
と、逆立つ髪を萎らせて刃牙が見たことのない表情で本気を出すよう懇願する。刃牙もそれに応え、全身の筋肉を気体レベルのイメージで弛緩させて時速270kmで突進するゴキブリダッシュを繰り出す。勇次郎はこれを受け止めジャーマンスープレックスで刃牙を壁を突き破って外に放り出す。
が、ここで都市伝説として語り継がれていた範馬親子が実在し、今まさに戦っているという情報をテレビやインターネットで得た野次馬が範馬親子を一目見ようと夥しいほど集まっていた。これには思わず勇次郎も顔色を変えて目を見開く。
マイッたなこりゃ……
観客の前で戦うのはもちろん初めてではないものの、緻密な頭脳を持つ勇次郎をして激しく動揺していた。同じく刃牙も驚いていたが、地下闘技場など観客の前で戦うのは慣れているので人の多さにこそ圧倒されたものの「しょうがねェッかァ」とすぐに受け入れた。勇次郎は「帰るぞ」と提案するものの刃牙は挑発まがいの言葉でこれを拒否、ゴキブリダッシュによる加速で3連撃を叩き込み勇次郎に久しぶりの出血をさせる。再びゴキブリダッシュを繰り出すものの、同じ手を使ったことにキレた勇次郎は刃牙の顔面を思いっきりビンタ。目も鼻も一度に打たれた刃牙は大量の涙を流す。
その後も刃牙の攻撃を完璧に止めるが、刃牙の編み出した象形拳(動物の姿を模した中国拳法)のトリケラトプス拳に「この親孝行者めが」と歓喜する(ちなみにこれはピクルも見ていてピクルも大層喜んだ)。格闘経験ゼロの観客たちですらが鮮明に見えるほどの完成度であった。これを受けた勇次郎は、ここに象形拳を完成させると宣言し、上着を破り捨てて背中の鬼を出し、"強き者"から取り入れる象形拳の完成形「範馬勇次郎拳」をやって見せた。勇次郎曰く「これより強えのは知らんもので…」。刃牙も「間違っちゃいねェよッッ」と納得の様子。
範馬勇次郎拳を完璧と絶賛しながらも「型に必要なのは見た目じゃない。知らなきゃ教えなきゃね」と刃牙に間合いを詰められ、人が行動を起こすときに脳から発せられる信号が実際に体に命令を下すまでに0.5秒のタイムラグが生じる"脳の起こり"を読まれて打撃を撃ち込まれ、稀なるダウンを喫する。これを見ていた独歩にして「18歳の若さでもうそこにいるのか」と言わしめ、勇次郎も「貴様がこの引き出しを持っていたとはな」と歓喜。
"脳の起こり"を手にした刃牙に対し「息子の手柄を褒めるのは当然だろう。撫でてやる」と言い、刃牙を泣かす。"父親から褒められる"という当たり前が18年も抜け落ちたまま過ごした刃牙にとってその言葉はあまりにも不慣れだった。見ていた独歩、徳川が思わず目を伏せてしまうほどの哀れな状況。刃牙も撫でられたい気持ちと葛藤するのもも、かけがえのない勝負の時だから、とこれを拒否。撫でることを望む勇次郎と、撫でられることを拒否する刃牙。この状況に勇次郎は「強さとは何か教えるいい機会だ」と刃牙を無理矢理捕らえ、無理矢理刃牙を撫でた。刃牙は堪えきれずに号泣してしまい、独歩も「底の底からサディストめ…」と呟く。泣きながら離せと暴れ狂う刃牙に向かい、
殺傷するも自由条件に左右されぬ力
自らの意思を望む通りに実現させる力
それが
"強さ"の最少単位!!
「耐えることもまた強さの1つ」
「己に勝つ力、これもまた強さの1つ」
見失うな!!
それら戯言一切耳を貸す必要なし!!
言わばそれは弱者の言い訳!
強さそれ自体は善でもない悪でもない
強き者は耐えぬッッ
そもそも耐える必要がない
"己に勝つ"その必要すらない
排除すべき不純物!!!
と"強さ"について教え、本気の打撃を刃牙に叩き込む。
が、ここでピクルが乱入。ピクルと勇次郎が戦い始めそうになるが刃牙が飛び起き、ピクルをブン殴り自慢の牙をへし折る。いきなり攻撃を受けたピクルがブチ切れるが刃牙はもっとブチ切れており「すっこんでろ!!!」とピクルに怒鳴る。ピクルは言葉は分からずとも叱られたと分かり自然界の掟、割り込みはルール違反と理解し、大人しく観戦するにとどまる。
その後勇次郎も刃牙の"脳の起こり"読んでダウンさせ、両手をポケットに入れた状態での"脳の起こり"の読み合い勝負となり緊張状態が極限まで高まるが、勇次郎が飽きる。勇次郎が打撃を繰り出したが刃牙はこれを受け流し、勇次郎への今宵最大の贈り物である"虎王(こおう)"を繰り出し、勇次郎を完全にダウンさせて寝技を完璧に決め、勇次郎の動きを封じる。近くのビルから見ていたビスケット・オリバも震えが止まらなかった。勇次郎は寝たままの態勢からアスファルトの地面をブチ抜いて刃牙にパンチを浴びせるという離れ業でこれを打開。「オマエの裡に眠る範馬の遺伝子を叩き起こす覚悟をした」と宣言し、ついに背中の鬼を哭かせ「生きろ…」とだけ言葉を残し、数多の戦士を屠ったその全身全霊の打撃を刃牙に叩き込む。刃牙を標的に打撃を打ち込み、刃牙の背にあった大型ワゴン車もろとも破壊し、刃牙が「勝てるわけがない」と悟り、負けを認めようとしたその時、尋常ではない肩幅のムッキムキの亡霊が突如現れる。
その亡霊こそ刃牙の祖父にして勇次郎の父親、範馬勇一郎であった。強者を前にすると戦いを挑むピクルが勇一郎を見るなり命乞いのようなポーズを取って酷く怯えていた。「刃牙ちゃんや…勝てるぜ…お前」との言葉を残して消える。久しぶりに父親を見た勇次郎は「あんな父親だが渋々誇りたくなる技がある」と勇一郎がアメリカに勝った技"ドレス"を刃牙を使って披露。人間をヌンチャクのように掴み、振り回し、その残像が半透明の服のように見えるということから名付けられた"ドレス"は作中で"密室のハンマー投げ"と例えられ、勇次郎の半径100mのピクル、独歩、徳川以外の観客が逃げ出すほどのエネルギーだった。勇次郎の腕力で振り回されている刃牙もただ事でなはく、遠心力によって体中の血液が頭部に集中し、目、鼻、耳、口という穴という穴から血が噴き出した。刃牙の意識が朦朧とする中「"範馬"を名乗るなら、護り切れ」と刃牙をハンマーのように使い、大型ワゴン車を破壊し始めた。しかし刃牙はこの状況の中で回復していた。回復どころか大型ワゴン車にぶつけられる度にネジやチューブなどのパーツを取り、小さな人形を作っていた。勇次郎は「エラく出来が悪い」と言いつつもしっかり受け取った。
「俺はもう勝利を受け取っている」とフラグ宣言をした刃牙の怒涛の猛反撃が始まる。今までとは違い、その一撃一撃は確実に勇次郎にヒットし、確実にダメージを与えている。ついに出会えた史上最高の敵である刃牙の反撃の中、勇次郎はいつかの最凶死刑囚たちを思い起こし、彼らの合言葉であった"敗北を知りたい"に「痛いほどわかる」と同意し、
強さも度を超すとよ
夢を奪い去っちまうんだ
この強過ぎる腕っぷしが
全てに手が届いちまう
"栄光"の場所まで歩いて行き
"栄光"を手にする
挫折などしようもない
と、地上最強として生まれ、"手こずることに手こずってきた"自らの人生の憂鬱を実感する。刃牙も「努力しても努力しても努力以上が手に入っちまう」と語った。刃牙の顔つきも変わり、刃牙に流れる範馬の血が覚醒したところに、刃牙の彼女・梢江が乱入する。何人乱入すんだよ。
梢江は「一つ叩いてはペチャクチャ、二つ蹴ってはイチャイチャ、見てらんないよまどろっこしくてッッ」と述べたが刃牙は「強くなりすぎた俺が本気を出して戦っていい、そんなワガママが許される唯一の存在なんだ」と述べ、戦いが再開する。勇次郎も「刃牙は強くなった、礼を言う」と梢江に頭を下げた。
様々な技の応酬の果て、真っ向からのノーガードの殴り合いとなる(ここでこれまでの戦いをテレビで見ていたジャック・ハンマーが「親父…俺ダッテ、出来ルンダ!」と絶叫。刃牙とばっかり楽しそうにしてかわいそうにね)。刃牙の猛攻を受けきり、勇次郎はかつて江珠を殺害したベアハグで刃牙を締めあげ、ついに刃牙が倒れる。満身創痍で起き上がることもままならない刃牙に「いいだろ、もう」と残し、背を向けて立ち去ろうとしたが、刃牙の闘志が攻撃を仕掛ける。勇次郎も向き直り、観客が感動して匂いを感じる者が出るほどの完璧なパントマイムで豆腐のお味噌汁を作り刃牙とエア夜食を始める。
食べた刃牙は「少ししょっぱい」と述べ、勇次郎が「味噌汁の味すら分からんか」と少し動揺する。それに対し刃牙は勇次郎にも食べてみるよう勧めるが勇次郎はこれを拒否。見かねた刃牙がちゃぶ台返しをし、エア夜食は消滅。「俺に救われたな親父」と語りかける刃牙に対し「確かにあの味噌汁はしょっぱかった」と嘘をついていたことを認め、強さの最小単位である"ワガママを通す力"すなわち"勇次郎に味噌汁を作らせる"というワガママを通した刃牙に「地上最強を名乗れ」と告げ、自らの敗北を認めた。しかし鼓膜を破壊されている刃牙はそれを知らぬまま"見下ろしている者こそが勝者"という幼少期の勇次郎の教えを振り返り、刃牙も自らの敗北を認めた。最強を手放した父親、勝利を手放した息子、己にとっての最大を差し出した地上最強の親子喧嘩はここに終了した(ちなみに最高峰の戦いを見届けたことによって徳川の癌は完治した)。
勇次郎が地上最強を名乗れと告げた直後に刃牙が敗北を認めているので、結局地上最強は勇次郎に戻った。たぶん。
宮本武蔵編
地上最強の親子喧嘩を見て以来、どんな危機的状況でも退屈であくびが止まらなくなってしまった花山薫から挑戦を受ける。少年の頃の花山にトラウマを植え付けた時は花山が既にボロボロだったうえ一方的に暴行したも同然だったため、正真正銘の花山との対決はこれが初めてである。キサマから来いと花山に言い放ち、これに応えた花山の本気のパンチを顔面で受け止める。なおも花山の猛攻は続くが、あのトラウマ、勇次郎曰く細胞が怖気ているためにまったく攻撃が当たらない。勇次郎の挑発に対し花山はこの日一番の踏み込みで正面からのパンチを繰り出すがパンチが届く前に勇次郎の居合により顔面を叩き抜かれ、そのままコンビニにアクセルとブレーキを踏み間違えた車の如く突っ込んだ。花山は敗北したが倒れたまま満足げな表情で笑っていた。
宮本武蔵が現代に蘇ったとの知らせを受け、本部以蔵に「奴(武蔵)の事はおめえがイチバン分かってる」と言い、本部と面会する。武蔵との対決を武者震いして切望するが、本部に「君らの身は俺が護る」と言われ、作中史上最大級にブチ切れる。本部を抹殺しようとするが煙幕による逃亡を許す。ちゅどッ
生まれて初めてかけられた「護る」という言葉に様々な思いが交錯しながらも、我を取り戻して武蔵のもとへ赴く(逃亡した本部は死ぬほど震えていた)。
武蔵と面会し、武蔵に俺が何に見えると問われると「宮本武蔵の実物を前にして他の何が見える」と言い返すが、俺はおぬしが黄金の山に見えるという武蔵の言葉に「戦いが目的ではなく手段(=好きなものを手に入れることが出来る金銀財宝に見えるの)か…純度が低い」と酷く落胆(戦国時代の人間なので当然と言えば当然なのだが)。しかしこのまま引くわけもなく、戦うために強くなる勇次郎(=戦いが目的)と、強くなるために戦う武蔵(=戦いは手段)の対決が始まった。
二刀流の武蔵に対し、勇次郎も鬼を出して応戦するが、本気の二刀流に思わず、身を躱すのはいつ以来かと攻撃を避ける。脱力による素早い踏み込みで間合いを一方に奪った武蔵の刀が勇次郎の首に食い込むが手首をつかんで阻止。直後に勇次郎の金的攻撃が炸裂し、失神しても離さなかった刀を離して悶え苦しむ。それでも何とか起き上がり、武蔵は勇次郎こそ現世の頂点と理解し、晩年編み出した無刀拳により素手対決となる。あれ?本部いらなくね?
武蔵の手刀が繰り出されたその時、突如本部が割って入り勇次郎に代わって手刀を受け気絶。「この馬鹿ァ!!!」と思わず観戦していた徳川が静止に飛び出すほど激昂。武蔵も静止にかかり、本部のせいで結果"勝負なし"となってしまう。この後は武蔵と共に町を歩き、一緒にバーで酒を飲むなどしていて、友達が一人増えた様子。
腕力家
範馬勇次郎はこの世でたった一人の"腕力家"である。アメリカと対等な関係にあり、国家も恐れる超暴力。腕っぷし一本で全てを実現させ、あらゆる金、名声、地位を手に入れることができる。仮に国会議員が、軍人が、漫画家が、歌手が、ピアニストが、スポーツ選手が、もし勇次郎の腕力を持って生まれたなら、誰もが腕力だけで夢を実現させたハズッッ誰もがオーガを歩んだハズッッ!作中でもすべての職業は腕力の代用品と語られている(もちろん現実世界ではそんなことは無い。すべての職業が立派な仕事であり生業である)。
しかし何もしなくても全てに手が届く、目指すところがなにもない、前述のとおり"手こずることに手こずる"日々がどれほど退屈なのかは想像に難くない。"最強"とは"最も強くて最も孤独"ということなのかもしれない。
名言集
既に前述したものは省略。
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