米長邦雄とは、将棋の棋士である。元日本将棋連盟会長。山梨県出身。佐瀬勇次名誉九段門下。棋士番号は85。
概要
1943年生まれ。通算獲得タイトルは棋聖位7期、名人位1期を含む19期で歴代6位。一般棋戦優勝回数は16回。永世棋聖の称号を持つ。1963年にプロ棋士となり、現役時の通算成績は1103勝800敗1持将棋。2003年に引退した。A級連続27期。
弟子は先崎学九段、中川大輔八段、中村太地王座(七段)、長岡裕也、高崎一生、杉本和陽、伊藤能。また、現在は棋界を引退した林葉直子(引退前は女流五段)も弟子の一人だった。
棋風・実績など
切れ味鋭い終盤を持ち味とし、劣勢となった時に局面を難しくする手を指して相手を撹乱することから「泥沼流」と言われている。また本人のサバサバとした人柄から「さわやか流」とも言われており、本人は後者を好んでいた。
また、絶対に詰まない形「Z(ゼット)」にして攻める戦い方や、「自分にとっては消化試合だが相手にとって重要な対局であれば、相手を全力で負かす」という「米長哲学(米長理論)」は、いわゆる羽生世代以降の近代将棋においても、大きな影響を与えている。
時代の流れを読み取る力にも非常に長けており、現役時代は、自分の戦術を見直すため、自分より立場上格下の若手有力棋士に教えを請う形で最新戦術を学び、念願の名人位を獲得したというエピソードもある。
中原誠とは熱戦を繰り広げ、対局数は187に及ぶ。そのため、この頃の世代を中原・米長時代と呼んでいた。
人柄
将棋連盟会長に就任してからは、アマチュアのプロ棋士参入条件の整備、女流棋戦、ネット棋戦の新設、日本将棋連盟の公益社団法人化など、挙げられる功績は多い。ニコニコ動画との連携にも積極的で、新聞社がスポンサーを務めるタイトル戦のニコニコ生放送での中継をいち早く実現した。
人物としては、一癖も二癖もあり、その大物らしい生き様や人生哲学、はたまた好々爺のようなユーモア精神などからファンも多い一方、その人間性を好まないアンチも多く存在するなど、強烈な個性ゆえ人によって好みが大きく分かれる人物でもある。
米長自身も好き嫌いの激しい性格だったと言われており、特に加藤一二三とはお互い老齢化するまで犬猿の仲だった。更に桐谷広人の許嫁を自分の愛人にした、何百人の女性を斬った、鳥取砂丘でヌード写真集を撮ったなど不埒なエピソードには事欠かない。
ブラックユーモアやダジャレを交えた発言・コメントには定評があり、当人のTwitterには、数万人のフォロワーがついていたほどである(当人は、誰もフォローをしていない)。
2012年1月14日に行われた将棋電王戦でボンクラーズに敗北。引退棋士とはいえ、公の場で初めてプロがコンピュータに負けた瞬間となった。また、過去には将棋倶楽部24モバイル将棋道場サービス開始記念で特別指導対局に参加したこともある。
米長会長が日本将棋連盟の会長へ再選された際に、日本将棋連盟の公式サイトにて役員が真面目な顔や微笑む姿の棋士が並ぶ中で、満面の笑顔で両手でピースしている写真が掲載された。(注:関連項目)
将棋以外に囲碁も嗜み、著書に『碁敵が泣いて口惜しがる本』というものがある。米長先生の勝負事に関しての考えが伺える。
エピソード
3人の兄は全員東大進学というインテリであるが、将棋に関しては四男の邦雄には勝てなくなり、プロ棋士である佐瀬勇次からのスカウトで邦雄はプロ棋士の道を歩むことになった(ちなみに両親は佐瀬の「米長の面倒はみる」という話を聞いて、両親は学費や生活費が浮くからという理由で佐瀬のスカウトを了承したらしい)。
幼少時のエピソードを踏まえ、「兄達は頭が悪いから東大へ行った。自分は頭が良いから将棋指しになった」と言われているが、この話は米長本人が語っておらず、芹沢博文による「米長ならこう言うだろう」という的なジョークなのである。
ただし、このジョークは米長自身が批判などをしなかったどころか、逆に利用しており、兄3人の合計の年収より米長の年収の方が上だったため、兄達が腐っていたという話を米長本人が記者に話していたり、林真理子が米長にジョークについて尋ねたら「それは芹沢博文という先輩の作り話で、僕はそういう本当のことは言わないんです(笑い)」と返しており、「本当には言ってないが、あながち嘘ではない話(つまり、米長にとっては美味しいネタ)」という扱いに収まっている。
関連動画
将棋倶楽部24モバイル将棋道場サービス開始記念特別指導対局
【米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ】プロ棋士 対 コンピュータ 将棋電王戦
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関連項目
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