紅殻のパンドラ(こうかくの - )とは、原案:士郎正宗(代表作:攻殻機動隊シリーズ)、漫画:六道神士(代表作:エクセル・サーガ)というタッグが組んだSF系メカアクション美少女漫画である。2023年9月現在既刊25巻。
2012年秋より月刊誌ニュータイプエースにて連載していたが、雑誌休刊に伴い角川ニコニコエースに移籍した後、2018年現在はWeb無料漫画雑誌「コミックNewtype」において連載している。(ニコニコ静画・ComicWalker等でも連載している)
正確な表記は「紅殻のパンドラ-GHOST URN-」(「ゴーストアーン」と発音。後者の題は元々の企画名であり、それらを統合したもの)。URNは回りくどい意味合いとしてパンドラの箱の意。
2015年12月5日にアニメ劇場版が角川シネマ新宿他全国3箇所にてイベント上映形態として公開された(2週間限定)。その上映で2016年1月からのTVアニメ化が発表され、後日追加キャストが発表されている。
概要
元々は2008年頃に士郎正宗がアニメの製作会社に発注されたものの、製作会社の都合で宙に浮いた企画がベースとなっており、紆余曲折を経て六道神士を迎え漫画化することになった。
なお、漫画化に際しては士郎が大まかな流れと一部原作設定を六道神士に渡し、六道による大幅なアレンジが加えられているが、士郎正宗もそれを歓迎している。その関係上、六道の持ち味のライトポップな雰囲気にあふれた作品になっているが、企画の元が元なこともあり必要によってはヘビーな描写も描かれる。コミックの単行本には設定集が付属しており、初回版には原案のキャラクターデザインや設定を収録した小冊子が付属していることもある。
なお時代設定としては前述のアニメ企画では攻殻機動隊ARISEと同一世界が舞台であったが、企画が没になり紅殻のパンドラとして再利用される際に、攻殻機動隊ARISEよりもだいぶ前の時代設定と再設定された。
なお、その関係上ARISEでの登場人物と同一とされていたキャラは、別個体のキャラ(アニメ設定ではなくシロマサ原作設定のキャラ)となっている。
攻殻機動隊やアップルシードなどの原作漫画と世界観は同じであるが、あくまでも独立した一作品であり、攻殻機動隊及びアップルシードのスピンオフではない(単行本あとがきより)のでご注意されたい。(無関係ということではない。例として士郎正宗は紅殻のパンドラのキャラを自身の画集に登場させたり世界観設定に逆輸入している)
同時に、アニメ版においてはアニメスタッフの解釈による設定の変更や大幅なSF設定の削除により特に士郎正宗世界とのつながりは無い。
なお9巻から原案:士郎正宗、企画・構成が六道神士、作画が春夏秋冬鈴と体制が変更されることとなった。理由は六道の体調問題で、それまで作画協力(アシスタント)をしていた春夏秋冬鈴が作画に昇格することとなるが背表紙や表紙では原案:士郎正宗、漫画:六道神士とクレジット上に変化はない。
あらすじ
技術が発達し、ロボットやサイボーグが少しずつ一般に出回り始めた時代。脳以外すべてを全身機械した「全身義体」の少女、七転福音は、親を亡くし施設で暮らしていた福音は遠縁の親戚に引き取られることになり、高級リゾート地「セナンクル島」に向かう。島へと向かう船上にて福音は、女性科学者ウザル・デリラと彼女が所有するロボット「クラリオン」に出会う。
セナンクル島到着後、ウザルとクラリオンがテロ事件に巻き込まれたと思い追いかけるが、結果的に事件の原因となった巨大装置を止める騒動に巻き込まれることになる。事件はひとまず解決し、福音とともに同居することになったクラリオンと、セナンクル島での生活が始まる。
全く関係なく
登場人物
- 七転福音(ななころび ねね) (声 - 福沙奈恵)
- 主人公。幼少時に全身義体化手術を施された少女(脳以外機械のサイボーグ)でよくロボットに間違えられる※。全身義体を生身以上に自由に扱える数少ない「適合者(アデプタ)」。両親を亡くしていたため義体関連の研究施設で暮らしていたが、セナンクル島に住む遠縁の親戚に引き取られることになった。夢は世界平和。クラリオンを「クラりん」と呼び自身と同じ全身義体の少女と誤解して溺愛する。
クラリオンを通じて「パンドーラデバイス」を起動させること「変身」し様々な能力を発揮できる。
※本作はまだ義体技術が未熟なことから基本的に球体間接など明らかに生身の物ではないことが明確であり、福音の場合は手首の関節で判断されることが多い。 - クラリオン (声 - 沼倉愛美)
- ウザルが所持している戦闘用アンドロイド(自己紹介時は「ウザルの愛玩用ペット」を名乗らされている)でネコ型の耳を装着しメイド服を着こなす少女。
非常に高い戦闘能力と高度で非合法なAIをもち、主に福音の傍にいて危険から守っている。
感情起伏の少ない性格だがプライドが高い。状況によって威嚇したり恥じらいを見せたりする
(パンドーラデバイス認証位置がアレなところにあり、使用のたびにちょっとあられもない表情を見せるが、これは本人の思考とは別にウザルが趣味で仕込んだプログラムによるもの)。
耳を触られることを極度に嫌がる。Untouchable zone! - ウザル・デリラ(声 - 田中敦子)
- 福音が出会った女性科学者でクラリオンを所持している。外見年齢は25歳だが古いゲームを知っておりかつ表の顔は実業家・慈善家だが、裏の顔として地下施設に武器を備蓄していたりや謎の組織を率いていたりするなど謎の多い人物。組織の人間からはサハル・セヘラと呼ばれている。
福音の遠縁の親戚の拓美とは旧知の仲で親友(拓美は認めたがらないが)。「ロマンだ!」 - 崑崙八仙拓美(ころばせ たくみ) (声 - 三宅麻理恵)
- 福音の遠縁の親戚で、福音に興味を持ち施設から引き取った。容姿は福音よりも幼く見え、叔母サマと言われることを嫌がり、「タクミちゃん」呼びをすることを求めている。が、実年齢はウザルと一つ違いである。
電脳マーケティングを制覇している崑崙八仙財団の社長で、島内の様々な企業に強いコネをもつ。セナンクル島には自らの名のついた「コロバセビーチ」というリゾート地までできている。
名古屋弁のようなしゃべり方をするが対人恐怖症のため滅多に表には出てこず、電脳化していることもあり、ほとんどの作業をゲルコマ(本作におけるタチコマ的存在)等を駆使して行っている。外出の際は外出用のリモート義体を用いるため、世間では全く違う外見で知られている。
ウザルとは旧知の中で親友(と言われる度拓美は否定しているが)。 - ブエル(声 - 森田順平)
- 巨大兵器ブエルの中枢神経的(セントラルナーバス)ユニットで五本の足と獅子の頭の容姿を持つAI。自称は「余」で尊大な性格かつセクハラや変態行動をするためクラリオンから日常的に虐待を受けている。「キマシタワー!」
- ブリ――(声 - 松田颯水)
- セナンクル島にあるティターンTVというテレビ局の新人リポーター兼アイドル。毎回冒頭に登場して絶妙に状況説明してくれる人。報道畑から女優へステップアップするために現場に突入するがいつもヒドイ目にありつつもしぶとく生き残っている。カメラに向かい自分の名前を叫ぶにもトラブルによりいつも隠されるので「ブリ(ン)」以降がわからない。基本的にカメラと音声の三人組で行動している。
- バニー(声 - 村川梨衣)
- ウザルの部下のリーダー的存在だったが裏切り、ウザルの地下研究施設にあった巨大兵器ブエルを起動してしまう。しかし致命的に不器用というウザルの評価どおりへっぽこで、起動後どうしようもなくなりウザルに土下座をして許しを乞う(もっともこれはバニーのミスというより裏切りを察知したウザルの仕込みである)。バニー服をウザルに命じられて着用しており、福音からバニーさんと呼ばれているため本名は不明。
- ロバート・アルトマン(声 - 稲田徹)
- セナンクル島のセナンクル防衛軍の警察組織に所属する軍人。階級は大尉。正義感が強く紳士的で、とある出来事により福音と出会い親しくなる。クルツには立場を盾に好き勝手され良い感情を持っていない。電脳化はしていて身体は生身…なのだが作中屈指の格闘術の使い手で、戦闘用義体を用いる工作員をして「バカみたいに強い警察」と言わしめた。「HAHAHA!」
- イアン・クルツ(声 - 諏訪部順一)
- 米帝からセナンクル防衛軍に派遣されてきた特別軍事顧問。階級は大佐。実際には米帝の意向で動いているわけではなく、とある組織と通じている。自身の過去の経験から強者のもたらす秩序による世界平和を希求しており、ブエルの奪取に心血を注ぎウザルの部下をそそのかした張本人でもある。
- プロセルピナ・クラフトキエル(声 - 津田美波)
- ティターンTVの女性レポーター。ブエルによる災害の復興支援で慈善活動をしていたボランティア団体を取材していた際に福音とクラリオンに出逢い仲良くなった。ブリ――さんとは違って順調にレポーターとして成長している。
- エイミー・ギリアム(声 - 長縄まりあ)
- セナンクル島の病院に通院している少女で片足を義体化している。ブエルによる災害の被災者の一人で後に祖母と仮設住宅に住んでいる。
- アンナ・マルーカ(声 - 寺内よりえ)
- セナンクル島の公園で出逢った老婦人。福音とクラリオンがパンドーラデバイスを用いて大道芸をしていたところに居合わせて感銘を受け二人と話したことが出逢いのきっかけ。腕を義体化しているが、「適合者」ではないのでリハビリを行っているにもかかわらず動きには不自由さが残る。一部の内蔵も人工臓器であり、セナンクル島が通信障害が起こった際に危篤状態に陥った。福音とクラリオンに助けられ病院に入院し一命を取り留める。アニメ版と名前と設定が違い、原作では士郎正宗世界において重要人物
- ジェイナス・ノース(声 - 大友龍三郎)
- セナンクル島議会の議長。汚職の噂が絶えないが、基本的には政治的に複雑かつ脆弱な立場であるセナンクル島や市民のことを第一に考えている。百貨店ハーミーズで一日店長を務めていたがその際大火災に巻き込まれた。しかし福音とクラリオンに救われ無事に生還した。
ヴィジュアルがF県F市の博士にそっくり。 - ピーチ・ロード(声 - 中西裕美子)
- ジェイナス・ノースの女性秘書。スタンガンを携帯している。
アニメ
2015年12月5日より2週間、全国3ヶ所にて劇場イベント上映がなされた後(全48分)、2016年1月から3月まで全国独立系局にてTVアニメが放送された。全12話。ニコニコ動画においては、同年1月21日より毎週木曜日に1話毎更新&有料配信中。
第1巻からほぼ原作の最新刊(8巻)の途中までをアニメ化しているが、おおむね原作通りなものの終盤は原作に追いついた関係(原作の角川ニコニコエースにて2016年1月掲載の話がアニメでは3月末に放送される等)でアニメと原作の展開が大いに異なる。
エンディングにはコミックス単行本巻末にあった描きおろし特典の福音とクラリオンによるパンドラジオがアニメ化されており、各話で内容が変わっている。なお、ドラマCDとしてもランティスより発売された。
なおBlu-ray特典では短編アニメ『パンドラジオ』が制作されている。脚本は本編と同じスタッフだが監督以下制作会社まで本編と違うスタッフが担当している。(アニメーション制作はDLE)
スタッフ
- 監督 - 名和宗則
- シリーズ構成・脚本 - 高橋龍也
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 谷拓也
- 企画プロデューサー - 伊藤敦
- 音響監督 - 鶴岡陽太
- 音楽 - TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
- 音楽制作 - ランティス
- アニメーションプロデューサー - 冨岡哲也
- アニメーション制作 - Studio五組、AXsiZ
- 製作 - 紅殻のパンドラ製作委員会
主題歌・挿入歌
各話リスト
前述の通り、ニコニコ動画での配信は有料配信である。ニコニコ生放送での配信もない。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | エンドカード | ニコニコ動画 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 適合者 -アデプタ- |
高橋龍也 | 清水聡 | 山本天志 | 飯飼一幸 武本大介 |
園田健一 | |
第2話 | 大深度地下 -ジオフロント- |
蔵本穂高 | 真部周一郎 大原大 |
磨伸映一郎 | |||
第3話 | 偽装空間 -テラリウム- |
西本由紀夫 | 柳屋圭宏 | 小島彰 LEE SANG-MIN |
佐藤ショウジ | ||
第4話 | 料理の鉄人 -キッチン・ドラッジ- |
森田繁 | 山本天志 | 浅見松雄 | ハンミンギ 真部周一郎 武本大介 |
うえやまとち | |
第5話 | 通信障害 -システム・ダウン- |
ところともかず | 吉崎雅博 島田英明 |
水無月すう | |||
第6話 | 魂魄 -セントラル ・ナーバス・ ユニット- |
サトウケンジ | 山本天志 | 飯飼一幸 山村俊了 |
石田敦子 | ||
第7話 | 人形師 -パペッティア- |
高橋龍也 | 清水聡 | 浅見松雄 | 磯野智 伊集院いづろ |
※ | |
第8話 | 大火災 -インフェルノ- |
森田繁 | 西本由紀夫 | 村田尚樹 | 武本大介 大高雄太 |
沙村広明 | |
第9話 | 基地強襲 -アサルト- |
高橋龍也 | 名村英敏 | 石井和彦 | 岡昭彦 大野勉 |
瀬口たかひろ | |
第10話 | 恐怖 -フィアー- |
森田繁 | 清水聡 | 蔵本穂高 | 大原大 横松雄馬 王洲範 |
田丸浩史 | |
第11話 | 心の在り処 -ゴーストURN- |
高橋龍也 | 所俊克 | 浅見松雄 | 南伸一郎 福島豊明 吉崎雅博 しまだひであき |
内藤泰弘 | |
第12話 | 希望 -エルピス- |
清水聡 | 山本天志 | 徳田夢之介 谷拓也 |
高河ゆん |
放送局・配信サイト
niconicoでも公式チャンネルが開設されており毎週1話更新&有料配信中。ニコニコ生放送や無料配信はない模様。
放送局 | 放送開始日 | 放送時間 | 備考 |
---|---|---|---|
AT-X | 2016年1月8日 | 金曜 23:00~23:30 | リピート放送有り |
TOKYO MX | 2016年1月8日 | 金曜 25:40~26:10 | 幹事局 |
KBS京都 | |||
BS11 | 2016年1月9日 | 土曜 27:00~27:30 | |
チバテレビ tvk テレ玉 |
2016年1月10日 | 日曜 24:00~24:30 | |
サンテレビ | 日曜 24:30~25:00 | ||
岐阜放送 | 2016年1月12日 | 火曜 24:00~24:30 | |
三重テレビ | 2016年1月13日 | 水曜 25:20~25:30 | |
TVQ九州放送 | 水曜 27:35~28:05 | ||
dアニメストア | 2016年1月14日 | 木曜 12時更新 | 有料配信 |
ニコニコ動画 ニコニコチャンネル |
2016年1月21日 | 木曜 23時更新 | 有料配信 |
GyaO | 2016年1月21日 | 木曜 23時更新 | 最新話一話のみ無料 |
RakutenShowtime DMM.com バンダイチャンネル ひかりTV U-NEXTM J:COM オン デマンド |
2016年1月21日 | 木曜 12時更新 | 有料配信 |
PlayStation®Store | 2016年1月27日 | 水曜 時更新 | 有料配信 |
関連静画
関連動画
公式チャンネル
関連商品
Blu-ray(Amazon限定特典付き初回限定盤)
BD(初回限定盤)
CD
その他
関連項目
外部リンク
- 1
- 0pt