『紫色のクオリア』とは、うえお久光(著)/綱島志朗(絵)のライトノベル作品である。
概要
原作の小説は2009年7月に電撃文庫から発行された。以下の三編(実質、二話+エピローグ)から成る。
- 『毬井についてのエトセトラ』(電撃文庫MAGAZINE 2008年11月号増刊『紫色のクオリア』より改題)
- 『1/1,000,000,000のキス』(書き下ろし)
- 『If』(書き下ろし。短いエピローグ)
「“少し不思議な”日常系ストーリー」と謳っているが、『毬井についてのエトセトラ』後半で急展開を見せ、さらに二話目の『1/1,000,000,000のキス』では、ある能力を身につけた学が友人のゆかりを助けるために奔走する、大きなスケールながらテンポよく展開する平行世界物となっている。
コミカライズ版は月刊コミック電撃大王 2011年3月号より連載開始。原作のイラストを担当した綱島志朗による。2012年2月に発売されたコミックス1巻は、原作の『毬井についてのエトセトラ』の最後までの内容。
あらすじ
毬井についてのエトセトラ
自分以外の人間がロボットに見える少女、毬井ゆかり。彼女の友達である波濤学は、ゆかりと共に少し不思議な日常生活を過ごしていた。やがてゆかりの「見え方」をめぐって事件に巻き込まれていき――。
1/1,000,000,000のキス
特殊な才能を持った子供を保護育成する組織「ジョウント」から留学してきた少女、アリス。彼女もまた特異な「感じ方」を有しており、自分と同じく才能を持ったゆかりをスカウトするために来たという。悩んだ末に、学はゆかりの背中を押すことになるが――。
登場人物
一部の登場人物名に、日本初のロボット「学天則」から一文字ずつ取られている(コミックス1巻巻末の解説より)。
- 毬井ゆかり
- 自分以外の人間がロボットに見える少女。この才能により、他人の(本人さえ気づいていない)特技を言い当てたり、趣味のプラモデルを説明書も見ずにすばやく丁寧に組み上げるなどの特技を持つほか、警察の捜査に協力して参考意見を提示するなどしている。
他人には「見え方」を隠している。奇矯な行動を取ることがあっても、外見が小柄で可愛らしいこともあり天然系マスコットキャラ的な扱いを受けている。 - 波濤学
- 本作の語り手。ゆかりの友人であり、彼女の「見え方」を知りながらも受け入れている。愛称は「ガク」(名の読みは「マナブ」だが本人は気に入っていない)。
(以下ネタバレ反転)
ゆかりに「修理」された際に左手に携帯電話を埋め込まれたことで、それを使用して平行世界の自分と会話する能力を得た。この能力を用いて、無数の並行世界の自分と協力しながら無限の可能性をたどり、ゆかりを救うために奔走する。 - アリス・フォイル
- 「ジョウント」より、ゆかりをスカウトするために留学生として送られた少女。11歳にしてすでに大学を、それもアイビー・リーグを掛け持ちで卒業している。
数式が絵に見えるという特異な感じ方を有している。自分と同じく才能を持つゆかりと仲良くする一方で、他の人間を「凡人」と呼び軽蔑している。 - 天条七美
- ゆかりの「見え方」を知っており、過去の因縁を匂わせながらも目の敵にしている。
- 加則智典
- 脇役だが、なぜかカラー口絵に登場している(当初のプロットではもっと出番があったらしい)。
特徴もなく目立たない男子であるが、ゆかりの目で見ると「大きくて、ぎらぎらしていて、見ているだけで震えちゃうような、いまは止まっているけれど、いざ回転しだしたらもうどうにもできないぞ、って感じ」のドリルを持っており、密かに憧れているらしい。
関連商品
コミカライズ
関連項目
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