累進課税単語

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累進課税progressive tax)とは、税額を算出する上で基礎となる課税対が増えるほど、より高い税率を課する課税方式のことをいう。

2020年現在日本において、所得税相続税贈与税に採用されている。
 

所得税の累進課税 最低税率5、最高税率45の7段階。

相続税の累進課税 最低税率10、最高税率55の8段階

贈与税の累進課税 最低税率10、最高税率55の8段階
  

超過累進課税

警告

この項は長いです 時間のあるときに閲覧することをおすすめします

単純累進課税と超過累進課税の比較

累進課税には、単純累進課税と過累進課税の2種類があり、2020年現在日本においては過累進課税が採用されている。

単純累進課税とは、課税標準が一定額をえた場合に、その全体に対して、高い税率を適用するものである。

一方で、過累進課税は、課税標準が一定額をえた場合に、そのえた額に対してのみ、高い税率を適用するものである。

単純累進課税は、税率のちょうどの所得がある場合には納税額が極端に増加してしまうという欠点がある。過累進課税なら、税率のちょうどの所得がある場合の納税額の増加を緩やかにさせることができる。
 

日本の所得税の計算その1 超過累進課税の定義通りに計算する

2015年平成27年)以降の日本所得税は、次のようになっている。

まず個人の収入を捕捉する。次に、収入から必要経費を引いて、所得を算出する。そして、所得から所得控除を引いて、税所を算出する。所得控除とは、社会保険料控除や生命保険料控除とか地震保険料控除など、様々な種類がある。

税所額を算出したら、次の表を見る。
 

税所額の分割 税率 最大でどれだけの額になるか
195万円以下の部分 5 195万円
195万円をえて330万円以下の部分 10 135万円
330万円をえて695万円以下の部分 20 365万円
695万円をえて900万円以下の部分 23 205万円
900万円をえて1800万円以下の部分 33 900万円
1800万円をえて4000万円以下の部分 40 2200万円
4000万円をえる部分 45


※参考資料・・・国税庁『所得税の税率』exit


税所額が4200万円の人なら、「195万円以下の部分」に195万円が入り、「195万円をえて330万円以下の部分」に135万円が入り、「330万円をえて695万円以下の部分」に365万円が入り、「695万円をえて900万円以下の部分」に205万円が入り、「900万円をえて1800万円以下の部分」に900万円が入り、「1800万円をえて4000万円以下の部分」に2200万円が入り、「4000万円をえる部分」に4200-4000で200万円が入る

ゆえに、課税所額が4200万円の人は、次のように計算する。195万円×0.05+135万円×0.10365万円×0.20205万円×0.23900万円×0.332200万円×0.40200万円×0.45=1410万4000円

税所額が4200万円の人は、1410万4000円の所得税がかかる。
 

日本の所得税の計算その2 国税庁が考えた「控除額」を利用する

上記のように、額を分割していちいち計算するのは、すこし面倒である。計算の手間を省くため、日本国税庁は、「控除額」というのを用意している。

税所額を算出したら、次の表を見て、該当する項を見る。
 

税所 税率 控除額
195万円以下 5 0円
195万円をえ、330万円以下 10 97,500円
330万円をえ、695万円以下 20 427,500円
695万円をえ、900万円以下 23 636,000円
900万円をえ、1800万円以下 33 1,536,000円
1800万円をえ、4000万円以下 40 2,796,000円
4000万円をえる 45 4,796,000円

 
税所額が4200万円の人なら、一番下を見て「4200万円×0.451890万円」と計算し、「1890万円ー4796000円=1410万4000円」と引き算する。この1410万4000円が、所得税額になる。
 

計算して、超過累進課税の変動を確かめてみる

先ほども述べたように、日本が採用している過累進課税は、税率が変わる界線近くの課税所額を持っている人にとって、さほど大きく納税額が変化しない制度になっている。

税所額が4000万円の人の所得税額は1320万4000円で、課税所額が4001万円の人の所得税額は1320万8500円であり、わずか4500円しか変わらない。このように、過累進課税だと税率の界線でも納税額が大きく変動しない。


仮に、「単純累進課税を採用し、課税所額が4000万円以下なら40、課税所額が4000万円をえるなら45」という制度だったとしたら、課税所4000万の人は納税額1600万円で、課税所4001万の人は納税額1800万4500円となり、課税所額がたった1万円増えるだけで200万円ほども多く課税されてしまう。
 

表計算ソフトで納税額や実効税率を計算するときの数式

エクセルオープンオフィスといった表計算ソフトを使って納税額や実効税率を計算したいなら、次の表に書かれている数式を使う。A2のセルに、課税所額を入れるものとする。
 

税所 納税額をめる数式 実効税率をめる数式
195万円以下である場合 =A2*0.05 =100*A2*0.05/A2
195万円をえて330万円以下である場合 =A2*0.1-97500 =100*(A2*0.1-97500)/A2
330万円をえて695万円以下である場合 =A2*0.2-427500 =100*(A2*0.2-427500)/A2
695万円をえて900万円以下である場合 =A2*0.23-636000 =100*(A2*0.23-636000)/A2
900万円をえて1800万円以下である場合 =A2*0.33-1536000 =100*(A2*0.33-1536000)/A2
1800万円をえて4000万円以下である場合 =A2*0.4-2796000 =100*(A2*0.4-2796000)/A2
4000万円をえる場合 =A2*0.45-4796000 =100*(A2*0.45-4796000)/A2

 


上記の方法は、課税所額によって、用いる数式を変えねばならず、少し煩雑である。課税所額を入れるだけで納税額や実効税率を計算したいなら、次の数式を使う。

エクセルを使っている人が、A2のセルに課税所額を入れている場合、納税額の数式は「=MIN(A2,1950000)*0.05+MIN(MAX(A2-1950000,0),1350000)*0.1+MIN(MAX(A2-3300000,0),3650000)*0.2+MIN(MAX(A2-6950000,0),2050000)*0.23+MIN(MAX(A2-9000000,0),9000000)*0.33+MIN(MAX(A2-18000000,0),22000000)*0.4+MAX(A2-40000000,0)*0.45」となり、実効税率の数式は「=100*(MIN(A2,1950000)*0.05+MIN(MAX(A2-1950000,0),1350000)*0.1+MIN(MAX(A2-3300000,0),3650000)*0.2+MIN(MAX(A2-6950000,0),2050000)*0.23+MIN(MAX(A2-9000000,0),9000000)*0.33+MIN(MAX(A2-18000000,0),22000000)*0.4+MAX(A2-40000000,0)*0.45)/A2」となる。


オープンオフィスを使っている人が、A2のセルに課税所額を入れている場合、納税額の数式は「=MIN(A2;1950000)*0.05+MIN(MAX(A2-1950000;0);1350000)*0.1+MIN(MAX(A2-3300000;0);3650000)*0.2+MIN(MAX(A2-6950000;0);2050000)*0.23+MIN(MAX(A2-9000000;0);9000000)*0.33+MIN(MAX(A2-18000000;0);22000000)*0.4+MAX(A2-40000000;0)*0.45」となり、実効税率の数式は「=100*(MIN(A2;1950000)*0.05+MIN(MAX(A2-1950000;0);1350000)*0.1+MIN(MAX(A2-3300000;0);3650000)*0.2+MIN(MAX(A2-6950000;0);2050000)*0.23+MIN(MAX(A2-9000000;0);9000000)*0.33+MIN(MAX(A2-18000000;0);22000000)*0.4+MAX(A2-40000000;0)*0.45)/A2」となる。


MAX関数MIN関数数式について、
エクセルは「,(カンマ)」を使い、オープンオフィスは「;(セミコロン)」を使っている。両者の違いはそれだけである。
 

意外に低い実効税率

所得税について慣れてない人が、先ほどの国税庁の表exitを見ると、「課税所額が4200万円の人の実効税率は45で、課税所額が1億円の人の実効税率も45なのか」と考えがちだが、実際はそうなっていない。
 

税所 実効税率
4001万円 33.01
5000万円 35.41
1億円 40.20
5億円 44.04
10億円 44.52
30億円 44.84
500億円 44.99%


以上のように、4000万円という界に近づくほど、実効税率が下がるようになっている。そして、どれだけ課税所額が高くても、45には到達しない。


税所額と実効税率の幅は、次のようになっている。

税所 実効税率の幅 国税庁の表exitの税率
195万円以下である場合 すべて5.00 5
196万円以上330万円以下である場合 5.03 ~ 7.05 10
331万円以上695万円以下である場合 7.08 ~ 13.85 20
696万円以上900万円以下である場合 13.86 ~ 15.93 23
901万円以上1800万円以下である場合 15.95 ~ 24.47 33
1801万円以上4000万円以下である場合 24.48 ~ 33.01 40
4001万円以上の場合 33.01 ~ 44.999・・・ 45

 
※課税所額を1万円刻みにして計算した。
 

所得税累進課税の歴史

世界で、所得税の累進課税が導入されている。

本項では、アメリカ合衆国イギリス日本所得税累進課税の歴史について紹介する。

この3は、いくつかの点で共通している。第一次世界大戦世界恐慌第二次世界大戦の際に累進課税が強化され、1980年頃から市場原理主義新自由主義)が政治世界で流行してから累進課税が弱体化された。
 

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国所得税累進課税が導入されたのは1913年のことで、第一次世界大戦の1年前のことである。ウッドロウ・ウィルソンexit大統領の署名を経て成立した1913年歳入法exitで、最高税率は7と決められた。

1917年4月6日米国ドイツ宣戦布告し、第一次世界大戦に参戦した。これに合わせて所得税累進課税が一気に強化された。1916年は最高税率15で、1917年には最高税率67に上がり、1918年には最高税率77になっている。

第一次世界大戦が終わると次第に最高税率が下げられ、好気のまっただ中だった1925年には最高税率25にまで下がっている。

1929年に世界恐慌が起こり、1933年にフランクリン・ルーズヴェルト大統領に就任し、ニューディール政策を開始した。累進課税の強化が同時に行われ、1931年まで最高税率25だったが、1932年のハーバート・フーヴァー大統領最終年に最高税率63になり、1936年には最高税率79になった。

1941年に米国日本ドイツ宣戦布告し、第二次世界大戦に参戦した。1942年には最高税率881944年には最高税率94に達した。

最高税率が90える状況は1963年まで延々と続き、1964年になってついに最高税率77に下げられた。1965年には最高税率70となり、これが1981年まで続く。

1981年に就任したロナルド・レーガン大統領市場原理主義新自由主義)の信奉者で、累進課税を否定する思想の持ちだった。彼の任期中の1988年には、最高税率が28にまで下げられている。

1991年ジョージ・ブッシュ(父)政権の時に最高税率が31になり、ビル・クリントン政権の1993年には最高税率39.6になった。ジョージ・ブッシュ(子)政権の2003年には最高税率35に下げられ、バラク・オバマ政権の2013年最高税率39.6へ上げられた。ドナルド・トランプ政権の2018年最高税率37に引き下げられている。

1981年以降の歴代政権による所得税累進課税の最高税率の変動は、次のようになっている。共和党大統領は1人の例外を除いて税率を下げ、民主党大統領全員が税率を上げている。
  

時代 大統領 所属政党 最高税率の変化
1981年1989年 ロナルド・レーガン 共和党 7028
1989年1993年 ジョージ・ブッシュ(父) 共和党 2831
1993年2001年 ビル・クリントン 民主党 3139.6
2001年2009年 ジョージ・ブッシュ(子) 共和党 39.635
2009年2017年 バラク・オバマ 民主党 3539.6
2017年 ドナルド・トランプ 共和党 39.637

 

※この項の資料・・・Federal Individual Income Tax Rates History - Tax FoundationexitIncome tax in the United Statesexit

トマ・ピケティの『21世紀の資本exit_nicoichiba』の521ページに最高所得税率のグラフが載っている。「ピケティ 最高所得税率exit」で画像検索すると、そのグラフを見ることができる。上記の記述は、ピケティのグラフと少し異なっている。
 

イギリス

イギリス所得税累進課税が導入されたのは1909年のことで、最高税率は8だった。当時の首相アスキスexitで、大蔵大臣はロイド・ジョージexitだった。このときの予算案は人民予算exitといい、「貧困と不等との戦争をするための集です」「貧困に対する宣戦布告をします」というロイドジョージの発言で有名である。

第一次世界大戦が終結したのが1918年11月11日だが、その後の1920年に最高税率60へ到達している。

第二次世界大戦欧州戦線が始まったのが1939年で、その年にイギリスドイツ宣戦布告しているが、1939年最高税率83、1940年に最高税率90、1941年に最高税率98と順調に引き上げている。最高税率981952年まで続いた。

1953年1954年最高税率951955年1958年まで最高税率93で、1959年1964年最高税率89。ここから下がっていくと思ったら別にそんなことはなく、1965年1970年最高税率91に上がっている。

1966年ビートルズTaxman(税務署員)exitという楽曲を発表している。歌詞は、検索すると出てくるexit世界ロックスターになってレコードバカ売れしたが、その収入の多くが税務署に直行していたので、この楽曲を書いた。

1971年1972年最高税率89で、1973年最高税率90となり、1974年から1978年最高税率98にまで引き上げられた。

1979年首相となったのがマーガレット・サッチャーで、市場原理主義新自由主義)の信奉者である彼女は、「持ちを貧乏にすることはできても、貧乏人を持ちにすることはできない(The poor will not become rich even if the rich are made poor.)」という発言をして市場原理主義者からの支持を受けつつ、累進課税の弱体化を進め、最高税率を40にまで引き下げた。

2020年現在最高税率は、45である。

※この項の資料・・・金持ち国の最高限界税率 1900-2013exit
 

日本

1887年(明治20年)に所得税法を布・施行して所得税が導入された。このときすでに累進課税の形式で、最高税率3だった。

1899年(明治32年)に最高税率5.5となった。

1913年(大正2年)には、それまでの単純累進課税をして、過累進課税を導入し、最高税率は22%となった。同時期のイギリスは最高税率8で、アメリカ合衆国は最高税率7であり、その2べると高めの税率となっていた。

日中戦争が始まったのが1937年(昭和12年)で、第二次世界大戦の一部とされる太平洋戦争が始まったのが1941年(昭和16年)である。そのさなかの1940年(昭和15年)に所得税法が大きく正され、最高税率65となった。終戦直後の1947年昭和22年)には最高税率85となった。

1949年昭和24年)にGHQシャウプ勧告exitを出し、1950年昭和25年)にはその勧告を受けて所得税最高税率を55に引き下げると同時に、最高税率3富裕税exitを創設した。

1953年昭和28年)には富裕税が止され、所得税最高税率を65に引き上げた。
 

所得税累進課税の歴史1974年昭和49年)からられることが多い。所得税と、所得税によく似ている住民税の最高税率を表にすると、以下のようになる。
 

最高税率の合計 所得税の最高税率 住民税の最高税率
1974年昭和49年 93 75 18
1984年昭和59年 88 70 18
1987年昭和62年 78 60 18
1988年昭和63年 76 60 16
1989年平成元年 65 50% 15
1999年平成11年 50% 37 13
2007年平成19年 50% 40 10
2015年平成27年 55 45 10

 
アメリカ合衆国イギリス市場原理主義新自由主義)が流行し、1980年代の終わりにずいぶんと所得税の最高税率が低くなった。それと同じ時代の日本は、1988年まで合計最高税率76を維持していた。アメリカイギリスの動きに即座に追従していたわけではない。
 
 
※この項の資料・・・日本税理士会連合会の大学生向け講義用テキストexit財務省資料exit『累進課税制度に関する一考察』杉田芳雄exit所得税Wikipedia記事exit
 

所得税累進課税の意義と長所

所得税における累進課税の良いところというと、以下の項が挙げられる。
 

労働意欲を適度に削減し、国内の仕事中毒(ワーカホリック)を抑制できる

所得税累進課税によって、「仕事に夢中になって働けば働くほど、税務署にお金を取り上げられる」という状況になり、「仕事人生げるのがバカバカしい」といった程度に労働意欲が低下する。

これによって仕事中毒ワーカホリック)を抑制できることができ、内に長時間労働が蔓延することを阻止することができる。

内に長時間労働が蔓延することで、うつ病睡眠障害などのメンタルヘルス過労死が増える。長時間労働の抑制で、そういう悲劇を回避できる。

内に長時間労働が蔓延することで、余暇が減少し、未婚者は婚活する気力をなくし、既婚者は庭不和・庭崩壊・離婚子ども不良化といった危機に直面することになり、非婚率が上昇し、独身世帯の増加をもたらし、少子化が加速し、地域社会が消滅して国家が衰退していく。長時間労働の抑制でそういう危機を回避することができる。

高額所得者というのは働き者である。その働き者が「働けば働くほど、稼げる」と信じ込んで狂ったように働くと、過労死してしまう。優秀な人材を失うことになり、国家や地域にとって大いなる損失になる。

高額所得者が庭を顧みないことで庭が崩壊し、家庭内暴力が起こり、子供不良になるという悲劇もしばしば聞かれる。有名な例は、アメリカドナルド・トランプ政権で防長官代行を務めたパトリック・シャナハンexitである(記事exit)。

累進課税を組み込むと、高額所得者も「働き過ぎず、庭に帰る時間を作ろう」と思うようになる。高額所得者は優秀な人なので、そういう優秀な人が庭を大事にして子供とふれあい次世代の人材を育成することは、国家・地域の発展に直結するであろう。


こうした考え方は、「労働意欲というものは、国家経済を活発化させるエネルギーだが、国家経済を衰退させる麻薬でもある。労働意欲はに利益をもたらすでもあるが、を及ぼすでもある。それゆえ、民の労働意欲を過度に刺してはならず、適切な準に管理しなければならない」という価値観に基づいている。

所得税累進課税を導入することで、仕事中毒ワーカホリック)を減らすことができると論じたのは、アメリカ合衆国経済学者ダニエル・ハマメッシュexitジョエル・スレムロッドexitであり、日本経済学者大竹文雄exitも一定の賛意を示している。彼ら3人の論文や書籍は、仕事中毒の記事で紹介されている。
 

危険な仕事を他人に押しつけつつ安全地帯に引きこもって金儲けする行為を懲罰できる

所得税累進課税を課すことで、内にてけをすることが懲罰される。

このことが支持されるのは、戦時中である。大規模に人員を動員する総力戦が行われるとき、戦場に行って命をげることを他人にやらせつつ、内の安全地帯で工場を操業してけすることを政府としては何としても抑制したい。また、総力戦のなかで徴兵に応じた人々も、そうした政府の懲罰的租税を支持することになる。

こうした考え方を戦時補償論という。ケネス・シーヴexitデヴィッド・スタサヴェージexitが『金持ち課税exit_nicoichiba』という共同著書でそう呼んでいる。

第一次世界大戦第二次世界大戦で、世界所得税累進課税が劇的に強化された。ゆえに、この考え方は極めて高い説得がある。

新型コロナウィルスCOVID-19)が蔓延するコロナ禍の最中の2020年7月13日に、ミリオネアズ・フォー・ヒューマニティー(Millionaires for Humanity)exitに所属する世界大富豪83人が「々に課税してほしい」と開書簡を出した(記事exit)。新型コロナウィルスとの戦いを医療関係者に任せて、安全地帯けすることに、心苦しさを感じたものと思われる。コロナ禍第一次世界大戦に匹敵する戦争だということだろう。

総力戦戦争に参加し、戦場に送り込まれて辛い思いをした人物は、戦時補償論を支持する傾向にあるようである。アメリカ合衆国において、第二次世界大戦戦場で過ごした人物が大統領の座に座っている間は、所得税の累進課税の最高税率が70以上に保たれていた。

アメリカ合衆国所得税の最高税率を70から28にまで引き下げたのはロナルド・レーガンだが、この人は、第二次世界大戦戦場に送られていない。ロナルド・レーガンは徴兵されたが、アメリカ陸軍航空軍exit第1映画部隊exitに所属し、アメリカ合衆国の本土に残留して、プロパガンダ映画や訓練用映画製作していた。第二次世界大戦においてアメリカ合衆国の本土は全く襲されなかった。
   

会社の中の権力者の暴走を食い止め、多くの従業員に広く薄く富が分配されるようになる

累進課税を止する税制というと、一課税(フラットタックス)である。

この制度を続けると一部の権を持つ人のみが得をするようになる。一部の人が持ちになり、その他大勢の所得が減っていく現が起こる。
 

所得税を一10にしたの中に、ある中小企業があり、3億円の税引前当期純利益が発生する見通しとなった。そのままでは3億円法人税がかかってしまう。「どうせ法人税で巻き上げられるぐらいなら、社員の給料にしてしまおう」となった。そこで社員として雇っている社長さん1人の給料を3億円にすることにした。社員たちからは文句が出たが、で黙らせた社長さんは3億円のうち、103000万円だけを所得税で払い、2億7000万円を手にした。

 
これが、一課税を採用した場合の一例となる。権を握りしめたごく一部の人が得をする。その他大勢は会社の利益が出ても恩恵にあずかれず、本来受け取るべき収入が減るのと同じになる。その他大勢の従業員たちの財産権(所有権)を緩やかに否定しているのである。

 

所得税に累進課税をかけているの中に、ある中小企業があり、3億円の税引前当期純利益が発生する見通しとなった。そのままでは3億円に法人税がかかってしまう。「どうせ法人税で巻き上げられるぐらいなら、社員の給料にしてしまおう」となった。社員として雇っている社長さん1人に3億円の給料を払おうとしたら、累進課税となって課税額が2億円となることが分かった。社長は「こんな馬鹿なことは、やめよう」と思い、安給の社員たちのボーナスを少しずつ増やすことにした。

 
こちらが累進課税採用の一例であり、累進課税の良さを示している。累進課税を採用すると、権者の暴走自然に食い止め、広く多くの人に富が行き渡るようになる。

政府にとっては、「持ち1人と貧乏人多数」という状態よりも「それなりにを持っている人が多数」という状態の方が、治安の面でも教育の面でも、圧倒的に望ましい。

企業経営者達にとって、所得税累進課税は、「自分たちの財産を増やすことよりも、自分たちを慕ってくれる子分を増やすようにしろ」と政府に命じられているのと同じといえる。

また、所得税累進課税を弱体化させると、大企業の重役が高額報酬を得ることに精を出すようになり、企業経営に集中しなくなる。経営雑誌に出て己の才アピールし、ロック歌手俳優であるかのように振る舞い、「カリスマ経営者」として褒められるように仕向け、自らを格化させ、そうやって高給を得ようとする。そういう姿は、トマ・ピケティが『21世紀の資本exit_nicoichiba』の532ページで、ポール・クルーグマンが『格差はつくられたexit_nicoichiba』の101104ページで、それぞれ摘している。こういう現も、「権者の暴走」と表現することができるだろう。


こうした考え方を格差是正とか格差縮小とか中間層創出ということが通例である。

所得再配分とか所得再分配ということもあるが、その言い方だと、政府持ちから徴税をしてその社会保障貧乏人にばらまく現だけを想起しがちである。
 

自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)になる

気になってインフレが進むと高所得者層が増えるのだが、高所得者層ほど税率が高くなるので消費意欲が適度に沈静化する。累進課税を設定しておくだけで過度のインフレを自動的に阻止することができるので、累進課税のことを自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザーexit)と呼ぶことがある。
 

逆進性の強い間接税の補償となる

政府が徴収する税金には間接税が多い。酒税たばこ税消費税などである。

ところが、そうした間接税は逆進性が強く、貧乏な人の所得に占める納税額の割合が高くて、豊かな人の所得に占める納税額の割合が低い。貧乏な人には厳しい負担となり、豊かな人には軽い負担となる。

このため、直接税の所得税で累進課税を導入して、間接税の逆進性を埋め合わせる。こういう考え方をケネス・シーヴexitデヴィッド・スタサヴェージexitが『金持ち課税exit_nicoichiba』という共同著書で「時における補償論」と呼んでいる。
 

所得税累進課税に反対する声

所得税の累進課税に反対するは、しばしば発せられている。そのうち、有なものを3つ紹介したい。
 

労働意欲を失わせ、経済が衰退する

所得税の累進課税で、『働けば働くほど、お金が手に入って、報われる』という気運が損なわれ、労働意欲が減退し、インセンティブ(刺)が消滅し、だれも頑らなくなり、社会が停滞し、国家経済が衰退する」と論ずるは、多く聞かれる。

1960年代や1970年代英国経済的な停滞は英国病exitと呼ばれたが、「英国病は、所得税の累進課税が強かったからだ」と論じられることもある。

それに対する累進課税支持者の反論は、「労働意欲の減退こそが、累進課税の的だ」というものである。「労働意欲はエネルギーであると同時に麻薬である」と論じ、労働意欲を適度に管理すべきであって累進課税は必要である、というに反論していく。

また、累進課税は低所得者・中所得者への税率が低いので、彼らの労働意欲は十分に維持できるのであり、「だれも頑らなくなる」ということは起こらない、と反論することになる。
 

人材の国外流出が発生する

所得税の累進課税の最高税率が高すぎると、最上位富裕層がことごとく外へ移住してしまい、優秀な頭が失われてしまう」と論ずるが、多く聞かれる。

このことを頭脳流出exitブレイン・ドレイン Brain drain)という。1970年代イギリスでは、高額所得を獲得できるような人材が次々とアメリカ合衆国逃げ出した。言うまでもなく英国アメリカ合衆国の両方は英語国語としているので、英国人は気軽にアメリカ合衆国へ移住できた。Tax exileexitという英語版Wikipedia記事には、1970年代頃に英国からアメリカ合衆国へ移住した人々の名前が載っている。1970年代アメリカ合衆国所得税の最高税率が70で割と高めだったのだが、英国所得税の最高税率は90だったので、20の差をめて移住したことになる。

実際のところ、このこそが、政治世界で猛威を振るっていて、所得税累進課税の弱体化という結果を生み出している。所得税累進課税の推進者も「累進課税を強化すると、優秀な持ちが外流出だ」というを聞くと、その途端におじけづいてしまうようである。


それに対して、累進課税支持者は、どのような反論をしていくべきであろうか。

「累進課税が弱いに行って、労働意欲を極限まで刺して、体を壊すまで働くことになるだろう!」「仕事中毒ワーカホリック)が外流出しても構わない!」と、強気なをすることも、ある程度は必要かもしれない。おじけづいては負けなので、こういう過な言動が有効なときもある。

「優秀な持ちが外流出することは確かに国家にとって損失だが、累進課税によって仕事中毒ワーカホリック)が抑制されて得られる国家の利益の方が大きい」と論じて、「損して得取れ」の精を持つべきだとすることも考えられる。こちらの言い回しの方が穏健だと言える。
 

共産主義(社会主義)と同じである

所得税の累進課税の最高税率が高いと、財産の没収といった様相を呈することになる。その様子は、ロシア革命のときに共産主義者が資産財産を没収していったと似ているので、「所得税の累進課税は、共産主義だ」とする人が多い。

このをしていたのは渡部昇一で、多くの著書で繰り返し「所得税の累進課税は、共産主義社会主義の税制だ」とっていた。

アメリカ合衆国でも、「累進課税は共産主義」とが多い(検索例exit)。共和党員に、そういうことを言う人が多い。2016年アメリカ合衆国大統領選挙共和党補に名乗りを上げて、2017年1月以降は住宅都市開発長官となったベン・カーソンexitは、「累進課税は社会主義」とはっきり発言している(記事exit)。


実際は、所得税累進課税と共産主義社会主義)は、あまり関係がない。所得税累進課税を強化すると、富裕層が消滅するが、その代わりに中間層が分厚くなる。中間層の人々が会社の式を購入して所有し、会社経営をすることは、まったく邪魔していない。

一方で、共産主義社会主義)は、内のすべての生産手段を有化するという経済思想であり、つまり内のすべての企業有化するものである。政府以外のにも「企業を購入して所有して会社経営をする」ということを許さない。
  

所得税の累進課税を敵視する市場原理主義者

市場原理主義者(新自由主義者)の中には、所得税の累進課税を敵視する人物が多く見られる。そのうちの1人が渡部昇一で、一律課税(フラットタックス)exitしていた。

市場原理主義者の典例である竹中平蔵マーガレット・サッチャーは、人頭税exitしていた。人頭税というのは持ちも貧乏人も全く同じ額の税金を納める制度であり、累進性が全くないどころか逆進性が極めて強い。

課税(フラットタックス)も人頭税も、税金の計算方法が非常に簡単で、税務署の人員が少なくて済む。政府支出を削減して『小さな政府』を市場原理主義者にとっては、政府の人数が少なくて済むという点で大きな魅を感じるのだろう。

ちなみに、マーガレット・サッチャー1990年に人頭税を理矢理導入したが猛反発を浴び、それが原因で首相を辞任することになった。
 

関連商品

カナダトロントで行われた討論会を本にした。

所得税累進課税の支持者としてポール・クルーグマンジョージ・パパンドレウexit(元ギリシア首相)を招き、所得税累進課税の反対者としてニュート・ギングリッチexit共和党下院議員を長く勤め、下院議長になった)とアーサー・ラッファーexit(サプライサイド経済学の提唱者)を起用している。

双方の言い分が率直にられている。ニュート・ギングリッチアーサー・ラッファーは双方とも一課税(フラットタックス)をしている。
累進課税を支持するポール・クルーグマンの著作。

アメリカ合衆国民皆保険が進まないのは白人による人種差別が原因だ」という、衝撃的な見解を披露している。

「中産階級はフランクリン・ルーズヴェルト大統領以降の所得税累進課税で人工的に作られた」「格差の縮小は決して自然に起こらず、市場の働きで発生せず、政治の働きによって起こる」と論じている。

1980年以降の累進課税の弱体化を実行したロナルド・レーガン大統領底的に批判している。
トマ・ピケティのぶ厚い学術書。

累進課税を導入し格差縮小を成し遂げることができたのは、第一次世界大戦第二次世界大戦だけ、と論じている。
ケネス・シーヴexitデヴィッド・スタサヴェージexitの共同書籍。

大規模に動員する総力戦となった第一次世界大戦第二次世界大戦のときに累進課税が一気に強化されたとき、「戦争に行かない富裕層から富を徴兵すべし」という戦時補償論が極めて強い説得を持った、と論じている。

ミサイルなどによる爆発の正確な遠隔送達が発達した現代は大規模動員が考えられず、戦時補償論を用いることができない、と論じている。

累進課税を強化したいのなら、戦時補償論に代わる新たな論理を構築しなければならない、と書いている。

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論文

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累進課税

1 ななしのよっしん
2019/09/07(土) 16:53:08 ID: OoGIZYlvt+
現政権は「年間売上1000万円以下の企業のみ増税対」という累進性がないどころか逆進性が極めて強いの方針
税金の計算方法が非常に簡単」というメリットすらない
2 ななしのよっしん
2019/12/05(木) 00:52:34 ID: dUtfPjNSou
1970年代イギリスって今の日本のように累進課税じゃなかったんだろうか。いくらなんでも収入全体にこんな極端な最高税率がかかるとはおもえないのだけど。累進課税日本ですら、高所得者が収入全体に最高税率がかかると誤解してる人が後を絶たないから疑ってしまう。実際には控除額の除いた収入のうち、そのまた一部にだけ最高税率がかかる
3 ななしのよっしん
2020/07/08(水) 20:41:49 ID: OtBjMey5DD
とかつけてるけど明治時代は今よりかにキツかったらしいぞ
4 ななしのよっしん
2020/10/15(木) 16:52:56 ID: afSCuXOG1b
額が増えれば増えるほど、自分以外が消費者を含めてけに関っているという事
自分一人と、関った人多数の率は人数ぶん 自分のほうが小さくなっていく。 しかも自分には既に報酬が支払われている

自分の報酬について、自分以外が関った事についてかかるインフラ代なんだと思う。
5 ななしのよっしん
2020/10/15(木) 17:08:35 ID: afSCuXOG1b
この人skebっていうコミッションサイト運営者なんだけどさ
https://archive.is/V6Lbfexit

なんでこれが炎上してないのかっていう怒りでいっぱいなんだけど