![]() |
ニコニコ大百科 : 医学記事 ※感染した可能性がある方は、直接医療機関を受診しないでください。 まず、各保健所等に設置された発熱相談センター ![]() |
細菌とは、原核生物の一種(一グループ)である。真正細菌、バクテリア[1]とも。
概要
菌と省略されることもあるが、キノコ・カビ・酵母を含む真菌類は真核生物であり全くの別物である。細胞核を持たず、後述のシアノバクテリア(藍藻)の一部を除いて単細胞生物であり、大きさはμmオーダーであるため、肉眼で直接見るような機会はほぼ無い[2]。大変小さな生物ではあるが、その種類と個体数、適応した環境の範囲は圧倒的である。
人の生活にも大いに寄与しており、チーズや納豆は細菌の作用により発酵した食品であるし、小腸・大腸の活動は細菌の働きにより成り立っているといっても過言ではない。皮膚にも常在菌が存在し、他の細菌から肌を守る役割をしているものもいる。また大腸菌や枯草菌などは実験生物として生物学に欠かせない存在になっている。
一方、人に危害を加えるのも細菌である。腸管出血性大腸菌O157やサルモネラ菌による食中毒は聞いたことがあるだろう。病気の原因になる細菌も多く、人類の病気との闘いの歴史には細菌との闘いがつきものである。人類が抗生物質を生み出して細菌に対して優位に立てたと思ったら薬剤耐性菌が発生し細菌が優位を取り戻したりといったイタチごっこになっていたりする。
なお、形態・大きさが類似する「古細菌(アーキア)」とは昔は区別されていなかったが、系統的には全く異なる生物である。古細菌の一部から動物・植物を含む真核生物が生じたとされており、細菌より古細菌の方が真核生物に近縁である。とはいえ、殆どの真核生物の細胞が持っているミトコンドリアなどの細胞内小器官は、細菌が起源と考えられている(細胞内共生説)。
逆に、系統的にはまぎれもなくバクテリアでありながら、細菌とあまり認識されない(藻類と思われている)生物に、酸素発生型光合成を行う藍藻ことシアノバクテリアがある。シアノバクテリアの一部は原核生物でありながら多細胞が連なって役割分担をする、真の多細胞生物(単なる群体ではない)である。富栄養化した水域に大発生するアオコや、湿った空き地に発生する謎の物体として知られるイシクラゲはシアノバクテリア の一種である。シアノバクテリア が真核生物に細胞内共生した成れの果てが葉緑体で、これが真核生物の光合成の起源である。
病原体としてのウイルスとの違い
ウイルスも細菌のように目に見えないほど小さく、同じように病気の原因になるが、この2つは違うものである。違いは以下のようになる。ただし、ここで扱う細菌の特徴は病原体となりうる細菌を念頭に置いたもので、シアノバクテリア など病原体にならない細菌はこの特徴が必ずしもあてはまらない。
細菌 | ウイルス | |
細胞を持つか | 持つ | 持たない |
治療薬 | あるものが多い | ないものが多い |
大きさ | 1μmオーダー | 0.1μmオーダー |
増殖 | 栄養をとって自己増殖 | 細胞に侵入しコピーを作らせる |
害の与え方 | 毒素を出して細胞を破壊 | コピーに利用した細胞からの脱出で細胞を破壊 |
変異 | しにくい | しやすい |
ニコニコ大百科に記事のある細菌 / 細菌感染症
細菌
- ウェルシュ菌
- 黄色ブドウ球菌
- カンピロバクター
- 結核菌
- サルモネラ菌
- 大腸菌
- 炭疽菌
- 腸炎ビブリオ
- NAGビブリオ
- 乳酸菌
- ビブリオ・バルニフィカス
- ヘリコバクター・ピロリ
- ボツリヌス菌
- 溶連菌(人食いバクテリア)
- レジオネラ
細菌感染症
- 肺結核、腸結核 : 結核菌による感染症。一部の抗生物質が効かなくなった多剤耐性結核(スーパー結核)もある。
- コレラ : コレラ菌(コレラ毒素を出す一部のNAGビブリオ)による感染症
- 歯周病 : ふつう複数種の口内細菌が大きく関与しているとされる疾患
- ジフテリア : ジフテリア菌による感染症
- 髄膜炎 : 脳の外側を覆っている髄膜に細菌が感染して起こる感染症(ウイルスなどの場合もあるが)
- 赤痢(細菌性赤痢) : 赤痢菌による感染症
- 梅毒 : 梅毒トレポネーマによる感染症
- 破傷風 : 破傷風菌による感染症
- 百日咳 : 百日咳菌による感染症
- ペスト : ペスト菌による感染症
- 蜂窩織炎 : 皮下組織の急性細菌感染症
- マイコプラズマ肺炎 : マイコプラズマによる感染症
- 野兎病 : 野兎病菌による感染症
- Q熱 : リケッチアの一種であるコクシエラ菌による感染症
関連動画
関連項目
脚注
- *ラテン語bacteriumの複数形bacteria
- *例外として、2022年に報告された、1つの細胞だけで1~2cmに達する(!?)チオマルガリータ・マグニフィカ(Thiomargarita magnifica)などがいる(論文へのリンク
)。生物界は広い。
親記事
子記事
兄弟記事
- 4
- 0pt