絵系CAとは、コメントアート(以下CA)におけるジャンルの一つ。歌詞系、装飾系と合わせてCAを大きく分割するための指標である。
概要
CAは前途の通り絵、歌詞、装飾に大まかに分けることが出来、CA誕生から2009年頃まではそれぞれ独自の発展を遂げていた事からこのように分類される。
なお、それ以降は各ジャンルごとの交流が盛んになりCA祭などの開催が各ジャンルに於けるコミュニティでの共催になるなどした。
絵系CAの分類
CAからジャンル分けをした絵系CAを更に細かく分類するとなれば、それは複数の分け方によって分類が可能であろう。
まずは絵系でもキャラクターのCAを作るのか、文字のCAを作るのかである。
キャラクターに関しては今現在でも絵系CAの主流となっており、絵系CAの9割はこれと言っても過言ではないだろう。文字CAに関してはCA製作者でも新規参入から浅い月日で制作をすることが多く、絵系CAの登竜門と考えてもいい。
だが誰しも文字CAを作ってきたということではないということを念頭に置いてもらいたい。
次に実際に絵系CAを制作する上で使う技法によって分類するというものがある。
積み上げという技法が基本にはなってくるが、それだけで完成をさせるのが所謂積み絵。そこから更に改行コメントを仕込み色塗りなどを行うのがフルカラーなどと呼ばれている。
この2つは絵系CAの進化過程で分岐したものであり、まずは積み絵、そこから積み絵の裏に色を仕込む多色刷り、積み絵を簡略化して色塗りにコメント数を回すフルカラーとなっていく。
以下に技法によって分類を行った。
積み絵
2020年現在では主にfullを付ける16:9仕様の積み絵と付けない4:3仕様の積み絵の2通りで大別される。fullを付ける積み絵は2010年7月にfullコマンドが追加されたのでそれ以降に製作されたものがほとんどである。
視聴環境によって横幅リサイズの幅が違うため互換性の観点からは圧倒的に後者のが優位な形になっている。
シルエット (影絵)
U+2588(█)等のブロック記号を用いてキャラクターを1色で塗りつぶした技法。その名の通りシルエット(影絵)になる。
そのCAを見て第三視聴者がひと目でそのキャラクターを判別できるかはその製作者のセンスによる。補足としてネーム等のCAを追加で組み合わせる場合もある。
抜き絵
通常の積み絵の空白と文字が置かれている部分を反転したものと考えてみれば分かりやすいのではないだろうか。
U+2588(█)を敷き詰めた部分からキャラクターの部分だけU+3000(全角スペース)等で抜き取っていくイメージである。線の記号にはかなりの制約が生まれる他、波ブロック(▁▂▃▄▅▇█▉▊▋▌▍▎▏)の上下、または左右の反転ブロックがないので表現が難しい技法の一つに数えられている。
線画
線画のような積み絵である。目の部分以外は基本的にU+2588(█)等のブロックは用いず、罫線や斜線などを使い線を作る。記号1字が細かくならないと線が繋がっているように見えないので、横幅リサイズを使いコメントを細かくするが、背景とコメントが同化しやすく視認性がかなり悪くなってしまいがちである。
フルカラー
フルカラーについては2016年のHTML5プレイヤー実装後から目覚ましい進化が遂げられている。
大きな要因としてはU+2588(█)等のブロック同士がくっつく事により色塗りの見た目がとても綺麗になったことなどが挙げられる。
フルカラーの中でも横幅リサイズを介さないsmall文字幅37の2段積みや、同じく横幅リサイズを介さないmediumの文字幅50を主線とし、裏に改行固定を使用して色を塗るのが主流となっている。
他にも主線を用いず所謂塗りだけでキャラクターを表現したものもある。主線抜き、主線ありで区別される。
またbig16と呼ばれる改行固定のみで色と線を描く技法もあり、これは製作者の名前をとってヒゲ式とも呼ばれている。
ドット絵
基本はbig16の改行固定でU+2588(█)とU+2003などの空白文字によって作られる。発展形としてはU+2584(▄)、U+258C(▌)、U+2002などの1/2幅の空白文字を追加して1文字を1/4化した32行ドットがある。U+2588(█)のみのドット絵と比較して細かい表現ができる他、文字の分割・配置の仕方で製作者の個性が出るものである。
デフォルメ
文字通りデフォルメ化したキャラクターの全身絵。2016年10月に実装されたHTML5プレイヤーを境目に状態は異なる。
それ以前はnakaでの改行固定がbig16のみであったが、それ以降は改行固定のルールが変わったこともあり、様々な改行固定のコメントを用いてデフォルトでもより細やかな描写がなされるようになった。
文字系
文字をU+2588(█)等のブロック記号を用いて大きく作るものである。製作者によって明朝体であったり、ゴシック体だったり楷書であったり製作者の好みによって見えるフォントは変えられている。
積みで製作される場合が多いが改行固定を用いて表現される文字系CAも存在する。
ロゴ再現
ゲーム等のロゴを再現したものである。文字系の発展形ではあるが多くの場合で複数色が必要になるため、様々な技法が盛り込まれているものが多い。
ネオン
コメントの投下タイミングをずらしていくことによりネオンのような表示をする方法。基本は積み上げ時に使うが、改行固定を使いバラバラにした文字を投下タイミングをずらしたものもある。これはモザイクネオンと呼ばれる。
nakaコメントによるギミック
回転
改行固定と文字幅の違いを利用しコメント同士で追い越しを起こさせ、回転しているように見させる方法である。回転ハートが有名。
スライド
スライドにも複数の種類があり主流のスライド、追越スライド、CAS系で発展をした文字変化がある。
前者2つはU+2588(█)等のブロックを箱抜きするイメージだが、後者は文字そのものを変化させるイメージで良いだろう。
主流のスライドはコメントの文字幅の違いを利用してブロックを動かし箱抜きされる文字の形を変える技法である。文字変化でもこの仕組みは同じである。
追越スライドは下敷きを引き、色の違う中敷き、文字を象った上敷きの構造。下敷きと上敷きの色・文字幅は同じで中敷きの文字幅は上敷きの象った文字1文字分。中敷きを上敷きが追越していく際に中敷きと上敷きの間だけ文字が見えるようになっている。
絵系CAの歴史
絵系CAは組曲『ニコニコ動画』を中心として発展をしたと言ってもよいだろう。組曲とCAの歴史は『組曲キャプチャ』に詳しく記述がされているのでそちらも参照するとよいだろう。
絵系CAは2010年頃までが全盛となっているがこれはCA製作者がCAを実際に投稿できる動画、とりわけ組曲『ニコニコ動画』やニコニコ動画流星群、七色のニコニコ動画、いさじ流星群などの多くのユーザーが集まる所謂集会場みたいな動画があり、祭りと呼ばれる短時間のうちに再生、コメント等の数値が大いに伸びる現象があったことによるものが大きい。
技法としては積み絵から色のついたコメントをshitaで積み上げ、線をueで積み下げる技法やそこから更にbig16やmedium25行(未固定)、small38行の改行固定を足して複数色の色塗りを行ったり、色塗りにDRが利用されるようになっていった。
当時のWindowsXPが主流の環境では特定の文字幅においてU+2588(█)同士がくっつくXP縛りと呼ばれる積み絵が映える技法などが生まれていた。
なおその後は2012年5月1日~のニコニコ動画:ZEROのリリースが代表される動画プレイヤーの改悪の他、2008年頃はWindowsXPとWindowsVistaだけだった視聴環境がWin7、Mac、iOS、Androidなどが追加され2015年辺りになるとWin8、Win8.1に加え3DSやWiiUなどと増えていき、Internet Explorerの脆弱性によるGoogle Chromeの台頭、その各動画プレイヤーでコメントの描画が違うことによる互換の難しさ、さらにはNG共有機能によりNG登録をされるとその他の第三視聴者からもコメントが表示されなくなる所謂出禁状態になることから壊滅と言って差し支えないほどの衰退を見せていた。
事実としてこの時期のCAへの新規参入者は殆どおらず2020年現在では2010年頃迄には製作者になっていた古参層と2017年頃以降に製作者になった若手は多いがその間の世代はとても少ない。
ニコニコ動画(GINZA)に於けるGINZAプレイヤー(以下Flash版プレイヤー)では視聴デバイス間はおろかInternet ExplorerとGoogle Chromeとで表示が異なり、互換が取れない状態になっていた。これはGoogle Chromeに明朝体が対応しておらず、絵系CAでは基本となるU+2588(█)やCA全般で基本となっていたU+3000(全角スペース)すらChromeは度重なるアップデートにより週毎に文字幅が変わるという状態でとてもではないが全環境で互換をするのは不可能であった。
2016年10月にHTML5プレイヤーがプレミアム限定でリリースされるまでこの状態は続くが、2015年中頃辺りから中間世代の活動が活発になり組曲『ニコニコ動画』の⑨周年では久々に祭りが起こるなど、環境等の問題はあれど前を向くようになっていった。
HTML5プレイヤーが実装された際に公式でmincho、gothicのコマンドが実装され、それぞれWin8.1以降であれば游明朝体、游ゴシック体の等幅フォント、Win8以前の游明朝体、游ゴシック体が搭載されていない機種ではそれに限りなく近い等幅フォントでコメントが描画されるようになり、またiOSやAndroidでもある程度の互換がなされた。
この後は絵系CAの全盛の再来と言っても差し支えなく、一度は止まってしまった各技法の進化等も再度始まっている。また新規参入者もニコニコ動画(く)のリリース以降、順調に増えており毎年中間世代と同等に近い人数が参入をしている。
絵系CAの制作講座
コメントアートのためのブログ
上記リンクからCA製作者が制作講座等の記事を執筆しているので参考にすればよいであろう。
動画
絵系CAが見られる動画
2010年以前
2011年~2016年(Flash版迄)
2016年以降(HTML5版以降)
関連コミュニティ・チャンネル
参考文献
- chromeアップデート(chrome49)の影響について【コメントアート】
- chromeアップデート (chrome51) の影響について【コメントアート】
- 「コメント職人」はどうしていなくなったのか
- CAとコミュニティについて
- NG共有機能とCA【コメントアート】
関連項目
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