絶対零度とは、熱力学的に考えられる最低温度のことである。
古い時代においては「絶対温度」という呼び方がされることもある。[1]
そのほか、
のことでもある。
概要
冷却の限界とされている温度で、摂氏マイナス273.15度に相当する。
物質は冷却されることで運動エネルギーが減り、絶対零度になると内部エネルギーがゼロになり、原子・分子が熱的運動をほぼ止め、あらゆる構成原子がエネルギー最小の状態となる。量子力学的に言えば、原子がとれるエネルギー最小の状態でもそれに対応する振動があるため完全に運動停止することはない。全ての原子がエネルギー最低の状態になるのは統計的に極めて起こりにくい状態であるため、統計力学的にマクロな物体が絶対零度に到達することはできないと考えられている。ちなみに、ヘリウムの単体は1気圧だと絶対零度にしても凍らない(圧力を27気圧ほどまで上げた上で-272℃以下にしてやっと凍る)。
温度の上昇や下降には原子・分子の動くスピード(振動)が関わっているが、高温というのはそれらが活発に運動していることで発生するものである。動きが激しければ激しいほど温度も上がるため、1,000℃や10,000℃といった高温が可能になる。[2]
しかしその一方、低温の場合は原子・分子の動きの運動が活発でないことで起きるものである。どれだけ運動がなくなっても、止まってしまったらそれ以上の止まりようがないため、温度もそれ以上に下がりようがない。そのため、-1,000℃や-10,000℃というのは通常存在しないという事なのである。
しかし、温度を「その状態の統計的な起こりやすさをうまく数値換算したもの」ととることで負の温度を定義することができる。これは実際に負の温度になっているのではなく、自然には絶対に起こり得ない状態を温度に換算すると負の値になるということである。当然自然には実現せず、気体分子をレーザーなどでうまくトラップするなどの工夫が必要になる。
その他
- ほぼ絶対零度の環境でも死なないことで有名な生物がクマムシ。クマムシは、乾眠という無代謝の休眠状態になることができ、乾眠中は真空状態でも生きていくことができる(代謝が無くなるので、正確には「生きるのをやめることで絶対零度や真空環境に耐える」「その後、生存に適した環境になれば生きるのを再開できる」というのが実際のところ)。こちらを参照 → クマムシ
- ちなみに、科学実験などを除いて地球上で自然的に観測された最も低い温度は、長らく1983年7月21日に南極のボストーク基地において観測されたマイナス89.2℃だったが、2004年に南極でマイナス98℃が観測されている。(数回呼吸すると肺から出血して死亡するレベル)それでも絶対零度には程遠い。
- 絶対零度付近の温度の液体ヘリウムは粘性がゼロになる。どれだけ細かいフィルターを作っても無抵抗で素通りする。また、容器の壁を遡って勝手に容器から漏れ出すようになる。この状態を超流動状態と言う。
- ある金属や化合物などを特定の温度まで冷やすと電気抵抗が0になる現象のことを「超伝導」と呼ぶ。これは電子が超流動のような状態になっているために起こると考えられている。超伝導状態は電気抵抗が0なので、どれだけ大電流を流しても損失が起きない。そのため永久磁石では達成できない強力な電磁石を作ることができる。たとえばリニアモーターカーは、この強力な電磁石により浮き、またガイドレールからの磁力で推進する、超電導を応用した乗り物である。
- 参考までに、日本で観測された最低気温はマイナス41℃。(北海道旭川市/1902年)
東京都ではマイナス5.5℃(1963年1月)、沖縄県では2.3℃(1963年1月/久米島)。
ポケモンのぜったいれいど
第3世代から登場した一撃必殺技の一つ。
通常の対戦ではどんな相手でも3割の確率で倒すことが出来る。しかも従来の一撃必殺技(「じわれ」「つのドリル」「ハサミギロチン」)と違って無効化できるタイプが存在しないこおりタイプの技のため、ほとんどの相手に効く厄介な技であった(他の一撃必殺技と同様に「特性「がんじょう」を持ったポケモン」には通用しない)。
このため、「バトルフロンティア」等のやりこみ施設において「ぜったいれいど」をブッパする運ゲ仕様トドゼルガがプレイヤーを顰蹙を買ったり、高い能力値と耐久値から「ぜったいれいど」で運ゲーを吹っ掛けるスイクン(通称「零度スイクン」)が対人戦において猛威を振るっていた。
・・・が、現在ではこおりタイプに効かなくなり、こおりタイプ以外が使った場合は命中率2割という変更がなされたため、少し弱体化した。覚えるポケモンはトドゼルガ、カイオーガ、スイクンなど。実質零度スイクンを狙い打ちしたナーフだと話題になっていた。
関連動画
ちなみに絶対零度そのものに関する動画はなく、絶対零度の名前が付いた作品などの動画が占めている。
脚注
- *1960年代のアニメ「黄金バット」では、絶対温度という表現が使われている。
- *ただし、高温にも限度があるという説があり、それによれば上限は1420000000000000000000000000000000(1.42×10^33、14溝(こう)2000穣(じょう)℃である。当然こんな高温食らったら敵どころか世界も簡単に消し飛ぶので、魔法としてもあまり登場しない。これはプランク温度と呼ばれ、それ以上の温度を考えることは物理的に意味がないとされる上限である。
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