緊急消防援助隊単語

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緊急消防援助隊とは、災害時に発動される日本の法制度(消防組織法)に基づいて編成される消防部隊である。

概要

契機は1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)である。
この大災害では被災地だけの消防では対処しきれず東京消防庁をはじめとする日本各地から消防隊が救援に駆け付けたが災害規模がそれまで発生した災害(特に戦後)を上回ることによる法制度、事前計画の不備に加え、当時の装備に問題があった事など問題が噴出した。
そこで地震から5か後、緊急消防援助隊が編成されたが当時は規定が強くない要綱に過ぎなかった。
しかし、2004年4月1日をもって消防組織法に基づき規定が強化された新たなる緊急消防援助隊が編成された。
これは東海南海トラフ首都直下といった大地震の発生が近づいている、との観測に基づくものであった。

部隊数・編成

本制度に基づき2022年4月1日時点で全47都道府県6599隊が登録されている。
都道府県毎に緊急消防援助隊の専任部隊が存在する、というわけではなく各地の消防本部が保有する消防隊、救急隊、救助隊などが災害時に各都道府県ごとに管轄を越えて括られ災害地に出動し、被災民の救助や被災地消火活動、更に災害が低下した被災地消防本部の支援を行うのが本制度の的である。
なお、総務省消防庁の計画では2023年までに6600隊まで増強することをしている。

機能別部隊

都道府県毎に一括りと言っても各種部隊が用途ごとに存在し災害に応じて特定部隊毎に出動したり、別の被災地に転戦・もしくは別の都道府県部隊応援に出動する。
なお、1部隊が2つの任務を兼任する(揮隊+支援隊、救助小隊+特殊災害小隊)ことがある 。

部隊 内容
揮隊 字の通り、都道府県隊もしくは連合部隊揮を担当する部隊
支援 都道府県大隊は被災地消防本部の揮下に入る、というのが前提だが
被災地消防本部の規模を上回る部隊が来る場合、支障をきたすため 、
参謀部隊として作戦の立案、補給の手配、更に災害都道府県内の
複数自治体に及んだ場合は管轄毎に部隊の振り分けを行うなど役割の
重要性は揮隊を上回る部隊
その任務上、本隊に先駆けて輸で被災地に出動したり、本隊と別の
都道府県隊を揮することもある。
なお、大部隊揮に慣れている政令指定都市に配備されるのが慣例。
消火小隊 字の通り、消火活動を行う。
即ち、ポンプ隊がとなる。軍隊でいえば歩兵にあたるため、
消火活動だけでなく他部隊支援に駆り出されることもしばしば。 
救急小隊 字の通り、救急搬送を行う。
負傷者もしくは被災で機を喪失した病院の入院患者を
している病院まで搬送する任務を負う。
救助小隊 救助工作に搭載した救助資機材を活用した人命救助が主任務。
高度救助隊、特別高度救助隊を名乗っていれば登録されている。 
後方支援小隊 字の通り、後方支援=兵站を担当する。
後述する支援1や資機材搬送等を用いて野営地の設営や食料
調理、燃料の搬送など重要性はかなり高く、1本部に1隊居るだけで
実働部隊の負担が大きく減る。 
特殊災害小隊 特殊災害=原子力事故や大規模な化学災害テロ事件の対処を行う。
特殊装備小隊 はしごや重機等の運用を行う。
通信支援小隊 独自の通信網を現地で構築し、実働部隊の効率的な活動を支援し、
現場の状況を総務省消防庁へ報告する任務を担う。
航空小隊 政令指定都市消防本部が持つ航空隊、もしくは県単位で保有する
防災ヘリが所属する。
高い機動を駆使して偵察と人員と機材輸送、救助および消火活動と
幅広い任務を担う。
水上小隊 に出れる消防艇が所属する。
その特性上、船舶火災及び沿部の消火活動、消防車を上回る出
を持つポンプを活かした遠距離難救助等の任務を担う。 

これらの部隊はいずれも市町村消防本部のみが登録されていて消防団及び港湾地域に編成されているような自衛消防隊などの登録はない。

なお、東日本大震災後に部隊編成の再編が行われ、都道府県大隊⇒各種中隊⇒各種小隊揮結節が変更されると共に後述の連合部隊の編成も決定・実行中である。 

連合部隊

統合機動部隊 災害生時に先遣隊として出動し、消防活動と並行して
情報収集を行い後続部隊の活動に資する連合部隊
編成は消火、救助、救急が3小隊揮、通信支援
後方支援が1小隊づつ、そして全隊が一消防本部所属と基本設定されている。
50隊が編成される予定。
機動支援部隊 字の通り、土砂災害の専門連合部隊
47隊が編成予定。
NBC災害即応部隊 特殊災害小隊を中核とする専門連合部隊
54隊が編成予定。
エネルギー・産業基盤災害即応部隊
(ドラゴンハイパーコマンドユニット[1])
石油コンビナート等の化学系大規模プラン火災に対応。
後述するシステムロボットシステムを中核とし、
化学消防車部隊、送支援部隊揮隊で編成される。
12隊が編成予定。
ちなみに本部隊を題材にした映画製作予定だったが大元の某民放ドラマ悪い意味で炎上した結果になった。

出動の流れ

出動要請+集結

災害が発生した場合、当然現地を管轄する消防本部が対応することになるがその災害消防本部と相互応援協定で駆け付けた隣接する消防本部のを上回った、と判断された場合、現場となった自治体の首長(市長、町長、長)が都道府県知事経由で総務省消防庁長官へ応援を要請、それを受けた消防庁長官は被災地域外の都道府県知事へ緊急消防援助隊の出動を要請、これを受けた知事が各消防本部へ出動要請、という面倒なパターンが基本だが、消防庁長官の判断で被災地外の都道府県知事に緊急消防援助隊の出動要請をするパターンもある。
後者の理由は災害対応で被災地が中央へ報告できないほど忙殺されている、もしくは災害消防本部を含む行政機関が機を喪失していることがあり得るため、人命保護・被害拡大防止の観点から認められている。

要請を受け取った消防本部は事前計画、もしくは総務省消防庁が発災後に定した集結地点に都道府県大隊ごとに集結し、揮系統や経路を確認してから現地へ緊急走行=サイレン+赤色を焚いて向かう。ただし、これは車両部隊の話であり、航空小隊水上小隊支援隊は単独で現場に急行する。

被災地到着+活動

現地に到着した都道府県大隊はすぐ活動するというわけではなく、受援側消防本部からより詳細な情報を受け取り、調整を行ってから活動を開始する。
人命が係っていることがあるのに長ではないか、と思うかもしれないが被災地情報をより把握しないでいきなり活動したところ、二次災害に遭う、もしくは先行している各種機関(警察自衛隊etc)と調整なしで行って混乱する、といった事態を避けるためである。

こうして現場を調整し活動を開始した都道府県大隊は機部隊の節で述べた前線任務に就く各種中隊と後方支援に就く各種中隊に分かれてそれぞれの任務に就くことになる。

活動終了+撤収

受援側消防本部のニーズがなくなった場合、受援側消防本部が総務省消防庁に緊急消防援助隊の撤収を報告、
それから受援側消防本部が活動していた都道府県大隊に撤収命を出して引き揚げ、という流れになる。
なお、それまでに掛かった緊急消防援助隊の各種経費は被災地が負担する、というのが建前だが災害被災地の財政の規模によってはが負担するのが実情である。

貸与装備

緊急消防援助隊に登録すると車両・機材の配備・整備用に国家予算で補助が受けられる。これとは別に専門性が高い車両、機材が償貸与という形で各地の消防本部、防災航空隊に配備される。
貸与期限は配備から5年とされており、その間は『総務省消防庁』の表記がつけられる。種類によっては47都道府県に1台づつ配備されている
[2]。これらの装備は各地の消防本部に対してのモデル事業の面もあるようで設計を転用、もしくは流用した各種車両消防本部独自(前述の補助付)で配備されている。

東日本大震災以前

海水利用型消防水利システム

阪神・淡路大震災では直下地震管が破壊され、消火栓が使用不能になった。そこで消防隊は河川海岸ポン、もしくは出が落ちる代わりに軽量な可搬式ポンプを配置してとし消火活動を行ったが現場から距離があり、普通ホースを延ばすとホースとの摩擦と距離が離れすぎたことによる圧の低下で放の威が落ちてしまうため他のポンプを連結して加圧する以前からの戦法をとったが、同時多発火災と化した現場では『焼け石に』状態となり火災を止めることは出来なかった。
この事態を繰り返すまじと考え出されたのが『従来より強ポン大口ホースを組み合わせて速かつ大量の消火火災現場に送り込む』 というプランであった。そして阪神・淡路大震災から1、2年ほどで各地の大規模消防本部は大容量送水車大口ホース延長のペアで構成されるシステムを装備した。

やがて時は流れ、2010年代に入るとこれらのシステムの陳腐化が立ってきた一方、前述の想定されていた大地震が近いという流れで新規配備してはどうか、という見方も出てきたが用途を特化しすぎていたこともあり、 前述の補助もあるとはいえ、独自整備を渋る消防本部もあったためからの償貸与による配備が実施された。

システム自体は対用の排ポンプを流用したもので高圧送が毎分4t=4000Lに対し排が毎分8t=8000Lとなっている。即ち、時の排にも使えるが余程の規模の場合は国土交通省が配備しているほぼ同の排ポンが投入される。ちなみに大口ホースでそのまま火災消火するのではなく、アダプダを介して通常の消防車に接続もしくは通常の消火ホース数本に接続して消火活動を行う。
なお、『利用』と表記されているがだけしか使えない、というわけではなく大規模河川もしくは沼=淡も使用できる。

前述の通り、大規模火災用に整備された車両のため原子力災害に使うことは一切想定しておらずNBC災害への防御構造も有していない。福島第一原子力発電所事故にあたっては事前に後述する特殊災害対策などで放射線量を測定してからルートを設定、高所放水車原子炉建屋に止め送ラインを接続して注、隊員は御染みとなった防護を着用する作戦で対処した。

ヘリコプター

その機動を活かし人員輸送や救助活動、情報収集を行う。
当初は東京消防庁のみだったが東日本大震災後に京都市消防局、埼玉県宮城県高知県の防災航空隊に貸与されている。 

燃料補給車

後方支援体制の強化を図る的で配備されたタンクローリー
積載するのは各種関係法の事情もあり、1t弱の軽油のみである。
当初は政令指定都市のみ貸与だったが東日本大震災後に兵站強化の観点から増強された。
ちなみに東日本大震災後、消防施設を新設もしくは築の際にセルフ式給油所を付ける事が多くなっている。

支援車1型

阪神・淡路大震災に新設された消防車の規格。結論から言えば大キャンピングカーであり、消防士の休養やを上回る容積を活かした規模の大きい作戦会議室、災害消防本部が被災した際の仮設本部、多数の傷病者が出た場合に救護所として使うなど用途が広い。また容積を確保するため停時に体の側面を拡幅する機を持つ車両もある。

しかし、それまでの1は一消防本部規模の部隊支援しか想定しておらず、価格も大はしごと同レベルの一億前後が必要なため、配備が限られていた。そこで都道府県隊全隊規模で支援を行う的でそれまでの8tシャーシから20tシャーシに大化した147台製造・貸与されることになった。

ところがその矢先政権交代(自⇒民社)が起こりこの支援事業仕分けで削られかけたが他の予算を外すことで切り抜け、福島県石川町に工場・本社があるヨコハマモーターセールスexitで製造が開始された。
そして後4台で製造・配備が終わるところだったところへ東日本大震災が発生、石川町も震度5強に見舞われたが工場に支障はなく、福島第一原子力発電所から30㎞以上離れていたことから残っていた4台を仕上げ、発災から一週間以内に配備が了、直ちに任務に使用された実話を持つ。
この事もあり翌年にはメーカー・シャーシを変更したタイプが17台各地に増強貸与され、更に後述する拠点機形成開発されることになる。

特別高度工作車(大型ブロアー車、ウォーターカッター車)、特殊災害対策車、大型除染システム車

いずれも特別高度救助隊用特殊車両だが緊急消防援助隊の一環で貸与されている。

東日本大震災以後

都道府県隊指揮隊車

字の通り、都道府県揮隊用の車両
現場揮用セットテント、提器.etc)に加え、情報収集機材(トランシーバーデジタルカメラノートPC.etc)、各種小隊長用ベストなどを搭載している。

全地形対応車両

東日本大震災後の玉貸与装備。字の通り全地形=土砂災害で破壊された道路や浸地域での走行に対応した消防車

1型

岡崎市消防本部大阪市消防局のみ配備
双方等も海外製の連結装軌車両ベース装され、連結式を採用したことにより地形への追従を高めた。一方でウインチと赤色以外に排土ポンプなどの特殊装備は装備せず輸送に特化している。
岡崎市消防本部大阪消防局内の記述も参照

2型

2019年から配備を開始した。1同様に装軌式、輸送任務が用途だがアメリカ製の単体式陸両用車両ベースとして浮上航行を有する。

重機

コマツ製小パワーショベル改造した重機でトランスポーターとのセット
各種災害に対応するため線操縦機を備えた他、アームに放ノズルを装備している。自での放は出来ないためポンとの接続が必要になるが瓦礫排除と並行して消火活動も可
なお、3tタイプと5tタイプに分かれており、合わせてトランスポーターも通常と増tタイプに分かれる。

資機材搬送車

結論からいうと普通のパネルバン3tトラックである。
近年、『支援2』ともされるコンテナ式資機材搬送べると手さと多用途性に欠ける印があるが工夫によってある程度カバーしている。
まず、荷台のにはパワーゲートが装備されており、これを利用して用途毎に機材を台車に一括りして積載し、必要に応じて台車ごと載せ替える方式を採用している。
また、コンテナ式はコンテナにもよるがコンテナを置くスペースを予め設定しなければいけないがパワーゲート式ならコンテナよりもより狭いスペースで荷卸しが出来る利点がある。なおかつコンテナ式より価格が安い。

人員輸送車

ある程度の資機材搬送もできるが字の通り、人員輸送用の車両
人員輸送といっても幅は広く災害現場で持続的に活動するための交代要員の輸送、大量の消防車を駐できない災害現場に一度に多数の消防士を投入、軽症だが医療機関で受診する必要のある被災者の輸送、消防士の休息所、といった場合に使用される。

無線中継車

通信網が破壊された被災地消防用の通信網を構築したり、災害現場の様子を総務省消防庁など関係機関に送信する車両各種線機に加え、情報収集用にBS放送も受信できる。 

拠点機能形成車

支援1の発展強化
拡幅部が延長されたことで室内容積が増強[3]兵站機材も浄器や最大200人分の調理(炊飯・煮炊き)が出来る調理器具exit=自衛隊が採用している野外炊具の兄弟機、組み立て式シャワールーム等を搭載している。

津波・大規模風水害対策車

東日本大震災での津波被害や気変動によって頻発する大台風ゲリラ豪雨を教訓に貸与。
結論から言うといわゆる難救助であり、各種ボート、潜、特殊担架等各種難救助資機材を積載しているがそれまでの難救助と決定的に違うのは後述する陸両用バギーを搭載していることである。なお、開発当初はバス構造式・低床シャーシだったが2014年広島土砂災害での経験からハイルーフキャブ・高床シャーシトラックに変更された。

機動連絡車

災害で破壊された道路を突破し、や到着した支援隊を送迎することを想定した車両

エネルギー・産業基盤災害対応型消防水利システム

前述の従来システムが大規模とはいえ一般火災(住宅地、野)を眼に置いていたのに対し、本システムコンビナート火災眼に開発された。
まず、従来の送水車は揚排をする専用油圧ポンプしか搭載していなかったのに対し、本システムの送水車消防ポンプでは最高レベルA-1ポンプを併載する事で放を高めた。
一方、ホース延長は搭載する大口ホースを従来2km弱から1㎞に減らした代わりに毎分/8000L/最大射程100mの放A-1ポンを搭載し、大規模火災速な消火を狙っている。なお、この性フルに発揮するためには送水車でも4000Lが限界なので他の消防車の送支援が必要である。

消防ロボットシステム(スクラムフォース)

前述の消防システムと並ぶ対コンビナート火災対応の柱として開発されたロボット群。
爆発と高熱のリスクが高いコンビナート火災から消防官の人命を防護するため開発され、2019年市原市消防局に1セットが先行配備された。ロボット群は共通して高熱からの防護用耐熱シートっているのが特徴。

名称 用途 備考
スカイ・アイ
ランド・アイ
偵察・観測を行い、
突入経路の作成、制御
装置への状況報告を行う
ロボットペア。
スカイ・アイは
ヘリコプター
ランド・アイは
装輪+装軌を併用
ウォーターキャノン
タフ・リーラー
ロボットとリール式
ホースカーロボットで構成
双方とも装輪式。
システム搬送 ロボット群の搬送と制御
システム、電を兼務。
制御システム
輸送コンテナ
されているが電
発電機は体に
されているため
コンテナの分離は
不可。

問題点

災害時の速かつ強な対処をして整備されてきた緊急消防援助隊だがから部隊が出動し最大で1558小隊6099人、活動終了まで88日を費やした東日本大震災において将来の災害に向けて多くの問題が浮上した。そしてそれは現在日本における消防制度・組織が抱える課題でもあった。

集結・出動・進出

前述の通り緊急消防援助隊は災害内容、現場からの距離にもよるが事前計画で定された集合場所(高速道路SA、大規模消防本部の訓練場etc)で各都道府県内の消防本部が集まり容をそろえてから現地へ向かう、というのが基本だが各消防本部によっては派遣隊の編成(非番員の参集、他の災害対処が終わるまで隊員が署に戻ってこれない)、管轄地域と集結場所間の距離が遠いことで集結に時間がかかる、集結が了していざ、出動となると、部隊の規模によっては参加した車両100台近くなって、現地へ向かう途中、部隊への給油、全輪駆動でも使い勝手がよく重心も低くなる低床タイプ車両がシャーシを痛めないようにルート回するなどして時間をロスした結果、その間に災害被害が拡大する、助けられたはずの命が失われたのではないか、といった問題が出た。

そこで東日本大震災が発生した2011年に開催された合同訓練では都道府県内の集結場所ではなく、被災地域に隣接した集結場所に消防本部ごとに集結、そこで部隊編成を行う』『実働部隊輸で現地に進出、災害現場で地元消防本部から機材を借りて救助活動を行う』試験が行われた。
前者に関しては進出時間短縮という点での効果は認められたが集結しても現地の詳細な情報、受援側の消防本部の体制が整っておらず、混乱しているといった状態では有効な活動は出来ない、といった懸念が出た。
後者に関しても進出はかったが機材を借りれなくては戦には実質なりえない、といった結論となった。

そして2013年伊豆大島を襲った土砂災害では発災日のうちから消防防災ヘリコプター自衛隊輸送機による輸で緊急消防援助隊と車両が投入され、速な救助活動を実施したが人員はともかく車両に関しては輸送機の積載量から車両が限定されていたため上輸送も並行して行われた。

上輸送に関しては北海道隊、長崎県隊、宮崎県隊、沖縄県隊が東日本大震災の際、一部を含め出動で使用している。しかしこの際に使用したのは民間フェリーありある程度埠頭が整備されていないと上陸はできない。
ならば海上自衛隊もしくはアメリカ海軍第7艦隊輸送艦揚陸艦という手もあるが前者は2018年時点でいずも型護衛艦2隻(19500t級)+おおすみ型輸送艦3隻(8900t級)+1号輸送艇2隻(420t級)と余裕があるとはいえず、後者は手続きやワシントンの思惑も重なって速に出来る以前に出来るのか、といったこともある。

兵站

人員面

が減っては戦は出来ぬ』は、古来から戦争常識だが災害対処も戦争と同様、『命』が絡んでいる。
『命』 を助けることもそうだが現場によっては消防隊員は対処を誤ると自分の『命』を落とすことに繋がる。
21世紀と言えどフルボディのパワードスーツや身体に機材を埋め込んで強化した改造人間ではなく、個人差もあるが常人より身体を鍛えていることを除けばただの人間である。すなわち食事をすれば排するし暑がりも寒がりもする。

食事面では後方支援部隊都道府県大隊レベルで一めになって持ち寄った食料を一括調理して支給するのが一般的だがその実態は湯煎するレトルト食品缶詰カップ麺食であった。
被災者のことを考えればケータリングなどもっての外だが短期間ならともかく活動が長期に及ぶと単調な食事に隊員のメンタルが現場の状況と合わさって低下し部隊の士気が落ちるという弊に繋がる。
また、湯煎=お湯を沸かさなければ食せないのだが野営した場合販品のカセットコンロではで火が消えて時間がかかる、大所帯用の大湯煎機材があっても後述する燃料不足やの確保で使いづらいといった経験、懸念が出た。
そして食事後に必ず通る排では支援に装備された、もしくは積載されたトイレが隊員数にして少ない、個室式ではないのでやりずらい、宿営した場所で下水道ダウンしていて流せず、臭いが堪えたといった不が出た。
また、 食事に使った使い捨てタイプの食器などゴミ生活処理の問題もクローズアップされた。これらは現地処理ではなく全て自分たちで持ち帰るのが原則だが同じ都道府県大隊といっても地域ごとにごみの分別基準が違っていて帰還後に2度手間があった、生活を減らすためカップ麺の汁も全部飲んだら寒さで頻尿状態になったという弊も出た。

そして『暑さと寒さ』=『宿営環境』においてはグラウンドや大駐車場キャンプ場等でテント支援(1、3)等に宿泊するパターンと体育館(自治体消防学校等)に雑魚寝するパターンがとられている。
しかし東日本大震災被災地東北地方3月から4月にかけては実質状態のためテントや体育館では持ち込んだ暖房機材(ストーブジェットヒーター) でも暖まりにくく、暖房を切る睡眠時の場合は寝袋+複数の毛布を使っても寒さが上回り睡眠がとれない消防隊員が続出した。
また、近年は地球温暖化猛暑傾向のため暑さで通常災害でも満足な休息が取れない弊も起きている。

機材面

前述の冷暖房もそうだが消防車両消防防災ヘリ消防艇、そして救助資機材(エンジンカッターチェーンソーガス溶断器)を動かすにあたっては石油系の燃料が必要である。
故に後方支援小隊には前述の燃料補給に加え、資機材搬送の中に各種予備燃料を積載して出動する。現地へ急行中に燃料が厳しくなった場合は最寄りのガソリンスタンドや飛行場、港で給油することになる。

しかし、これも東日本大震災の際には石油施設やインフラダメージを受けて燃料が被災地に届きにくくなり、燃料を節約するため暖房を控える、給油しようと機を維持しているガソリンスタンドへ寄ろうとしたら給油待ちの渋滞に巻き込まれた、順番が来ても給油機を動かす電気がないので手動ポンプで給油をして時間を喰ったという事例が多発した。

また、燃料があっても機材がその時に使えなければ意味がない。車両を含む機材の故障も少なからずあった。
福島第一原子力発電所事故に投入された東京消防庁HR車両の内、スーパーポンパー=システムに故障が発生し、作戦開始直前に随伴整備スタッフの手でようやく回復した事例や荒れ果てた路面を走行したらパンクやシャーシ関係に故障が発生、地域でゴムボートを使ったら水中の瓦礫でが開いたケースも見られた。

更に、地方に多い1市町村規模の消防本部では実働部隊1、2隊しか参加できなかった=後方支援部隊を伴わなかったことでテントなど兵站機材をあまり持ち込めず、車中泊を余儀なくされて休養が取れなかったといったケースもあった。

財源

日本、特に地方自治体ど財政難に苦しむところが多いのは常識である。必要だとはわかっていてもお金がないという理由で同じ消防車を種類や出動実績にもよるが20年~30年以上使っている消防本部はしくない。
オーバーホールをしたところで何れは使えなくなるし、長く使いこんでいるうちに必要な部品の生産、ストックがなくなったのでようやく新車両更新した、という流れも多いが消防車救急車は御存知の通り自動車の中でも極めて特殊な車両である。それらに搭載された装備もかなりの技術によって制作されたもの、即ち高価である。

その地方自治体の財政負担を軽減するため、総務省消防庁は広域災害生時には必ず出動する前提で車両整備用に補助を出しているがそれは国家予算=民の税金+国債賄われている。

人員確保

如何に高性消防車えても、大量の予算と法整備がなされてもそれを使いこなす人間=消防士がいなければ意味がない。
かつての町火消が住宅の構造を熟知したの者で占められていた様に消防士には災害や使用する機材に対する大量のスキルめられている。それを備えた消防士を作り出すには多量の時間と予算が必要である。

ただ、緊急消防援助隊として出動した場合、大規模消防本部はまだしも、小規模消防本部の場合、数日間から数週間、少なく見積もっても3、5人の消防士と1車両が抜けることになり消防が低下することになる。

これを含め兵站等の善に繋がりそうなのが総務省消防庁が進めている『小規模消防本部を統合し、大規模消防本部化する』施策である。
これにより消防署や重複する部門を統合し人員の適切な配置や予算の節約など効率化と広域災害への対処を高めようという案だが地域によっては消防署の統合で防災が低下する懸念もある。

類似制度

警察災害派遣隊(警察)

阪神・淡路大震災後、災害対処を強化するため『広域緊急援助隊』制度を立ち上げたが東日本大震災後に更なる体制強化を図るため『広域緊急援助隊』を組み込む形で発足した。

これも緊急消防援助隊同様、各地の警察(自動車警ら隊機動隊交通機動隊等)を災害現場に派遣し被災者救助や治安維持にあたる。また、行方不明者の情報整理や遺体の検死+身元確認も重要な任務である。

災害派遣医療チーム(DMAT)

災害』と表記されているがテロ事件にも出動する手なベストが特徴の医療班。各地の病院大学病院から概ね医師+看護師+事務スタッフという編成で出動して災害現場で応急措置以上の医療活動を行い被災者の救命率を高めるのが任務だが、トリアージという厳しい任務もある。

国土交通省緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)

自然災害生時に各自治体の要請に基づいて各地の地方整備局から出動する支援部隊
直接の人命救助は行わないが浸時に使用される強な排ポンヘリコプター輸が容易な分解・組み立て+遠隔操作ができる大重機を保有する。災害が収束した後は復計画に必要な被災地域の調を行う。

災害派遣(自衛隊)

警察予備隊時代からある任務にして最も『実戦経験』が多い任務であり、阪神・淡路大震災以降災害が起きるたびに急速に機材と法整備が進められている。
それを差し引いても消防警察を上回る輸送機材(大、固定機) と大量の施設機材=重機で活動を実施する。ただし、それだけの機材を活動させるには時間がかかるため、日ごろから初動要員を定しておくなどの工夫をしていたりする。
なお、場合によっては実行使、もしくはそれに近いことを伴うことがある。 例を挙げると

北海道でのトド駆除 漁業を荒らすトドを駆除するため地上から対及びF-86
から機掃射 
谷川岳遭難者収容 イルで宙りになって死亡している登山者を収容するため
小銃機関銃でザイル射撃登山者を落として収容 
東京湾埋め立て地駆除 埋立地のごみに群がるハエネズミを駆除するため火炎放射器
を使用 
第十雄洋丸事故 衝突事故火災が発生したタンカー護衛艦+潜水艦による
撃と陸上哨戒機による爆で沈没に至らしめる
雲仙岳噴火災害 火山からの噴石、火砕流からの防護として73式装甲車
偵察用に74式戦車87式偵察警戒車を投入 
福島第一原子力発電所事故 放射能を帯びた瓦礫除去のため排土74式戦車を投入
2014年御嶽山噴火災害 火山からの噴石からの防護のため89式装甲戦闘車
73式装甲車を投入

ちなみに理論上は怪獣退治も防衛出動ではなく災害派遣で出来るらしい。

関連動画

東日本大震災

2014年御嶽山火山災害

関連書籍

活動実績

車両

外部リンク

総務省消防庁

関連項目

脚注

  1. *ドラゴンは火消具のからきている
  2. *年度によっては同じ種類でもシャーシや装方法が変更される事がある
  3. *初期では左右双方が拡幅できたが仕様変更で右側のみとなった

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