縄文時代とは、日本の時代区分。おおよそ紀元前1万1000年ごろから紀元前10世紀~紀元前3世紀ごろまでをさす。弥生時代ともども近年の研究の進展が甚だしく、論争も絶えないため、あくまでも現在の高校教科書にのっとった記述にとどめる。
名前の由来は縄のような文様が特徴の縄文土器から。
縄文時代の概要
旧石器時代、現在の日本は大陸と陸続きで、南北双方からモンゴロイド系人類が進出してきたが、完新世になって温暖化し、おおよそ紀元前6世紀~紀元前5世紀ごろには現在のような多島地域に変化した。
また、森林が発達していなかった旧石器時代と異なり、西日本の暖温帯地域に照葉樹林が、東日本の冷温帯に落葉広葉樹林が広まり、森林を基盤とした生活が始まったのである。
なお、この温暖化の影響で、当時の日本人口の9割は中部以東にいたとされる。
そして、この結果縄文時代の生活はどのように特徴づけられるかをまとめよう。
- 果実の重要性の向上によって調理具として縄文土器が成立
- 弓矢が狩猟具として発達
- 漁労が開始され貝塚などが発達
- 竪穴住居での定住生活の開始
- 磨製石器や骨角器、かごや漆製品が登場
- 貧富の差があまりない共同体生活が維持
- 土偶・石棒・抜歯・屈葬といったアニミズムに基づく風習
三内丸山遺跡の発掘によって、黒曜石、翡翠、琥珀、サヌカイトなどの石材を求めて、海を越えた交易がおこなわれていたことなどが明らかになっている。
また、プラントオパールを利用した調査によって、現在では縄文時代にも北九州では水田稲作、その他の地域では雑穀栽培がいつごろからかは行われていたことが、明らかになった。
縄文時代の分類
縄文時代は縄文土器の種類によって以下の6期に分けられる
- 草創期(紀元前1万1000年~):丸底深鉢土器が多い
- 早期(紀元前8000年~):尖底深鉢土器が多い
- 前期(紀元前4000年~):東日本に平底深鉢土器が現れ、煮炊き以外に使われる土器も登場
- 中期(紀元前3000年~):北陸の火炎土器のような特徴的な土器が現れ、文化が最も隆盛を極める
- 後期(紀元前2000年~):土器が小型化し、用途によって多様な形に分化
- 晩期(紀元前1000年~紀元前300年):土器の多様化がさらに進む
主な遺跡
- 泉福寺洞穴遺跡(長崎県):草創期
- 日本最古の土器が出土
- 鳥浜貝塚(福井県):草創~前期
- 栽培されていた可能性があるヒョウタン・エゴマなどの植物化石が出土
- 桜町遺跡(富山県):草創~晩期
- 高床式建物のものとみられる柱材が出土
- 上野原遺跡(鹿児島県):早期
- 日本最古、最大規模の定住集落跡が発見される
- 三内丸山遺跡(青森県):前~中期
- 日本最大級の集落遺跡で、外洋での漁労や遠方との交易がおこなわれていたことを明らかにした
- 里浜貝塚(宮城県):前~後期
- 埋葬人骨が発見
- 尖石遺跡(長野県):中期
- 標高1000mの高所に大規模な集落跡
- 加曽利貝塚(千葉県):中~晩期
- 日本最大級の貝塚
- 大森貝塚(東京都):後~晩期
- モースによって1877年に発見された、日本の近代考古学の出発点
- 大湯環状列石(秋田県):後期
- 共同墓地とみられる環状列石
- 亀ヶ岡遺跡(青森県):晩期
- 多様な器形の土器が大量に出土
- 板付遺跡(福岡県)・菜畑遺跡(佐賀県):晩期
- 水田跡の発見
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関連項目
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