昔々、遠い国の輝くお城に若い王子様が住んでいました。
ある夜、お城に年取った物乞いの女が来て、一夜の宿を恵んでほしいと言い、
一本のバラを差し出しました。
でも王子様は、そのみすぼらしい姿をバカにして老女を追い返そうとしたのです。
老女は、見かけに騙されて人の心の美しさを見逃してはいけないと言いましたが、
王子様は聞き入れませんでした。
すると、老女の醜さが急に消え美しい魔女の姿が現れたのです。
王子様は謝ろうとしましたが手遅れでした。
魔女は罰として王子様を恐ろしい野獣の姿に変え、
お城に強力な魔法をかけました。
年月が流れ、王子様はすっかり希望を失いました。
いったい誰が、こんな野獣を愛してくれるのでしょう・・・?
美女と野獣(Beauty and the Beast)とは、ヴィルヌーヴ夫人(ガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ)原作、ボーモン夫人(ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン)補作によるフランスの民話である(ストーリーの詳細はウィキペディア参照)。
映画やバレエの題材として多くの作品が作られているが、ここでは特に有名なディズニーのアニメーション映画ならびに、それをリメイクした実写映画について解説する。
概要
異類婚姻譚の代表的な話の一つであり、本作のみならず単なる「人間×人外」のカップリングとしてこの言葉が使われるケースも多い。
有名なディズニー映画以外では、母国フランスで1946年と2014年に実写映画化されている。前者はフランスの文豪としても知られるジャン・コクトーが監督を務めたモノクロ映画で、後者はディズニーとは全く違う世界観で当時大きく宣伝されていた。いずれも、原作・ディズニー版と内容や作風が大きく異なっているので、見比べるのも一興(なお、2014年の実写版はフランス国内では高く評価されたが、日本を含む海外ではディズニー版のイメージがあまりにも浸透したせいか、「俺の知ってる美女と野獣と違う」と評判はあまりよろしくない模様)。
アニメーション版
1991年公開。この一昨年に公開されて大ヒットした「リトル・マーメイド」に続き、ウォルト・ディズニーの死後長らく低迷していたディズニーのアニメ映画を復興させた、所謂ディズニー・ルネサンスの代表作の一つ。アニメーション映画で初めてアカデミー作品賞にノミネートされた。
「リトル・マーメイド」に引き続き、製作・楽曲作詞をハワード・アシュマン、音楽をアラン・メンケンを担当し、エンディングではセリーヌ・ディオンが歌う同名の主題歌「美女と野獣」も、アカデミー作曲賞・歌曲賞を受賞した。
なお、アシュマンは映画完成を前にエイズによって40歳の若さで他界し、同時制作していた「アラジン」と共に彼の遺作となった。エンディングではアシュマンへの追悼メッセージが載せられている。
後に、ベルが野獣と和解してかのダンスシーンまでの間に城の中で起こった出来事を描いたOVA「ベルの素敵なプレゼント」「ベルのファンタジーワールド」が制作された。キャストはオリジナル版・日本語吹き替え共に、映画とほぼ同じである。また、2002年にはIMAXの超巨大シアターで再上演され、オリジナル版では没になった新曲と新規映像を加えた完全版が制作された。現在発売されているBDでは、この完全版仕様となっている。
1994年には、ディズニー映画初のミュージカル作品としてブロードウェイなどで公演され、日本でも翌年から劇団四季で上演され20年間の長きにわたるロングランとなった。
ミュージカル化にあたって多くの曲が追加され、その一部は後にアニメーションのリバイバル上映時に新規映像と共に復活した(後述)。また、ミュージカルの演出として、前半の第一部に比べて、後半の第二部では家具に変えられた城の使用人達の家具化が進行しており、後の実写映画版でも終盤で彼らが完全に家具になってしまう展開として使われている。
キャストの中には、野獣役に後にノートルダムの鐘でカジモドの日本語吹き替えを担当した石丸幹二や、チップ役に子役時代のウエンツ瑛士や豊永利行が演じたこともある。
2020年4月には、東京ディズニーランドのファンタジーランドが拡張され、新アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」がオープン予定されている。
実写リメイク版
2017年公開。2010年代からディズニーでは、かつてのアニメーション映画の実写版を次々に制作し続けており、過去には「アリス・イン・ワンダーランド」「シンデレラ」などの作品が大ヒットを記録した。本作では、ヒロインのベルをハリー・ポッターシリーズのハーマイオニーで人気を博したエマ・ワトソンが務めた他、ルミエール役にユアン・マクレガーなど錚々たる豪華キャストを揃え、出演者たちはいずれも吹き替え無しの生歌を披露している。
ストーリーはアニメ版に忠実かつほぼ踏襲した、リメイク作品としては正統派な作りとなっていると同時に、登場キャラクターの人物像をより掘り下げた形となっている。アメリカ国内は元より、日本でも興行収入124億円の大ヒットとなり、ディズニー映画としては「アナと雪の女王」「アルマゲドン」に続いて第3位を記録した。
日本では本作の大ヒットにより、結婚式ではベルと同じ黄色のウェディングドレスの人気が急上昇するなど、社会現象にも大きな影響を与えた。
主なキャスト
アニメ・ミュージカル・実写映画では名前が異なるキャラクターも存在する。☆はミュージカル版、★は実写リメイク版でそれぞれ変更された名前である。
声優の欄は「アニメ版(日本語吹き替え) / 実写リメイク版(同)」となっている。
- ベル
- ペイジ・オハラ(伊東恵里) / エマ・ワトソン(昆夏美)
- 本作の主人公・ヒロイン。村一番の美人だが、いつも本を読んでばかりいるため変わり者扱いされている。実写版では、楽に洗濯できる機会を作ったり、子供に読み書きを教えるなどより活発な生き方をしているが、それが村人たちから快く思われておらず、アニメ版に比べて周りから否定的に見られて孤独を感じている。
前作「リトル・マーメイド」のアリエルと同じく、古い価値観に囚われず自由に生きることを望む、ディズニー作品にとっても新しいヒロイン像の代表格であり、モーリスの愛馬・フィリップも乗りこなすなど、当時のディズニーヒロインの中でもかなりの行動派である。
また、アニメ版では野獣が王子の姿に戻って初めてキスをするが、実写版ではガストンに撃たれて力尽きた野獣に愛を告げる場面で口づけをしてこれが野獣の呪いを解くきっかけとなっており、奇しくも白雪姫や「眠れる森の美女」のオーロラ姫と立場が逆転している。
ベルの服装と言えば、私服は水色のワンピース、ダンスシーンでは先述の黄色のドレスがトレードマークであるが、ダンスシーンの直後にモーリスを助けに城を出る場面では、アニメでは私服に着替えているのに対して、実写版ではなんとドレスのままフィリップに乗って村に戻る(その後、野獣を救うために城に戻る時は、黄色い一番上の部分だけ脱いで同じように駆けていく)。 - 野獣
- ロビー・ベンソン(山寺宏一) / ダン・スティーヴンス(山崎育三郎)
- もう一人の主人公。あま知られていないが、本名はアダム。物乞いの老婆に扮した魔女を城から追い出そうとしたため、21歳の誕生日を迎える前に真実の愛を得ることが出来なければ永遠に恐ろしい野獣の姿のまま戻れなくなる呪いを受ける。つまり、野獣の姿のため年上に見えるが、本編では実は20歳とかなり若い(ベルも原作では15歳という設定だが・・・)。
アニメ版では野獣が人の心を取り戻していく成長を描いた物語でもあり、当初は四つん這いで歩いたり、食事も皿に直接口を付けて食べるなど、身も心も野獣そのもので、文字を読むことも忘れてしまい、ベルに読み聞かせてもらうシーンもある。これに対して実写版は、原作における見た目は恐ろしい姿だが深い知性を持った人格者という設定も採用し、アーサー王伝説の話に関する機知でベルを感心させるなど、王子としての品格も失われていない。
なぜ王子から野獣の姿になったのか原作では描かれておらず、フランスで制作されたディズニーとは全く関係の無い2014年の映画版ではオリジナルの解釈がなされていたが、ディズニーの実写版では幼少期に母親を亡くし、厳格な父親からスパルタ教育を受けた反動でわがままな性格になってしまったとなっている。また、アニメ版では呪いが解けて初めて人間の姿を見せるが(それまでは呪いを受けるまでを描いたステンドグラスや破れた肖像画などでしか見ることができない)、実写版では冒頭でいきなり呪われる前の姿で登場する。ただし、この時はパーティーでかなりの厚化粧をしているため、素の姿を見られるのはやっぱりラストまでお預けである。
余談だが、アニメ・実写の吹き替えを担当した山寺と山崎は、後に「昭和元禄落語心中」で有楽亭助六役で、それぞれアニメ版・実写ドラマ版で同役を演じている。 - ガストン
- リチャード・ホワイト(松本宰二) / ルーク・エヴァンス(吉原光夫)
- 本作のヴィランズ。村で腕一番の猟師(実写映画版では戦場帰りの軍人)。力自慢でハンサムなので村人からの受けも良く、三人組の若い娘から熱烈なアプローチを受けている。が、その実態は自分しか愛せない極度のナルシストで、言動もかなり下品。ベルの先進的な考えも全く理解していないため、彼女からは完全に嫌われている。
前半ではただの勘違い野郎で、ユーモラスな部分も多いのだが、後半になると邪悪な本性をむき出しにするようになり、モーリスを罠に嵌めてベルごと監禁し、恋敵である野獣を殺そうと村人を騙して扇動し、野獣の城を襲撃する。返り討ちに遭って一度は命乞いをするが、野獣が油断した隙を狙って致命傷を与えるも、ヴィランズ恒例の最期でもある、谷底に落ちて死亡した。
実写版でガストンを演じたルークはアニメからそのまま出てきたような圧倒的な再現率で評判も高く、同吹き替えの吉原光夫はかつてミュージカル版でもガストンを演じた経験もあり、こちらも好評。東京ディズニーランドのパレードでは、当然ベルと野獣(野獣・人間の姿両方あり)がセットなのだが、ファンタジーランドのキャラクターグリーティングでは、ベルと一緒に登場するのは野獣ではなく彼である。村の中ではいい顔しているためか、ヴィランズながらゲストにも愛想が良いが、当のベルからは相変わらず塩対応されている。 - モーリス
- レックス・エヴァーハート(あずさ欣平) / ケヴィン・クライン(村井国夫)
- ベルの父親。娘より小柄で口髭を蓄えた好々爺。アニメ版では発明家だが、失敗作が多いことから村人からはベル以上の変わり者と笑いものにされている。自作の薪割り機を売りに出かけて道に迷い狼に襲われたところ、野獣の城にたどり着き、野獣の許可無しに彼の椅子に座ってお城の使用人にもてなしを受けたことが野獣の怒りを買って幽閉される。これに対して、実写版では原作小説と同様、ベルのために城の庭のバラを持ち帰ろうとしたのが原因となる。
アニメでは気弱でおっちょこちょいなコミカルな役柄だが、ミュージカル版以降はベルの方が村で変人扱いを受けることが多くなり、孤立するベルを優しく受け入れる心優しい父親の面が強く描かれている。さらに実写版ではオルゴール職人にして元画家という教養の深い人間となり、かつてはパリに住んでいたが、パリでペストが流行して妻(ベルの母)が感染し、彼女から自分を置いてパリから離れるように促され、泣く泣く去ったという悲しい過去が描かれている。
アニメでは自分の身代わりに城に閉じ込められたベルを助けようと雪山で行き倒れたり、実写版ではガストンにベルを嫁に出すことを断ったために怒ったガストンによって木に縛られ森の中で置き去りにされるなど、なにげに悲惨な目に遭うことが多い。 - ル・フウ
- ジェシー・コーティ(中丸新将) / ジョシュ・ギャッド(藤井隆)
- ガストンの子分。モーリスより小柄で小太りな男で、いつもガストンに付き従う腰巾着。ベルに振られてご機嫌斜めのガストンを励ますなど、彼のフォローに努めるが空回りすることもしばしば。ガストンが野獣の城を襲ったときは真っ先に乗り込んだが、お城の使用人たちの反撃に遭い、他の村人同様這々の体で逃げ出してそのまま退場した。
実写版では人物像が深く掘り下げられ、アニメ版に比べて恐らく最も印象が変わったキャラクターである。実写ではガストンに片想いするゲイという裏設定が付けられており(なお、監督のビル・コンドンやガストン役のルーク・エヴァンスが、自らゲイ公表している)、このせいで一部の国では上映禁止もしくは制限がかけられていた。
但し、ガストンの言いなりだったアニメ版に対して、次第に行動がエスカレートしていくガストンのやり方に不安と疑問を抱くなど、性格がかなり良心的になっている。当初はそれでもガストンに従っていたが、城の襲撃でカデンツァの下敷きになって身動きできない所を助けを求めたガストンに見捨てられたことから遂に袂を分かち改心して城の使用人側に付いた。エンディングのダンスシーンでは、途中から男と踊るシーンがある。ちなみに、実写版で彼を演じたジョシュ・ギャッドは、「アナと雪の女王」のオラフを演じたこと人物でもある。 - ルミエール
- ジェリー・オーバック(江原正士、若江準威知(歌)) / ユアン・マクレガー(成河)
- 野獣の城の給仕頭。呪いで燭台に変えられている。陽気でオシャレなお調子者で、ベルやモーリスを快く迎え入れ、晩餐会で豪華にもてなす。コグスワースやポット夫人と共に野獣とベルの恋の仲立ちに尽力した。アニメ版では顔のパーツが蠟燭になっているため、城の襲撃にはル・フウのたいまつで顔があわや溶けそうになったが、コグスワースに助けられて事なきを得た。その直後には、村人に襲われていた恋人のフェザーダスターを華麗に救出している。
実写版では、ユアン・マクレガーが好演。「ひとりぼっちの晩餐会」ではフランス訛りの英語と美声を披露して多くのファンを魅了した。外見も大きく異なり、人型の燭台になっており、顔のパーツも蠟燭ではなく本体にある。
東京ディズニーシーのドックステージで行われたショー「テーブル・イズ・ウェイティング」では主人公の大役を務めている。が、通常公演では晩餐会がパイ投げになってしまい、クリスマス版では肝心のメイン料理を忘れてしまうなど散々な目に・・・。ちなみに、スペシャルイベント時はかつて東京ディズニーランドのショーベースで行われた「フィール・ザ・マジック」の時と同じ姿だったが、レギュラーショーとなってからは顔がかなり変化し、近くで見ると結構恐い。 - コグスワース
- デヴィッド・オグデン・スティアーズ(熊倉一雄) / イアン・マッケラン(小倉久寛)
- 城の執事。置き時計に変えられており、口髭が時計の針になっている。生真面目かつ心配性で、野獣が癇癪を起こすことにいつも怯えている。性格が正反対のルミエールとは古くからの付き合いの親友で、彼のストッパー役でもある。
実写版ではルミエールやポット夫人に比べてアニメ版からの変更点は比較的少ない。城を襲ってきた村人の中に、呪いを掛けられた時に記憶を失った妻がおり、恐妻家なのか人間に戻った後も「時計に戻りたい」とぼやいていた。 - ポット夫人
- アンジェラ・ランズベリー(福田公子、福田ポプラ(歌)) / エマ・トンプソン(岩崎宏美)
- 城のメイド頭。呪いでティーポットに変えられている。アニメ版では注ぎ口が鼻で全体的に丸いフォルムになっているのに対して、実写版では顔が側面に付いており角張った形状をしている。お城の使用人たちのまとめ役として皆から人目置かれており、野獣も頭が上がらないのか、彼女に対しては怒鳴り散らすこともない。温厚な性格で、城に閉じ込められて嘆き悲しむベルを優しく慰めたり、自身もチップの母親であるためか、ベルにとっても母親代わりの存在である。有名なダンスシーンでは彼女が歌っている。
かつて東京ディズニーランドのシンデレラ城で行われたマッピングショー「ワンス・アポン・ア・タイム」は彼女がチップに物語を聞かせるという展開になっている。 - チップ
- ブラッドリー・ピアース(山口淳史) / ネイサン・マック(池田優斗)
- ポット夫人の息子。呪いでティーカップに変えられており、カップの縁が一部分欠けている。中に入ってる飲み物を泡立たせるのが得意技だが、ポット夫人には注意されている。ベルによく懐き、モーリスを助けようと村に戻ったベルに秘かについて行き、モーリスが作った薪割り機を使って、ガストンに閉じ込められていたベルとモーリスを救出した。実写版ではベルについて行かず、母と共にお城で襲ってきた村人たちを撃退する。
- フェザーダスター ☆バベット ★プリュメット
- キミー・ロバートソン(横尾まり) / ググ・バサ=ロー(島田歌穂)
- 城のメイド。呪いで羽根ばたきの姿に変えられている。ルミエールの恋人で、時々物陰でいちゃついている。アニメ版では「フィフィ」という愛称が付いているのだが、なぜかミュージカル・実写映画共に名前が異なる。顔ははたきの先端部分にあるが、実写版ではこの部分が白い鳥の頭になっている。また、実写版では魔法のバラが完全に散った時、一番最初に完全に家具と化して動かなくなり、ルミエールを嘆かせた。
- ワードローブ ☆マダム・デ・ラ・グランデ・ブーシェ ★マダム・ド・ガルドローブ
- ジョー・アン・ウォーリー(近藤高子、白石圭美(歌)) / オードラ・マクドナルド(濱田めぐみ)
- 城の衣装係で元オペラ歌手。呪いでタンスの姿に変えられている。ポット夫人と共に落ち込むベルを励まし、ダンスシーンではベルに似合うドレスを選んで例の黄色いドレスを仕立て上げた。アニメ版とミュージカル版ではの棚の上部分に顔があるが、実写映画版では観音開きの棚の中に顔があり、すぐ眠くなって寝てしまうのが悩みの種。タンスの中から大量の服を一斉に出すことができ、襲ってきた男の村人を瞬時に女性用ドレスを着させた。女装させられた村人は逃げ出したが、実写版ではその中で一人だけ何かに目覚めたのか、かえって上機嫌になって喜びながら帰って行く場面がある。
- ★マエストロ・カデンツァ
- 未登場 / スタンリー・トゥッチ(松澤重雄)
- 実写映画版で初登場した、城お抱えのピアニスト。呪いでチェンバロに変えられている。歯の部分が鍵盤になってるが、元々虫歯だった部分が欠けており、一部の音がズレている。ガルドローブの夫であり、お互いに重い家具に変えられた上、全く別々の場所に置かれたため、呪いを掛けられてから一度も会えずにいる。城の襲撃時には、ル・フウにボディプレスを掛けて身動きが取れなくして、その状態のままショパンの葬送行進曲を演奏していた。その後、村人達を撃退して、完全に家具になる直前にガルドローブと再会を果たした。
- 本屋 ★ペール・ロベール
- アルヴィン・エプスタイン(矢田稔) / レイ・フィアロン(田中美央)
- ベルがいつも読んでいる本の持ち主。村では数少ないベルの理解者であり、ベルにタダで彼女のお気に入りの本をあげる程。アニメ版では老人だったが、実写映画版ではなぜか当時のフランスにはいないはずの黒人の神父となっている。ガストンが野獣の城を襲おうとした時はベルやモーリスの他に唯一反対した。
- ムッシュー・ダルク
- トニー・ジェイ(渡部猛) / エイドリアン・シラー(英語版)(福沢良一)
- 村の病院の院長。見るからに分かる年寄りの悪人で、モーリスを精神病院送りにしようとするガストンの悪巧みに協力する。オリジナル版の声優は、後に「ノートルダムの鐘」でヴィランズのフロローを演じている。
実写映画版ではそこまで悪人っぽくはなく、目を離した隙に、ガストンが閉じ込めたベルとモーリスが鍵穴に細工して逃げられてしまう少々間抜けな役柄になっている。 - 魔女 ★アガット / ナレーション
- ※デヴィッド・オグデン・スティアーズ(鈴木瑞穂)※ナレーションのみ / ハティ・モラハン(戸田恵子)
- 物語の冒頭で、王子の心の冷たさに対する仕打ちに城や使用人ごと強力な呪いを掛けて、王子を野獣に変えた超本人。魔女と言っても、その正体の姿はかなり若々しい。アニメ版ではお城の使用人たちは完全にとばっちりであるが、実写映画版では王子だけでなくお城の人々たちも老婆に化けた自分を嘲笑ったため、連帯責任として使用人たちを家具に変え、その家族である村人たちからも城に関する記憶を奪い去った。
また、アニメ版では野獣に呪いを掛けた序盤にしか登場しないが、実写映画版ではアガットという名前の森に住む老女の姿に化け、秘かに野獣たちや村人たちを見守っていた。ガストンによって森に置き去りにされたモーリスを救い、城がガストン達に襲撃すると、自らも秘かに城に向かい、力尽きた野獣にベルが愛してると告げてキスをすると、彼女が呪いを解いて野獣たちを元の姿に戻し、村人たちの記憶を戻すという演出に変えられている。
なお、アニメ版では冒頭のナレーションは神視点にして全くの第三者であるが、実写映画版では彼女がナレーションも兼任している。
主な楽曲
()は原題。また、ミュージカル版では曲の邦題が異なっている。例:「朝の風景」→「変わりものベル」、「ひとりぼっちの晩餐会」→「おもてなし」など。全体的にミュージカル版の方が原題に近い訳となっている。
- 朝の風景(Belle)
- 王子が野獣に変えられるまでのプロローグ、続いてメインタイトルが表示された直後、ベルの初登場シーンで歌われる。本の物語にロマンを寄せるベルと、本を読みながらやって来るベルを変わり者と噂する村人達の歌が交差し、後半からはベルを我が物にしようとするガストンも加わり、どんどん賑やかになっていく。
劇中では、言い寄るガストンを追い払った後、ベルがあんな男との結婚なんて真っ平御免と切り捨てた後に、もっと素敵な世界が待っているはずと草原の中で一人歌う。
東京ディズニーランドのエントランスやディズニーリゾートラインのBGMにも使われており、実際開演前の待ち時間など朝に聞く機会が多い。また、東京ディズニーランドのキャッスルショー「ミッキーのギフト・オブ・ドリームス」では、ベルからドナルドダックに置き換えた替え歌もあったりする。 - 強いぞ、ガストン(Gaston)
- ベルへのプロポーズが失敗し、大恥をかいてふてくされたガストンをなだめながら、酒場でル・フウが村人たちと共にガストンの偉大さを称える。すっかり機嫌を直したガストンも自分の武勇伝を誇らしげに自慢し、悪役(ヴィランズ)の持ち歌ながら、とても明るく陽気な曲である。後半ではベルが捕まったと助けるモーリスを利用する企みを思いつき、村人もガストンに全面協力を約束して成功を前祝いするが、これがガストンのコミカルシーンの見納めとなり、これ以降のガストンは残忍なガチの悪役に変貌する。
- ひとりぼっちの晩餐会(Be Our Guest)
- 野獣の怒りを買い、城に幽閉されて嘆き悲しむベルを慰めようと、ルミエールがお城の仲間達と共に野獣には内緒で晩餐会でおもてなしするシーンで流れる、前半のクライマックスと言える人気曲。その華やかさも相まって、美女と野獣が公開された直後に始まった、東京ディズニーランドのパレード「ディズニー・ファンタジー・オン・パレード」から早速使われ、アトラクションの「ミッキーのフィルハー・マジック」やディズニーランドのいくつものショーやパレードでこの曲を耳にしたことだろう。
実は元々、映画の前半でモーリスが城に迷い込んだ時にルミエール達が歓待する場面で使われる予定だったのだが、ベルとお城の使用人たちの親睦が深まる重要なシーンでもあるなどの理由で、ベルをもてなす時の歌に変更された。なお、当初のバージョンはBDの特典映像などで見ることが出来る。
実写映画版では映像の華麗さがさらにグレードアップしており、ユアンの歌声と合わせて必見かつ必聴。ちなみに、中の人繋がりかどうかは不明だが、シャンデリアに掴まるシーンでは、ちゃっかりブラ=サガリを披露している。 - 愛の芽生え(Something There)
- お城から逃げ出して狼の群れに襲われたベルを命がけで救い、大怪我を負った野獣をベルが介抱したことで、それまで険悪だったベルと野獣の仲が急速に深まっていく。前半はベルと野獣のデュエット、後半では二人をお城の使用人たちが「何かが芽生えた」と温かく見守り、まだお子様のチップだけわからず皆に尋ねる場面も微笑ましい。なお、アニメ版で野獣が歌うのは、意外にもこの曲だけだったりする。
ちなみに、雪合戦のシーンでアニメ版では野獣がベルに雪玉をボコボコ投げられ、大きな雪玉で反撃しようとして自滅しているが、実写版ではベルにガチで雪玉をぶん投げて当ててたりする。また、スーパーファミコンで発売されたゲーム版では、この雪合戦のエリアが鬼畜とファンの間ではもっぱらの評判。 - 美女と野獣(Beauty and the Beast)
- 本作を代表する、ディズニーの中でも一二を争う名曲中の名曲。黄色いドレスのベルが野獣と踊るダンスシーンは、当時まだ最先端だったCG技術を駆使して今見ても圧倒的な迫力と美麗さに息を呑む名シーンとして語り継がれている。
忘れがちだが映画本編では、ポット夫人が歌っているという設定である(二人のダンスシーンが中心で、ポット夫人が歌う場面がほとんど無いのが原因かも)。エンディングのスタッフロールでは、アニメ版・実写版共にセリーヌ・ディオンが歌っているのは先述の通り。
実写版でもアニメにほぼ忠実に再現されているが、実際の撮影で野獣役のダン・スティーヴンスはモーション・キャプチャー用スーツを着て踊っている。BDなどの特典映像だけでなく、ネットでもこの画像がすぐ検索できるが、人によっては本編の感動がぶち壊しになるため注意。 - 夜襲の歌(The Mob Song)
- ベルへの執着心と、彼女のハートを掴んだ野獣への妬みで完全に暗黒面に堕ちたガストンが、野獣を恐ろしい怪物だと村人を騙して扇動し、野獣の城へ向かう曲で流れる。物語も終盤となり、非常に緊迫感のある仕上がりとなっている。
実写版では後半のパートが一部異なり、ガストンたちの攻撃から城を守るためにルミエール達が歌う場面もある他、ガストンの凶行に付いていけなくなりつつあるル・フウが彼を恐れるフレーズもある。なぜか、ウィキペディアではこの曲に個別記事があるのだが、実写版のそれはトランプ大統領への批判も含まれるという解釈にされている。だが、この記事を書いたのは朝日新聞なので非常にきな臭い。
歌詞が過激なので他の楽曲に比べて聞く機会は少ないが、キャッスルショー「ワンス・アポン・ア・タイム」では野獣とガストンの一騎打ちの場面で、観客エリアまで熱さが伝わる燃え上がる炎と共に非常に迫力のある場面となっている。 - 人間に戻りたい(Human Again)
- IMAXの再上映版で新規映像と共に追加された楽曲。「愛の芽生え」の直後に、ベルと野獣が仲良くなっていくのを見たお城の使用人達が、人間の姿に戻れると希望を持ち始めて楽しく歌い踊る。実際には、オリジナル版のテンポを良くするために泣く泣くカットされたが、ミュージカル版で採用されたところ好評だったことから、逆輸入される形でアニメ版にも使われるようになった。よって、映画のオリジナル版をリアルタイムで見た観客、VHS版を見た人からは、「こんなシーンあったっけ?」と驚きの声が上がったとか。
- 時は永遠に(How Does a Moment Last Forever)
- 実写映画版で追加された楽曲その1。映画では二度使われており、一度目は村人達から変わり者扱いを受けて傷心のベルを、モーリスが優しく慰める場面で使われる。ミュージカルでは同様のシーンがあるが、アラン・メンケンは実写映画制作にあたり、ミュージカル版の新曲ではなく、今作のために新たな書き下ろし曲を3曲手掛けている(後述の「ひそかな夢」も、ミュージカル版では同じような場面で別の曲が使われている)。
二度目は、野獣がベルに魔法の本を渡して、ベルが幼い頃に起こった両親の悲劇を知り、野獣がベルの悲しみを知ってお互いを皿にわかり合う場面で使用される。なお、洋画はスタッフロール(クレジット)の時間が非常に長いため、本作では「時は永遠に」→「美女と野獣(セリーヌ・ディオン版)」→「ひそかな夢」の順番で曲が流れる。 - 日差しをあびて(Days in the Sun)
- 実写映画版追加曲その2。「愛の芽生え」の前に、負傷した野獣をベルが介抱する場面で使われている。冒頭では、野獣になる前の王子が幼かった頃に母を失った時の回から始まり、お城の使用人達が野獣の容態が良くなることを願って、自分たちも野獣とベルの仲が深まることで人間に戻れることを夢見て歌う。これによって、再上演版で使われた「人間に戻りたい」が本曲と差し替わる形で使われなくなった。
- ひそかな夢(Evermore)
- 実写映画版追加曲その3にして、実写版最大の目玉と言える楽曲。モーリスの危機を知ったベルを案じて、自分達が元の姿に戻れる希望を捨ててまでベルを城から解放した野獣が、遠ざかっていくベルを見送りながら歌い上げるナンバー。元々アニメ版の野獣は歌うシーンが非常に少なく、ミュージカル版では大幅に歌う場面が追加されたが、アラン・メンケンは実写映画版で敢えてミュージカルの新曲を使わず、この曲を描き下ろした。
美女と野獣の公開に合わせて、野獣の日本語吹き替えを担当した山崎育三郎は、番宣のため様々な歌番組でこの曲を熱唱したことが記憶に残っている人も多いことだろう。
関連動画
ディズニー以外の美女と野獣
関連静画
関連項目
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- ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!
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- ピノキオ(1940年の映画)
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- バンビ(映画)
- わんわん物語
- ヘラクレス(1997年の映画)
- ジャングル・ブック
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