あらすじ
妻に付き合って温泉に出かけた「私」は、混浴の浴場で湯治に来ているらしいある美少女を見かける。恥じらう様子もなく裸体を晒し薄笑いを浮かべるその美少女に、白痴的な魅力を感じる。
それからしばらくして、床屋へ赴いた私はその家の娘らしい少女が鏡越しに自分を見つめていることに気づく。どこかで見た覚えのあるその顔に、記憶を呼び起こそうと少女に注目し始めると彼女は途端に興味を失ったように視線をそらしてしまう。こちらが気がある様子を見せるとすぐ逃げる。少女でも女の性質を備えている、と内心いまいましく思った私だが、不意に彼女があの温泉の少女であることに気づく。
その発見に、思いがけず知り合いに出会ったような満足感を覚える私だった。
解説
太宰治中期の作品。非常に短い小品だが、日常の風景を軽妙な筆致で切り取った心地の良い佳作。
「顔より乳房のほうを知っているので、失礼しました」
「おそらくは、あの少女のこれが父親であろう主人に、ざくざく髪を刈らせて、私は涼しく、大へん愉快であったという、それだけの悪徳物語である」(いずれも本文から引用)
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関連項目
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