聖母たちのララバイ(マドンナたちのララバイ)とは、歌手の岩崎宏美が1982年にリリースした曲である。
概要
作詞:山川啓介・作曲:木森敏之。11枚目のアルバム「夕暮れから…ひとり」のラストに収録。ちなみにまだLPレコードの時代である。『火曜サスペンス劇場』(日本テレビ)の初代エンディングテーマで、オリコンチャート1位を獲得。累計130万枚を売り上げる大ヒットとなった。
元々は完全に『火サス』のエンディングテーマにのみ使用する目的で1コーラス分のみ制作されレコード発売するつもりは一切無かったものの、番組開始当初より視聴者からこの曲に関する問い合わせが相次いだ。そこでこの1コーラスのみの初期バージョンをカセットテープに録音したものを視聴者200名にプレゼントする企画を番組で行ったところ約35万通というとんでもない数の応募ハガキが寄せられ、これに対応する形で岩崎宏美が当時所属していたビクター音楽産業(現:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)が改めてフルコーラスバーションを制作しレコード発売にまでこぎつけたという有名なエピソードがある。
『火曜サスペンス劇場』は日本テレビの2時間ドラマとして1981年から約25年に渡って放送され、人気歌手による主題歌も数多くあるが、”火サス”といえばこの曲なのである。事件がからんだ重たい内容のドラマに、岩崎宏美が情感を込めて歌う「聖母たちのララバイ」はピッタリであった。ところがヒットしたSF映画『ファイナル・カウントダウン』の劇中曲と酷似している、との指摘を受け、木森敏之が盗作を認めたことから作曲者ジョン・スコットの名前もクレジットされることになった。歌手にとっては大変迷惑な話であるが、いい曲であることに変わりはない。
この騒動が影響し、1982年に行われた第13回日本歌謡大賞の大賞を受賞したものの、外国曲のカバーを除外するという不文律がある日本レコード大賞にはノミネートすらされないという事態となった。
オーデション番組をきっかけに高校生でデビューした岩崎宏美は、その圧倒的な歌唱力で数々のヒット曲を放ってきたが、どちらかといえば明るい曲よりもしっとりとしたバラードが似合う歌手である。”戦場”や”戦士”などの言葉が登場する歌詞を渡された時はどう歌えばいいのか悩んだそうだが、この曲をきっかけに彼女の人気は若者だけではなく大人たちにも広がった。「聖母たちのララバイ」はリリースから35年以上たった今でも岩崎宏美の代表曲のひとつなのだ。
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