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お茶でも一杯いかがですか? おーっと!さっそく記事を読みたい気持ちはわかりますが、 はやる気持ちを抑えてまずはお茶でもお飲みください。 多くの人は「あと2杯」の水分が必要とされています。 ![]() ※心臓や腎臓などの疾患を治療中で水分の摂取について制限がある場合は、必ず医師の指示に従うようにしてください。 |
脱水とは、
- 水分を取り除いて乾燥させること。布などから水滴が滴らない程度に水分を抜くこと。
- 有機物から水分子が分離する反応。分子間脱水という。アルコール+カルボン酸→エステル+水分子という反応が代表的。
- 体内から水や電解質が失われ、不足した状態。脱水症。
本稿では3について記述する。
概要
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【ニコニコ大百科 : 医学記事】 ※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。 |
人間は成人男性で1日に2.5Lの水分を排出するので、何もしなければどんどん身体から水分が失われてしまう。体内から10%の水分を失うと筋肉の痙攣や循環不全を起こし、20%の水分を失えば死に至る。食料がなくとも人間は2~3週間は生きられるが、水分が補給できなければ3日ほどでお陀仏である。
言うなれば我々は水分によって何とか生かされているとも言えるだろう。
脱水になるとどうなるの?
軽度から中等度の脱水では、手足の冷感、皮膚の張り(ツルゴール)の低下、呼吸が荒くなる、脈が早くなる、意識が朦朧となってめまいを起こす、発汗の減少、尿が出にくくなるなどの症状が起こる。汗が出なくなれば体温調節がうまく行かず、熱中症を起こして身体が熱暴走し、神経や臓器が不可逆にぶっ潰れる可能性もある。
また血液の循環がうまく行かず、血管が詰まりやすくなって脳梗塞や心筋梗塞、エコノミークラス症候群などの引き金になる。酸素や栄養素の運搬が滞り、重要な臓器が虚血により細胞が壊死して機能低下、腎臓による老廃物の濾過がうまく行かず、腎炎を起こして腎障害を助長する・・・
などなど身体にとって大ダメージなことが目白押しであり、脱水からの回復後も重いステータス異常を抱えて生きていくことになりかねない。
脱水を起こしやすい人
脱水を起こしやすく注意が必要なのが、小児と高齢者である。
小児は体内の水分含有量が多く代謝が活発であり、体重に対して呼気などから失われる水分が多い。高齢者は口の乾きを感じづらくなっており、トイレに立ったり体がむくんだりすることを嫌う、食が細くなっているなどの理由から水分の摂取が不十分になる傾向がある。
また腎臓は身体から必要以上に水分が失われないよう水分を再取り込みする機能があるのだが、小児は発達が不十分なため、高齢者は腎機能が衰えているため必要以上の水分が尿として排出されやすい状態にある。
脱水を未然に防ぐため、水分補給を促す、状況に応じて食事を汁物やおかゆにするなど周囲の人のサポートが大切である。
脱水になったらどうすればいいの?
喉の乾きを感じたらそれは脱水のサインである。軽い脱水であれば水やお茶などでも対応できるが、症状がひどい場合は失われた電解質を補う必要があるため、経口補水液やスポーツドリンクなど電解質を含むものを飲むようにしよう。重度の場合は病院で輸液が必要となる。
熱中症を起こしている場合、痙攣や吐き気などの症状があったり、意識がはっきりしなければ救急車をまず要請しよう。涼しい場所へ移動させ、服を緩めて首や脇の下、太股の付け根などを氷のうで集中的に冷やすことで応急処置ができる。
自力で水分を摂取できる場合は経口補水液やスポーツドリンクで水分を補給してもらい、症状が改善しなければ救急車を要請する。意識がはっきりしない場合は無理に飲ませず、救急車の到着をまとう。
脱水を防ぐにはどうすればいいの?
前述の通り人間が一日に排出する水分は2.5L。人間は一日の食事でだいたい1Lの水分を摂り、体内で0.3Lの水分を作っているので、のこり1.2Lは飲んで補給する必要がある。
一気に1.2L飲んだところでほとんど尿として捨てられてしまうので、小分けにして定期的に摂るのが望ましい。日本人は水分の摂取が不足している傾向にあり、厚労省は「健康のため水を飲もう」推進運動として呼びかけを行っている。平均的には「あと2杯」の水分を摂ることで一日に必要な水分を確保できるとされる。寝ている間や入浴中は汗を多くかくため、普段の食事に加えて起床時、入浴前、就寝前などに水分を摂るようにしよう。喉が渇くのは既に脱水が始まっているサインなので、喉が乾く前に水分を摂る習慣をつけると良い。
カフェインを含むお茶やコーヒーは利尿作用があるため経口補水液などと比べ脱水時の水分補給には向かないが、日常的な水分補給として取る分にはある程度のところで利尿作用の耐性が生じるため特に問題にはならないとされる。
アルコールは強い利尿作用を持ち、飲んだ以上の水分が身体から出てしまうため、水分補給の役割を果たさない。炎天下のバーベキューでアルコールを飲むと脱水のリスクが跳ね上がるので別途水分を摂るようにしよう。
夏場の室内ではエアコンや扇風機、除湿機などを活用し、室温計、湿度計などを併用して快適な環境を保つようにする。冬場も暖房で水分が失われるため、同様に湿度と温度の管理を行うことが重要である。気温が高い日の外出や運動時は水分補給を怠らないように。
脱水をチェックする方法としては尿の色を目安にするのが簡単である。尿の色が濃くなっている場合は水分を摂るようにしよう。
皮膚をつまんで離す、親指の爪の先を押してみるのも脱水の簡単な発見法である。3秒以上つまんだ形から戻らない、爪の先の赤みが戻らない場合は脱水の疑いがある。
電解質って何?水だけ飲んでちゃダメ?
まあ普段はダメじゃないけど・・・
ややこしい話だが、体内の水分(体液)と「水」はイコールではない。体液にはナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオンを中心とした電解質(イオン)が含まれており、細胞はイオンを利用して代謝を行っている。したがって、これが濃すぎても薄すぎても細胞や臓器がうまく働けなくなってしまうのである。一気に水を飲むと一気に尿として排出されるのはイオンの濃度が急変しないようにするための正常な反応である。
電解質を含まない「水」の摂取が不足していると体液中の電解質濃度が高くなり「高張性脱水」が起こる。また嘔吐や下痢などで電解質を多く含む体液が失われると、電解質濃度がやや低下し「等張~低張性脱水」が起こる。電解質が失われた状態でいくら水を飲んでも電解質濃度が低下するばかりで一向に症状が良くならないのである。軽度の場合は唇や指先に少し違和感を感じたり渇く感覚が抜けなかったりする程度だが、やや重くなると貧血気味になったり一時的に視覚に影響が出たりする。
結局、我々にできる対応としては普段からこまめに水分を取り、脱水に見舞われた場合は経口補水液などで電解質と水を補って正常な状態に戻すことであるのは変わりない。輸液で水分や電解質を補給する際は、検査所見や身体所見から適切な成分のものを選択する必要があるのだが、そこらへんは医療従事者の仕事である。
ただし、アスリートなど汗をかくことに慣れた人は、汗として流れた電解質を汗腺から再度吸収して電解質の不足を遅らせる機能がある。したがって、如何なる時も生理食塩水並みの濃度の塩分を補給しなければならない、というわけではない。また、スポーツドリンクは電解質が適切に配合されているが同時に糖分も多いため、あまり動かないのに水分補給として常用しているとそれはそれで問題になる。塩分は食事から取れるので、水分補給はただの水やお茶で済ませても問題無いことが多い。
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