脳外科医 竹田くんとは、はてなブログにて投稿されているWeb漫画である。作者は竹田くん。権利元は「脳外科医 竹田くん」製作委員会。
概要
架空の都市・赤池市の市民病院で起こった医療事故、そして院内でのずさんな事故対応などを題材にした医療4コママンガ。はてなブログでは2023年1月24日から投稿しており、大抵1~2日に1話の頻度で投稿されていた(リンク)。かつてはPixivでも投稿していたが、漫画の説明文を入れることができないとの理由で投稿を中断し、現在は非公開になっている。
描写に関してはある程度デフォルメ化されているものの、医療事故を扱った漫画とあってショッキングな内容が多いため、閲覧には注意が必要である。
元ネタは、2019年~2020年にかけて起きた赤穂市民病院連続医療事故。事故調査報告書や報道だけでは知り得ない情報まで織り交ぜられていることから、作者が事故関係者なのではないか、事故関係者が作者に情報提供をしているのではないかなどと噂されていた。
その後、NHKなどの主要メディアが赤穂市民病院連続医療事故を取り上げたり、2024年12月にはモデルとなった医師が在宅起訴されたりするなか、2025年2月5日に作者が声明文を発表(リンク)。「制作の意図などについて事実と異なる憶測が生じることがないよう、漫画作者としての思いを読者の皆さまにご説明させていただきたいという考え」のもと、制作の目的・経緯などを説明している。その中で、作者が連続医療事故被害者(本作第40-45話の福永さん)の親族であること。営利目的ではないため、出版依頼はすべて断ったこと。モデルとなった医師によって発信者情報が開示されたこと。仮にその医師から法的措置が取られたとしても、粛々と対応する予定であることなどが明かされている。
あらすじ
第一部 医療事故篇(1話~55話)
赤池市民病院の脳神経外科科長を務める古荒の部下として、竹田(通称:竹田くん)が着任。医局にも属しておらず、前の職場でも「止血が出来ない」「困った奴」と散々な評判だが、そんな竹田くんを育てようと、古荒は多くの手術を任せる。しかし、竹田くんが執刀した手術では高頻度で再手術や重度の後遺症が発生し、患者、そしてついには院内のスタッフ間のトラブルまで勃発する。果たして赤池市民病院の今後はいかに。
第二部 野望篇(56話~106話)
数多くの医療事故により、ついには執刀禁止まで言い渡された竹田くん。しかしなんとしても手術をしたい竹田くんは、医療事故の全責任を古荒医師になすりつける虚偽報告書の作成、有力者の父親経由で赤池市長に圧力をかける、人権派弁護士に依頼しリーガルバトルを挑もうとするなど、あらゆる手を使って執刀禁止処分を撤回させようとするが……。
第三部 隠蔽工作篇(107話~142話)
竹田くんによる医療事故がついに全国報道され、窮地に陥った赤池市民病院。そんな病院側が取った対応は、医療事故の内容を大したことがないように隠蔽工作することだった。しかし病院側に脳神経外科学会から最後通牒が突きつけられ、病院は存続の危機に陥っていく。
第四部 ---篇(143話~)
登場人物
赤池市民病院のスタッフ
- 竹田くん
- 本作の主人公。赤池市民病院の脳外科医師の一人で、古荒医師の部下。
- 医療の手技が拙いにもかかわらず手術をしたがるという厄介な気質を持ち、赤池市民病院に着任して早々、数々の医療事故を起こす。
- 勤務態度にも問題があり、時を経るにつれ、院内の職員との関係性は悪化していく。
- 古荒医師
- 本作のもう一人の主人公。赤池市民病院の脳神経外科科長で、竹田くんの上司。
- 上司として竹田くんを根気強く教育を続けるものの、ミスに対して甘やかしがちで、連続医療事故を止められなかった原因ともなっている。
- 本作のストーリーは基本的に古荒医師の視点で描写される。
- 富士院長
- 赤池市民病院の院長。古荒医師の上司。
- 医療安全推進室の報告を受けるまで脳外科の横暴に介入しなかった。
- また、竹田くんによる医療事故報告書を虚偽と把握しながら、病院の正式な報告書として認めてしまった張本人でもあり、定年まで残りわずかであることから、医療事故をひたすら隠蔽しようとした。
- 黒石副院長
- 赤池市民病院の副院長兼医療安全室長。
- 患者が放射線を大量被爆しているにもかかわらず、手術を続行した竹田くんを力づくで中止させた。
- 野洲技師長
- 赤池市民病院に務める臨床工学技士(高度な医療機器を扱う国家専門職)。メガネをかけている。
- 竹田くんがあまりにも医療事故を引き起こすことから、竹田くんの手術に対し、ほかの臨床工学技士とともにボイコットを起こす。
- 森中
- 赤池市民病院の医療安全推進室の職員。元看護師。顔にシワが多い方。
- 竹田くんによる医療事故報告書を虚偽と把握しながら、身内しか見ないからと容認してしまった。
- 杉下
- 赤池市民病院の医療安全推進室の職員。元看護師。体型がぽっちゃりしている方。
- 竹田くんの医療事故被害者の親族をクレーマー扱いし、取り合わなかった。
- 花房看護部長
- 赤池市民病院の看護部長。
- 竹田くんの勤務態度や暴言に疲弊する看護師を気遣っている。
- 婦長
- 赤池市民病院の看護婦長(看護師長)。
- 竹田くんの手術により後遺症が残った患者を、リハビリ施設にたらい回しにした。
- また、術後に重い障害を患った福永さんに対して、いじめをしたと見られる描写がある。
- オペ看
- 赤池市民病院のオペ看護師(手術の補助を行う看護師)。ポニーテール。
- 竹田くんの医療事故に対して常にキレ散らかしている。
- 山崎医師
- 赤池市民病院の脳外科医師の一人で、古荒の部下。
- 長身でメガネをかけている。初期に登場したものの、それ以降出番はあまりない。
- 森研修医
- 岡山から来た女性の研修医。
- 竹田くんによるずさんなカテーテル手術を目の当たりにした。
- 金田研修医
- 岡山から来た男性の研修医。
- 院沢
- 赤池市民病院の看護師。
- 森研修医が目の当たりにした手術の件で、親族に寄り添うよう竹田くんを叱責した。
- なお、この件で竹田くんから逆恨みされ、不破弁護士の圧力を受けた病院側から懲戒解雇の検討をされた。
- 銀谷秘書
- 赤池市民病院の医療秘書で、作品開始当初は竹田くんを担当していた。
- のちに「仕事が出来ないから」との言いがかりで担当を交代させられた。
- 東出事務局長
- 赤池市民病院の(元)事務局長。竹田くんの階段転落事故の聴取を担当した女性。
- 赤池市職員の相次ぐ不祥事のあおりを受け、物語中盤で異動となった。
- 兵頭事務局長
- 赤池市民病院の事務局長。東出事務局長の後任。
- 竹田くん階段転落事故の主犯が古荒医師だと決めつけている。
- 柴井医療課長
- 赤池市民病院の医療課長。
- 地元新聞社からの連続医療事故に関する取材に対し、正直に回答した。
- なお、正直に回答したことに対し、後悔しているような描写がされている。
患者
- 30代女性
- 最初に竹田くんの手術を受けた患者。
- 脳腫瘍の摘出手術を受けたものの、腫瘍の8割が残ったままという結果に。
- 古荒医師が二度目の手術で尻拭いし、無事退院した。
- 80代男性(銀髪の男性)
- 竹田くんの起こした最初の医療事故の被害者。
- 水頭症と診断され手術を受けるも、術後に嚥下機能障害(ものを飲み込めない)が残る。
- 40代男性
- 竹田くんの起こした二番目の医療事故の被害者。
- 三叉神経痛と診断され手術を受けるも、術後に重度の聴覚障害が残る。
- 90代女性
- 竹田くんの起こした三番目の医療事故の被害者で、最初の死亡者。
- 大脳動脈塞栓症の開栓手術を受けるも、頭蓋内出血を起こし、意識レベル低下。
- 元々の持病も悪化し、死亡退院となる。
- 貝山さん
- 竹田くんの起こした四番目の医療事故の被害者。75歳の女性。
- 後縦靭帯骨化症の手術を受けるも、ドリルで誤って頸椎の神経を切断され、回復不能、かつ永続的な四肢麻痺を患うことになった。
- 大量被曝した患者
- 竹田くんの起こした五番目の医療事故の被害者。
- 竹田くんが手術に没頭するあまり、手術時間が長くなり、大量の放射線に被曝した。
- なお、作中では名前や性別、年齢などは描写されていない。
- 80代男性(白髪の男性)
- 竹田くんの起こした六番目の医療事故の被害者。
- 頚椎症の手術を受けるも、術後に重度の嚥下機能障害が残った。
- 60代男性
- 竹田くんの起こした七番目の医療事故の被害者。
- 術後、シャントチューブが心臓腔内に迷入していることが判明。
- 古荒医師が再手術を行い、事なきを得る。
- 福永さん
- 竹田くんの起こした八番目の医療事故の被害者。70代の女性。
- 脊柱管狭窄の手術を受ける。患部のうち、1箇所は古荒医師が執刀したものの、もう1箇所は竹田くんが執刀。その結果、竹田くんがドリルで神経の一部を切断。
- 術後に神経障害性疼痛・歩行障害・膀胱直腸障害などを患うことになった。
- 冬国さん
- 竹田くんの起こした九番目の医療事故の被害者で、二人目の死亡者。60代の男性。
- 脳腫瘍の手術を受けるも、生命維持に必要な箇所まで切除してしまい、約2ヶ月後に逝去する。
- 脳腫瘍があるとは言え、術前は健康的に過ごしていたことから、病院に対して親族から最も高い温度感で抗議された。
- 80代女性
- 竹田くんの起こした十番目の医療事故の被害者で、三人目の死亡者。
- 脳梗塞のカテーテル手術に失敗した結果、脳梗塞が広範囲で起こり、脳死した。
- 80代女性(直接の描写なし)
- 竹田くんの起こした十一番目の医療事故の被害者。
- 当時竹田くんは執刀禁止処分を受けていたものの、古荒医師の逆上により急遽執刀することとなった。
- 結果、肺挫傷を患うことになった。
その他
- 浅尾先生
- 京都の脳外科医で、竹田くんの元職場の上司。
- 竹田くんを「困った奴」と評し、一切手術をさせてこなかった。
- 海崎教授
- 竹田くんの研修医時代の指導医。
- 竹田くんを医局から破門にした張本人でもある。
- のちに、竹田くんが助手を務めていたときの手術の件で訴訟されることになる。
- 薬師丸先生
- 脊髄の専門医で、黒石副院長の知り合い。
- 竹田くんの医療事故の検証を依頼され、「ありえない手技」などと酷評した。
- 偶然だが、古荒医師が研修医だったときの指導医(大学院時代)でもある。
- 竹田パパ
- 竹田くんの父親。赤池市市長(赤松)や赤池市民病院に対して、竹田くんの執刀禁止処分を解除するよう圧力をかけた。
- 赤松市長
- 赤池市の市長。竹田パパから竹田くんの執刀禁止処分を解除するよう圧力を受ける。
- 不破弁護士
- 人権派弁護士。竹田くんの依頼を引き受けた。
- 赤池市民病院に対して竹田くんの執刀禁止処分を解除するよう、要求した。
- 地元新聞B社 記者
- 病院の経営改善計画の記者会見において、最初に竹田くんの連続医療事故を追及した記者。
- メディアによる第一報も彼が手掛けている。
- 地元新聞A社 編集長
- 地元新聞B社による追及を聞き、連続医療事故と病院側の隠蔽工作に関する独自取材を指揮・監督。
- 詳細な内容を紙媒体とネットで報道した。
関連動画
関連項目
外部リンク
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