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腹筋(ふっきん)とは、人体にある筋肉の一種。またはそれを特に使うような運動方法の通称。(腹筋運動)
概要
大まかにヘソのあたりのお腹の筋肉がこう呼ばれている。
ある程度以上鍛えている人の腹筋はブロック状のような形に割れる。
ニコニコ動画等では、人体の中で最も崩壊しやすい部位として知られる。
普通「腹筋」と言うと、それは殆どの場合「腹直筋(ふくちょくきん)」と言う筋肉の事を指している。
鍛えることで冒頭お絵カキコのように割れたりするのは腹直筋である。
医学的には、腹直筋と「錐体筋(すいたいきん)」を合わせて「腹筋」と言う。
腹筋とは、イメージで言えば冒頭の通りへその辺りの筋肉であるが、医学的には恥骨(腰骨)の上から肋骨の下までの筋肉を腹筋と呼ぶ。
つまり下腹部の筋肉も腹筋に含まれる。
こんな事に使う筋肉
- 身体を前方に折り曲げるとき
いわゆる「腹筋運動」。地面に仰向けに寝た状態から上体を起こす動きは、ほぼ腹筋の力によって行われる。
(重心の関係で足をピンと伸ばさないといけない事が多いので、全身で言えば腹筋だけではないが)
上半身の前面にある筋肉としてはその他に胸の筋肉があるが、上半身で折り曲がるのは殆どお腹の部分だけなので、「身体を前に折り曲げる」という動作においては胸の筋肉はあまり使わない。
なお、同じ「前に折り曲げる」動作でも、立った状態から前に屈む動作の場合は腹筋と背筋が3:7くらいでありどちらかと言うと背筋の仕事である。 - 腰をひねるとき
腰(お腹の部分)を捻って左右を向く場合、腹筋と背筋の合わせ技で身体を捻るため、腹筋が必要。 - 呼吸をするとき
呼吸とは肺の収縮でポンプのように空気を吸い込んだり吐いたりすることで、その肺を収縮させているのは主に横隔膜と言う筋肉だが、横隔膜の力だけで呼吸をしている訳ではない。
深呼吸をすると自然とお腹が少し膨らんだり凹んだりするように、呼吸は腹筋と密接に関わっている。 - 正しい姿勢を維持するとき
知っての通り人体は背骨によって支えられているが、背骨は一直線にまっすぐの骨ではない。横から見るとややS字のカーブを描くように曲がっている。この背骨のカーブは、ちょうど腰のあたりで体の前面に向かって湾曲している。(平らな地面に仰向けにねると、へその真後ろのあたりが浮いて床との間に隙間が出来るのが分かるだろう)
腹筋の筋力が正常にある人は腹筋の弾力によって背骨が支えられ、あまり曲がってしまわないようにバランスが取れている。が、運動不足により腹筋が弱まっている場合、腹筋が背骨を支える事が出来ず、この背骨のS字の曲がり具合が大きくなってしまう。背骨が曲がると腰痛などの原因になる。
同様に、筋トレで腹筋と背筋のどちらかを鍛えすぎてバランスが崩れた場合も腰痛などを引き起こすが、最悪の場合ヘルニアの原因にもなる。腹筋・側筋・背筋はバランスよく鍛えよう。 - ボディブローを耐えるとき
頭部への攻撃ほど瞬間的には効果が無いが、腹部は内蔵が集中している他、上記の通り呼吸機能にも関わっているため、遅効性で相手のスタミナを削るための攻撃のために目標にされる事が多い。
しかし腹筋を鍛えぬくと、力を入れて踏ん張ったときの固さは相当なものになり、その固さは軽いパンチなど弾き返してしまうほどの防御力を誇るようになる。 - 人体を崩壊から守るとき
「笑う」と言う行動は一般的にストレス解消などに良いとされているが、度が過ぎると体全体がバラバラになって崩壊してしまうという危険を秘めている。そんなとき、腹筋が身体にかかる負荷を和らげ、代わりに崩壊してくれる事で命の危険を回避する。
このような事態が発生し得る動画には、「腹筋崩壊」と言うタグが付いているので注意。
お腹の贅肉
運動不足などで太ってしまった場合、最も顕著に贅肉が出るのもお腹である。
が、「お腹の贅肉を減らしたいから」と言う理由で腹筋運動を繰り返して腹筋を鍛えるのは、こと「痩せる」と言う目的に置いては間違いだと言える。
そっれは、筋肉はそもそも「白筋」と「赤筋」の2種類が存在し、これらは性質の違いによって「どのような運動に向いているか」「どのようなエネルギーを主に消費するか」「どのような見た目になるか」が違う、という点からの話になる。
根本的に個人差によってこの筋肉の割合はいくらか異なる他、体の部位によっても筋肉の割合が違う。
- 白筋
瞬発力を必要とする運動に力を発揮する筋肉。短距離走やバーベル上げ、幅跳びなどの運動に使われる。
エネルギーとして主に糖分を消費する。
鍛えると鍛えただけ筋繊維が太くなる。 - 赤筋
持久力を必要とする運動に力を発揮する筋肉。長距離走や水泳に使われる他、死ぬまで鼓動を続ける心臓の動きもこの筋肉の力によるもの。
エネルギーとして主に脂肪を消費する。
鍛えても白筋ほど筋繊維は太くならず、割とほっそりとしたまま。
同じ「走る」と言う運動でも、例えば100m走と200m走で同じ選手がどちらの上位にも食い込む事はあるが、短距離走選手が長距離走で活躍する事はほぼ無い。逆もまた然りで、フルマラソンの有名選手がハーフマラソンでも結果を残す事はあるが、その選手は短距離走で結果を残すことはまず無い。
トップアスリートレベルになると、生まれ持った筋肉の割合が超えられない壁となるからである。
また、短距離走の選手は割とごつい身体をしている人が殆どだが、マラソン選手は比べてみると驚くほどほっそりとしているのも分かるだろう。
生まれつき太りにくい人と太りやすい人がいるのもこれが関わっており、生まれつき赤筋が多めで長距離走向けの身体をしている人は何をするにしても赤筋の働きが多めになり、脂肪=太ったときに皮膚下に蓄積される贅肉 を優先的に消費するため、太るそばからすぐ痩せるという訳。
(もっとも、違いがあるといっても、赤白筋の割合は50:50前後で殆ど変わらないため、あくまで「太りにくい」「太りやすい」だけな事に注意)
余談だが、「白身魚」と呼ばれる魚とそうでない魚がいるのもこれと同じ理由による。
ヒラメなどの白身魚は餌をとったり外敵から逃げるときに一瞬ですっ飛ぶ瞬発力を必要とするので白身=白筋が多い。逆にマグロなどの大型の回遊魚はあまり外敵に襲われる事が無いが、常に泳ぎ続けていないと呼吸が出来ないため、身は殆どが赤身である。
で、腹筋は白筋多めに構成されている部位である。
加えて腹筋運動は瞬発力によるところが大きい運動方法であるため、腹回りに贅肉が付いたからと言って腹筋を繰り返しても、筋肉はその脂肪よりも体内の糖分を優先的に使ってしまうため、疲れるばかりで贅肉は中々減らない。
さらに、腹筋運動を続けていると腹筋が鍛えられてしまい、筋繊維が固く太くなって余計に腹回りが太くなる事さえあり得る。
お腹周りの贅肉を減らしたいのであれば、その他の部分の贅肉と同じように、ジョギングや水泳などの持久運動を行う事をオススメする。
あるいは、足上げ腹筋などで赤筋を鍛えるか、側筋・背筋を併せてバランスよく鍛える。
関連動画
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関連項目
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