自作パソコンとは、必要なパーツを購入して自分で組み立てたパソコンのことである。
基本的にIBM PC/AT互換機のことを指す。タグは主に「自作PC」。
概要
構成パーツを自分で選んで入手し、自分で組み立てを行ったPCのことである。完成された状態で納品される既製のメーカー製パソコンと区別するためにこう呼ばれる。
「自作」といっても当然だが各パーツまですべて1から自分で作るわけではなく、実態は「自組み」とでも言った方が正確ではある。
一部パーツが装着済みの半完成品として売られている「ベアボーンキット」をもとに組み立てたものも広義には自作PCと言えるだろう。知人などに作ってもらった場合「他作パソコン」と呼ぶ場合もあるが、これも広義には自作PCと言う場合もある。希望するパーツを企業側に要求して作ってもらうものはBTO(Built To Order)と呼ばれる。BTO機などにパーツの追加・入れ替えをしているうちに、事実上自作PCと変わらなくなることもしばしばある。
歴史
日本での普及の始まりはWindows3.0/3.1/95の時代、すなわち1990年前後といわれる。Windowsの普及とともに当時割高だったNEC PC-98シリーズ等の国内製PCにこだわる必要がなくなったため、一部のユーザがPC/AT互換機(DOS/Vマシン)を自作しはじめた。当時はメーカー機で40万円、同等スペックの自作機で30万円といった具合で、自作機が圧倒的に安上がりなうえカスタマイズの自由度が高く、PC愛好家を中心に徐々に浸透していった。
当初は国内でPCパーツを扱う店は非常に少なく、秋葉原のいわゆる「裏通り」に点在するごくごく限られたショップで入手できる程度であった。望み通りの構成で自作したい場合、パーツ1点単位で個人輸入せざるを得ないことも多かった。
しかし1990年代後半以降は徐々にPCパーツの販売店舗が拡大し、秋葉原にはツクモ電機による大型ショップがオープンし、同じ頃には地方にも小規模なショップが続々オープンしていった。次第にヨドバシカメラやビックカメラ、ケーズデンキなど一部の家電量販店もPCパーツを取り扱うようになると同時に、ネットでの販路も徐々に広がりを見せた。2000年代後半頃にはネット通販が一般家庭にも普及し、パーツの入手性は飛躍的に向上した。
2022年現在、世界最大手のAmazonを筆頭に無数のネットショップが乱立し、価格競争にしのぎを削っている。今やネジ1本から数十万円するような超高価格プロセッサーまで、ありとあらゆるパーツをネット上で誰でも自由に購入可能である。一方、実店舗でのパーツの取り扱いは近年縮小傾向で、都市部の専門店や一部大型店に集約されてきている。
以前は自作の大きなアドバンテージであった価格面は、メーカー製PCの価格低下やBTOメーカーの充実に伴い今や既製品とほぼ変わりなくなっている。むしろ既製品ほど大量生産によるコストカットが可能でユーザーサポートが充実していることを考えると、BTOパソコンより割高という見方もある。しかし、自分の好みやニーズに最も合ったPCを作れる手段であることに変わりはなく、また製作過程自体を楽しむ人も多いこと、2010年代後半以降国内でのゲーミングPCのニーズが高まっていることなどもあり、相変わらず愛好者は多い。
パソコン自作の方法
構成、組み立て、設定、運用(トラブルシューティング)の各段階に分けられる。
最近では自作のハウツーを解説する本や雑誌がごく普通に販売されているので、初心者が組み立てるハードルは高くない。ニコニコ動画、YouTubeなどの動画サイトにも初心者向け解説動画は非常に充実しており、パーツ選びからトラブルシューティングまで参考になる。
構成
PCの自作は、入手性と予算を考えてパーツ構成を練ることから始まる。必須のパーツは以下のとおりである。
これにグラフィックボード、I/O拡張ボードなど自分の用途で必要なパーツを追加し構成を決める。ぶっちゃけこの段階が一番楽しいという場合も多い。
無用なトラブルを避けるため、ある意味最も時間をかけるべきプロセスともいえる。後述するようにミスや相性問題を予防するためには、できれば買おうとしているパーツについてネットで事前に他人の使用経験の情報をできる限り収集しておきたい。
組み立て
組み立ては基本的に、規格化されたコネクタを接続したり単純なネジ止めをしたりするだけ。事前に用意が必要な工具は基本的にプラスドライバー1本のみ。近年はパーツ側の工夫によってネジ止めすらも不要となっている接続部も多い。
知らない人には誤解されがちだが、電気工作の知識や技術は必要ない。回路図、基盤レイアウト、ハンダ付けなどといった内容はPCを自作するだけなら基本的に要求されない(魔改造に魅入られたごく一部の変態マニアを除く)。よく「組むだけならガンプラの素組みよりも簡単」とも言われる。
なお最近はケースの一部が透明で内部が見える仕様となっている場合が多く、美しさにこだわる場合はパーツ選びや配線の仕方にもそれなりの工夫とセンスが求められる。
設定
メーカーPCはあらかじめパーツの動作設定や必要なドライバのインストールが済んだ状態で売られているが、自作の場合はこれらが済んでおらず、マザーボード上の設定を初期状態から最適なものに変更したり、OSに各パーツのドライバを一つ一つ組み込んだりする必要がある。2020年以降はマザーボードのメーカーがOSインストール後に必要なドライバを一挙にインストールできるアプリを提供している場合も多く、その充実ぶりもマザーボード選定の重要なポイントとなっている。
ただし、BIOS(バイオス:マザーボードにインストールされた、全パーツを作動させるのに必要なソフト)の設定はデフォルトでは互換性(どんなパーツでもとりあえず型どおりに動かせる)を重視した内容になっている事がほとんどで、各パーツの性能を100%引き出すためには適切な設定への変更が必要であり、ある程度の知識は必要。
しかしこの敷居も以前よりは大幅に下がっている。たとえばかつては「HDDの動作をIDE互換モードからAHCIネイティブモードに変更することで性能が40%増加した」などといった極端な例もしばしばあったが、今や各パーツの規格はメーカー間で統一がかなり進んでおり、互換性重視の設定に従うだけでプラスアルファの設定を行わなくても100%の性能で動いてくれる場合が大半である。しかし、ときおり最適でない初期設定になっていることに気づきにくい場合もあるため(特にグラフィックボード関係では今でもありがち)、できれば一つ一つ丁寧に見直したい。
トラブルシューティング
規格統一が進み簡便性の高まった今や、組み立てと単純な初期設定のみですんなり動いてしまうことも多い。
…が、そんな今でもなお、予想外に上手くいかない場合があるのが自作PCだ。
- スイッチを押しても何も動かない!
- スイッチは入ってファンは回るけど画面が写らない…
- なんかファンが超高速回転して止まらない!うるさい!
- ちゃんとつないだはずのSSDが認識されない!
- OSインストールが途中で止まった…
…などなど、経験豊富な人でも「あれ?」というトラブルは日常茶飯事である。
トラブル際には設定ミス、組み立てミス、パーツの初期不良…と問題を起こしている場所をソフトからハードまで順を追って確認し、どのパーツのどんな種類のトラブルなのか自力で突き止めて対処する必要がある。
ときには「パーツ自体や組み立て方には一切問題がないが、別の特定のパーツと組み合わせたときだけ動作が不安定になる」という、いわゆる「相性問題」もあるのがややこしい。最近は規格の統一化が進んだため相性問題は以前より激減してはいるが、それだけに相性問題だと結論づけることも容易でなく、一般の個人で相性問題が起こってしまうとパーツの初期不良との識別が難しく対応に苦慮するのも事実である。
自作PCにはこういったトラブルシューティング能力が要求される。まったくの自作未経験であれば、経験者の判断を仰ぐのは非常に有効だろう。今はWeb上やSNSなどでもいくらでも質問でき、動画サイトで失敗談を数多く学習できるとても良い時代だ。積極的に勉強して能力を高めることは今後にとても役に立つだろう。
もっとも、こういった試行錯誤こそが自作PCの醍醐味であるとする意見は根強い。
メリット
既製品(メーカー製PC)と比較すると、以下のようなメリットが存在する。
- 必要な機能を取捨選択することにより、コストを抑えることができる場合がある。
- ケースの取捨選択や使い回しにより、好みの外観と性能を兼ね合わせたPCにできる。
- メーカー製PCには無いような、特殊な仕様のPCを組むことができる。
- 故障や陳腐化したパーツを交換して、PC自体の延命を安価かつ小まめに図ることができる。
(動くパーツは使い回せ、PC一式の買い替えが不要) - 故障したパーツを突き止められれば、代わりのパーツの調達ですぐに復帰できる。
(診断・修理のためPCを丸ごとメーカーに送る必要が無い) - 余計なソフトウェアやレジストリの含まれない、クリーンな環境を実現しやすい。
- データ用内蔵ドライブパーツを使いまわすことで、乗り換え時のデータ移動の手間を省ける。
- 前のPCで使っていたOSを、ライセンスに則る限り継続して使用し続けることができる。
- パーツを選び、組み立てる時のワクワクを感じることができる。
- 必然的にPCのハードウェア・ソフトウェアに詳しくなり、PCの維持管理能力が大幅に上がる。
一方で以下のようなデメリットも存在する。
- 組み立てたPCの動作は保障されておらず、トラブルの際は自力で解決しなければならない。
(パーツ単位でのサポートや、ショップ独自の相性保証などは存在する。) - BIOS設定、OSインストール、ドライバ適用などの知識、環境構築の労力を要する。
- 多くのメーカー製PCに付属するようなリカバリーディスクは自力で作らない限り存在せず、OSが破壊されて起動できないといったケースでは前項の手間が再度発生する。
- 自作PC用パーツは海外製がほとんどである。説明書や設定画面で一定の(最低でも中学3年程度の)英語理解が必要となることが多く、また日本国内でのサポート体制が貧弱なメーカーも多い。
- Microsoft Officeなどのアプリケーションを別途購入していくと割高になるケースもある。
- 自作PCをやっていることを友人などに安易に話すとPC修理を頼まれたり、逆に引かれたりして色々面倒な事になる。
構成パーツ
個別記事も参照のこと。
必要最低限の物
パーツ | 説明 |
---|---|
マザーボード |
すべてのパーツが接続される基礎・土台であり、文字どおり「母なる板」。マザー、マザボ、M/Bなどの略称があるほか、ネットスラングで「ママン」などと呼ばれる事も。 「スイッチを押されたらどのストレージからソフトを起動するか」「どのパーツをどんな速さで動かすか」など全パーツと周辺機器の動きを管理する、いわば「PCの総監督」である。 なおマザーボードの交換は「全パーツの再接続」を意味し、非常に手間がかかるうえ、Windowsのライセンス認証でも引っかかることがある。新しいパソコンを組むのとほぼ同じ行為と考えた方がよいだろう。 マザーボードの中身以下の各部品の集合体である。
搭載されているチップセットの種類によって、使用できるCPUやメモリの形式、オーバークロック可否などの大まかな仕様が決まる。パーツの規格が違うと組めないため、マザーボードとパーツの両方の仕様をよく確認すること。特にCPUは「別規格の製品と端子の形が同じで物理的に固定はできるが、認識はされず使用できない」といった非常に紛らわしいパターンがあるため、メーカーサイト等で十分な確認が必要だ。 また製品ごとにオンボード機能(グラフィック、RAID、ギガビットイーサネットなど)は千差万別である。一般に、高価なものほど高性能なチップセットと豊富な拡張スロット、電源周りの高品質なパーツ、充実したユーティリティソフトなどを有する。 マザーボードには「BIOS(バイオス)」というソフトウェアが搭載されている。マザーボードと接続パーツの動作を監督するソフトウェアであり、これに基づいてOSのインストールなど行うこととなる。かつては英字の羅列でいかにも難しいマニアックなソフトという雰囲気だったが、近年は「UEFI」という、OSに近い見た目と操作感のBIOS管理ツールがほとんどのマザーボードに搭載されており、メーカーごとに日本語化されていたり、ネットワーク接続やCPU不要のBIOSアップデートに対応していたりと工夫され、かなり高機能化している。 マザーボードのサイズ規格マザーボードと対応するケースのサイズの規格はあらかじめ決まっており、ケースとセットで決める必要がある。 の三種類が代表的である。 マザーボードのサイズと性能の高さには直接的な関係はなく、ATXとmicroATXで同じ価格帯の製品が展開されていることが多い。しかし大きいマザーボードの方が多くの拡張スロットを搭載しており、将来的な拡張性は高い。またMini-ITXになるとサイズの関係でオーバークロックに適した電源回路は搭載されない場合も多い。ケースを部屋に置くことができるかどうか、拡張性や求める機能が十分かどうかでサイズを決めよう。 この他、ATXサイズを拡張した「E-ATX」や「XL-ATX」、サーバー・ワークステーション用の「SSI-CEB」等の特殊なサイズのハイエンドマザーボードもあるが、これらは一般にとても高価で、対応ケースも限られ、一部のマニアを除き個人のPCではあまり採用されない。 |
CPU |
また画像描画機能(GPU機能)が統合された製品も多く、その場合はかつて専用GPUを必須とした画像出力をこれ1個で賄うこともできる(この機能を持たないCPUの場合や、それでは満足できない場合は「グラフィックボード」が必須パーツとなる)。 が定められており、主にこれらの差で性能が決まる。いずれも多いほど速く、かつ消費電力も増える傾向にある。用途によっては高性能すぎるモデルは電力ばかり喰って持て余すし、省電力モデル等は価格対性能比が悪くなる傾向にある。用途と価格を十分に考慮して最適な品を選定しよう。 なおグラフィックボードを(特にゲーム用途で)積む場合、CPUが低性能だとグラボの処理以前にCPU側がボトルネックになってしまう。これは高性能なグラボほど顕著になる。グラボに見合った十分な性能のCPUを選びたい。 一般に推奨されるCPUコア数の選び方
CPUメーカーについて現在、Intel(Core i、Pentium、Celeronなど)とAMD(Ryzen、Athlon、FXなど)の2社が市場をほぼ占めている。 自作PCの主なターゲットであるゲーム用途で重要なシングルスレッド性能では長らくAMDよりIntelに分があったこともあり、シェアはIntelが圧倒的だった。しかしAMD社が2017年にマルチスレッド性能で高コスパを誇る「Ryzen」を、2018年に16~32コアのマルチスレッド特化CPU「Ryzen Threadripper」を立て続けにリリースし大きな注目を浴びた。迎え撃つIntelも主力「Core i」シリーズのラインナップを大幅に強化したが、折しも同社CPUは長期にわたって深刻な品薄に見舞われており、この間にAMD社は設計の新しい「Ryzen」の新型を続々とリリースし勢力を急速に拡大させた。 2020年にリリースされたAMDの第4世代「Ryzen」が長年の悲願であったシングルスレッド性能でついにIntelの同世代品を凌駕し、一時「AMDが高性能高価格、Intelはコスパ重視」と立場が従前から逆転したが、2021~2022年にはIntelが12世代Core iシリーズでトップシェアを奪還している。ここ数年の両社の開発競争は凄まじく、近年のCPU市場はかつてない盛り上がりを見せているが、コロナ禍による半導体不足もあって長期にわたりCPUの供給が不足し、嘆かれている。 CPUの「世代分け」Intel、AMD両社とも開発時期ごとに「世代分け」され、「第10世代」のようなナンバリングや、「Comet Lake」「Mattise」のような開発企画のコードネームによって区別されている。 同世代の製品ではシリーズ名の次の1桁の数値が高いほど、また末尾の数値が高いものほど、それぞれ性能が高いことを意味する(たとえばAMDならRyzen 7はRyzen 5より高性能,Ryzen 5 5600はRyzen 5 5500より高性能)。ただし世代が異なると単純比較はできない。たとえばIntelなら旧世代Core i7より新世代Core i5の方が普通に高性能だったりする。よく「最上級Core i7プロセッサ搭載!!」などとアピールし激安で売られているPCを見かけるが、もはや実用に耐えない低性能な化石レベルのCore i7であったりするので、よく見て惑わされないように。 なお世代が代わると端子の形状が変わったり、端子の形状は同じでも内部的な仕様が違ったりして、同じマザーボードに装着できなくなる場合もあるので注意が必要だ。 オーバークロックCPUの動作周波数(クロック)を、初期設定値から引き上げて処理性能のアップをはかる行為。 CPUを速く動かせば動かすほど多くの電圧が必要で、またその結果多大な発熱が生じ、電圧や発熱に耐えられなければCPUは壊れてしまう。通常、そうならない範囲で動くようにメーカーが動作クロックの上限を設定して安全性を確保している。 オーバークロックはこの上限を無視してより速い動作クロックへ強制的に設定する行為である。上手く設定すれば同じ価格でより高い性能が得られる非常に魅力的な手段であり自作PCの醍醐味の一つと言える。しかし基本的にメーカー保証の対象外となるため、無理をしてはならない。 オーバークロックを成功させるには、同じ型番のCPUであってもより低い電圧で速く動作できる優秀な個体(いわゆる「当たり石」)を引き当てる運と、目標のクロックで動かせる極力低い電圧値を見極めつつ最大限の冷却性能を確保する技術とが要求される。 世界中で一種の競技のように盛んに行われており、日々ストイックにオーバークロックに勤しむ人をオーバークロッカーと呼ぶ。世界最高レベルになると、凄まじい高電圧をかけつつCPUに乗せた容器に氷点下の液体窒素をドバドバ注ぎ込んで世界記録に挑戦するなどという、もはや誰の何のためなのか分からない、常軌を逸する行為が日常的に行われている(たぶん褒め言葉)。 |
CPUクーラー、およびグリス(シート) |
CPUに接触・固定させ、熱を発散させる。CPUからの熱を伝えるため接触面には熱伝導グリスを塗る(または同じ役割のシートを貼る)必要がある。 CPUは激しく発熱するため、冷却しなければすぐに壊れてしまう。一般市民には存在自体を認知されにくいが、PCに絶対必須の重要なパーツである。
一部CPUパッケージ商品には通常の使用には十分な性能の空冷クーラーが付属品として同梱されている(俗に「リテールクーラー」と称される)。しかし発熱の大きいオーバークロック前提CPUやハイエンドCPUには同梱されていない場合が多く、その場合は別途用意する必要がある。 冷却性能はもちろん、静音性にこだわる場合も別途購入が必要。また近年主流の中が見えるケースでは、このパーツが透過パネルの中央に位置することがほとんどであり、「PCの顔」として以前に比べ見た目も重要な選択要素になってきており、各社とも視覚的なデザインにもこだわるようになっている。 低速なファンでも十分冷えるよう巨大なヒートシンクを採用し静音化した迫力のあるもの、水冷式で冷却性能と見た目を両立したものなど多彩で、ケースと同様、店舗で売り場を眺めているだけでも楽しい製品の一つ。近年はIntel、AMDの両社CPUに両用可能な汎用性の高い構造のクーラーが大半でとても便利。 ただし、クーラーはそのサイズゆえ他のパーツとのサイズの干渉が最も起きやすいパーツでもある。マザーボードのレイアウトやケースの寸法によってはメモリやグラフィックボード、ケースのサイドパネルなどに干渉して装着できない場合があるため、十分な注意が必要だ。 最近ではTDP(消費電力の目安値)が参考にならず、工場出荷直後の状態でさえ実際の消費電力はカタログ値の倍以上という例もあるため、予め自身が使う予定のCPUの評判を調べておき、その消費電力に対応できるクーラーを調達する必要がある。特にTDPが100Wを超過するような爆熱のハイエンドCPUを使う場合、クーラーの性能を最大限活かすためにはケース全体の排熱性や電源ユニットの容量(特に12V系統の出力)も十分に吟味しよう。 |
メインメモリ (DRAM) |
コンピュータの「作業スペース」。コンピュータが処理するデータはすべてここに一旦置かれる。 容量は大きければ大きいほどよい。仮に同時に8GBまでしか使わない処理だとしても、16GB積んでいる方が処理は速くなる(書類をギリギリ置ける最小限の机より、余裕たっぷりの広い机の方が仕事がはかどるのと同じ)。しかし当然、積みすぎても活かす場面が少なければコスパが悪くなる。 なおPCパーツの中では時期による価格の上下動が非常に大きい。「古くなれば必ず安くなる」わけではなく、時間が経つと高くなることも普通にある。お得に手に入れるには「タイミング」が大切だ。パーツショップで価格表をじっと眺める人たちをよく見かけるが、だいたいメモリやCPUの価格の推移を見守る人たちだ。 2022年現在、規格としてDDR4、サイズとしてデスクトップ向けのDIMMとノートパソコン・小型パソコン向けのSO-DIMM、動作周波数としてはDDR4-2666/2933/3200が主流であるが、最新規格であるDDR5も徐々に普及しつつある。マザーボードやOS、CPUによって対応する規格、容量、動作周波数に制限があるので注意。 ほとんどのマザーボードでは、複数枚の同一容量・同一製品のメモリを搭載することで並列アクセスにより高速動作する「マルチチャンネル動作」に対応している。指す場所の指定があるため、間違えないようマニュアルで確認しよう。 また、最近では手軽かつワンクリックでメモリをオーバークロックし、CPUの性能を最大限に引き出す「XMP」という機能も広く使われている。こちらの場合はDDR4-3200/3600/4000などが主流で、上を見るとDDR4-5000なんてものもある(動作環境は非常に限られるが)。繰り返すがXMP適用で使えるクロックは基本的に「オーバークロック」の状態なので、絶対に動作する保証はなく、上を目指すとなるとマザーボードやCPU側の耐性も強く求められることになる。 |
ストレージ |
データの格納場所。従来はHDD(ハードディスクドライブ)しか選択肢がなかったが、現在はSSD(ソリッドステートドライブ)が一般化している。 SSDはかつて容量単価がHDDに比べ非常に高額だったが、大容量化・低価格化が目覚ましく、1TB以下の製品はとても買いやすくなっている。SSDはHDDに比べて処理速度、低消費電力、耐衝撃性、耐磁性、静音性などメリットが数多く、特に速度はHDDとは比較にならないほど優れる。一時問題に上げられていた書き換え回数についてはチップ毎分散処理により、実際は考慮しなくてもよくなった。システムドライブ(OSやアプリケーションをインストールするドライブ)がHDDだと他のパーツがいくら高性能でもHDDがボトルネックとなって全体の処理速度が遅くなる。超低予算PCや企画で作るネタPCなどのごく一部の例外を除き、2022年現在の自作ではシステムドライブにHDDを選ぶことはほぼなくなっている。選ぶとすれば、文字どおりの大容量の倉庫用などメインとは別用途。 形状の規格としては、従来からある3.5インチHDD、2.5インチHDD/SSDに加え、近年は「M.2」とよばれるメモリに似たカード型のSSDが普及している。またストレージの接続規格には従来のSATA 3(シリアルATA 3)に加え、PCIeで直接接続する「NVMe(NVM Express)」の2者が存在する。 NVMe SSDはSATA 3を遙かに上回る爆速の読み書きが可能な新規格である。当初は対応SSDの発熱の多さが課題とされていたが、マザーボードにもそれ専用のヒートシンクが当たり前のように付属するようになっており、ベンチマークなどでもない限り一般的な実用の範囲で発熱による問題はあまり起こらず、速度のみならずケーブル不要の簡単固定でスペースもほとんど占有しないなどSATA3接続の2.5インチSSDに対する利点が非常に多く、2022年現在システムドライブの主流である。 2022年現在、PCI Express 4.0という最新の通信規格を使う「NVMe Gen4」という接続規格に対応したSSDも登場し、その速度は更に向上している。しかしながらこの規格で運用するSSDはあまりに速すぎて役不足(前規格PCIe3.0の時点で既に十分爆速であり、日常使用の範囲でそれを上回るメリットは実感しにくい)な面があり、発熱tの多さも相まって必ずしも普及しきっていないのが現状。 一方、2TB以上の大容量や、長期運用を前提としたNASなどの用途ではNVMe SSDはいまだ高価格であまり採用されない。容量単価ならHDDが最良だが、SATA接続のSSDもかなり低価格になってきており、コストに糸目をつけないならばデータドライブもSSDにする「HDDレス」の構成もごく一般的になってきている。 |
GPU/グラフィックボード(ビデオカードとも) |
画面を描くためのチップがGPUである。これがなければPCの画面は見えない事が多い。 GPUは、CPUから受け取った「こういう形を絵にしろ」という命令をもとに、実際にその絵をどう書けばよいか計算し、ディスプレイに信号を絶え間なく送るのが役目だ。「CPU統合型GPU」と「グラフィックボード」の2タイプがあり、どちらかは必ず必要となる。 出力端子は2022年現在、DisplayPortとHDMIの2規格が一般的。近年はDisplayPortやHDMI規格の出力も兼ね備えたUSB Type-C端子を搭載する製品も増えているが、扱いが難しい規格であるのか、また主な需要がモバイル用途にあるためなのかはわからないが自作PCでの主流とはなっていない。 DVIはミドルレンジ以下で、VGA(ミニD-sub 15ピン)はローエンドでそれぞれ搭載製品が散見されるものの、これら2規格は対応ディスプレイ自体が激減しており、近年の自作用新製品ではあまり見かけなくなっている。 内蔵GPUIntelの多くのCPUにはGPUが統合されている。CPU統合型のGPUは3DゲームやCG・動画編集などを除いた通常の用途ならマルチディスプレイも問題なく可能なレベルの十分な性能を有する。 Intel製超ハイエンドモデル、Intel製の型番末尾FのCPU(GPU無効化モデル)、AMD製CPU(型番末尾Gのモデルを除く)などにはGPUが搭載されておらず、こういったCPUの選択時にはグラボが必須となる。 グラフィックボード独自のGPUを搭載した拡張ボードがグラフィックボードである。通称グラボ。「グラフィックスカード」「ビデオカード」ともいう。PCIe拡張スロットへ接続するが、一部のノートPCではグラボ機能を独自に搭載している場合もある。 消費電力=発熱が多いパーツである。ヒートシンクやファンが附属し、ハイエンドな製品はかなりデカい。またミドルレンジ以下の製品でも拡張スロットを2スロット分以上占拠し、隣のスロットを塞いでしまうものも多い。2020年中盤現在ではミドルハイ~ハイエンド製品では2.5~3スロットの専有も普通になりつつある。電源ユニットの能力(容量、GPU用電源コネクタの有無)、ケースの排熱性、ケースやマザーボード表面への干渉などに十分配慮が必要だ。 NVIDIA社「GeForce」とAMD社「Radeon」が2大勢力であり、かつて前者がゲーム向き、後者が動画向きとされた時代もあった。一般のゲーム向けハイエンド製品はAMD社ではあまり製造されていなかったが、2022年現在は両社のラインナップとも非常に充実してきており、ハード面ではメーカー間での固有差は目立たなくなっている。ただしドライバの最適化やレイトレーシングなどといったソフト面についてはいまだにゲームごとに最適化の度合いがバラバラであり、自分の用途にあわせ事前に情報をよく収集しておきたい。 グラボの必要性先に書いたとおり、GPU内蔵のCPUを搭載している場合、PC構成に必須のパーツではない。 しかし、今時PCをわざわざ自作する層はグラフィックカードを必要としている場合が多い。というか「グラボにこだわりたい」が大きな自作理由である場合も多く、自作PCに限っては積まれる場合の方が多いだろう。 グラボ搭載目的の多くは負荷の高い3Dゲーム、3DCGのような高度映像処理のどちらかである。またDAWなどシビアなメモリアクセスが要求される用途や、FXなど超多画面環境では、オンボードグラフィックに割かれるCPUやメモリなどのリソースを減らす意図でローエンド製品を搭載することもある。 なお、近年は画像出力を目的とせず、CPUに代わる高度計算を用途に搭載することもある(後述)。 グラボの価格・性能パーツの中では、商品ごとの価格差とそれに伴う性能差が非常に激しい。高性能なものでは単体で十数万円~数十万円などといった、ふつうのユーザーから見れば何でそんなに高いものを買うのか理解できない製品も普通に市販されている。 高価であればあるほど高性能でできることは増えるが、必要以上に高スペックな製品を買っても、活躍の機会がなければスペースや消費電力を割かれマイナス面ばかり目立つようになる。必ずしも大は小を兼ねられないので、自分の目的に必要な性能をよく見極めて無駄のない買い物をしよう。 なお高性能なグラボを特にゲーム用途で使う場合、処理の大元であるCPUの性能が低いとそちら側がボトルネックとなり、グラボの高性能を十分に活かしきれなくなる。CPUもグラボの性能に見合ったレベルに揃える必要がある。 画像表示以外の用途(マイニングなど)画像描画の基本は「並行する単純計算の反復」であり、これについてはCPUよりGPUの方がはるかに最適化されている。そのため、「ディープラーニング」など画像処理と同様に単純計算が主体である高度計算処理においては、CPUよりもGPUの方がはるかに得意としている。 こういった高度計算処理の用途でのGPU使用は研究機関などではこれまでにも行われてきた。しかし近年、同じく単純計算の反復が主体の用途として近年注目されているのが仮想通貨マイニングである。 詳細は省くが、非常に雑に説明するとマイニングは「計算処理を行う対価として仮想通貨を受け取る」というプロセスである。セキュリティの確保された仮想通貨の存在を認め続けるためには大量の計算による鍵(ハッシュ)の生成が必要であり、これを自分のPCで行うことで、その対価としてその仮想通貨の一部を受け取れるしくみになっている。このプロセスが、さながら鉱山から金塊を発掘するようであることからマイニング(採掘)と呼ばれている。この計算プロセスは単純計算の反復であり、画像処理に類似している。よってGPUを使った方がCPUよりはるかに高速であり、GPUの性能の高さはマイニング性能の高さに直結する。 2018年前半に世界的な第一次マイニングブームとなり、グラボが従来の自作ユーザーとは異なる層から注目を浴びることとなった。グラボが全国的に品薄となり通常のユーザーが入手困難になったり、「画像出力機能を持たないグラボ」「グラボを8枚積めるマイニング専用マザーボード」といったそれまで研究機関などでしか使われておらず従来の自作市場では考えられなかった極めてニッチな製品も普通に市販されるなどし、自作PC界隈が盛り上がった。この第一次ブームは2018年後半に一旦は終息し平静な市況を取り戻した。 しかしその後のビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の急騰に伴い、2020年後半には第二次ブームが第一次を遙かに上回るレベルで再燃。2021年にはコロナ禍の影響も相まって世界中のグラボが枯渇する異常事態が発生した。全世界の店舗でグラボがほとんど入荷されず、入荷しても即完売、価格もそれまでの1.5倍以上…などという前代未聞の状態になり、2021年までは「グラボが手に入らないので自作PCを組めない」という悲惨な事態に陥っていた。GPUの生産が追いつかず品薄がPS5にまで及ぶなど影響は自作PC界隈にとどまらず、NVIDIA社は「マイニング機能だけをピンポイントで制限したグラボ(LHR:低ハッシュレートモデル)」を販売するに至った。2022年には暗号資産全般の大暴落もあいまってマイニング需要は激減し、グラボの供給はだいぶ回復してきている。 |
オペレーティングシステム (OS) |
これが無いと始まらない、最も基本的なソフトウェア。Windows、Linux、Ubuntu、Chrome OSなど。 Windows通常版とDSP版がある(Windows 8のみ市販品にそれらの区別がなかったが、Windows 10では7以前と同様の販売形態に戻った)。DSP版は「同時購入したパーツを用いたPCでのみ使用できる」ことを条件に安価で販売されている簡易包装版だが、通常版と機能に差はない。自作PCでは安価なDSP版が選択されることも多いが、PC構成が変わっても永続的にライセンスを厳守したいなら通常パッケージ版を購入する方がよい。詳しくはこちらを参照。 → DSP(Microsoft) オークションなどではWindowsのプロダクトキーが格安で出品されているが、そもそもOSは1万円以上するものであり、ほぼ間違いなく違法品なので落札しないように。またパッケージ品も中古などで比較的安く出品、販売されているが海賊版である可能性が高い。もし認証出来ても後にマイクロソフトからブロックされ使用不能になる。PCショップの正規店舗や通販で新品を買うことを強くおすすめる。 Windowsは32bit?64bit?Windowsには32bit版、64bit版があるが、結論から言えば2020年後半現在、ほぼ64bit版一択の状況である。一応以下で背景を解説する。 XP以降のWindowsには32bit版と64bit版がある。64bit版OSは一度に64bitずつデータを扱えるため理論上32bitより速く動く。また64bit環境で32bitソフトを動かすことは基本的に可能である(逆に64bitソフトは32bit環境では一切動かない)。 XP時代には周辺機器が旧来式の32bitでしか動かないものが多く、また64bit専用ソフトはほとんど出回っていなかったため、64bit OSは長いこと普及しなかった。しかし32bit Windowsには「メモリが4GBまでしか使えない」「システムディスク容量上限が2TB」などの致命的な制約があり、XPの時代には全く手が届かないレベルだったこれらの制約はWindows 7の自体には現実的な壁となった。以降は機器やソフトの64bit対応も進み、Windows 8以降はメーカー製PCも64bit版が基本となった。ゲームなどはむしろ64bitでしか動かないものが多く、かつては非現実的だったメモリ4GBはWindows 10ではもはや動作ギリギリのラインである(8~16GB以上積むのが当たり前)。2020年にはDSP版Windowsの32bit版は販売終了となった。 以上より「32bit専用の古い特殊な機器がどうしても必要」といったきわめて特殊な事情でもない限り、もはや32bit版OSを選ぶメリットは皆無である。素直に64bit版を選ぼう。 Linux一般の人には馴染みがないが、ニコニコをはじめとしたサーバーOS、最近ではデジタル家電やスマートフォン(androidの素体がLinux)など、縁の下で社会を支えるOS。普通のパソコンにインストールして使う事もできるので、自作用のOSとしてはWindowsに次ぐ選択肢となる。 Windowsとは異なるマニアックな知識が要求される上、商用ソフト(Officeとかゲームとか動画制作、DTM、イラストツール等)がほぼ対応していないので、少なくともLinux未経験者がメイン機のOSとして採用するのは厳しい。しかし、無料というメリットを活かして、余ったパーツを使ったサブ機や、サーバー機やルータ機を組み上げて使うにはうってつけの選択肢となる。覚えれば色々とできる事が増えるので、自作erとしては習得しておいて損はないだろう。Steamが最近対応を強化中らしく、ゲームは割といけるとのこと。 Linux本家からはカーネルという核心部分しか提供されていないため、パソコンに入れて使えるようにするためには別の団体が公開している「ディストリビューション」を選び、それ経由でインストールする必要がある。現状もっともデスクトップ向きと言われているディストリビューションはUbuntuである。もし仕事などの関係でRedhat系に馴染みがあるなら、CentOSを入れてみるのも手だろう。 さらに自作の極北を追い求めるなら、GentooやArch Linux、Linux from Scratchなどのカスタマイズ性に全振りしたディストリビューションを選んでやると、OSまで自作したのと同然の環境が得られる。「自分が組んだ構成以外のドライバをすべて削ぎ落とす」「最新CPUでしかサポートされていない命令セットに全てのアプリを対応させる」など、極限を攻めた構成が可能になる。誰がここまでやれと言った。 あと、自作で役に立つ存在として1Disc Linuxというのがある。文字通りCDやDVD1枚で立ち上げられる、Windowsで言う起動ディスク的な存在なのだが、GUI画面が出てブラウザ等も動く他、Windowsより高性能なパーティショニングツール(既存パーティションのサイズ変更が可能)が使えたりと出来る事が多い。Knoppixなどの老舗は2020年代すでに壊滅状態ではあるが、Ubuntuのインストールメディアで現在でもほぼ同じ事ができる。これも自作erがLinuxを覚えるメリットといえるだろう。 その他Mac OSはそもそもインストール済PCとアップグレード用パッケージしか販売されておらず、選択肢とはなりえない。自作PCでの動作も不可能なわけではないが、明らかにライセンス違反である(Apple社製PC以外へのインストールは禁止されている)ので避けるべきである。 |
電源ユニット |
各パーツに電源を供給する。これがなければパソコンは動かない。ケースに同伴されている場合もある。 電源ユニットと、そこから伸びる接続用ケーブルから成る。近頃はケーブルが完全脱着式(プラグイン)、一部脱着式(セミプラグイン)の製品も多い。 サイズ規格電源のサイズは一般にATX、SFXの2規格が選択され、ケースに合わせて選ぶ必要がある。多くのケースではATX企画が採用されているが、見た目にこだわった小型ケースではSFX規格が採用されることも多くなっている。後者の方が小型な分、一般に高価格である。 電源容量ハイエンドCPUやGPU、多数(3個以上)のHDDを積むのでなければ400Wもあれば十分だが、それらを積む場合やオーバークロックする場合は必要容量が大幅に上がる。適切な電源容量は「全パーツの要求電源量の合計×1.5~2程度」とされる。パーツメーカーのサイトには必要電源容量の計算アプリも用意されており、各自で調べてほしい。 容量を決めたら、あとは静音性、ケーブル数、変換効率、「信頼性」などにより製品を選択する。 なお変換効率(コンセントから供給された電力をどれだけ無駄なくPCに利用できるか)についても「80 PLUS」という世界共通の評価基準がある。 チタニウム > プラチナ > ゴールド > シルバー > ブロンズ > スタンダード の順で高効率(発熱が少なく、寿命も長く、省電力)だが、値段もこの順で高い。製品レンジとしてはゴールド~ブロンズのものが最も多い。 電源の品質サイズ規格や容量と異なり、電源の「質」は、目に見えないが、実は一番重要な要素かもしれない。 質の低い電源では、効率に劣るばかりか、PC全体を不安定にしたり最悪パーツが炎上することもある(たとえではなく、本当に燃える)。そうでなくとも、壊れるときに電源だけが壊れるだけではなく、巻き添えで他のパーツを壊すこともしばしば。最近はコスパに優れた電源も多く「安価だから低品質」とは言い切れないものの、やはり高価な製品ではそれに見合った高品質が保証されている面は否めない。メーカーや製品の「信頼性」については、他者の使用経験などで十分に情報収集しておきたい。 電源は基本的には販売メーカー自身が製造しているわけではなく、大体が電源専門メーカーからのOEMである。OEM元が分かる場合はそれも電源の質の重要な判定基準になる。代表的な優秀なものはSeasonic(紫蘇)、SuperFlower(超花)など。なぜかメーカー名、商品名やロゴが動物の電源(動物電源)は粗悪品というジンクスがかつて存在し、実際EAGLEやDeerといったアレな奴も存在したが、2022年現在ではほぼ絶滅している。地球の生態系はマモレナカッタ…… なお近年はACアダプタの選択肢もある。熱源をPC外に逃がせる、PCを小型化できる、持ち運びが容易等のメリットはあるが、PC内にDC-DCコンバータ(各パーツ毎に異なった適切な電圧を安定して供給する変換装置)の設置が必要で、また供給可能な電力は少なめであり、現状は小型PC限定の選択肢だ。 |
PCケース |
実はケース自体はなくても、他のパーツを適切に繋いで、独立スイッチなどでマザーボード上の電源スイッチピンに通電できればパソコンとしての動作は可能である。しかし当然それでは実用には耐えないため、普通にPCとして運用するなら事実上必須のパーツと言える。 搭載するマザーボードの大きさに併せて規格を決めることになる。規格の入れ替わりがあまりないため製品の世代交代の周期が長く、一度買えば比較的長期間使うことができるパーツである。
などが選択のポイントになる。大型のグラフィックボードやCPUクーラーを使用する際や、SATA端子が横向きになっているマザーボードを使用する際は、干渉しないだけの奥行きがあるかどうかを確認した方がよいだろう。 SSDの普及や光学ドライブの必要性低下に伴い、かつては当たり前だった5インチ・3.5インチのベイは2022現在ほとんど見られなくなっており、配線のしやすさやエアフローの向上にもつながっている。また今のMicro-ATX以上のケースでは「裏配線」が当たり前で、マザーボードから見て各パーツを置く「表側」とケーブル類を走らせる「裏側」とに区切ることで、配線の見た目をスッキリさせつつ空気の流れを確保している。 さらに、近年は発光パーツの普及もあり、内部をあえて見せるためサイドパネルが透明(アクリルや強化ガラスなど)になっているケースが主流で、さらには縦長の長方形、多面体など奇抜な形状のケースも散見され、これまで以上に個性豊かになてきている。 安物のケースでは使用している材質が低品質であったり剛性が足りない、シャーシが貧弱、パネルが薄い(いわゆるペラペラ)、ねじ穴が合っていない等いろいろとあるが、近年はコストパフォーマンスに優れたケースが多く、価格競争が激化している。インテリアを左右することもあり、可能であれば店舗での現物確認が望ましい。 2020年以降は、ベンチ台やオープンフレームケースと呼ばれる、パーツを収納することを目的とせずただ固定することを目的としたケースも増えてきている。パーツ自体を眺めて愛でる潮流が出来ていること、頻繁なパーツ換装自体を目的とする需要が少なくないことなどから普及しつつあるよう。欠点はファン音が通常以上に耳障りに感じる所と、重い物や液体を落とすと一発で死亡確定する所である。普段使いするならやっぱりケースはあった方がいい。 なお、低価格帯を中心とする一部ケースには電源ユニットがあらかじめ装着されている。この場合は電源の性能もしっかりチェックしておくこと。 |
ネジ |
マザーボードやケース等に若干付属しているが、機器を増設していくと足りなくなる場合がある。分売もされているので常にストックしておくとよい。自作で使うネジには「ミリネジ」と「インチネジ」の二種類があり、うっかり間違えてネジ穴を損傷させるミスは自作に慣れた人でも割とやってしまいがちなので要注意。
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工具 |
パーツではないが、当然組み立てには必要。基本的にはプラスドライバーが一本あれば事足りる。 PCケースによっては不要な金属板を折り取る必要があるためラジオペンチや、怪我防止のための手袋、場合によってはペンライトも用意したいところ。PC売り場に工具セットが販売されていることもある。 |
パソコン本体ではないが、動作に必須の機器
機器 | 説明 |
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ディスプレイ (モニター) |
かつてはCRT(ブラウン管)もあったが、現在新規で購入することは難しく、基本的に液晶である。サイズ、発色、視野角、応答速度など機種や材質によりさまざまで、は好みや体感の問題もあるので、自分の目で現物を確認した方が良い。インターフェースはUSB Type-C、DisplayPort、HDMI、DVI、ミニD-sub15pin、などの種類があり、接続するビデオカードやゲーム機によっては変換コネクタが必要な場合がある。 地上デジタル放送やBlu-rayビデオを視聴する場合はビデオカードと共にHDCPに対応している必要がある(が、業務用等のニッチな製品で無ければ最新の製品はほとんどが対応しているので、意識する必要はあまりない)。 かつてはリフレッシュレート(描画頻度、1秒間に何回画面を切り替えるか)は60Hzが標準だったが、PCゲームが急速に普及していることもあり、2022年現在では相手より少しでも早く行動し有利をとるため、また非常に滑らかでリアルな映像体験に没入するために120Hz、144Hz、240Hzなどの高リフレッシュレートを備えたモニターが一般化している。ゲームをプレイするならこちらも検討するといいだろう。 |
ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等) |
新規に購入できるものはほとんど光学式(LED、赤外線、レーザーなど)になっている。手を置いた時のフィット感は千差万別であるため、店頭で実際に触っておきたい。PS/2接続、USB接続などの種類があるが、PS/2端子を廃したマザーボードも増えつつあるので注意が必要である。 |
キーボード |
日本語キーボード、英語キーボードなど、種類によってキー配置が違う。打鍵感もそれぞれ異なるので、できれば店頭で実物に触ってみるとよい。こだわるならメカニカルキーボードや静電容量無接点式といった高級なものもあり、マニア曰く打鍵感が違うほか、廉価なメンブレン式は同時押し数に制限があるためいわゆるゲーミングモデルはこれらを採用することとなる。あと光る。これもマウスと同様、PS/2接続とUSB接続のものがある。 |
その他のパーツ・機器
パーツ・機器 | 説明 |
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光学ドライブ |
DVDドライブやブルーレイディスクドライブなど。かつては必須パーツの一つとされたが、今では搭載されることは稀になっている。 Windows Vista以前は「OSインストール=光学ディスクで行うもの」だった。USBメモリ等からのインストールも実はできたのだが、高度知識が必要とされあまり一般的ではなかった。そのため光学ドライブを搭載しない選択肢はほぼなかった。 しかしWindows 7以降はOSインストール用のUSBメモリを誰でも作れるようになり、Windows 10に至ってはパッケージ版の提供がUSBメモリ版とダウンロード版のみとなった(DSP版は引き続き光学ディスクで提供されているが、ダウンロードも可能)。自作過程での各種ドライバやユーティリティの入手もインターネット経由が一般化し、極めつけはBIOS(UEFI)ですらインターネットアクセスに対応するようになった。 このように自作過程での必要性がなくなったうえ、PCの日常使用においても今やインターネットで大容量データを簡単に入手できる時代で、ブルーレイ数枚に相当する数十GBのデータですら分単位でダウンロードが完了する。そして仮に光学ドライブが不定期に必要であっても、高性能なUSBの外付けドライブを簡単に着脱可能である。 以上より2022年現在、自作PCにおける光学ドライブの必要性は大幅に低下しており、最近発売されるケースには5インチベイ自体めったに見かけない。BTOパソコンにはオプションとして用意されていることも多いが、標準構成に含まれることはほぼない。 ブルーレイやDVDの鑑賞、ファイルや動画の書き出しなどで使用頻度が高く、USBの光学ドライブを常時繋ぎっぱなしになるような状況が想定される場合には内部に搭載する価値があると思われる。しかし今やそういった大容量コンテンツすらもストリーミングでの流通がごく一般的になっており、需要は極めて限定的と言わざるを得ない。 |
内蔵型カードリーダー |
SDカード、MicroSDカード、CFカードなどのメディアを読み込む装置。外付け型で事足りるなら不要だが、常に繋いだ状態にしているくらいなら本体に組み込むことを考えてもよい。ただし2022年現在では3.5インチ・5インチ含めオープンベイ自体が絶滅状態のため、搭載には少々苦労する。 フロント用のUSB端子がついているものが多く、古い物では先述のFDDと一体になっていることも。中にはフロント用のオーディオ端子や電源スイッチまで一体になった物も存在した。 |
サウンドカード (オーディオインターフェース) |
音をPCから入力・出力するためのパーツ。現在はほとんどのマザーボードやグラフィックボードにチップとインターフェイスが統合されており、通常の使用では不要な場合が多いが、音質に満足がいかない場合、入出力系統を増やしたい場合は増設が必要。 サウンドカード型の製品は基本的にゲーム用途に最適化されている。カードから専用のケーブルで接続する外付けボックス型の製品もある。 なお本格的な音楽制作(DTM/DAW)用途でも当然必要なデバイスだが、その場合はPC内蔵型サウンドカードではなくUSB、IEEE1394、Thunderboltなどの外付け型オーディオインターフェイスが一般的である。これは、DTM/DAW用途では音の正確性(PC負荷に影響されない安定した動作クロックの確保、およびPC内部に起因するノイズの回避)、入出力端子の豊富さ、繋ぎ換えや持ち運びの利便性などが要求されるからである。 |
キャプチャカード (TV / ビデオ) |
TVやビデオの映像をPCで視聴・録画するためのパーツ。機種によって対応方式(アナログ/デジタル)、ビデオ入力端子の有無が変わるので、用途に応じて選ぶとよい。また、録画したデータを編集するのであればデータ形式やDRMの有無など、編集の自由度を下調べしておくとよい。 カードによって多かれ少なかれ視聴時にタイムラグが出るため、中にはアクションゲームや音ゲーなどタイミングにシビアなゲームのプレイや録画に向かないものもある。これらのゲームプレイを録画したい場合は分配機やビデオデッキを使用するなどの工夫が必要である。 地上波/BS/CSデジタル放送用のキャプチャー機器も販売されているが、ビデオカードやディスプレイがHDCPに対応している必要がある。製品によってはCATVから受信する場合パススルー方式以外での受信ができないため注意。 |
RAIDカード |
複数のHDDを1台のHDDのように運用するためのパーツ。ミラーリングによるデータ保護やストライピングによる速度の向上を目的に導入される。マザーボードによってはオンボード機能でRAIDを構築できるものもある。一般の使用用途だと必要性が薄く、必要だと判断できるようになってから導入すればよいだろう。 |
各種インターフェースカード (拡張カード) |
USB、高速LAN端子、Thunderbolt/IEEE1394、SCSIなど、マザーボードが備えていない規格のインターフェースが必要となった際や不足した際にPCIeスロット等に繋げて追加するもの。グラフィックボード、サウンドカード、RAIDカード等も広義にはこれに含まれるといえる。 必要な端子の種類と個数があらかじめ分かっているのであれば、はじめからそれを搭載済みの、オンボード機能が豊富なマザーボードを選択しておいた方が価格的にも相性問題を避ける観点からもベターである。新たな端子が後から必要になった場合や、価格・サイズ的に大型マザーボードの採用が困難な場合などには拡張カード搭載が有効な手段となる。こういった選択の自由度が高いのは自作PCの大きなメリットである。 なお現行の規格は「PCIe(PCI Express)」である。旧規格「PCI」は端子形状が異なり直接接続できないため、カード購入時は規格間違いに注意しよう。 |
各種追加端子 (拡張端子) |
マザーボードにはケースのフロントベイ用にUSBなど様々な内部配線をつなぐための端子が用意されているが、ケースの物だけではそれらが余る場合がアリ、それらを有効利用とする為に使われるのがコレである。 マザーボードに元からある機能を使うだけなので、当然ながら上記のインターフェイスカードと異なり、PCIスロット等を必要としない。フロントベイ用とリアベイ用の主に二種に分けられるが、基本はリアベイ用。 |
水冷装置 |
CPUやGPUなどの熱源を、ファンで空気を送る(空冷)単独ではなく、液体を循環させる仕組みを組み合わせて冷やす装置。 冷却液(「水」冷という名前だが基本的に「水」ではない)、ポンプヘッド(熱源に触れつつ、液体を循環させるポンプがある部分)、ホース、ラジエータ(水を薄い金属板に触れさせ放熱する部分)、ファンをそれぞれ用意し組み立てる。CPUの熱を素早く液体へと逃がし、その液体をポンプでラジエータに送り効率よく冷やしてから再度CPUへ送る、という循環システムにより高負荷状態でも安定して冷却することができる。 ある意味自作PCの醍醐味が凝縮されたようなパーツだが、初期投資にお金がかかり、冷却液の交換などメンテナンスの手間も多いうえ、扱いを誤ると電蝕・液漏れ・結露・循環停止などにより他のパーツが故障してしまう場合があるため、初心者には全くお勧めできない。 静音化の手段として採用されることもあるが、ラジエター冷却のために結局ファンは必要であること、ポンプも動作音を出すことは考慮が必要だ。CPU温度に依存してファン速度を変えるとそれなりの音量となり、結局空冷と同じような音量になってしまったという報告も多々あり、静音性については使うファンの種類やケースの状況などもよく吟味したい。 近年は冷却液に色づけできたりRGBを搭載していたり、見た目にこだわった水冷装置も増えている。この「見た目のかっこよさ」や、さらには「水冷を搭載するということ」自体へのロマンを求めて搭載する層も少なからずいるようだ。 「簡易水冷」近年では上記の水冷部品があらかじめ一体化された、設置するだけですぐ使用可能なメンテナンス不要の既製水冷クーラーが各社から販売されており、一般に簡易水冷と呼ばれている(これに対する語として、各部品を自ら購入して組み立てる従来の水冷を「本格水冷」と呼ぶこともある)。 ケース内をスッキリさせつつ空冷以上の冷却性能を手軽に構築できる製品として近年人気を博している。というか近年の高級CPU(Core i9 10900KやRyzen 9 3950Xなど)では最低限簡易水冷が必須という状況になってきている。 ただし「簡易」とはいえ、それなりに高価である、液漏れ時には他のパーツがダメージを受けかねないなどの基本的な注意点は本格水冷と本質的に変わらない。また、冷却性能を求めると大型のラジエータをケース内に設置する必要がある点も本格水冷と同じで、搭載可能なケースは限られる。近年はどんなケースにでもつけられることを謳った小型の簡易水冷も売られているが、これは総じて冷却性能が控えめであり、本格水冷はおろか近年充実している大型空冷にすら劣る場合も多い。 さらに、各パーツが一体化されている点は維持、管理という観点ではマイナス面でもある。構造上基本的に分解やメンテナンスができないので、様々な部品のどれか一か所でも故障したらその時点ですべてが使えなくなる。更に、自治体によっては故障後の処分が難しいという購入時には気づきにくい欠点も指摘されている。 「簡易」といっても、やはり初心者に手放しで勧められる製品ではない。目的と性能をよく考え、本当に水冷が必要なのか?何かあった際に自分で対応できるか?をよく考えてから購入する方が良いだろう。 |
ケースファン |
ケース内部に取り付ける換気ファン。かつては電源ユニットのファンがケース内からの排気を担っていたが、電源の高容量化とCPUやGPUの廃熱増加により、最近のケースの大部分には標準でファンが付属するようになっている。 換気・冷却に不安があれば増設する他、ケースの付属ファンは低コスト品である場合が多く、静音性の観点からも予算に余裕があれば交換が推奨される。大きさや厚さによってケース内の取り付けに制限があるほか、他のファンと同様騒音の元となるので、必要な冷却性能と騒音を見てバランスのよいものを見つけるのがポイント。 前面に吸気方向にファンを設置した場合、HDDの設置位置によってはHDD冷却ファンとしても役に立つ。なおファンの騒音はカタログスペックが当てにならない上に個体差まであり、静粛性を追い求める上ではポケモンめいた厳選作業が必要でありある程度の妥協も必要である。 |
ファンコントローラ |
電力や温度を感知しケースファンの動作を制御し、冷却性能とファン動作音のバランスをとるための装置。インターフェイスを有しフロントベイに装着できるものが多い…が、最近はマザーボードの制御が進化して必要性が薄くなってきている。 |
スピーカーorヘッドセット |
当然、これが無ければサウンドを聴く事が出来ない。ディスプレイに内蔵されている場合もある。 製品によって音質やノイズ対策に天と地ほどの差があり、「聴ければよい」というレベルの製品も少なくない。できればレビューサイト等で確認した方がよいだろう。PC用とされてないスピーカー(ミニコンポ等)や、ヘッドホンorイヤホンで済ませるという手もある。 ゲーミングPCの場合は、ゲーム内の音が前後左右のどこから聞こえたかという位置関係の把握が非常に重要なファクターとなっているため、スピーカーではなくサラウンド対応の専用のゲーミングヘッドセットが必要になりつつある。 |
マイク |
ボイスチャットや実況プレイ等で声を録音する場合に必要となる。内容が伝われば十分な用途であれば、自作ショップ等で数百円から手に入るマイクや、ヘッドセット付属のマイクでよいが、「歌ってみた」、「演奏してみた」等の音楽用途には楽器店で扱われているクラスのマイクとDTM用途のオーディオインターフェイスを用意した方がよいだろう。 |
カメラ |
Skypeやインスタントメッセンジャー等のビデオチャットを行う際に必要となる。Webカメラとも呼ばれ、簡素なマイクを備えていることが多い。一部のデジタルカメラにはPCに接続してWebカメラとして使用できる製品もある。 |
フロッピーディスクドライブ (FDD) |
かつてはDSP版OSにバンドルするのが一般的だったが、2010年の2月に一般向けのドライブ生産は終了し、バンドルも不可能とった。2011年3月にはフロッピーディスク自体の生産から全メーカーが撤退し、自作PC市場での役目を終えた。 ごく古いOSのインストール時のドライバ追加や、マザーボードのBIOSアップデートのために必要となるケースが稀ながらある。しかし故障時などのメディアの新規調達はとても困難であり、できるだけ早くFDDに頼らないシステムへと移行すべきである。 |
他に必要なもの
要素 | 説明 |
---|---|
情報収集力 | 雑誌、Google先生、ニコニコ動画、ニコ生、YouTubeなどを活用するほか、5chの自作PC板で、購入候補パーツの該当スレを読み漁るぐらいはしておいて損はないだろう。最近ではTwitterなどのSNSの隆盛もあり、手軽に経験者からのアドバイスを頂けることも。 |
高卒程度の英語力 | マニュアルやBIOS設定画面は基本的に英語。日本語の物でも細かい部分は英語であることが多い。 |
モチベーション、根気 | 説明不要。 |
ベアボーンキット
マザーボード、ケース、電源が既に組み立てられた状態となっている製品。一部、更にCPU、メモリなども搭載された状態で販売される製品もある。ストレージは基本的に未搭載である。足りないパーツを装着し、OSをインストールするだけで完成する。組み立ての手間を減らせ、構成によっては経費節約のメリットもありえる。
従来通りのATX、Micro-ATX、Mini-ITXなどの製品に加え、近年はIntel謹製のNUC(Next Unit of Computing)やASRockのDeskminiという、「手のひらサイズ」を基本とする超小型ベアボーンキットも発売されている。
注意事項
各部品は精密なので以下のことに注意すべきである。
- 静電気(精密電子部品なので予め放電せずに扱うと壊してしまう恐れがある)
- CPUの挿入(向きを間違えて設置するととピンやソケットを傷める恐れがある)
- CPUクーラーの取り外し(特にAMD製CPUではクーラーに固着したCPUごと外れてCPUピンが破損するいわゆる「スッポン」に注意)
- 各種パーツの挿入の確認(無理な挿入によるピン折れ、また差し込みが甘いと動作不良や最悪端子焼損の原因にも)
- ネジの選択ミスによる破損(よくあるのはインチネジとミリネジの間違いによるネジ山ナメ)
- パーツの紛失
- 作業前の本体電源断(横着して通電したまま作業すると、回路に手や工具などが触れてあぼん 最悪命にも関わるので作業時は必ず電源ケーブルをコンセントから抜くこと)
- 怪我(たまにケース内での作業中、ケースの断端やCPUクーラーのフィンなどで手を切ることがある)
関連動画
初級者向け
上級者向け
「我々の自作機部屋シリーズ」(→マイリスト)も参照。
関連商品
関連コミュニティ・チャンネル
関連項目
- 28
- 0pt