自然対数の底(しぜんたいすうのてい)とは、
2.7182818284590452353602874713526624977572470936999595749669...
と表される超越数である。「しぜんたいすうのそこ」ではないので注意。
一般的に
で定義される値である。
もしくは
limn→0(1+n)1/n…②
で書く場合もある。
これは高校、大学等によって異なる時もあれば両方教える時もある。
また、
Σ(n=0→∞)(1/n!)=1+1+1/2!+1/3!+… …③
の計算でも求めることができる。
概要
慣習的にアルファベットの e で表される。
対数の研究に業績のあるイギリスの数学者ジョン・ネイピアの名前から「ネイピア数」とも呼ばれる。レオンハルト・オイラーの業績により「オイラー数」とも呼ばれる。
指数関数や対数関数の微分を考えたときに、この数を考えることが避けて通れないのである。実際、a > 0, a ≠ 1 のとき
- 指数関数 ax の微分は ax logea である。特に ex の微分は ex である(形が変わらない)。
- 対数関数 logax の微分は 1/(x logea) である。特に logex の微分は 1/x である。
という性質があり、これらの性質より、
- 指数関数Aex(Aは定数)はxで微分しても変化せず、関数の値と導関数の値(接線の傾き)が等しい
- 指数関数axのx=0における接線の傾きが1となるaの値がe
- 双曲線y=1/xとx軸に挟まれた部分の面積を自然対数logexを用いて表すことができる(特に、1≦x≦tかつ0≦y≦1/xを満たす領域の面積をlogetで表すことができ、t=eのとき面積が1となる)
などのことが分かる。
特に、反比例のグラフy=1/xの下の面積を用いた説明は、微分・積分を習っていない中学生などにも分かりやすい説明であろう。
と表され、これにx=1を代入したのが上記の③の式である。
このように、微分において非常に扱いやすい数であるため、指数・対数関数というとeを連想する人も多いだろう。exはexp(x)、loge xをlog xと書く場合もある。しかし、log xは常用対数でも用いられるので、混同を避けるためln xと書くこともある。
「n本中1本のみが当たりのくじをn回引いて当たりが1回も出ない確率」を考える(なお、引いたくじは元に戻す)。
1回引いて当たりが出ない確率は(1-1/n)であり、n回引いて1回も当たりが出ない確率は(1-1/n)nとなる。
また、「1~nの番号のついたカードを、1~nの番号のついた封筒に入れる時、カードと封筒の番号が1組も一致しない確率」「n人のクラスで席替えをするとき、前と同じ席の人が1人もいない確率」などを考えると、導出過程は省略するが、この確率はΣ(k=0→n)(1/k!)(-1)kと表され、n→∞とすると、この確率は1/eに近づく(上記のテイラー展開の式にx=-1を代入した形となる。)。
また、自然対数の底を用いた公式としては「オイラーの公式」が知られている。
これにおいてθ=π(円周率)の時は「オイラーの等式」と呼ばれ、数学の式の中でも最も美しいものの中の一つに数えられる。
eiπ + 1 = 0
求め方
理系でないと知らないようなこの数だが、普通の電卓でも割と簡単に計算できる。手順は次の通り。
なお、この求め方は、上記の③の式を利用したものである。
ちなみに、③の式は収束が速いが、①②の式は収束が遅く、計算には適さない。
- [MC] を押す。
- 1[M+] と入力する。
- そのまま ÷1[M+] と入力する。
- さらにそのまま ÷2[M+]÷3[M+]÷4[M+]… と続ける。
- 表示が 0 になるまで繰り返す。
- [MR] を押す。
但し、表示される下何桁かは誤差を含んでいるので要注意。
関連動画
関連項目
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