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ニコニコ大百科 : 医学記事 |
自閉症とは社会性やコミュニケーション能力に困難が生じる発達障害の一種である。近年ではアスペルガー症候群も自閉症スペクトラムに統合された。
この「自閉」とは統合失調症の中にある症状から取っているが、専門用語と一般用語で大きな差が有り、下記の誤解が大きく生じている。
概要
先天性の脳機能障害とも言われ、脳の機能のうち「※心の理論」(詳細後述)が欠けている、あるいは働きが弱い事が原因と言われているが、現在に至るまで正確なメカニズムは特定されていない。
また現れる原因も遺伝要素による説の他に、母親の胎内や出産時の要素が絡む説など、推測や誤解も多く、現在も議論が続いている。
以下のような症状が代表的である。
- 対人コミュニケーションにおける異常
相手の感情を考慮しない発言を度々繰り返したり、自分の感情を身振り手振りや表情で上手く表現できない。(他者視点取得の不得手)
いわゆる社会のルール、「暗黙の了解」が理解出来ずに、自己中心的とも取れる行動を取ってしまう。
また同い年のグループに馴染めず、進んで一人きりになりたがることも多い。 - 言語障害
相手の言葉をそのまま返すオウム返しや、自分と相手がごっちゃになった会話など。
あるいは一問一答の会話になってしまい話が長続きしないなど。 - 特定のものに対する強い執着心
何かを記憶したり、ひたすら繰り返したり、定常発達者には理解できないような拘りを持ち、それを否定されると強い嫌悪感を抱く。
他にも症状は色々と存在するが、以上の3種の症状が自閉症の三大要件と言われている。
※心の理論とは
「心の理論」とは自分と他人を区別する能力や相手の感情を推測する能力のことを指し、これがあることで人間は他の動物とは違った複雑なコミュニケーションを取ることが出来る。またいわゆる「空気を読む」能力もこれに含まれる。
世間の認識と誤解
一般的には義務教育内で行われる知能検査で異常と分かるほどの学習障害や知的障害を伴うケースが多く、これを「カナータイプ」という。
しかし中には知能指数が平均または平均以上に達している人間もおり、これは「高機能自閉症」と呼ばれる。
一昔前までは知的障害=自閉症と言った判断がなされていたが、現在では異なる。なおコミュニケーションに障害が生じる症状としてアスペルガー症候群があるが、高機能自閉症とこれが同じものであるかは専門家でも意見が分かれている。近年では自閉症の一種に分類された。
更に計算や芸術において常人を遥かに超える記憶能力を有している人間もおり、これは「サヴァン症候群」という。映画「レインマン」は超人的な記憶力を持ちながら介助無しではまともに生活できないサヴァン症候群の患者を題材にしたヒット作として有名。
また実在の人物としては「裸の大将」としてドラマ化もされた山下清もそうだとされている。
ただしこのような、障害と引き換えに秀でた能力を持った患者は非常に稀。
日本国内での患者数はカナータイプだけで35万人前後、カナータイプでは無い自閉症や高機能自閉症で本人が気付いてないケースも含めると100万人は越えると言われており、約100人に1人と決して珍しい症状ではない。
しかし自閉症という言葉の響きから世間から引きこもりなどのイメージを持たれたり、世間から十分に理解されておらず、差別されたり苦しんでいる人が未だに多いのが現状である。またインターネット上の匿名掲示板では特異な才能を持つ人や行動する人物を統合失調症と共に「自閉症」だと言う根拠の無いレッテル貼りも見られ、混乱が起きている。
関連項目
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