概要
プロフィールは出身地(福井県南条郡今庄町)と生年(1973年)が明らかにされている程度で、性別すら不明の覆面作家。三島由紀夫賞を受賞した際も、歴代受賞者で初めて受賞パーティを欠席している。
2001年、『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。圧倒的な密度とテンションで突き抜ける特異な文体と物語が大きな反響を呼ぶ。続く『暗闇の中で子供』と合わせて「奈津川サーガ」と呼ばれるが、このシリーズの続刊は今のところ出る気配は無い。
短編「熊の場所」以降は活動の中心を純文学にシフト。2003年、『阿修羅ガール』にて第16回三島由紀夫賞を受賞する。ほぼ満場一致での受賞だったが、選考委員の中で宮本輝だけは怒りを露わにし、島田雅彦いわく「最初に○をつけた筒井(康隆)サンの首を絞めそうだった」そうな。ちなみに『阿修羅ガール』は文芸誌「新潮」に一挙掲載して三島賞を獲り次第単行本化の予定が、「新潮」の編集長に没にされたため書き下ろしという形で単行本化することになったんだそうである。
2004年には『好き好き大好き超愛してる。』で第131回芥川賞候補になり、選考委員の中で池澤夏樹と山田詠美が激賞するも、他の選考委員(主に石原慎太郎と宮本輝)の猛反対に遭い、池澤いわく「多勢に無勢、受賞の見込みは全く無かった」。2010年の第142回では『ビッチマグネット』で久しぶりに候補になり、再び池澤夏樹が絶賛して今度は決選投票まで残るものの落選した。それ以降は第147回「短篇五芒星」、第148回「美味しいシャワーヘッド」で候補になっているがいずれも落選。
小説では純文学誌での短編発表を中心として活動しており、単行本未収録の作品も多い。2008年には久々の単行本で大作『ディスコ探偵水曜日』を刊行、「このミステリーがすごい!」では9位にランクインした。
上記の通り、その特異な作風から文壇での評価は極端に二分されている。デビュー当初は同時期のメフィスト賞受賞者である佐藤友哉・西尾維新と並べられることが多かった。
ちなみに舞城の作品についているイラストのほとんどは舞城自身の手によるもの。
近年は大暮維人のコミック『バイオーグ・トリニティ』の原作や、アニメ『龍の歯医者』で原作・脚本を担当するなど、小説以外での活動も目立っている。
2014年、日本アニメ(ーター)見本市では監督も務めた。
その際、覆面作家をしている理由を「物語の受け取り方について、読者、視聴者、観客の方々の解釈を限定したくない、狭めたくない、独自性を確保したいという気持ちから姿も声もできるだけ出さずにお仕事をさせていただいています。」と述べている[1]。
作品リスト
小説
- 煙か土か食い物 (2001年、講談社ノベルス→2004年、講談社文庫)
- 暗闇の中で子供 (2001年、講談社ノベルス)
- 世界は密室でできている。 (2002年、講談社ノベルス→2005年、講談社文庫)
- 熊の場所 (2002年、講談社→2004年、講談社ノベルス→2006年、講談社文庫)
- 阿修羅ガール (2003年、新潮社→2005年、新潮文庫)
- 九十九十九 (2003年、講談社ノベルス→2007年、講談社文庫)
- 山ん中の獅見朋成雄 (2003年、講談社→2005年、講談社ノベルス→2007年、講談社文庫)
- 好き好き大好き超愛してる。 (2004年、講談社→2006年、講談社ノベルス→2008年、講談社文庫)
- みんな元気。 (2004年、新潮社)
→ みんな元気。 / スクールアタック・シンドローム (分冊、2007年、新潮文庫) - SPEEDBOY! (2006年、講談社BOX→2012年、講談社文庫)
- ディスコ探偵水曜日 (2008年、新潮社[上下巻]→2011年、新潮文庫[上中下巻])
- ビッチマグネット (2009年、新潮社→2014年、新潮文庫)
- 獣の樹 (2010年、講談社ノベルス→2012年、講談社文庫)
- NECK (2010年、講談社文庫)
- イキルキス (2010年、講談社→2014年、講談社文庫)
- 魔界探偵冥王星O デッドドールのダブルD (2010年、講談社ノベルス)
- 短篇五芒星 (2012年、講談社→2016年、講談社文庫)
- JORGE JOESTAR (2012年、集英社→2017年、ジャンプjブックス)
- キミトピア (2013年、新潮社)
- 淵の王 (2015年、新潮社→2017年、新潮文庫)
- 深夜百太郎 入口 (2015年、ナナロク社)
- 深夜百太郎 出口 (2015年、ナナロク社)
- 私はあなたの瞳の林檎 (2018年、講談社→2021年、講談社文庫)
- されど私の可愛い檸檬 (2018年、講談社→2021年、講談社文庫)
- 畏れ入谷の彼女の柘榴 (2021年、講談社→2023年、講談社文庫)
- 短篇七芒星 (2022年、講談社)
アニメ
- 龍の歯医者(2017年、原作、榎戸洋司と共同で脚本も担当。2017年2月、NHK BSプレミアムで放送、全2話)
- ID:INVADED イド:インヴェイデッド(2020年、シリーズ構成・全話脚本。監督:あおきえい)
漫画
- バイオーグ・トリニティ(作画:大暮維人。ウルトラジャンプ2013年1月号~2018年1月号連載、全14巻)
- 月夜のグルメ(原案担当。作画:奥西チエ。週刊SPA!2018年10月9・16日合併号~連載中)
- この恋はこれ以上綺麗にならない。(作画:百々瀬新。少年ジャンプ+にて2018年12月25日~2020年6月9日連載、全4巻)
その他
関連項目
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 森博嗣
- 西尾維新
- 有栖川有栖
- 小林泰三
- 貴志祐介
- 芦辺拓
- 横山秀夫
- 芥川龍之介
- 宮部みゆき
- 歌野晶午
- 島田荘司
- 伊坂幸太郎
- 石持浅海
- 東野圭吾
- 森見登美彦
- 殊能将之
- 法月綸太郎
- 黒田研二
- 恩田陸
- 星新一
- 北山猛邦
- 北村薫
- 深水黎一郎
- 綾辻行人
- 大沢在昌
- 田中芳樹
- 小松左京
- 古処誠二
- 浅暮三文
- 浦賀和宏
- 小川一水
- 時雨沢恵一
- 神林長平
- 田中啓文
- 伊藤計劃
- 神坂一
- 麻耶雄嵩
- 乾くるみ
- 加納朋子
- 貫井徳郎
- 川原礫
- 奥田英朗
- 長谷敏司
- 石田衣良
- 小野不由美
- 今野敏
- 水野良
- 有川浩
- 詠坂雄二
- 氷川透
- 東川篤哉
- 道尾秀介
- 西村京太郎
- 米澤穂信
- 万城目学
- 森岡浩之
- 三崎亜記
- 古泉迦十
- 海堂尊
- グレッグ・イーガン
- 西村賢太
- 円城塔
- 田辺青蛙
- 田中慎弥
- 岩井志麻子
- 笹本祐一
- 朱川湊人
- 三田誠
- 真保裕一
- 月村了衛
- 辻村深月
- 真梨幸子
- 佐々木譲
- 赤川次郎
- 梶尾真治
- 井上夢人
- 瀬名秀明
- 荻原規子
- 竹本健治
- はやみねかおる
- 池井戸潤
- 山田風太郎
- 船戸与一
- 北方謙三
- 連城三紀彦
- 高村薫
- 湊かなえ
- 三津田信三
- 誉田哲也
- 野崎まど
- 中山七里
- 似鳥鶏
- 泡坂妻夫
- 桐野夏生
- 倉知淳
- 黒川博行
- 広瀬正
- 相沢沙呼
- 皆川博子
- 牧野修
- 稲見一良
- 恒川光太郎
- 西澤保彦
- ジョージ・オーウェル
- 天藤真
- 町井登志夫
- 今邑彩
- ピエール・ルメートル
- 初野晴
- 羽田圭介
- 岡嶋二人
- 石川博品
- 藤井太洋
- 江戸川乱歩
- 若竹七海
- アガサ・クリスティ
- エラリー・クイーン
- 島本理生
- 横溝正史
- アーサー・C・クラーク
- 須賀しのぶ
- 篠田節子
- 宮内悠介
- 青山文平
- 真藤順丈
- 円居挽
- 松本清張
- 芦沢央
- 内田幹樹
- 細音啓
- 折原一
- 早坂吝
- 呉勝浩
- 西村寿行
- 久住四季
- 月夜涙
- 高木彬光
- 遠田潤子
- 中村文則
- 鮎川哲也
- 沼田まほかる
- 山本巧次
- 佐藤究
- 青崎有吾
- 北森鴻
- 大山誠一郎
- 山田正紀
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