芥川賞単語


ニコニコ動画で芥川賞の動画を見に行く
アクタガワショウ
2.9千文字の記事
  • 9
  • 0pt
掲示板へ

芥川賞とは、日本文学会(文藝春秋社)が催する、日本で一番有名な純文学の新人賞。

最新の受賞作は、安堂ホセDTOPIA鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」(第172回)。

概要

正式名称は「芥川龍之介賞」。選考は年2回、1月7月直木賞と同時に行われる。発表とともにNHKで速報が流れる文学賞は芥川賞と直木賞だけ。そのため、特に本好きでもない普通の人でもたいてい存在は知っている。

普段あまり本を読まない人の中には、その知名度や扱いの大きさから「日本で一番良い小説を選ぶ賞」だと思っている人も多いのだが、実際は、期間内に要文芸誌(『新潮』『群像』『文界』『文』『すばる』の五誌。それ以外では『早稲田文学』などから補作が出ることもあるが稀)に掲載された作品から、まだ芥川賞を獲っていない新鋭作家の作品が選ばれる。上限はだいたい原稿用250枚で、短編~中編作品が対。なので、日本小説の中でも非常に狭い範囲を対とした賞に過ぎない。スポーツにたとえれば、箱根駅伝夏の甲子園がいくら世間的な注度が高くても陸上競技全体や野球全体の最高レベルの大会ではないように、芥川賞も別に日本小説全体の最高レベルの賞でもなんでもない。

現在の選考委員は小川洋子川上美、川上未映子、島田平野一郎松浦寿山田詠美、吉田修一の9名(第163回以降)。ちなみに選考委員の中で受賞作家でないのは山田島田の2人。山田は3回芥川賞を落ちて結局直木賞を受賞、島田は芥川賞史上最多タイの落選6回の記録を持つ。

受賞作は雑誌『文藝春秋』に全文掲載されるため(選考委員の選評も同時掲載)、文藝春秋は芥川賞受賞作の載る号だけやたらと発行部数が増えることがある(第131回で綿矢りさと金原ひとみが受賞した際には100万部以上を記録した)。このため芥川賞と直木賞は、雑誌の売り上げが落ちる2月8月話題を作るために始めた賞であると言われているが、この説はどうやら都市伝説であるらしい。

勘違いしている人をたまに見かけるが、芥川賞は作品を募するタイプの新人賞ではない。芥川賞を獲ろうと思ったら、まずは前述の純文学雑誌の新人賞を受賞するなどして、雑誌に作品が掲載されなければならない。現代において純文学では最低限芥川賞を取ってないと作家としてやっていくことは極めて困難なので、そういう意味では実質募新人賞みたいなものかもしれない。

ほぼ中堅作家の賞となっている直木賞と違い、こちらはより新人賞に近く、デビュー作でそのまま受賞する例もままある(既に他の新人賞の選考委員をしていた阿部和重が受賞したりもするが)。そのため、芥川賞を獲った「だけ」で消えていく作家も多い。受賞自体が大きなニュースになるため受賞作がベストセラーになるのもよくあることだが、そもそも普通の人は普段純文学なんて読まないのでそのまま忘れ去られていく作家もまた多い。もちろん、一般的には忘れ去られても作家としてはしっかり活動を続けている場合もある。金原ひとみとか。

海外文学賞と違い、選考委員の顔ぶれがなかなか変わらないことについては批判も多い。直木賞もそうだが、選考委員には任期がないので、だいたいは10年以上にわたって選考委員を務めることになる。現在、一番の古は第129回(2003年)から務めている山田詠美。ちなみに最長記録は第1回(1935年)から第86回(1981年)まで47年にわたって選考委員だった井孝作。

太宰治が受賞できなかったことは有名だが、中島三島由紀夫村上春樹なども受賞していなかったりする(三島由紀夫デビューしたのが戦後の芥川賞中断期間だったため、補にすらなっていない)。他、落とされ続け受賞できなかった作家として有名なのは島田(当時選考委員だった安岡太郎に嫌われていたらしい)だったが、当の本人は第144回から何の因果か選考委員に就任した。

直木賞とは全く別のジャンルのようで意外と接近しており、芥川賞補からのちに直木賞を獲った作家(最近だと角田代や島本理生)や、子のように芥川賞補→直木賞補となって結局芥川賞を獲った作家もいる。社会ミステリで知られる松本清張も受賞作家。第119回で長吉が直木賞(と藤沢周)が芥川賞を獲った際には「受賞作家が逆だ」と言われたりした。

144回以降、直木賞とともに受賞記者会見の模様がニコニコ生放送で中継されている。特に西村賢太田中慎弥がそれによって大きな話題をさらった。

大百科に記事のある受賞作

大百科に項目のある受賞作家

大百科に項目のある候補作家(★は直木賞受賞)

似たような賞

ほぼ同じポジション純文学の新進作家が対)の賞に、新潮社三島由紀夫賞と、講談社野間文芸新人賞がある。

詳細はそれぞれの記事を参照してもらいたいが(簡単に言えば三島賞トンガってて野間新人賞はオーソドックス)、大きな違いは三島賞・野間新人賞とも年1回であることと、芥川賞が「文学誌に発表された中短編」を対としているのに対し、三島賞・野間新人賞はどちらもそれに加えて単行本を対にしていること。なので、芥川賞を落ちた作品が単行本にまとめられてから三島賞・野間新人賞を獲る例は結構ある。

ちなみに三島賞、野間新人賞とも、芥川賞を受賞した作家は(暗黙の了解で)対外。この三賞を制覇しているのは、笙野頼子鹿島希、本有希子、村田沙耶香今村子の5人。

関連動画

関連項目

関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

【スポンサーリンク】

  • 9
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

ニコニ広告 (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: momo
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

芥川賞

98 ななしのよっしん
2024/05/25(土) 17:26:28 ID: zFLwtLKSnI
芥川賞活動家の箔付けに成り下がったか
👍
高評価
0
👎
低評価
2
99 ななしのよっしん
2024/05/26(日) 14:28:02 ID: 3qWN3GEtYz
ま、どっかの活動家賞与えて放置した時点のは汚点ね
ラノベ作だかが嫌韓とかで差別的言動してたのでアニメ化中止ってあったけど、あれでいいのよ

実名なりでヤバい言動するやつに、賞とかアニメ化みたいなお付き与えんなって
他人の難病を揶揄したり死を願うような人格破綻者に賞与えちゃったのなら
差別義者のアニメ化白紙にしたようにきちんと処理しろと
そのくらいの責任は与える側で取れよと

もしも批判誹謗中傷の区別すら作家も審員もついてないなら、そんな賞価値ないしなあ
👍
高評価
0
👎
低評価
0
100 ななしのよっしん
2024/12/12(木) 07:55:35 ID: va9aWMAmPe
第172回の補作が発表
選考会は来15日
👍
高評価
0
👎
低評価
0
101 ななしのよっしん
2025/01/02(木) 20:19:48 ID: MHSx46V7/z
直木賞含めここ数年だいぶ扱いが小さくなったよな
テレビ新聞ネット話題にされないし...(一応記事自体はでてるが)
売り上げも本屋大賞とかのが売れるで書店のスペースも小さい

知名度と実際の力が乖離してるというか、堕ちたよなぁ
👍
高評価
1
👎
低評価
0
102 ななしのよっしん
2025/01/16(木) 18:31:22 ID: va9aWMAmPe
安堂ホセさんのデートピア
鈴木結生のゲーテはすべてを言ったが選ばれた
👍
高評価
0
👎
低評価
0
103 ななしのよっしん
2025/01/18(土) 05:42:46 ID: FvEj4a0l1z
芥川賞受賞の安堂ホセ、『あの子トランスジェンダーになった』の刊行中止要運動に加担していた過去を発掘される
https://togetter.com/li/2497603exit

まとめ内の安堂ホセを擁護してるスノッブおば、なんか観たことある名前だと思ったらこれ
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2dc00e1f0a046972a3d6ee01b8cedb0a69d0cefcexit

色んな意味で流行語大賞みたいになってるな
👍
高評価
0
👎
低評価
0
104 ななしのよっしん
2025/01/18(土) 05:45:02 ID: 1QJe6H9wQJ
安堂ホセブーメランが突き刺さる
1.あるテーマを扱った本が刊行される
2.刊行を阻止しようと抗議や圧力をかける
3.この件に関して安堂ホセは「本を読むこと批判しても問題ない」旨の発言をし注される
4.安堂ホセ芥川賞受賞で「同じ論理批判される」ことになる
👍
高評価
0
👎
低評価
0
105 ななしのよっしん
2025/01/18(土) 05:51:57 ID: va9aWMAmPe
👍
高評価
0
👎
低評価
0
106 ななしのよっしん
2025/01/19(日) 21:33:23 ID: Aasi9QB18/
まあインタビューを見ると高尚なものとして見ている感じではなさそうなので、そこは素直に受け取るんじゃないかと
👍
高評価
0
👎
低評価
0
107 ななしのよっしん
2025/01/28(火) 23:04:23 ID: zqJragyyFb
バックについてる限り二度と受賞者の作品は読まん。売られることに文句は言わんが買わねえし割りも当然しねえよ
👍
高評価
0
👎
低評価
0

急上昇ワード改