苗穂工場とは、JR北海道が所有する最強かつ最凶の北の魔工場鉄道車輌の検修・修理・魔改造・製造工場である。
概要
1909年(明治42年)12月に当時の鉄道院札幌管理局の札幌工場として開設されたのが始まり。
JR北海道が所有する鉄道車輌1,114輌のうち、およそ7割強にあたる755輌の検修を一手に受け持っている。
同様の整備工場は他に五稜郭(函館市)、釧路(釧路市)に所在するが、機関車及び電車の検修・修理が出来るのはこの苗穂工場のみとなっている。
また、鉄道省時代には蒸気機関車の製造や木造客車の鋼製化などの車輌製造や改造も行っていたことがある。
日本国有鉄道時代や民営化後もその技術は脈々と受け継がれ、全国へ先駆けての急行形気動車のジョイフルトレインへの改造や、静態保存されていた蒸気機関車の復元工事など、その技術はJR各社の中でも高い部類に入る。
交流回生ブレーキは当工場を中心として開発され、世界で最初に実用化にめどをつけた。
その成果は新幹線やつくばエクスプレスなどに使用されている交流回生ブレーキに還元されている。
また苗穂工場で完成した車両によってJR北海道は道内の主要都市を3時間以下で結ぶことに成功しており、JR北海道が今なお奮闘できている技術の源泉はここにあると断言しても過言ではない。
戦時中に四式戦闘機疾風の主脚を担当した(当時は国鉄苗穂工機部)関係上、GHQに鋳物技術を軍事利用していないか監視された工場でもある。
営業の拠点が桑園駅そばにあるJR北海道本社、運行の拠点が札幌駅にある(お察しください)であるとするならば、DMVや各種特急の開発を行っているここは紛れも無くJR北海道の開発拠点であるといえよう。
特筆すべきその技術力
概要文にて述べたとおり、苗穂工場は鉄道車輌の検修施設であり、それ以外にも車輌の改造や復元工事も行っていたことがある。
だが、民間企業との共同開発が多いものの、この工場の恐ろしさ技術力はそれだけではない。
その一端をほんの少しだけご紹介しよう。
- ベアリングガイド式振り子装置
- 本州では考慮しなくてもよい雪対策のために北海道向けに強化された代物。キハ281系・283系に搭載されている。
ベアリングガイド式は従来のころ式振り子装置より高価らしく、同様の装置を搭載している車輌はJR東海の383系電車、JR西日本の283系・キハ187系気動車しかなく、キハ187系の後は18年後の2019年に導入されるJR四国2700系気動車が登場するまで振り子車両自体の増備が国内でストップしていた。
JR北海道も、富士重工業の鉄道車両製造からの撤退により、この機構を持った車輌の増備は不可能となってしまっている。なお、2700系は川崎重工による製造である。 - 空気式車体傾斜制御装置
- 高価な上記の振り子装置の代案として生み出された。台車に付いている空気ばねに空気を送り込み車体を傾斜させ、カーブの通過速度を向上させるといった機構。
キハ201系にて実験的に開発され、キハ261系にてその量産に成功した。
同様の機構は新幹線N700系電車などにも搭載されている。 - ハイブリッド車体傾斜システム
- 上記のベアリングガイド式と空気式車体傾斜制御装置を組み合わせた振り子装置。現在開発中である。
最大傾斜8度の車体傾斜が可能であり、カーブの通過速度をより向上させることができる、としている。
しかし、JR北海道の安全性に関する不祥事に加え、路線維持が困難になるほどの経営難から、この機構を搭載したキハ285系は開発中止となり、2019年現在も同様の研究はストップしたままである。 - 特殊鋳鉄制輪子
- JR北海道の車輌の高速運転を支える大事なブレーキ部品の一つ。721系の初期トラブル(空転の頻発)もこれにより解消した。
- これさえあれば特急列車の140km運転も夢ではない。でも実際にはやらない。特許取得済み。

- GPS式列車運行システム
- 従来の灯火式信号機、CTC等によらないGPS衛星を利用した運行管理システム。
- 開発が発表されてから暫く経つがいまだ開発中の模様。そんなことより信号機の配線ミス頻発の是正をだね
- DMV(Dual mode vehicle)
- 道路と線路の両方を走行することができる新型車両。現在開発中である。
- 北海道での導入は断念されたが、現在阿佐海岸鉄道での導入が進められている。
- 詳細な記事があるのでそちらへ。 → DMV
- ITT(Innovative Technology Train)
- モーターとディーゼルエンジンの両方、もしくは一方で走行可能なハイブリッドな新型車両。
動力性能の向上と省エネルギー・環境負荷軽減の両立を目指す。
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