茨城交通(いばらきこうつう)とは、茨城県水戸市に本社を置くバス会社である。略称は茨交(いばこう)。前身は鉄道会社であり、かつては関東鉄道などと同様にバスに加え鉄道も運行していた。
概要
茨城県北部、とりわけ水戸市が営業の中心である。本社は茨城県水戸市の茨大前営業所内にある。
かつては鉄道事業を行っていた私鉄である。戦時中の交通統合で誕生した会社であり、水浜電車を母体に茨城鉄道、湊鉄道、袋田温泉自動車など13業者が合併して発足した。当初は常北電鉄(日立電鉄)も統合に含まれる計画だったが、日立製鉄所の反対で変更となった。
水戸駅から中心市街(国道50号沿い)を通って上水戸に至る水浜線、国鉄赤塚駅から上水戸、茨城大学前を通り、東茨城郡桂村(現・城里町)の御前山駅までを結ぶ茨城線と、勝田市と那珂湊市(両市は合併し、現在はひたちなか市)に跨る湊線の3路線を所有していた。なお、水浜電車として鹿島軌道も買収しているが、買収時には既に路線廃止されている。
現在では水浜線と茨城線は廃線、湊線は後述する財政再建の際に分社化、出資比率を下げて第三セクター化され、ひたちなか海浜鉄道湊線となった。
現在では専らバス事業が中心であり、水戸市・ひたちなか市・那珂市・常陸大宮市・常陸太田市・大洗町・城里町・大子町・東海村と栃木県茂木町の10市町村に路線バスを展開している。また、高速バスを東京・仙台・成田空港・羽田空港・茨城空港へ運行している。かつては鉾田市や福島県矢祭町への路線バスも運行していた。
再建
茨城交通は1944年、陸運統制令による交通統合によって創業されてから、竹内家による一族経営がなされていた。以降、スーパーなどの小売りや不動産業、タクシーなどの多角経営に進んでいくが、茨城県内の人口流出により1990年代以降本業の鉄道やバスの利用者が減少。さらに当時東海村に造成していたフローレスタ須和間が、東海村JCO臨界事故の影響で事業は失敗してしまい、経営状態は悪化。地元茨城県が地盤の常陽銀行が中心となり、巨額の債務放棄など経営再建を試みたものの追いつかず、2008年に水戸地方裁判所に民事再生手続きを申し立てた。現在は経営共創基盤による再建が進めらみちのりホールディングス傘下となっている。
日立吸収
2019年5月1日付けで日立市内を中心に路線バスを運行していた「日立電鉄交通サービス」という企業を吸収合併。日立電鉄交通サービスの本社ビルの表札は「茨城交通日立オフィス」に付け替えられた。
旧日立の一般路線バスは日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市の4市で事業展開。また、日立電鉄線の廃線跡をバス専用道路として再利用した「ひたちBRT」も存在。
旧日立エリアでの一般路線バス乗車時にあった風習
※現在茨城交通ホームページのバスの乗り方案内ページ上ではこれから説明する旧日立エリアのことが書かれていないことから吸収時に廃止されたと思われる。
旧来の茨城交通運営のエリアでは一般的な紙整理券を用いる。
旧日立エリアでは一般路線バスのみで使用出来るIC乗車券「でんてつハイカード」を導入したが、現金乗車客用の整理券もICカード化されていた。
そこで注意すべき点は、以前使われていた紙の整理券ではどの運賃セクションから乗ったのか番号が印字されており、無論使い捨てであった。
が、日立エリアでは経費節減のため整理券を何度も使い回している。カードそのものに印字は行われない。
そのため、乗車時に整理券番号を覚えておかないといけないという初見殺し設計となっているので注意が必要。
車外では、整理券番号を覚えておくようにアナウンスが流れていたほか、車内アナウンスでも、「◯◯から乗車したお客様の整理券番号は◯◯番です」と必ずアナウンスが流れた。
IC乗車券
茨城交通では先述のとおり2社のシステムが混在しており、これまで茨城交通が営んできた路線と、旧日立の路線では使用可能なICカードが異なるという事態が発生している。
これまで茨城交通が営んできたエリアは「いばッピ」、旧日立エリアは「でんてつハイカード」というカードに分かれている。
なお、2018年12月13日の日本経済新聞の報道によると、2022年をめどにSUicaやPASMO等の交通系ICにシステム統合するとのことである。
鉄道路線
前述の通り、現在は鉄道事業から撤退しており、かつて所有していた路線となる。
- 水浜線
- 水浜電車として1922年12月28日に開業。水戸市から大洗町を通りひたちなか市を結んでいた路面電車で、郊外区間は専用軌道を走った。1966年5月31日に全線が廃止。
水浜電車の記事を参照。 - 茨城線
- 茨城鉄道として1926年10月24日に開業。水戸市から城里町を結んだ鉄道。1971年2月11日に全線が廃止。
茨城鉄道の記事を参照。 - 湊線
- 湊鉄道として1913年12月25日に開業。2008年4月1日にひたちなか海浜鉄道に移管。
ひたちなか海浜鉄道の記事を参照。
関連動画
関連項目
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