葉桜の季節に君を想うということ(はざくらのきせつにきみをおもうということ)とは、2003年に発表された歌野晶午の小説である。
など、2003〜2004年のあらゆる賞を受賞した、おそらく作者の代表作になるだろう一作。
概要
自称「何でもやってやろう屋」の主人公・成瀬将虎は、ある日通っていたトレーニングジムの関係からひき逃げの調査を依頼され、徐々にとある悪徳商法に巻き込まれていく。同じころ、将虎は地下鉄に身を投げようとしていた麻宮さくらという女性を助け、しだいにデートを重ねる間柄になった。
事件の真相究明と将虎の恋の行方は次第に交錯していき、また一方ではかつて主人公が経験した、暴力団の潜入捜査の経験も語られる。
ある真相を境にして事件の構図が全く変わってしまうのが本作の魅力である。
※本の末尾には補遺(または参考文献)が載せられているが、それを目にしてしまうとおおよその真相が読めてしまうため、絶対にあとがき目当てなどで本の最後を先に読んではならない。
登場人物
- 成瀬将虎
主人公。自称「何でもやってやろう屋」として警備員、パソコン指導など様々な仕事をする一方、魂の震える恋愛を求めては出会い系サイトで知り合った女性とセックスに走っている。都立青山高校を卒業したのち一時は探偵事務所に勤めていたこともあるが、半人前になる前に退職してしまった。しかし「俺は元探偵だ」と清に見栄を張ったことがきっかけで、愛子から事件の調査を依頼される羽目になる。 - 綾乃
将虎の妹で2歳年下。以前は丸ノ内のOLだったが現在は無職であり、水泳・海外旅行・合コン・ジャニーズの追っかけetc.に忙しい日々を送る。 - 美波
将虎の親戚の少女。 - 芹澤清
将虎の母校(青山高校)に在学中のジム仲間で7歳年下。同じジムに通う愛子に片想いしている。 - 久高愛子
将虎・清と同じジムに通う、聖心女子学院に初等科から通っていたお嬢様。「家柄に傷をつけたくないので警察に相談したくない」という理由で、身内のひき逃げ死亡事故について将虎に調査を依頼。 - 麻宮さくら
日比谷線広尾駅で自殺しようとしていた女性。通りすがりの将虎に助けられ、しだいに彼と親しい関係になる。 - 安藤士郎
将虎が講師を務めるパソコン教室の生徒で70代。元妻との間に生まれた娘の現在を知りたいと将虎に依頼する。 - 千絵
安藤の娘で17歳。 - 古屋節子
60代の主婦。何でもその場のノリで買ってしまう癖が治らず、蓬莱倶楽部のカモ(を通り越して組織の犬)にされている。 - 蓬莱倶楽部
悪徳商法集団。関東各地で"無料体験会"を開催し、ペットボトル1本2万円の水や、1組100万円する布団などを売りつけている。
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関連項目
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