藤井聡太単語

フジイソウタ
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藤井聡太ふじい そうた)とは、将棋棋士である。2002年7月19日生まれ。愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下。棋士番号307

史上5人中学生プロ棋士であり、2021年現在、史上最年少でプロとなった棋士でもある。

棋歴

将棋との出会い~詰将棋の神童

5歳祖母に教えられて将棋を始める。7歳でアマ初段として研修会に入会し、2012年に10歳(小4)で奨励会入会する。すでにその時点で非ではあったが、藤井聡太の名は「詰将棋」として将棋関係者の間で名をかせていた。

9歳で作成し「将棋世界」に投稿した作品が年間優秀作の一つに選ばれるなど、幼い頃より詰将棋作家として頭を現す。一方、詰将棋の解答者としては2011年詰将棋解答選手権チャンピオン戦に小学2年生で初参加。大会の実行委員の1人でもあるプロ棋士浦野真彦は「あんまり小さい子がいたんで(アマ初段レベルを対にした)初級戦と間違えて来ちゃったのかな、と思ったら、(プロ棋士でも頭を悩ませる)難問を普通に解けたので驚いた」とる(この年、大阪会場で24人中13位)。

その後も小学4年で総合5位、小学5年で前半ラウンド1位と活躍し続け、2015年詰将棋解答選手権チャンピオン戦で並み居るトッププロ詰将棋解答の名手たちを差し置いてただ一人満点を取って優勝。この時、小学6年生でもちろん史上最年少優勝その後も詰将棋解答選手権で活躍を続けている(後記)。

当時将棋連盟会長だった谷川浩司は、藤井師匠である杉本に対して藤井導に関するアドバイスを送っている。将棋連盟会長が一奨励会員の導方法にアドバイスをするのは極めて異例。その内容は「詰将棋は解くだけにして、作るのはプロ入りまで控えるように」というもの。詰将棋作りには独特の魅があるため、作る方にはまりこんではいけない(解く方は棋強化になるのでどんどん解いていい)という意味。谷川自身も詰将棋作家として非であり、この助言はに迫ったものである。

奨励会入会~プロ入りまで

小学6年生で奨励会初段に入品し、小学生のうちにあっさり二段へ上る。そして2015年、史上最年少の13歳3ヵで三段昇段。2016年、初参戦となった第59回三段リーグを13勝5敗で1位通過。”地獄”と言われる三段リーグを1期抜けし、2016年10月1日付で14歳2ヵで四段昇段(プロデビュー)を果たした。師匠杉本昌隆「藤井聡太をプロに出来なかったら、私は責任を取ってプロ引退する」とまで言わしめた才は、奨励会入会からわずか4年で大輪のを咲かせた。

なお、初段から四段昇段まですべて史上最年少記録であり、特に14歳2ヵでの四段昇段は「ひふみん」こと加藤一二三の持っていた最年少プロデビュー記録14歳7ヵ」を62年ぶりに更新する快挙であった。

中学生棋士”は加藤一二三谷川浩司羽生善治渡辺明に続いて史上5人で、三段リーグ1期抜けは2013年三枚堂達也以来、史上6人となる。

プロデビュー、破竹の連勝記録

史上最年少棋士デビュー戦は、現役最年長棋士加藤一二三(当時76歳)との対局になった。62歳差の対局は日本将棋連盟記録に残っている公式対局では最大の年齢差。この対局に勝利し、史上最年少勝利記録14歳5ヵ)も更新した。なお、加藤はこの時点で19世紀生まれの棋士と21世紀生まれの棋士の両方と対局した史上初かつ一(この時点で19世紀生まれの棋士と対局経験のある現役棋士加藤ただ一人だったため)の棋士となった。

このデビュー戦から公式戦では一度も負けることなく連勝を続け、デビューからの連勝記録更新(以前の記録は10連勝)、竜王戦棋王戦で本戦トーナメントに進出。その後も勢いはとどまることを知らず、6月26日には神谷広志の持つ28連勝の記録を抜き去り、デビューから敗のまま歴代連勝記録単独1位となる29連勝を達成。しかし、7月2日竜王戦決勝トーナメント佐々木勇気に敗れ、連勝記録は29でストップした。

連勝中はマスコミ報道も日ごとに過熱し、連日ワイドショーで取り上げられるなど藤井フィーバーの様相を呈した。藤井の連勝の加藤一二三を筆頭にプロ棋士メディア露出が劇的に増え、その注度の高さは1996年羽生善治七冠制覇したとき以上とも。28連勝、29連勝を達成した際にはテレビ各局でニュース速報テロップが流れ、頭では号外が配られる事態となった。

連勝記録詳細

対局数 対局日 対局相手 棋戦 結果
1 2016年12月24日 加藤一二三九段 竜王戦6組 110手で勝ち
2 2017年1月26日 豊川孝弘七段 棋王戦予選 85手で勝ち
3 2017年2月9日 浦野真彦八段 竜王戦6組 48手で勝ち
4 2017年2月23日 浦野真彦八段 NHK杯予選 87手で勝ち
5 2017年2月23日 北浜健介八段 NHK杯予選 127手で勝ち
6 2017年2月23日 竹内雄悟四段 NHK杯予選 111手で勝ち
7 2017年3月1日 浩三七段 王将戦予選 72手で勝ち
8 2017年3月10日 大橋貴洸四段 新人王戦 144手で勝ち
9 2017年3月16日 所司和晴七段 竜王戦6組 107手で勝ち
10 2017年3月23日 大橋貴洸四段 棋王戦予選 127手で勝ち
11 2017年4月4日 小林裕士七段 王将戦予選 104手で勝ち
12 2017年4月13日 星野良生四段 竜王戦6組 127手で勝ち
13 2017年4月17日 千田翔太六段 NHK杯1回戦 90手で勝ち
14 2017年4月26日 七段 棋王戦予選 140手で勝ち
15 2017年5月1日 金井恒太六段 竜王戦6組 90手で勝ち
16 2017年5月3日 横山大樹アマ 新人王戦 100手で勝ち
17 2017年5月12日 西川六段 王将戦予選 84手で勝ち
18 2017年5月18日 竹内雄悟四段 加古川清流戦 120手で勝ち
19 2017年5月25日 近藤誠也五段 竜王戦6組 102手で勝ち
20 2017年6月2日 澤田真吾六段 棋王戦予選 61手で千日手155手で勝ち
21 2017年6月7日 都成竜馬四段 上州YAMADA 93手で勝ち
22 2017年6月7日 阪口悟五段 上州YAMADA 139手で勝ち
23 2017年6月7日 宮本広志五段 上州YAMADA 141手で勝ち
24 2017年6月10日 孝四段 叡王戦段位別予選 108手で勝ち
25 2017年6月10日 都成竜馬四段 叡王戦段位別予選 108手で勝ち
26 2017年6月15日 瀬川晶司五段 順位戦C級2組 108手で勝ち
27 2017年6月17日 藤岡アマ 朝日杯将棋オープン 106手で勝ち
28 2017年6月21日 澤田真吾六段 王将戦一次予選 99手で勝ち
29 2017年6月26日 増田康宏四段 竜王戦決勝トーナメント 91手で勝ち(歴代単独1位
30 2017年7月2日 佐々木勇気五段 竜王戦決勝トーナメント 101手で投了(連勝ストップ

連続昇段、最年少棋戦優勝

連勝ストップ後も順位戦勝利を積み重ね、2018年2月にC級2組を9連勝でトップ通過を決め、五段に昇段した。中学生のC級1組昇級・五段昇段は史上初。また、朝日杯将棋オープン戦では本戦トーナメント佐藤天彦羽生善治広瀬章人ら強棋士を撃破し優勝。「全棋士参加棋戦優勝」の昇段規定により、五段昇段からわずか約2週間で六段に昇段した。なお、15歳6ヵでの全棋士参加棋戦優勝、六段昇段はいずれも史上最年少

この年度は史上3人となる勝率勝利数・対局数・連勝の記録全4部門での1位を達成。また、年度60勝と勝率8割の同時達成も史上3人。その他、特別賞(最優秀棋士賞と同格)、新人賞、名局賞特別賞も受賞した。

さらに六段昇段後わずか3ヵ2018年5月に、第31期竜王戦5組ランキング戦準決勝にて船江恒平を破り、「竜王ランキング戦連続2回昇級」の条件を満たして七段に昇段した。15歳9ヵでの七段は加藤一二三17歳3ヵを大幅に更新した史上最年少記録

2018年度の新人王戦は、七段に昇段したことにより自身最後の出場となった。この新人王戦で決勝に進出、決勝3番勝負では出口若武を2連勝で破り優勝した。16歳2ヵでの新人王戦優勝は、森内俊之17歳0ヵ更新して史上最年少。なお、後に行なわれた新人王戦優勝記念対局(非公式戦)では豊島将之(当時二冠)に快勝した。

2018年12月に、通算100勝を史上最年少・史上最速・史上最高勝率にて達成100勝達成時、100勝18敗、勝率 .847)。

2019年朝日杯将棋オープン戦の本戦トーナメント稲葉陽糸谷哲郎行方尚史渡辺明ら強を撃破して優勝同大会では羽生善治以来2人の大会連覇を果たし、一般棋戦連覇の史上最年少記録16歳6ヵ)を更新した。

2018年度(2018年4月2019年3月)は過ぎる昇段ので参加可棋戦が減り、また一部棋戦シードを得たこともあり対局数や勝利数は減少したが、前年度に引き続き8割を々とえる圧倒的な高勝率記録。2年連続で勝率一位賞を受賞した。また、AIえの妙手として絶賛された石田直裕戦の「7七同飛成」が評価され、升田幸三賞も受賞

2019年竜王戦4組ランキング戦決勝では、菅井竜也を破り優勝竜王ランキング戦3期連続優勝木村一基永瀬拓矢に続く史上3人であり、デビューからの3期連続優勝は史上初。王将戦ではタイトル挑戦直前までいくも、広瀬章人に逆転負けを喫し初のタイトル挑戦はならなかった。この敗局が同年度の名局賞特別賞を受賞した。また、同年度も勝率8割を達成。3年連続の勝率8割達成は史上初。さらに勝率一位賞も3年連続で受賞した。

最年少タイトル挑戦、獲得から二冠へ

2020年ヒューリック杯棋聖戦で勝ち上がり、挑戦者決定戦では当時二冠だった永瀬拓矢を破り初のタイトル挑戦を決める。17歳10ヵ20日でのタイトル挑戦は、屋敷伸之1989年記録した17歳10ヵ24日を4日更新する史上最年少記録。番勝負では当時三冠渡辺明棋聖を3勝1敗で降し、初タイトル棋聖を獲得した。17歳11ヵでのタイトル獲得屋敷伸之の持つ18歳6ヵ更新する史上最年少記録

続く王位戦でも挑戦者となり、木村一基王位相手に4連勝で奪取。史上最年少二冠18歳1ヵ)となった。また、タイトル2期獲得の規定により八段に昇段。こちらも史上最年少八段となった。

竜王戦3組ランキング戦も勝ち上がり、決勝では杉本昌隆との師対決となる。この対局も勝利し、史上初の竜王ランキング戦4期連続優勝を達成。11月には、通算200勝を史上最年少で達成(達成時200勝40敗、勝率 .833)。

同年度の銀河戦では、決勝で糸谷哲郎を破り初優勝を果たした。また、順位戦ではB級2組を10連勝して、B級1組への昇級を決めた。朝日杯将棋オープン戦では、準決勝で渡辺明を、決勝で三浦弘行を破り、3回優勝を達成した。

2020年度は上記の活躍により、初の最優秀棋士賞を受賞。44勝8敗(勝率.846)の成績で、最多勝利賞、勝率一位賞を獲得した。4年連続かつ、4度勝率8割達成も史上初。また、終盤の長手数の連続王手をかわして逆王手に討ち取った棋聖戦第1局が名局賞に、タダ捨ての妙手「4一」が非常に大きな反を呼んだ竜王戦2組ランキング戦準決勝(対松尾歩)が名局賞特別賞に選ばれた。さらに、棋聖戦第2局の「3一」が升田幸三賞特別賞に選出された。

竜王戦2組ランキング戦では、決勝で八代弥を破り優勝史上初の竜王ランキング戦5期連続優勝を果たした。

最年少タイトル防衛、五冠へ

2021年6月からは初となるタイトル防衛戦に臨んだ。棋聖戦では前棋聖渡辺明を3連勝で降し、初防衛に成功。18歳11ヵでのタイトル防衛は史上最年少記録(以前の記録屋敷伸之の19歳7日)。また、タイトル3期獲得の規定により九段に昇段。渡辺明の21歳7ヵ更新史上最年少九段(18歳11ヵとなった。また10代での九段昇段は史上初となった。

王位戦では、当時竜王叡王の二冠だった豊島将之が挑戦者となった。また、叡王戦では挑戦者決定戦で斎藤慎太郎を破り、豊島叡王に挑戦した。さらに、竜王戦では挑戦者決定戦で永瀬拓矢を破り、豊島竜王に挑戦した。王位戦は4勝1敗で防衛に成功。並行して行われていた叡王戦でも3勝2敗で奪取し史上最年少三冠(19歳1ヵ、更に竜王戦も4連勝で奪取し史上最年少四冠(19歳3ヵとなり、俗に「十九番勝負」とも呼ばれた3つの番勝負をすべて制する結果となった。

王将戦リーグ戦では開幕から5連勝し、最終局を待たずに挑戦を確定させた。渡辺明王将との番勝負に4連勝して王将位を奪取。四冠からわずか91日で史上最年少五冠(19歳6ヵを達成。羽生善治記録(22歳10ヵ)を28年5ヵぶりに更新した。

同年度の順位戦では10勝2敗の成績でB級1組をトップ通過。2022年よりA級順位戦に参加することになった。

一般棋戦”グランドスラム”達成、六冠達成、名人挑戦へ

2022年タイトル戦成績一覧
棋戦 時期 結果
名人戦 (4-6月) A級順位戦7-2名人挑戦へ
叡王戦 4-6月 vs出口若武 3-0防衛
棋聖戦 6-7月 vs永瀬拓矢 3-1防衛
王位戦 7-8月 vs豊島将之 4-1防衛
王座戦 (9-10月) 挑決T1回戦vs大橋貴洸負け
竜王戦 10-12月 vs広瀬章人 4-2防衛
王将戦 1-3月 vs羽生善治 4-2防衛
棋王戦 2-3月 vs渡辺明 3-1奪取

第7期叡王戦五番勝負では出口若武を3勝(1千日手)で下し、叡王位初防衛に成功する(叡王戦におけるタイトル防衛は史上初)。第93期棋聖戦五番勝負では永瀬拓矢を3勝1敗で下し2度の防衛を果たす。

第63期王位戦七番勝負では豊島将之を4勝1敗で下し3連覇、通算タイトル獲得回数を10期とする。20歳1ヵでの10期到達は最年少記録羽生善治記録・23歳4ヵ更新)で、更に初タイトル獲得から2年1ヵでの10期到達は史上最速(中原誠の4年0ヵ更新)。

第35期竜王戦七番勝負では広瀬章人を4勝2敗で下し2連覇。第48期棋王戦では準決勝で佐藤天彦に敗れたものの敗者復活戦に回り、再び佐藤との挑決変則2番勝負を連勝し棋王戦初挑戦、3勝1敗で渡辺明から棋王を奪取。これにより羽生善治に次いで2番となる六冠制覇を達成・最年少記録更新した。第72王将戦は勝てばタイトル通算100期となる羽生善治の挑戦を4勝2敗で退け防衛(棋王奪取は王将防衛後)。第81期A級順位戦は初参戦ながら7勝2敗で広瀬章人と同の首位で終え、プレーオフ勝利して初となる名人挑戦を実現した。

2022年度の一般棋戦では銀河戦(2年ぶり2回)、JT杯(初優勝)、朝日杯(2年ぶり4回)、NHK杯(初優勝)を達成。前人未到の一般棋戦(全棋士参加が可棋戦)全棋戦制覇を達成した。また、2022年度に新設された非公式戦の新銀河戦も優勝している。

史上5人目の「竜王・名人」、史上初の八冠全冠制覇達成

第8期叡王戦は前挑戦者の兄弟子でA級一の振り飛車党である菅井竜也を挑戦者に迎え、最終局は2回の千

2023年タイトル戦成績一覧
棋戦 時期 結果
名人戦 4-6月 vs渡辺明 4-1奪取
叡王戦 4-6月 vs菅井竜也 3-1防衛
棋聖戦 6-7月 vs佐々木大地 3-1防衛
王位戦 6-8月 vs佐々木大地 4-1防衛
王座戦 9-10月 vs永瀬拓矢 4-1奪取
竜王戦 10-12月 vs伊藤匠 4-0防衛
王将戦 1-2月 vs菅井竜也 4-0防衛
棋王戦 2-3月 vs伊藤匠 3-0防衛

日手局を含む3勝1敗(2千日手)で防衛し、連続獲得期数を3期に伸ばした(叡王戦の永世位規定が制定され、通算5期で永世叡王資格が得られることが発表された)。第81期名人戦渡辺明を4勝1敗で下し、羽生善治谷川浩司森内俊之豊島将之に続く5人の「竜王名人」、羽生と並ぶ七冠を達成した。

第94期棋聖戦及び第64期王位戦タイトル戦初挑戦となる佐々木大地を迎えての防衛戦となった。まず棋聖戦は3勝1敗で防衛し4連覇。王位戦も4勝1敗で防衛し、こちらも4連覇となった。

今までタイトル挑戦に縁が遠かった王座戦も初の挑戦権を獲得し、永瀬拓矢の名誉王座獲得か藤井の八冠全制覇かをめぐる五番勝負に。3勝1敗で奪取に成功し、前人未到の八冠全冠制覇を達成した(全冠制覇史上最年少記録(21歳2ヵ)。

竜王戦はその永瀬拓矢を挑戦者決定戦で破った伊藤匠が挑戦者となった。藤井伊藤という合計年齢41歳の組み合わせでのタイトル戦は史上最年少記録(以前の記録屋敷伸之森下卓の第57期棋聖戦における合計42歳)。全8冠制覇後初となる防衛戦も伊藤を4-0で完封大山康晴第十五世名人の持つタイトル戦19連勝の記録に並んだ。

24年1~3月王将戦は今年度の叡王戦に続いて2度の挑戦となる菅井竜也棋王戦も今年度の竜王戦に続き2度の挑戦となる伊藤匠がそれぞれ挑戦者となった。王将戦は4-0、棋王戦は3-0(1持将棋)で防衛し、前述の大山15世名人の持つ記録えるタイトル戦21連勝記録立した。

一般棋戦ではJT杯は連覇。一方で、銀河戦・朝日杯NHK杯はそれぞれ2年連続で決勝戦まで進出するも銀河戦は3年前の竜王戦決勝トーナメント(3組優勝により決勝T進出)で敗れた丸山忠久に、朝日杯王座を奪った相手でもある永瀬拓矢に、NHK杯は昨年度と同カードとなった佐々木勇気にそれぞれ敗れ準優勝となった。なお、NHK杯で準優勝となったため年間勝利率歴代記録更新は達成できなくなっている。

新年度4月から開幕する名人戦の対戦相手は名人1期の豊島将之が、叡王戦竜王戦棋王戦に続き3度タイトル戦出場を果たした伊藤匠が挑戦者となった。

棋風・人物

居飛車党の本格で、特に換わりを得意とする。後手番では初手で必ず8四歩と飛先の歩を突き、相手の得意戦っ向から受けることが多い。詰将棋解答選手権5連覇に裏付けされた圧倒的な終盤が持ち味だが、序盤・中盤も非常にミスが少なく緩急自在にし回し、土俵際まで追い詰められてからのも持ち合わせる。

導した棋士がみんな口をえて「負けず嫌い」と評する程の負けず嫌い。師匠との練習将棋ですら負けて悔しがってたとか。く「生活が低い」らしく、初めて1人で大阪将棋会館に行った際にはをすべて将棋会館に忘れてきたらしい。

集中も凄まじいものがあるようで、風呂場のタイル将棋盤に見立てて考えていたらのぼせた、将棋のことを考えながら歩いていたらドブに落ちた、などのおちゃめエピソードも。

50メートル走は6.8。幼いころは自宅の庭にある木によく登っていた。

かなりの活字好きらしく、沢木耕太郎新田次郎司馬遼太郎をよく読むとのこと。そのためかインタビューでは年齢離れした言葉のチョイスる(「望外の結果」「自分の実からすると僥倖」など)。

将棋研究に必要なパソコンを自分で作る自作パソコン趣味のひとつで、CPUAMDRyzenをお気に入りに挙げている。当時AMDCEOだったリサスーがそのことについて言及したツイートをしたこともあり、インタビューで「会ってみたい人」にリサスーと答えている。

29連勝中には日本将棋連盟から公式グッズとして揮毫入り扇子が発売され、販売開始からわずか1時間で売り切れた。新四段の公式グッズが作られるのは異例の事態である。藤井が幼い頃に遊んだ将棋セットや知育玩具に注文が殺到するなど、関連商品が次々に売れる現も起きた。将棋そのものへの関心も高まり、子供向け将棋教室の申込みが急増した。

詰将棋解答選手権

詰将棋解答選手権では、2015年に史上最年少で優勝を果たして以降、2016年2017年2018年2019年優勝して5連覇(※大会新記録継続中)を果たしている。その勝ち方も圧倒的で、2016年には制限時間90分の前半ラウンドにて開始わずか20分で5問を全問正解2017年にも開始わずか24分で前半ラウンド5問全問を解答(解答を誤記するケアレスミスで失点したものの、実質全問正解)して周囲を驚かせた。これではいけないと実行委員が気合の難問を用意した翌年も55分で前半ラウンド5問を全問正解し、「60分もたなかったか」「(詰将棋解答ルーチンを備えた将棋ソフトの)将棋より速いのでは?」と関係者を嘆息させる。従来この大会の問題の難度は満点者が出ると驚きのが挙がるほどであるが、2018年にはとうとうその反応もなくなった。

大会の実行委員長である詰将棋界のレジェンドこと若正をして、「彼を発掘しただけでも、この会を開催していた甲斐があった」と言わしめたほど。自身も大会を連覇している斎藤慎太郎でさえ、「藤井くんの解答スピードは自分の3倍以上です」と脱帽している。

学校での姿

なお、世間が藤井フィーバーで湧いていた頃、彼が通う中学校では「えっ、フジイって将棋やってたの!?」という反応だったという。これは藤井聡太が、学校では一切将棋のことに触れていなかったためである。

そのころの藤井聡太といえば「普段から友人鉄道の会話しかしていないただの鉄オタ」と周りに思われていたらしい。実際、入りの鉄オタであり、本人も全く否定していないどころか、鉄道ファンを堂々と言している。普段から、真似事をしたり、警音を録音しに行ったりと、いわば音鉄要素もあるが、本人はどちらかというと乗り鉄だと言っている。またタモリファンである縁から、番組で彼と対談した際には並半端じゃない鉄道トークを繰り広げていた(タモリ鉄オタなのは有名)。ちなみに、一度鉄道に乗ったら、帰ったときは通過も含め、その名と巡行ダイヤを全て覚えて帰ったという信じられないような逸話がある。

なお、藤井聡太が初めてニコ生解説に呼ばれたとき、待ってましたかのように鉄道に関する質問が来て、「好きな車輌は?」という質問に対し、笑顔

313系8000番台が来たら少しうれしいです」[1]

と答え、同席していた山崎隆之貞升南含め、視聴者の大半が固まってしまった(そして、一部の鉄道ファンが「マニアックすぎるw」と苦笑コメを返していた)

高校進学後も、学校での会話は鉄道に関するものが多いとの本人談。東京での対局後、新幹線ではなく敢えて在来線名古屋へ帰ったり、学校夏休みにはクラスメートと青春18きっぷ小海線に乗ったりしたという。

高校卒業が間近になった1月末に高校を自退学した。在学中にタイトルを獲得するなど多忙となり、卒業条件を満たすことが困難となったため。ただし、自退学高校進学を決めたときからの想定の範囲だったようで、「高校に2年間通い、棋士だけでは経験できないことをいろいろできた。だから卒業自体にこだわる必要もないのかなと。経験が生きる場面は、あると思います」とった[2]

中学高校時代のクラスメートには、後に囲碁プロ棋士になったり男性アイドルになったりと、同じく技芸のに進んだ者がいるのだが、クラスでは男子からも女子からも「フジイ」と呼ばれていた模様。

同級生・囲碁の加藤優希初段が明かす 授業中に将棋の符号を書く藤井名人exit

成績

昇段履歴

タイトル戦履歴

タイトル獲得:21期(2024年3月棋王防衛まで)
竜王 3期(第34期-2021年度~第36期) ※3連覇中(あと連続2期または通算4期で永世位資格)
名人 1期(第81期-2023年度)
王位 4期(第61期-2020年度~第64期) ※4連覇中(あと1期防衛で永世位資格)
叡王 3期(第6期-2021年度~第8期) ※3連覇中、叡王戦の史上初3連覇(あと2期で永世位資格)
王座 1期(第74期-2023年度) ※8冠全冠制覇達成
棋王 2期(第48期-2022年度・第49期) ※2連覇
王将 3期(第71期-2021年度~第73期) ※3連覇中
棋聖 4期(第91期-2020年度~第94期) ※4連覇中(あと1期防衛で永世位資格)

一般棋戦優勝履歴

将棋大賞受賞履歴

順位戦成績

期(開催年度) 期首順位 勝敗 結果・備考
第76期(2017年度) C2 50人中45位 10戦全勝 成績首位でC級1組へ昇級
第77期(2018年度) C1 39人中31位 9勝1敗 で4人並ぶも期首順位の差で昇級2を逃す
(他3名は上位から近藤誠也杉本昌隆船江恒平)
第78期(2019年度) C1 36人中3位 10戦全勝 成績首位でB級2組へ昇級(2位佐々木勇気)
第79期(2020年度) B2 25人中21位 10戦全勝 成績首位でB級1組へ昇級(2位佐々木勇気)
第79期終了時点で順位戦21連勝中
第80期(2021年度) B1 13人中11位 10勝2敗 順位戦連勝は22(史上2位)でストップ
成績首位でA級へ昇級(2位稲葉陽)
第81期(2022年度) A 10人中9位 7勝2敗 広瀬章人と並びプレーオフ進出
プレーオフを制し名人挑戦。名人戦にて4-1で奪取。
第82期(2023年度) 名人 次回名人戦挑戦者は豊島将之と決定。
第83期(2024年度) 名人またはA級 2024年4月名人戦

関連動画

関連静画

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *【将棋】第4期叡王戦 本戦 羽生善治竜王 vs 菅井竜也七段#2:59:35exit
  2. *「自主退学 心残りない」藤井聡太王位独占インタビューexit

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藤井聡太

2731 ななしのよっしん
2024/03/17(日) 20:09:52 ID: q5t4T13kZB
ストレート勝ちばかりだから消耗少なくタイトルを防衛できているのがでかい竜王戦スイープしたから王将戦の(振り飛車退治の)研究時間を確保できて、そこもスイープしたから同時並行になるはずの棋王戦も楽にできる。
伊藤匠さんはこの壁なんとかしたいなら、藤井さんを苦労させるしかない。他の棋士団結して藤井対策しないと独走は止まらない。
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2732 ななしのよっしん
2024/03/17(日) 20:24:30 ID: QebeCwO8k3
NHK杯では苦しそうであんな露な時間稼ぎする藤井聡太初めて見た
彼も人間だったんだな
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2733 sage
2024/03/17(日) 21:04:19 ID: wIr4Bc8yYA
>>2731棋戦の挑戦者で「まず一勝すること」を標にする。それで全挑戦者がまず4-1や3-1できる様にする。

そうやって少しでも藤井さんを消耗させ対局を多くして研究に費やせる時間や体力を削っていく。その付け入る隙をまずは作れるかどうかだね。

他の皆さんも決して弱い訳ではないんだが。こうでもしないとまずはチャンスすらなさそう。
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2734 sage
2024/03/18(月) 05:38:23 ID: wIr4Bc8yYA
大リーグイチロー全盛期だった頃、一時期ライバルチーム同士でどうしたら彼を阻止・対策できるのか情報交換や対策会を開いたという。

藤井聡太さんも最個人の棋士でどうにかするには限界がある。本来ならライバル同士の棋士達で集まり対策勉強会を開いたり意見交換したりでもしないと理なんじゃ…

いや、同じ手は二度と通じないから仮に対策会を開いて一発入れたとしても次の対局では使えなくなってるか。
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2735 sage
2024/03/18(月) 10:30:21 ID: wIr4Bc8yYA
全冠独占してから全て防衛どころかタイトル戦で一敗もしてない。一般棋戦では全て準優勝以上をキープしていても、来期はもっと上の成績を期待されてしまいある意味では気の毒に思う。

こんな年度成績は今までの棋士でいうと羽生さん大山さんレベルでも生涯に一度だけチャンスがあるかないか… いや、将棋の歴史上あるかないかの成績なのに。

それでも彼ならやるだろう、だって藤井聡太さんだもん。
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2736 ななしのよっしん
2024/03/18(月) 10:59:38 ID: cIREOp/jU2
棋王戦3局、4局藤井から積極的に導権握りにいったのは興味深い
予選くなって序盤研究する時間が増えたのだろうか
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2737 ななしのよっしん
2024/03/18(月) 12:20:18 ID: QebeCwO8k3
4冠、5冠の頃はまだ挑戦者決定の試合とかがあって多忙でつけいる隙があった
現状防衛だけに専念すれば良いから、一発勝負刺しの一般戦しかタイトル取るのは不可能
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2738 ななしのよっしん
2024/03/18(月) 12:22:11 ID: QebeCwO8k3
非公式戦で良いなら
本気モードじゃないabema王位女流王位の時の里見みたいにつけいる隙はあるんだよな
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2739 sage
2024/03/18(月) 16:44:39 ID: wIr4Bc8yYA
直近タイトル戦は三連続ストレート勝ち

王座戦第一局からタイトル戦では半年以上負けてない。一発入れられたら快挙で祝勝会モードみたいになりつつある…
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2740 ななしのよっしん
2024/03/19(火) 18:24:45 ID: 0W41jWAB62
>>2738
NHK杯藤井聡太に勝てる試合の一つではある
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