藤沢和雄とは、JRA・美浦トレーニングセンター所属の元調教師である。
戸籍名は「藤澤和雄」。JRAでは人名表記を新字体に限定しているが、地方競馬やNHKの番組を中心に用いられる。
概要
藤沢和雄 ふじさわ かずお |
|
基本情報 | |
---|---|
国籍 | 日本![]() |
性別 | 男性 |
出身地 | 北海道苫小牧市 |
生年月日 | 1951年9月22日 |
調教師情報 | |
所属団体 | 日本中央競馬会(JRA) |
所属厩舎 | 美浦T.C. (1977-2022) |
初免許年 | 1987年 |
引退日 | 2022年2月28日(定年) |
重賞勝利 | 129勝 |
GI級勝利 | 34勝 |
通算成績 | 9,113戦1,570勝 |
表彰・記録 | |
調教師テンプレート |
1951年、北海道苫小牧市で生まれる。
元々ホースマンになるつもりはなかったというが、父の友人の牧場で馬産を手伝ううちに調教師を志すようになり、イギリスで厩務員として働く傍ら競馬について学んだ。
帰国後は調教助手となり、菊池一雄厩舎で二冠馬カツトップエースを手掛けた。しかし菊池が病死し厩舎が解散、藤沢は「ミスター競馬」野平祐二の厩舎に誘われ籍を移す。ここで巡り合ったのが皇帝シンボリルドルフ、そして岡部幸雄騎手であった。藤沢は当初ルドルフの調教もしていたが、野平があまりに楽しそうに騎乗するので調教を遠慮するようになったという。
1987年に独立して調教師となり、88年に厩舎を開業。岡部を厩舎主戦として迎える。93年にシンコウラブリイで初GⅠ制覇を遂げると、その後も破竹の勢いで活躍馬を量産。97年にはタイキシャトルの大活躍などもあり年間重賞13勝という新記録を樹立する。95年から2009年の間に調教師リーディングに輝くこと11回。まさしく無敵を誇った。2009年には史上13人目の通算1000勝を達成。
しかし2005年に岡部が引退すると、歩調を合わせるように厩舎の勢いにも陰りが見え始め、2006年のヴィクトリアマイルから8年もの間GⅠから遠ざかることとなる。2008年には95年から継続していた連続年重賞勝利もストップ。そうはいってもリーディングでは上位に来るし一流厩舎なのは変わらなかったが、一時の快進撃を思えば、という話である。
2014年に8年ぶりのGⅠ制覇を果たすと、2016年にはソウルスターリングが阪神JFを、サトノアレスが朝日杯FSを連勝。そして2017年、レイデオロが日本ダービーを勝利し、厩舎開業から29年目にして悲願のダービー制覇を遂げた。2019年からは「タイキシャトルの再来」とも評せるグランアレグリアが活躍する。
2021年、グランアレグリアのGⅠ合計6勝を手土産とし、2022年2月28日に70歳の定年引退を迎えた。勝ち数1,570勝は戦前の「大尾形」こと尾形藤吉に次ぐ歴代2位の記録である。管理馬は新規開業となる蛯名正義厩舎に大多数が引き継がれた他、藤沢自身は翌3月1日からJRAとアドバイザリー契約を締結し、競馬運営についての助言を行っていく予定となっている。
特徴
公の場では常に笑顔を絶やさず、語り口も穏やか。TVや対談企画などではジョークを挟みながら軽妙なトークを聞かせてくれる。
調教方針として、主戦騎手であった岡部幸雄と同様に「馬優先主義」を標榜し、馬に決して無理をさせないスタイルで知られる。そこには、開業5年目、まだ実績のない藤沢厩舎で「ダービーが取れる」と期待された馬・ヤマトダマシイが2戦目で予後不良となったことへの後悔が影響していると言われている。「一勝より一生」とは彼の言葉であり、1500勝を記念して美浦トレセンに建てられた石碑にもこの言葉が刻まれている。一方、一回の調教で強い負荷をかけない分毎日のように歩行運動をするなど、総合した運動量自体はけっこう多かったりする。
調教だけでなくレース選択においても、サイレントハピネスやダイヤモンドビコーのように、トライアルを勝っても馬の負担が重くなりすぎると判断すれば本番のGⅠを回避することもあった。その一方、スティンガーやレディブロンドのように、状況次第では連闘でGⅠに挑戦したりもする。
将来を見据え苛烈な負荷をかけない方針もあってか、3歳(旧4歳)馬のクラシックGⅠには長らく縁がなかった。2歳GⅠやNHKマイルカップは比較的早くに勝ったが、期待されたバブルガムフェローは骨折、スティンガーはずっこけ、シンボリクリスエスもゼンノロブロイもダービー2着。2004年にダンスインザムードで桜花賞を勝ちようやくクラシック勝利は果たしたが、牡馬クラシックは藤沢ダービー青葉賞からのローテーションに拘っていたこともあり(青葉賞からダービーを勝った馬はいない)、2017年のレイデオロまで未勝利だった。特にシンボリクリスエスの時は相当悔しかったようで、後に対談企画で心境を吐露している(シンボリクリスエスの項を参照)。
主な管理馬
GI勝ち馬
- シンコウラブリイ ('93マイルCS)
- バブルガムフェロー ('95朝日杯3歳S、'96天皇賞(秋))
- タイキブリザード ('97安田記念)
- シンコウキング ('97高松宮記念)
- タイキシャトル ('97-98マイルCS、'97スプリンターズS、'98安田記念、'98ジャック・ル・マロワ賞)
- スティンガー ('98阪神3歳牝馬S)
- シンボリインディ ('99NHKマイルC)
- ゼンノエルシド ('01マイルCS)
- シンボリクリスエス ('02-'03天皇賞(秋)、有馬記念)
- ダンスインザムード ('04桜花賞、'06ヴィクトリアマイル)
- ゼンノロブロイ ('04天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念)
- スピルバーグ ('14天皇賞(秋))
- ソウルスターリング ('16阪神JF、'17優駿牝馬)
- サトノアレス ('16朝日杯FS)
- レイデオロ ('17東京優駿、'18天皇賞(秋))
- タワーオブロンドン ('18スプリンターズS)
- グランアレグリア ('19桜花賞、'20安田記念、スプリンターズS、マイルCS、'21ヴィクトリアマイル、マイルCS)
その他記事のある管理馬
- シンコウエルメス (タワーオブロンドン・ディーマジェスティの祖母)
- ダイヤモンドビコー ('01ローズS、'02中山牝馬S、府中牝馬S、阪神牝馬S)
- レディブロンド (ゴルトブリッツの母、レイデオロの祖母)
- ミスペンバリー (パンサラッサの母)
- カジノドライヴ ('08ピーターパンS)
- ペルーサ ('10青葉賞)
- チェッキーノ ('16フローラS)
- レッドモンレーヴ (定年により蛯名正義厩舎に転厩)
関連動画
関連項目
JRA調教師・騎手顕彰者 | |
騎手 | 野平祐二 | 保田隆芳 | 福永洋一 | 岡部幸雄 | 河内洋 | 郷原洋行 | 柴田政人 |
---|---|
調教師 | 尾形藤吉 | 松山吉三郎 | 藤本冨良 | 武田文吾 | 稲葉幸夫 | 二本柳俊夫 | 久保田金造 | 伊藤雄二 | 松山康久 | 橋口弘次郎 | 藤沢和雄 |
騎手・調教師テンプレート |
中央競馬の三冠達成調教師 | ||
クラシック三冠 | 牡馬三冠 | ★田中和一郎 | 尾形藤吉 | 藤本冨良 | ★武田文吾 | ★松山康久 | ★野平祐二 | 布施正 | ★大久保正陽 | ★池江泰郎 | 角居勝彦 | 長浜博之 | ★池江泰寿 | 友道康夫 | ★矢作芳人 | |
---|---|---|
牝馬三冠 | 尾形藤吉 | |
変則三冠 | 尾形藤吉 | |
中央競馬牝馬三冠 | 稲葉幸夫 | ★奥平真治 | 松田由太郎 | 鶴留明雄 | 松田博資 | 伊藤雄二 | ★松本省一 | 西浦勝一 | 松田国英 | ★★国枝栄 | ★石坂正 | ★杉山晴紀 | ★中内田充正 |
|
古馬三冠 | 春古馬 | 達成者無し |
秋古馬 | 岩元市三 | 藤沢和雄 | |
★は同一馬による達成者。変則三冠、古馬三冠は同一年達成者のみ。 | ||
調教師テンプレート |
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 3
- 0pt