藤田譲瑠チマ(ふじた じょえる チマ、2002年2月16日 - )とは、日本のプロサッカー選手である。
ドイツ・ブンデスリーガのFCザンクトパウリ所属。サッカー日本代表。
ポジションはMF(守備的MF)。175cm76kg。効き足は右足。
概要
東京都町田市出身。ナイジェリア人の父親と日本人の母親の間に生まれたハーフ。ボール奪取力と広い視野、展開力が持ち味のボランチ。
東京ヴェルディの下部組織で育ち、2019年9月14日に17歳でプロデビュー。その後、徳島ヴォルティス、横浜F・マリノスを経て、2023年7月よりベルギー1部リーグのシント=トロイデンVVへ移籍。2シーズン過ごした後にドイツ・ブンデスリーガのFCザンクトパウリへ移籍。
U-23日本代表では立ち上げの頃からキャプテンを任されており、AFC U-23アジアカップ2024では日本の2度目の優勝とパリ・オリンピック出場権獲得に貢献し、大会最優秀選手に選出されている。パリ・オリンピックでもキャプテンとしてチームを牽引し、そのプレーぶりが高く評価された。
経歴
生い立ち
2002年2月16日、東京都町田市で誕生。3歳の頃、ナイジェリア出身の父親からクリスマスプレゼントとしてサッカーボールを貰ったことがきっかけでサッカーを始める。4歳のときにはワンバウンド・リフティングを完璧にできるようになっていた。保育園に通っていた頃からFC町田ゼルビアのホームスタジアムがある町田市立野津田公園によく遊びに行ってサッカーをしたり、近くの小学校のチームの体験練習にも参加していた。
4歳の頃から町田ゼルビアのスクールに通い、6歳となった2008年からは地元の町田大蔵FCに入団。当時のコーチの話によると、当時からボールコントロールの巧さは抜群に目立っており、母親は「私天才を産んじゃったのかも」と冗談めかして話すほどだった。チームの方針が個の技術を高めることであったことからここでサッカーの基礎を学び、小学校2年まではセンターバックをやっていたが、3年生からはボランチに転向。6年生になるとFWやサイドハーフもやったが、結局はボランチがメインとなっていた。この頃には才能が周知されるようになり、東京都のトレセンにも選ばれている。
中学生になった2014年から東京ヴェルディのジュニアユースに入団。ちなみに、本人は練習会に参加しただけのつもりだったが、いつの間にかセレクションに合格していたらしい。当初はジュニアからあがってきた子との考えの違いやサッカー観の違いに戸惑ったものの、周りを生かすためのプレーを考えるようになったことでボランチとしての能力を高めた。ジュニアユース時代の評価は並だったものの、高円宮杯でベスト8まで勝ち上がったこともあり、高校になるとユースに昇格。
ユースに昇格してからの最初の2年間は挫折の日々で、なかなかAチームに絡めず、ボールパーソンやビデオ係などの雑用を任されていた。同じ学年の仲間たちからも置いていかれる厳しい日々が続くが、2年の終わりごろの青山学院大学との練習試合で人が足りなかったということでCBとして出場機会が訪れ、このときのプレーがコーチから評価され、ようやくAチームの練習に参加できるようになる。それから少しずつ試合に出場できるようになり、主力選手にまで台頭する。U-17日本代表にも選出され、状況が一転して有望株として注目されるまでになる。2019年8月にはトップチームへの昇格が内定する。
東京ヴェルディ
昇格の内定をもらった直後にユースの永井秀樹監督がトップチームの監督に昇格したこともあり2種登録され、2019年9月14日のJ2リーグ第32節アルビレックス新潟戦に途中出場し、トップチームデビューを飾る。2019年シーズンは2種登録として4試合に出場し、最終節のFC岐阜戦では初スタメンを勝ち取り、高いボール奪取力でインパクトを残す。
2020年に東京ヴェルディと正式にプロ契約を交わし、トップチームに昇格。J2リーグ開幕戦の徳島ヴォルティス戦でスタメンに抜擢されると、そのまま主力に定着。チームの成績は思わしくなかったものの、インサイドハーフやアンカーとして起用され、ポゼッションを重視する永井監督のスタイルにおいて重要な配給役をこなしていた。11月1日の第30節アルビレックス新潟戦ではプロ初ゴールを決める。11月7日の第32節首位徳島ヴォルティス戦でも2ゴール目をマーク。結局高卒のプロ1年目ながらも41試合3ゴール4アシストという成績を残し、18歳の未来の大器に対してJ1リーグのクラブへの移籍話が浮上するようになる。
徳島ヴォルティス
2021年1月13日、J1リーグに昇格した徳島ヴォルティスへの完全移籍が発表される。新天地でも開幕からスタメンで起用されたものの、初のJ1で守備面の課題を露呈するようになり、チームがなかなか結果を残せなかったこともあって次第にレギュラーを失うようになる。それでも徐々にJ1のレベルにフィットするようになると、J1残留のかかった最後の6試合では全試合でスタメンで起用。11月20日の第36節FC東京戦では味の素スタジアムでJ1初ゴールを決め、勝利に貢献。結局チームはJ2降格となったが、J1でやっていいけるだけのポテンシャルを見せることができた。
横浜F・マリノス
2021年12月20日、J1リーグの横浜F・マリノスに完全移籍することが発表される。その先の海外移籍を見越してのチャレンジだったが、これまでと違って選手層の厚いチームでは熾烈なポジション争いが待ち受けていた。2022年3月4日の第3節清水エスパルス戦では移籍後初アシストを記録。AFCチャンピオンズリーグとの過密日程ということもありローテーションが採用され、次第に出場時間も増えるようになる。10月31日第31節名古屋グランパス戦では出場わずか4分間ながらも移籍後初ゴールを決める。この年、初のリーグ優勝を経験するが、優勝争いが佳境となった終盤の6試合では1試合しかスタメンでプレーできず、ポジションを確保するには至らなかった。
2023年シーズンになると状況はさらに悪化し、前年よりも出場時間が減少。喜田拓也と渡辺皓太の牙城を崩せず、ボランチでの序列は明確に3番手以下となっていた。
シント=トロイデン
2023年7月27日、ベルギー ジュピラー・プロ・リーグのシント=トロイデンVVに移籍することが発表される。8月20日、第4節KAAヘント戦にスタメンで出場し、新天地でのデビューを果たす。しかし、ここでも中盤のポジション争いで劣勢を強いられ、なかなか出場時間が与えられず前半戦15試合でスタメンはわずか2試合のみとなった。しかし、12月27日第20節スタンダール・リエージュ戦で4か月ぶりにスタメンで起用されると、移籍後初ゴールを決める。この試合をきっかけにスタメンで起用されることが増える。海外での1年目は25試合に出場し1ゴール2アシストという成績となった。
2024-25シーズンはパリオリンピック出場のため合流が遅れたものの、休む間もなく第3節のアントワープ戦から合流。以降はチームの不動のボランチとしての地位を確立し、強度の高い試合でも自分の持ち味を出せるようになる。反面、チームは低空飛行が続き、降格の危機に直面し続けることになる。プレーオフ最終節KVコルトレイク戦では前半37分に同点アシストを記録し、チームの1部残留に貢献。チームは苦戦したが、個人としての評価はリーグ全体で6位と高かった。
ザンクトパウリ
2025年6月27日、ドイツ・ブンデスリーガのFCザンクトパウリに完全移籍することが発表される。シーズン開幕からボランチのレギュラーの座を勝ち取ると、8月29日ブンデスリーガ第2節ハンブルガーSV戦で初アシストを含む高いパフォーマンスが評価され、現地「キッカー誌」選出のベストイレブンに選出。その後も中心選手として起用され続け、厳しい残留争いの渦中に巻き込まれるチームの中で奮闘。2026年に入ってからは一列前のシャドーの位置でも起用され、攻撃の起点としての役割を与えられる。2月22日の第23節残留争いの直接対決となるヴェルダー・ブレーメン戦でブンデスリーガ初ゴールとなる決勝ゴールを決める。1年間を通してチームの主力を担い続けたが、シーズン終盤はパフォーマンスに波が見られるようになり、チームもリーグ戦最下位で2部降格となる。
日本代表
2019年7月、U-17日本代表に初めて選出され、10月にブラジルで開催されたFIFA U-17ワールドカップのメンバーに選出。ボランチのレギュラーとしてプレーし、全試合全てに出場。控えに回った第3戦以外は全てフル出場したが、ラウンド16でメキシコに敗れている。大会後はU-19代表に選出されるが、新型頃ウィルス感染拡大の影響で活動が停止となる。
2021年には東京オリンピックに出場するU-24日本代表候補に飛び級で選出。結局本大会のメンバーには残れなかったもののトレーニングパートナーとしてチームに帯同し、直前の親善試合で途中出場している。
その後、パリオリンピック出場を目指すU-21日本代表に立ちあげから選出され、大岩剛監督からキャプテンを任される。ヴェルディ下部組織からの同期である山本理仁と共にこの年代の中盤の中心選手と位置づけられ、2022年3月のドバイカップでは優勝を果たす。6月にはウズベキスタンで開催されたAFC U-23アジアカップ2022に出場。この大会でもチームに欠かせない選手であることを示し、準々決勝では韓国を相手に3-0で快勝。しかし、準決勝でウズベキスタンに敗れ、3位に終わっている。
2022年7月には国内組のみで編成されたEAFF E-1サッカー選手権2022に出場する日本代表のメンバーに選出。7月19日の香港戦にスタメンで起用され、フル代表デビューを果たす。7月27日の韓国戦でもスタメンに入り、各方面から高い評価を得るプレーを披露し、日本の2回目の優勝に貢献。
2024年4月にはカタールで開催されたAFC U-23アジアカップ2024にU-23代表として出場。グループリーグは初戦の中国戦のみスタメンで出場し、第2戦と第3戦は途中出場となる。決勝トーナメントに入ってからは全試合にフル出場。準決勝のイラク戦では圧巻の2アシストで勝利をもたらし、パリオリンピック出場権獲得に貢献。決勝のウズベキスタン戦では2年前の大会で敗れたリベンジを果たし、キャプテンとして日本に2度目の優勝をもたらす。大会を通しての質の高いプレーとリーダーシップが評価され、大会の最優秀選手にも選出される。
2024年7月のパリオリンピック本大会でもU-23代表のキャプテンとして出場。アンカーとしてチームにとってもっとも重要な選手となり、ボールを奪ってからの持ち運びや縦パスでシ攻撃の起点にもなり、中盤の底で印象的なプレーを多く披露。グループリーグ第3戦のイスラエル戦では細谷真大の決勝ゴールのきっかけとなる見事なスルーパスを送り、グループリーグ3連勝に大きく貢献。準々決勝のスペイン戦では相手のプレッシャーに苦しみながら90分間戦ったが、敗退。試合後、悔しさから涙を見せている。
2025年6月に3年ぶりにフル代表に招集され、6月5日の2026 FIFAワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦ではスタメンで出場する。その後もメンバーに招集され続けたが、ボランチのポジション争いで序列を上げることができず、2026 FIFAワールドカップのメンバーから落選となる。
個人成績
| シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2019 | 東京ヴェルディ | J2リーグ | 4 | 0 | |
| 2020 | 東京ヴェルディ | J2リーグ | 41 | 3 | |
| 2021 | 徳島ヴォルティス | J1リーグ | 28 | 1 | |
| 2022 | 横浜F・マリノス | J1リーグ | 29 | 1 | |
| 2023 | 横浜F・マリノス | J1リーグ | 17 | 2 | |
| 2023-24 | シント=トロイデン | ジュピラー・プロ・リーグ | 25 | 1 | |
| 2024-25 | シント=トロイデン | ジュピラー・プロ・リーグ | 33 | 0 | |
| 2025-26 | ザンクトパウリ | ブンデスリーガ | 32 | 1 |
個人タイトル
プレースタイル
メインポジションはボランチだが、ダブルボランチでもインサイドハーフでもアンカーでも適用できる万能型のMF。強さというよりは巧さの選手。オフ・ザ・ボールのポジショニングセンスに優れたサッカーIQの高い選手であり、精力的に動き回ってボールを引き出し、前線に鋭い縦パスを送ったり、視野の広さを活かして周りに展開してボールを散らし、自らもドリブルで前に進むことができる。
小柄だがボール奪取能力が高く、ボールホルダーに対してしっかりと寄せることができ、切り替えのスピードも速い。守備の局面でも顔をしっかりと上げて周りを見れており、周囲の選手を動かすコーチングに的確。体幹も強く、ひと回り大きい選手が相手でも簡単に当たり負けはしない。
ヴェルディの下部組織出身らしく足元の技術も高く、止めて蹴るという基本的な部分でミスをすることはほぼなく、細かいタッチで周りと連携しながら前に出ていく。顔をあげながらボールを持てるのも強みで、前線の選手の走り出しを見逃さずに受け手が欲しいパスを出すことができる。
欠点は動きすぎてしまう傾向があることで、不用意にチャレンジに行って剥がされたり、行くべきところと残るべきところの判断を間違えてピンチを招くことがある。ポジションをスライドしてズレる守備も苦手としており、細かい部分での判断の面では課題がある。また、キック力がそこまであるほうではなく、ミドルシュートの精度が低い。オフ・ザ・ボール時のボールの受け方も物足りなさがある。
人物・エピソード
- 子供の頃からチームでリーダーシップを取る「ガキ大将」だった。学校でもクラスの中心となり、周りに人が集まるタイプだった。
- 小学校低学年の頃にはプロサッカー選手になると決めており、自分でサインを考えていた。挙句の果てには友達の靴に「じょえる」とサインを書いていた。
- 同い年の山本理仁とは東京ヴェルディの下部組織時代の同期であり、トップチームやU-23代表、さらにはシント=トロイデンでもチームメイトになっている。
- U-22代表として敵地でU-22イングランド代表に勝利した際、相手チームのアーセナルFCで10番を背負うエミール・スミス・ロウについて「空気だった」とコメントし、一部の日本人のグーナーから批判される。
関連動画
関連項目
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