虫除けとは、主に以下のものをいう。
本稿では1について解説する。
概要
蚊取り線香や蚊帳、網戸、防虫剤なども大雑把に言えば虫除けの一種と言えるが、現在は「虫除け」といえば身体に塗ったりスプレーしたりするものや、玄関や網戸のそばに吊るしたりするものを指すことが多い。
ディート
スプレー剤の多くは「ディート」という物質を主成分として含む。これはアメリカ陸軍がジャングル戦でダニや蚊などによるマラリアやデング熱の蔓延を防止するために開発したもの。
ディートの効果メカニズムについては不明な点も多いが、実はバリアのように跳ね除けるのではなく、虫のセンサーを狂わせてそこに居ることを気づかせないようにする、ステルス迷彩のような効果があるとされる。そのため、ムラ無く塗り伸ばさないと塗り忘れた部分を狙ってバッチリ刺されてしまい、耳なし芳一のような目に遭う。また効果は数時間で切れるので、長時間効果を得るためには定期的に塗り直す必要がある。
ミストタイプやジェルタイプはスプレータイプに比べて塗り広げやすく、成分を吸い込む危険が少ないので、小さな子供のいる家庭などにはこちらがおすすめ。
日本国内では規制のため成分量が12%までのものしか販売することができなかったが、2014年に国内で起こったデング熱騒ぎ、2016年のリオ五輪で騒がれたジカ熱などの影響もあり、2016年から成分量の規制が30%に緩和された。日本国内の蚊なら低濃度のディートでも十分に効果があるので、攻撃的な蚊がウヨウヨしている海外や、マダニなど様々な虫に刺される可能性がある山遊びに行く場合に高濃度の製品を選択肢に入れると良い。
ディートは濃度や肌の敏感具合によっては肌を荒らすことがある。そのため近年はディートと似た作用を持ち、肌を荒らしにくい「イカリジン」という新しい成分を使った製品も増えてきている。
ディートを使わない虫除けとしては、ハーブの成分を使ったものが主流である。ハーブの匂いはそもそも植物自身が虫に食われないように発しているものであるため、虫にとって悪臭か毒ガスのように感じられるようだ。
空間虫除け
網戸にスプレーしたり玄関にぶら下げたりする虫除けは「空間虫除け剤」と呼ばれる。こちらは殺虫剤の成分が薄く長く蒸散するようになっており、これで虫除けの効果を得ている。・・・はずなのだが2015年には消費者庁が「風通しがいいと成分が空気中に留まりにくく、効果の表示根拠としては不十分である」ことから、景品表示法違反にあたるとして再発防止の措置命令を出している。
また、多くの消費者が勘違いをしているが、こちらは蚊を除けるための製品ではない。パッケージを見れば分かるが、対象となるのはユスリカ(川辺などで蚊柱になってうじゃうじゃ飛んでるアレ)、チョウバエなどの「不快害虫」であり、蚊やハエなどの「衛生害虫」ではない。肌にかけるような虫除けスプレーなどとはそもそも性質が異なる製品であると理解しておく必要があるだろう。
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関連項目
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