衛宮切嗣(えみや きりつぐ)とは、ゲーム『Fate/stay night』および小説作品『Fate/Zero』の登場人物である。
この項目は、ネタバレ成分を多く含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
プロフィール
概要
冬木大火災に巻き込まれた幼き日の衛宮士郎を救った人物。養子として迎えた士郎やよく遊びに来ていた藤村大河と穏やかな日々を過ごしていたが、5年後にこの世を去った。火災時に唯一の生き残りである士郎を見つけた時の幸せそうな表情と、彼との最後の会話が士郎の生き方を決定づけた。
その素性は、大災害の発端となった第4次聖杯戦争にてセイバーのマスターとして参加していた魔術師。4次の九年前、始まりの御三家たるアインツベルン家に戦歴と腕前を見込まれ、雇われのマスターとして迎えられる。またイリヤの母親であるアイリスフィール・フォン・アインツベルンとはこの時に夫婦となり、子を成した。
聖杯戦争参加前は魔術師専門に特化したフリーランスの暗殺者のようなことをしており、魔術師であるが故に魔術師の思考を知り、もっとも魔術師らしからぬ方法で魔術師を追い詰め殺して来たため「魔術師殺し」の異名(悪名)をとる。
勝利のためなら手段を選ばない行動方針から、その戦闘スタイルはまさに外道であり、相手の誇りを踏みにじろうが人質を取ろうがほぼ何でもあり。確実な勝利を得るために、謀略や罠、破壊工作といった非情な手段の数々によって対象を追い詰める。それ故騎士道を重んじるセイバーとは相性が悪いことを召喚前から予期しており、アイリスフィールを代理マスター代わりにし、セイバーとは基本的に別行動、顔を合わせても無視するなど過剰なまでに理解を拒みながら聖杯戦争を戦う。
聖杯に託すその願いは「世界の恒久的平和」。より多くの人と幸せを願って、そのために害となる少数の人々を殺していった結果、戦いやそれを美化する英雄、人間を殺すことを正当化する自身の正義を呪い憎むようになり、それらの必要としない世界の実現を可能とする「奇跡」を可能とする聖杯に救済を見だす。
だが、冬木の聖杯は既に「この世全ての悪」に汚染されており、自らの願いが歪んだ形でしか実現されないと知った彼は令呪によってセイバーに聖杯を破壊させ、勝者が決まらないまま第4次聖杯戦争は幕を閉じた。それからは聖杯戦争が二度と勃発しないための措置を施した(だが、第5次聖杯戦争が彼の予想以上に早く開催されてしまったことは皮肉である)。彼が死去してしまったのも、この世全ての悪によって体が汚染されてしまい、それによって衰弱してしまったからである。
余談だが、幼少期の彼を演じたのは入野自由。初恋の少女であるシャーレイを高垣彩陽、父である衛宮矩賢を千葉一伸、彼の師である女性魔術師ナタリア・カミンスキーを渡辺明乃が演じた。……どこかで見た配役なのは多分気のせいである。
能力
殺すための手段として魔術師が忌み嫌う銃器や爆弾等の近代兵器も躊躇無く扱うが、それらの通用しない”強敵”に対しては彼も魔術師として戦い、魔術礼装として改造したトンプソン・コンテンダーから放つ「起源弾」を切り札とする。
起源弾とは切嗣の肋骨の一本に魔術加工を施して作りだした、切嗣の起源たる「切断」と「結合」の二重属性を発現させ被弾した相手に不可逆の変質をもたらす魔弾。これが魔術師が発動中の魔術に命中した時、その魔術回路を「切」って「嗣」ぐ(修復でないことに注意。適当にくっつけるだけで、治ってはいない)ことで構造を変え、流れている魔力を暴走させて自滅させる。この魔弾は、大口径ライフル弾である30-06スプリングフィールド弾を使用している。防弾チョッキ等の個人用の防具では防ぎきれないため、完全に防ぐには強い魔術を使用するしかないのだが、魔術で防御すれば魔術回路を暴走させられダメージが避けられない悪辣な物。
その特性上相手が強力な魔術を使っている時に使うほど殺傷力が増す。切嗣は起源弾の効果を最大限に引き出すために魔術師殺しとしての策謀を用いて相手の強力な魔術を誘い、狩る。物語開始前に37発が放たれ、37人の魔術師を完全破壊してきた。
魔術師としての彼の能力としては他に、自身の時間流を加速・減速させる「固有時制御」による高速戦闘やバイオリズムの停滞による隠行がある。仮面ライダーが好きな人ならばクロックアップとかいえば大体伝わる。
これは衛宮家の研究していた「時間操作」の魔術を戦闘向けにアレンジした代物であり、解除後に変化した時間流の反動が一気に負担としてかかるリスクがある為、通常は加速は2倍が限界。限界を超えて魔術行使を行った『Fate/Zero』終盤の言峰綺礼との戦いは必見である。つーかお前ら人間じゃねぇ。
生き様
命を秤にかけ、一人でも重い方が乗った皿を救うために軽い皿を切り捨てる。それはすなわち多数を生かすために少数を切り捨てる行為であり、衛宮切嗣のこのように、多を救うために少を切り捨てる彼の正義の味方としての在り方は、まさしく反英雄といえるものである。
切嗣は幼少期に死徒になりかけていた家族同然の少女を殺せなかった結果、大好きだった島が住民ごと壊滅してしまったというトラウマを持つ。それが罪のない多くの人々の幸せを守るためには、いかに自分の心が痛もうと害となる少数の人間を殺さなければという強迫観念となり、その決意は死徒を生む試薬を研究し島の悲劇も気にしていない父を殺し、戦闘術の師でもある育ての親もグールが無数解き放たれて多くの人が犠牲になるのを防ぐために殺し、そして、妻であるアイリの犠牲さえ聖杯による世界救世のために許容するといった形で表に出る。その裏ではすべてを救うことはできないという深い深い絶望を抱え込みながら、である。父を殺めた時点で多くの殺し屋が数年がかりで身に付ける『指先を心と切り離したまま動かす』覚悟を備えていた事も、彼の進む道を決定付ける一因となった。
幼少期は多くの人々の幸せを願って正義の味方に純粋に憧れていたが、上記の事件などの過酷な現実を通して憧れを喪失し、遂には正義を呪うまでになっていった。しかしそれまで犠牲にしてきた者への思いから降りることもできず深みに嵌っていった。その後ろ向きな在り方故に『正義の味方としての格』は、英霊エミヤより遥かに劣る。
後の士郎との生活では彼が自分に憧れを懐いてしまっていることを危惧し、切嗣みたいになると語る士郎に対して自分のようにならないように
「誰かを助けるという事は、誰かを助けないという事。正義の味方っていうのは、とんでもないエゴイストなんだ」
を始めとして悲観的に正義の味方を語るなど、彼が自分の跡を継いで同じ道を歩くことがないように、憧れを取り払おうとしていた。それでも自分への憧れを取り払うことが出来ず気に病んでいたが、ある月の綺麗な夜に士郎がかつて自分が言えなかった、そしていつしか忘れてしまっていた、ただ多くの人々の幸せを願う無垢な思いとしての「正義の味方」になることを口に出して誓ったことで、もし士郎が愚かな自分に憧れたまま同じ正義の味方を道を歩むことになってしまっても、この思い出を忘れなければ自分のように過つことがないことに希望を見だし、安堵の中で死亡した。
関連動画
関連静画
関連項目
- TYPE-MOON関連の一覧
- Fate/stay night
- Fate/Zero
- 衛宮士郎
- セイバー(Fate/Zero)
- イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
- アイリスフィール・フォン・アインツベルン
- 久宇舞弥
- シャーレイ
- ナタリア・カミンスキー
- 言峰綺礼
- 藤村大河
- アーチャー(Fate/stay night)
- エミヤ〔アサシン〕
- 正義の味方
- おい外道
- まぁいいや
- ジャック・バウアー
- 暁美ほむら
- びぃえる時空
- 仮面ライダーBLACK RX
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