西成区とは、大阪24区のうちの1つである。
ドヤ街周辺を指す「西成」とは該当する範囲が異なるので注意。詳しくは単語記事「西成」を参照。
概要
おおむね北が新今宮駅、南が玉出、東が上町台地、西が木津川までの区域。区の中心からやや東に天下茶屋駅があり、区役所も天下茶屋にある。
西成郡から西成区へ
名前の由来は冒頭で述べた西成郡。日本書紀には、もともとは上町台地の東側が「難波大郡」、西側が「難波小郡」と呼ばれていたことが書かれている。713年に難波大郡が「東生(ひがしなり)郡」、難波小郡が「西生(にしなり)郡」となった。「生(なり)」は「新しくできた」という意味。江戸時代以降から「西成郡」と表記されるようになった。
大阪市が成立した時点では、現在の中央区と西区の大半、それと北区と福島区の一部のみを範囲とし、その周囲を西成郡と東成郡が取り囲むように位置していた。西成郡は上町台地を境にした西半分(神崎川を北限とする)を構成しており、現在の大阪市西淀川区・淀川区・東淀川区・此花区・福島区・北区・港区・西区・中央区・大正区・浪速区・西成区を中心とした広大な地域であった。
一例をあげると、大阪駅が開業した場所は大阪市内ではなく西成郡曾根崎村であった。また、現在の桜島線(JRゆめ咲線)である西成鉄道も、西成郡にちなんでいる。
1897年の第1次市域拡張で北区の一部と新淀川の北側一帯、そして現在の西成区にあたる地域を除く西成郡の大半の地域が大阪市に編入され、西成郡は南北に分断された形になってしまった。その後1925年の第2次市域拡張で全域が大阪市に編入され、西成郡は完全に消滅する。その時に南側に飛び地のように残っていた区域が大阪市西成区を名乗ることになるのだが、かつての西成郡の郡役所は上福島村に置かれていたため、明らかに西成郡の中心ではない区域に歴史ある西成の名前を残す結果となってしまった。
西成区の地名・企業
「西成」と聞くと後述するあいりん地区・飛田新地をイメージする人が多いが、西成区の範囲はそれよりも広く、一般的な下町の雰囲気の住宅街も含まれている。南海・地下鉄の乗換駅がある天下茶屋や、スーパー玉出の本社がある玉出、イズミヤの本社がある花園、チーズケーキで知られるりくろーおじさんの店の発祥地で知られた千本、日本で2番目に長い商店街がある鶴見橋、住工混在地域となっている津守などが挙げられる。更には国内屈指のオーケストラである大阪フィルハーモニーが拠点を構える岸里や、また天神ノ森と聖天下(いわゆる聖天坂)は、建蔽率が低く、高層マンション類を建てられない第一種低層専用住宅地域(いわば、高級住宅街のバロメーター)であり、有名な高級住宅街、住吉区帝塚山手や阿倍野区帝塚山、北畠などと隣接しているセレブ街であり、西成区といっても色々あるのである。
ちなみに、星野リゾートがリゾートホテルを西成に建てようとしていると話題となったが、実は西成区からはギリギリ範囲外(浪速区恵比須西3丁目)。あいりん地区が大阪環状線・ビル・幹線道路を挟んだ反対側にあり、隣接していることもあり「西成」と扱われることもあるが西成区ではない。
教育
西成高校はヤンキー校・問題校として話題になることが多いが、現在の実態は異なるという声もある。現在でも偏差値はお世辞にも高いとは言えないが、大阪府教委によってエンパワーメントスクールに指定されており、基礎的な学力を養成する授業の実施、体験学習やICT教材の活用を図っており、卒業生のほとんどが就職している[1]。また、知的障がいのある生徒も「知的障がい生徒自立支援コース」で受け入れている[2]。ちなみに後述するあいりん地区とはかなり距離があり、むしろもう1校の今宮工科高校の方がその地区に近いほどである。
では近い方の今宮工科高校が荒れているのかというとそうではなく、全日制と定時制のある一般的な工業高校である。定時制は旧今宮高校のものを引き継いだもの。
また、西成区内の小学校では前述した大阪フィルハーモニーオーケストラの生演奏を聴くことができる行事がある。
交通
区内に鉄軌道の駅・停留所は多数所在するのだが、JRの駅は一つもない。これは、上述の第1次市域拡張の際に大阪鉄道(現在の大阪環状線と関西本線の一部区間を開業)の鉄路の内側を大阪市に編入したためなのである。新今宮駅開業は既に昭和の時代であったが、日本国有鉄道(当時)の駅舎は浪速区に置かれた。その一方、南海電気鉄道の駅舎は西成区所在とされた。
鉄軌道そのものは非常に充実しており、特に南海の主要駅である新今宮駅と天下茶屋駅が所在していて利便性は高い。他にも地下鉄では四つ橋線と堺筋線が利用可能であり、阪堺電軌阪堺線は住吉区との区境(塚西停留場)まで西成区を南北に貫いている。上記の西成高校の最寄り駅である津守駅が所属する南海汐見橋線は、都会のローカル線と呼ばれることがあるほどのんびりとしている。
路線バスは大阪シティバスの住之江営業所管内の、系統番号29・48・76が走っている。住之江方面からなんば、あべの橋、ドーム前千代崎をそれぞれ結ぶ南北方向の路線となっている。
道路は阪神高速15号堺線が南北に通っている。南開JCT付近で17号西大阪線、阿部野橋出入口付近で14号松原線も区域内をかすっている。国道は、四つ橋線が地下を走る26号線のほか、中開地区を東西に横切る43号線もある。
津守地区の西側を流れる木津川には国道43号線から千本松大橋までの約2.5kmの間に橋が架かっていない。その代わり渡船があり、木津川を渡って反対側の大正区に行くことができる。
スーパーポンポコジャガピーにしなりくん
区のキャラクターは「スーパーポンポコジャガピーにしなりくん」。1996(平成8)年生まれであり、大阪24区のキャラクターの中で初めて生まれたキャラクターである。Windowsのペイントで描いたみたいな(本当にペイントで描いてる?)ゆるい絵柄であり、名前も
あたまの形が「じゃがいも」に似てるとか、尻尾や全体のイメージが「狸」っぽいとか、マントをまとった姿からスーパーマン(?)風とかで、区内のお友達につけてもらった名前が、ちょっと長めだけどみんな覚えてね!
と盛りに盛った結果できあがっており、まさにゆるキャラと呼ぶにふさわしい状態になっている。ちなみに頭についてるのは神社の鳥居でも電車のパンタグラフでもない。顔全体を見ると「西」という文字になっているのだ。
関連動画
関連項目
脚注
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