西村 京太郎(にしむら きょうたろう、1930年9月6日 - 2022年3月3日)とは、日本の、推理作家である。トラベルミステリーの、十津川警部シリーズで知られる。本名は、矢島 喜八郎(やじま きはちろう)である。
第一章 華麗なる概要
国内でも、有数の、超売れっ子作家であり、著作は、600冊を超える。累計発行部数は、2億部を超え、長者番付が、公表されていた頃には、作家部門で、毎年のように、1位に、君臨していた。
十津川警部が、活躍する、鉄道や、観光地を舞台にした、トラベルミステリーで有名。1年に、20冊近く、新刊が出ることもあり、駅に店を構える『キヨスク』で、よく売られている。また、2時間ドラマの、原作としても、お馴染みである。
1964年、『四つの終止符』で、デビュー。翌年、『天使の傷痕』で、第11回江戸川乱歩賞を、受賞する。初期は、それほど、売れていなかったが、1978年の、『寝台特急殺人事件』が、大ヒットし、それから、トラベルミステリーの、第一人者になる。ミステリーの女王と呼ばれた、山村美紗とは、家族ぐるみの、付き合いがあった。そのため、西村原作のドラマには、必ず山村紅葉(山村美紗の娘)が、出演している。また、山村の急逝後、未完だった作品を、引き継いで執筆し、完成させている。
日本一有名な、推理作家と、言っていいが、濫作のため、ミステリ界隈で、彼の作品が、話題になることは、ほぼ無い。とはいえ、初期には、社会派ミステリや、海洋ミステリ、誘拐ミステリなどで、意欲的な作品を、多数書いている。十津川警部も、最初は、鉄道ではなく、『赤い帆船』、『消えたタンカー』など、海洋ミステリが、中心だった。
そうした、初期の作品は、もっと評価されるべき、名作揃いである。『四つの終止符』、『D機関情報』、『殺しの双曲線』、『消えたタンカー』、『華麗なる誘拐』、『七人の証人』など、代表的な作品は、今読んでも、面白いので、食わず嫌いを、している人も、一度、手に取ってみてほしい。読点も、初期は、今ほどは、多くないので、この文体が、苦手な人も、安心してほしい。
シリーズキャラクターは、十津川警部ばかりが、有名だが、他に、初期作品に、左文字進という、アメリカ生まれの、私立探偵がいる。長嶋巨人軍が、新幹線から消える、『消えた巨人軍』、日本国民全員が、誘拐される、『華麗なる誘拐』、地方都市が、何者かに洗脳される、『盗まれた都市』などで、スケールの大きい事件に、挑んでいる。
神奈川県湯河原町に、「西村京太郎記念館」があり、生原稿や、著作などが、展示されている。
年会費2200円を、払えば、誰でも、西村京太郎ファンクラブに、入会することができる。年に2回、ファンクラブ会報、「十津川エクスプレス」を、発行している。
2022年3月3日、膵臓がんのため、死去。91歳没。「オール讀物」に、連載していた、『SL「やまぐち」号殺人事件』が、未完、絶筆となった。
第二章 伊豆の海に消えた人物
昭和五年、東京荏原区小山町(現・品川区小山)に弟二人、妹一人の四人きょうだいの長男として生まれる。
少年時代、運動は、得意でなかったものの、手先が、器用だったので、メンコとベイゴマは強かった。同じ頃、江戸川乱歩の作品と出会う。
電機工業学校を、卒業後、臨時人事委員会(現・人事院)の、職員となる。職場内の、文学同人誌『パピルス』に、参加する。この頃は、太宰治が、好きだった。
将来に、不安を感じ、人事院を、退職し、作家を志す。退職金、積立金を、給料と偽り、図書館で、執筆を続けていた。
退職金が、底をついた頃、パン屋で、住み込みの、運転手として働く。その後、私立探偵や、中央競馬会の、警備員などを、経験している。
第三章 危険な経歴
- 1930年9月6日 東京府荏原区小山町(現・品川区小山)にて、生まれる。
- 1943年 旧制府立電機工業学校に、入学する。
- 1945年4月 東京陸軍幼年学校(第四十九期生)に、入学する。
- 1945年5月 空襲によって、被災し、調布市仙川に、転居する。
- 1946年 都立電機工業学校に、復学する。
- 1948年 都立電機工業学校を卒業し、臨時人事委員会(現・人事院)の、職員となる。
- 1950年 職場内の、文学同人誌『パピルス』に、参加する。
- 1956年 講談社の、長編探偵小説募集に、「三〇一号室」を、応募し、予選通過する。
- 1957年 第三回江戸川乱歩賞に、「二つの鍵」を、応募する。
- 1960年 人事院を、退職する。
- 1961年 『宝石』の短編懸賞で、「黒い記憶」が、候補二十五作に入る。
- 1962年 第五回双葉新人賞に、「病める心」が、二席に、入選。
- 1963年 第二回オール讀物推理小説新人賞に、「歪んだ朝」で、入選する。
- 1964年 文藝春秋より、初の著書、「四つの終止符」を刊行。松竹にて、「この声なき叫び」と題され、映画化。
- 1965年 第十一回江戸川乱歩賞を、「天使の傷痕」で、受賞する。
- 1967年 内閣府主催「二十一世紀の日本」創作募集で、「太陽と砂」が、最優秀作となる。また、「D機関情報」が、第二十回日本推理作家協会賞の、候補となる。
- 1968年 家族と離れ、渋谷区幡ヶ谷に転居する。
- 1969年 初の、新聞連載小説「悪の座標」を、徳島新聞に連載する。
- 1970年 渋谷区本町に転居。短篇集「南神威島」を、自費出版する。
- 1973年 書き下ろし長編「赤い帆船」と、週刊誌連載小説「殺しのバンカーショット」に、十津川省三が、初登場する。
- 1974年 肝臓障害により、入院。一年、療養生活を送る。
- 1975年 唯一の、長編時代小説、「無明剣、走る」を、徳島新聞に、連載する。
- 1976年 「消えたタンカー」が、第二十九回日本推理作家協会賞の、候補となる。
- 1977年 青酸コーラ事件が、発生し、前年末に、雑誌発表した、「華麗なる誘拐」との、類似が、話題となる。また、「消えた乗組員」で、第三十回日本推理作家協会賞の、候補となる。
- 1978年 鉄道ミステリーの、第一作、「寝台特急殺人事件」を刊行する。
- 1979年 長編「発信人は死者」が、「黄金のパートナー」と、題され、映画化される。また、「炎の墓標」で、第三十二回日本推理作家協会賞の、候補となる。
- 1980年 京都市中央区に、転居する。「夜間飛行殺人事件」で、第三十三回日本推理作家協会賞の、候補となる。
- 1981年 「終着駅殺人事件」で、第三十四回日本推理作家協会賞を、受賞する。
- 1982年 この年以降、トラベルミステリーが、創作の、中心となる。
- 1984年 食品会社脅迫事件が、発生し、西村作品との、類似が、話題となる。
- 1985年 短編集「トンネルに消えた・・・」で、著作が、百冊に到達する。
- 1986年 京都東山区にあった、旅館を、改装し、転居する。
- 1988年 「名探偵なんか怖くない」が、フランスで、翻訳刊行される。
- 1992年 短編集「会津若松からの死の便り」で、著作が、二百冊に到達する。
- 1994年 鉄道功労者として、運輸大臣から、表彰される。
- 1996年 脳血栓により、自宅で、倒れる。リハビリの関係などで、湯河原に転居する。
- 2000年 長編「殺意の青函トンネル」で、著作が、三百冊に到達する。
- 2001年 湯河原に、「西村京太郎記念館」が、オープンする。
- 2004年 「華麗なる誘拐」が「恋人はスナイパー」と、題され、映画化される。
- 2005年 第八回日本ミステリー文学大賞を、受賞する。
- 2006年 長編「北への逃亡者」で、著作が、四百冊に到達する。
- 2012年 長編「十津川警部 秩父SL・三月二十七日の証言」で、著作が、五百冊に到達する。
- 2017年 長編「北のロマン 青い森鉄道線」で、著作が、六百冊に到達する。
- 2019年 十津川警部シリーズが、第四回吉川英治文庫賞を、受賞する。
- 2022年 膵臓がんのため、九十一歳で、死去。
第四章 殺人者は主な作品を見た
- 「四つの終止符」(1964年3月、文藝春秋)
- 「天使の傷痕」(1965年8月、講談社)
- 「D機関情報」(1966年6月、講談社)
- 「太陽と砂」(1967年8月、講談社)
- 「名探偵なんか怖くない」(1971年5月、講談社)
- 「殺しの双曲線」(1971年11月、実業之日本社)
- 「消えたタンカー」(1975年4月、光文社)
- 「消えた巨人軍」(1976年4月、徳間書店)
- 「華麗なる誘拐」(1977年3月、徳間書店)
- 「七人の証人」(1977年5月、実業之日本社)
- 「寝台特急殺人事件」(1978年10月、光文社)
- 「夜間飛行殺人事件」(1979年8月、光文社)
- 「終着駅殺人事件」(1980年7月、光文社)
- 「夜行列車殺人事件」(1981年4月、光文社)
- 「ミステリー列車が消えた」(1982年7月、新潮社)
2022年4月現在、オリジナルの著作は、647冊(長編477冊、短篇集170冊)。
第五章 十津川警部「動画」
最終章 関連項目殺人事件
- 小説家の一覧
- 十津川警部シリーズ
- 西村京太郎トラベルミステリー
- トラベルミステリー
- 寝台特急(ブルートレイン)
- 刑事ドラマ
- DS西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ 京都・熱海・絶海の孤島 殺意の罠
- DS西村京太郎サスペンス2 新探偵シリーズ 金沢・函館・極寒の峡谷 復讐の影
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- 舞城王太郎
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- 麻耶雄嵩
- 乾くるみ
- 加納朋子
- 貫井徳郎
- 奥田英朗
- 長谷敏司
- 石田衣良
- 小野不由美
- 今野敏
- 水野良
- 有川浩
- 詠坂雄二
- 氷川透
- 東川篤哉
- 道尾秀介
- 米澤穂信
- 万城目学
- 森岡浩之
- 三崎亜記
- 古泉迦十
- 海堂尊
- グレッグ・イーガン
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- 田辺青蛙
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