西武6000系とは、西武鉄道が保有・運行している一般旅客用(通勤型)電車である。
概要
導入の経緯
池袋線(西武有楽町線)と営団地下鉄(現・東京メトロ)有楽町線の相互乗り入れ運転用の車両として設計された。すでに営業運行している有楽町線の仕様にある程度合わせる必要があり、前提として「20m4扉車」「10両固定(貫通)編成」「各種保安機器類搭載」といった条件をクリアするために旧来の設計ポリシーを覆す必要が生じた。結果として素材・外装色・機器構成などあらゆる面でそれまでの西武鉄道らしからぬ電車となったが、むしろその後の西武通勤型電車の設計に少なからぬ影響を与えた。
グループ/形式
全て10両編成で、次のように大きく2つのグループに分かれる。
- 0番台
- 1992~95年にかけて17本170両導入。西武初にして唯一のステンレス車で無塗装+青帯。東急車輛製造(現・総合車両製作所)が製造。
- 50番台
- 1996~98年にかけて8本80両導入。西武初のアルミ車でグレーに青帯。日立製作所が製造。
個別の形式は以下の通り。
- クハ6100・6000形
- 制御車。
- モハ6200・6500・6800形
- 電動車。パンタグラフ・制御装置等を搭載。
- モハ6300・6900形
- 電動車。SIV・CP等の補機類を搭載。
- モハ6600形
- 電動車。補機類搭載車ながらパンタグラフも搭載していたが、後に撤去。
- サハ6400・6700形
- 付随車。
番号
すっかり定着した「x000系」という系列番号であるが、各形式番号も「xx00形」となった。また付番規則は5000系とも2000系以降とも異なり、百位が連結順位を示す「営団式」で、西武発足以来の「奇数番号車+偶数番号車」のペアリングではなくなった。従って編成内の固有番号は統一されており、6101F(編成)は10両とも固有番号が「01」である。
車体・内装
前述の通りステンレス/アルミで、デザインが大幅に変わった。前頭部はFRP製で直線的かつ左右非対称のスタイルを取り、窓下は(側面にかけて)青色になっている。西武初採用の青色は、元は有楽町線内における営団車両(黄色)・東武車両(赤色)との識別のためであるが、その後西武鉄道のCIカラーとして採用され、後継の車両にも波及している。
側面では1段下降窓を引き続き採用し、戸袋窓も設置されているが、6156~6158Fの3本は戸袋窓を廃止した。内装はアイボリー系、シートは青色モケットのロングシート、LEDによる車内案内装置を一部の扉上に設置している。
走行機器等
主電動機には三相交流誘導電動機(出力155kw)を、制御装置にはGTO素子VVVFインバータ制御を、いずれも鉄道線としては初採用し、1台の制御装置で2両分の電動機を制御する。制動装置は回生制動付電気指令式。台車はボルスタレス台車をこれも初採用したが、やはり6156~6158Fの3本はモノリンク式に変更して軽量化をさらに追及した。
導入後の経過
6101・6102F
この2編成はは試作車的な存在で、地下鉄乗り入れ対応車両として設計されているものの、ホームドア位置と合わないことなどを理由に地下鉄乗り入れ対応工事から除外されており、1994年以降は新宿線に所属している。一時的に池袋線に復帰したこともあるが、半年ほどで新宿線に戻っており結果的に登場当時の姿を色濃く保っている。
地下鉄線対応
1994年、西武有楽町線が練馬駅まで暫定開業した際に営団有楽町線への乗り入れ運用を開始したが、この運用には当初から対応機器を搭載して入線した6108~6111Fが用いられた。1997年以降、他の編成も有楽町線対応工事を順次実施したほか、新規納入された6156~6158Fは当初から対応機器を搭載し、1998年3月の本格運行に対応するダイヤ改正に備えた。この時にCS-ATCの搭載対象から外された6101~6107Fは新宿線に転属した。
2008年からの副都心線乗り入れに対応するための工事はかなり大規模な工事となり、2006年より6101・6102Fを除く23本を対象に実施された。詳細は「バカ殿」の記事を参照。
その他の改造
LED車内案内装置を液晶ディスプレイ2面による「スマイルビジョン」に換装する工事が2011年以降に実施され、さらに2017年以降に再換装をおこなっている。ちなみにまたしても6101・6102Fは施行対象外である…。
2014年以降、インバータ制御装置及び主電動機の更新が実施され、主電動機出力は170kwにアップした。6157Fには試験的に永久磁石同期電動機(PMSM、東芝製、出力190kw)が架装されている。6101・6102Fにもちゃんと実施された…。
モハ6600形のパンタグラフ撤去、一部編成のシングルアームパンタグラフ化、行先・種別表示器のLED化、前照灯もLED化されるなど、各種改造・換装が折に触れて実施されている。
配属の変遷
有楽町線への(暫定)乗り入れ運用が始まるまでは10両編成の運行可能な区間・種別にて運用され、1994年以降新宿線でも運用されるようになった。このため頻繁に転属が生じ、6112・6115Fについては入線時点で新宿線配属となっていた。
前述のように6101~6107Fは有楽町線対応改造の対象外となり、新宿線に転属していたが、同年4月に6101~6104Fは地上運用限定で池袋線に戻ってくる。池袋線をATC搭載車で統一するために、9月に6101~6104Fは再度入れ替えられ新宿線に転属、6115~6117Fが池袋線に転じた。2006年以降、6103~6107Fが池袋線に転じ、6102・6102Fを除く全編成が集結した。
2016年以降、新たな地下鉄乗り入れ用車両として40000系が導入がされており、これをうけて2023年に6103~6106F、6108Fが地下鉄直通運用から外れ、新宿線に転じた。さらに6107Fと、翌2024年には50番台の全編成も地下鉄直通運用から外れた。ただしこれらの編成は池袋線に残留している。
池袋線系では地下鉄直通運用のほか、地上の池袋駅発着運用にも就いている。かつては池袋駅~練馬駅間は8両までしか対応していなかったことから、ダイヤ乱れが発生した際に、池袋駅発着に変更することができなかったが、現在は全駅で10両化が完了しているため、行先変更は容易となっている。狭山線にも入線が可能であるが、池袋線・西武秩父線の飯能駅~西武秩父駅間は、東飯能駅を除いて8両までしか対応していないため、飯能駅~武蔵丘車両検修場間の回送を除いて、入線しない。
新宿線系では、高田馬場駅~上石神井駅間の優等種別通過駅が8両までしか対応していないため、当該区間では各駅停車以外の種別で運用に入っており、拝島線への入線機会も多い。
付記
- この車両が登場するまでは、西武は101系や2000系のような黄色の電車のイメージが強かった。前述のように青色は今や西武のCIカラーであり、逆に黄色い電車を少数派に追い込んでいる。
- 6157Fは、2015~2016年の約1年間「黄色い6000系電車」と称し、全体にレモンイエローのラッピングを施し運行された。もちろん地下鉄乗り入れも行っていた。
- 6117Fは、2023年以降「黄帯の6000系電車」と称し、青色部分を黄色にラッピングして走っている。西武有楽町線開通40周年記念企画の一環である。
関連動画
関連項目
特急用 | 一般(通勤)用 | |
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現行車両 | 10000系 - 001系 | 101系 - 2000系 - 4000系 - 6000系 - 9000系 - 20000系 - 30000系 - 40000系 |
引退車両 | 5000系 | 501系 - 401系 - 701系列 - 3000系 |
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