西部劇とは、19世紀のアメリカ合衆国の西部開拓時代を舞台にした映画や小説等のジャンルである。
概要
ルイジアナ購入後のミシシッピ川以西への入植を描いた作品も多いが、人口に膾炙したイメージとしては南北戦争前後のアメリカ西部を舞台に、白人のガンマンが無法者や先住民と対決するというものが一般的だろうか。ハリウッド創成期の頃にはすでに人気を確立していた。
1960年代後半までたくさんの作品が作られ、数多くの映画監督やスターを世に送り出した。
しかし、粗雑乱造されたことで次第に飽きられ、西部開拓時代の白人にとって都合のいい部分しか書かれていない(先住民は悪役、当時いたはずの黒人奴隷は出てこない、など)ことへの反発も強まってきたことで次第に衰退していった。
一方、西部劇が世界に与えた影響は強く、日本では黒澤明が西部劇に対して日本ならではのアクション映画とは何かと考えられたのが「七人の侍」や「用心棒」で、日本で西部劇をやったらというコンセプトが日活の小林旭による「渡り鳥シリーズ」をはじめとする無国籍映画を生み出した。
イタリアでも西部劇のパロディが古くから作られたが、「用心棒」に影響を受けて(というか盗作)「荒野の用心棒」が作られ、これが”正義感の無いアウトローが相手を派手に殺しまくる”という「マカロニウエスタン」というジャンルを生み出し、これが本家アメリカにも逆輸入されるようになり、ニューシネマの影響と合わさって70年代には勧善懲悪に拘らないドライな作風が流行る。従来敵側だったアウトローや先住民、黒人や女ガンマンの主人公も登場した。
現在は全盛期と比べると作品数は減ってしまっているが根強い人気があり、素晴らしい作品が数年毎に現れるジャンルである。
しかしかつて差別と暴力の時代を美化しがちなジャンルであったために厳しい批判にさらされることも多く、過去の数々の名作たちと比べられることもあり超えるべきハードルは高い。
関連動画
- 0
- 0pt