解決進行 (ドミナント・モーション) とは、コード進行の一種である。アカデミックな音楽でいうところのいわゆる終止形あるいはカデンツの法則をコード進行理論としてとらえた場合の俗称である。
忙しい人のための概要
つまりは、音楽の授業の始めの礼をする際に音楽の先生がピアノで奏でるアレの事である。実はアレは西洋音楽の最も基本的な仕掛けの一つとして、たいていの曲で当たり前のように使われている重要な仕掛けだったりする。
音楽の授業の開始時のアレ | ![]() |
暇な人のための概要
和声における「解決」とは、不協和音から協和音に移り緊張が弛緩することである。
純正律のCメジャースケール(ハ長調音階)におけるドとミの音は、その振動数の比が単純な整数(4:5)になる。これは安定 (協和) した響きであるといわれている。一方G7の和音はCメジャースケール(ハ長調音階)におけるシとファの音を含む。シとファによる響き (減5度の音程。続きはWebで。) は、音の振動数の比が1:√2となる。単純な整数比で表せないとても不安定 (不協和) な響きといわれ、中世においては悪魔の音程として忌み嫌われた。
不安定なシファの響き (不協和音程) を含むG7の和音を不協和音といい、使う事で聴き手を不安にさせる。させておいたところで、とても安定なドミの響き (協和音程) を含むC (協和音) に戻る事で聴き手を安心させる、という心理的な仕掛けが解決進行と呼ばれるものである。
シファ→ドミの流れとファシ→ミドの流れ | ![]() |
楽節 (音楽における言わば「文」みたいなまとまりの単位) の最後に使われる解決進行は、アカデミックな場面では正格終止と呼ばれている。また、あまりにありふれたコード進行なので、多くの聴き手はG7を聞いたら無意識のうちにCを期待するように刷り込まれており、逆にその聴き手に対し敢えて解決進行を裏切るようなコード進行を示し、聴き手を驚かすという手法も用いられる (e.g. 偽終止。続きはググれ)。
ちなみに、この解決進行を2段に構えて(IIm→V7→I)解決感を強調する、もしくはそのそぶりを見せるいう技法がツーファイブである。
もっとも、今日び純正律の音楽なぞ準絶滅危惧種である。平均律の音楽における不協和音程などたかが知れている (そもそもオクターヴ以外の整数比音程が平均律には存在しないので不協和音程が際立って不協和に聞こえることの方が少ない) ので、イマドキのアーチストは無駄に緊張感を演出するためにテンションコードを操る術に徒労している始末である。
副解決進行
調におけるV→I以外にも部分的な解決進行が存在する。実はこちらの解決進行の方が効果的である曲の方が多い。ネーベンドミナンテの記事参照。
関連項目
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