詐欺グラフとは、視覚的な技法等を使って、人を騙すような描き方をしたグラフのことである。データ自体は正しいことが前提。データが間違っている場合は捏造となる。
概要
言葉の初出は不明だが、地球温暖化説に対する批判が書かれた2007年のブログ記事に「詐欺グラフ」の記述が見られる。その後、2011年のソフトバンク社の発表会のスライドにおいて、あまりにもグラフが恣意的な作り方をしており、「詐欺グラフ」であるとブログ記事
で批判されている。
それまでは批判的な文脈で使われることが多かったが、第二回ニコニコ学会βデータ研究会で、おまけとして伊予柑(Akihiko Iyoda)氏が「詐欺グラフ」を紹介(参照)して以降、詐欺グラフをコレクションする愛好家的側面も注目されるようになった。2019年2月17日にはけんけん氏が「あなたの知らない「詐欺グラフ」の世界
」をnoteに投稿し、同年5月29日にTwitterで話題となった。
ただし、注目してほしい要素やデータを視覚的に強調するということは学術論文などでもよく見られることであり、下にあげられるようなグラフだからといって即詐欺グラフとはならない。特にプレゼンなど短時間でグラフの趣旨を理解してもらう必要がある場合は効果的に使用することが望ましい。詐欺グラフかどうかはグラフ単体だけではなく、そのグラフが文章の中で使われることで誤解やミスリードを誘う表現であるかどうかによるので、一概に描き方だけで詐欺かどうか判定できないものもある。
詐欺グラフの具体例
グラフ自体に問題がある場合
- 3D棒グラフで、手前側に大きく見せたい数値を配置
手前に配置することで、実際はさほど変わらない数値を大きく見せることができる。 - 中心のずれた円グラフ
ずらした方向と反対側の数値を大きく見せることができる。また、3Dでグラフを奥に傾けると手前側を大きく見せることができる。面積=割合の先入観を悪用した悪質なグラフである。 - グラフの目盛り・数値の歪み
例えば1945年から2005年までを10年ごと、2006年からを1年ごと…のような幅の異なるデータを、同じ目盛りの幅を使って描き込んでいた場合は、詐欺となることがある。目盛りや単位を意図的に書き込まない場合もこれに相当する。
中には対数グラフというものもあり、縦軸を対数(1、10、100、1000…)としているものがあるので注意が必要(対数目盛りがちゃんと書かれている場合は詐欺ではない)。 - 矢印(⤴・⤵)・やたらと大きい増加量の数字、恣意的な色分け
グラフと関係ない要素や図をグラフに書き込む手法。詐欺グラフでなくても増減を強調する場合に使われるが、以上の要素と組み合わせると効果は絶大。
作成手法には問題がないが文脈や解釈で誤解を与えることがある場合
- 一番下の軸の数値が0ではない
当記事冒頭の図がその例。わずか4gの差でも非常に大きく見せかけることができる。わずかな差が重要になる場合や0を基準にすることに意味がない場合もあるが、その時は学術的、統計的に意味がありそうしていることを明記するのが望ましい。 - 一番下の軸の数値が0だが、数値が大きすぎる
億兆レベルの数値である地球人口や国家予算など、全体に比べ注目したい変化が小さすぎて、仮に数値が100万増加・減少していたとしても、その違いが視覚的にほとんどないように見えてしまう。
この場合は一番下の数字を0にするのはそのまま、省略線(≈)を縦軸に描き込んで表現するとよい。ただし、他に表現できる方法がある場合は、省略線は使わない方がよい。 - 恣意的な2軸グラフ
グラフ中に表現された要素が2つあるとき、左右の軸の数値が違うグラフを2軸グラフという。例えば横軸を年度、縦軸を車の台数と交通事故件数としたグラフなどである。
折れ線グラフの2軸グラフの場合、うまく単位や数値を調整すると、片方の数値の増減を必要以上に強調することができる。したがって比較可能な場合は意味を持つスケールであるかを確認する必要がある。また、そもそも相関が無く比較する意味のないデータをむりやり比較している場合がある。
関連動画
関連リンク
関連項目
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https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E8%A9%90%E6%AC%BA%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95
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