誘導馬(ゆうどうば)とは、競馬場において競走馬の誘導を主な任務とする馬である。
概要
主な任務は、本馬場入場の際、競走馬の先頭に立って誘導にあたること。
馬は群れで生活する生き物であり、先頭の馬についていく習性を持つ。これを利用し、出走馬たちをスムーズに誘導する。一見「お飾り」であり、地方競馬の低迷期には廃止または縮小する競馬場が出たこともあったが、気性難の馬や若馬にとっては、誘導馬は馬のメンタルを左右するほど重要な存在である。本馬場入場時、ホームストレッチに入ってもしばらくついていく馬がいたり、馬を落ち着かせるためにあえてそうさせる騎手がいたりと、誘導馬の存在を前提に準備をするケースもあるほど。
もちろん「お飾り」として、つまり儀礼上の役割も重要である。特に大レースではレースの品格にかかわる存在であることから、人馬共にきらびやかに着飾っていることも多い。
そういった見た目の派手さや、(元競走馬の場合)現役時代の活躍から誘導馬のファンも多くおり、競馬場に欠かせない存在となっている。
誘導の段取り
パドックで「とま~れ~」の号令がかかり、騎手が騎乗を始めると、先頭に誘導馬がスタンバイする。誘導馬の騎手が「前へ」と号令をかけ、そのまま馬道を通って本馬場入場し、ホームストレッチをしばらく歩くまで出走馬を誘導する。
ホームストレッチ中程に達すると誘導馬はラチ付近で待機し、出走馬は返し馬に入る。全馬が返し馬を終えて輪乗りに入るあたりで退場する。
そのほかの任務
誘導以外の主な任務は、所属競馬場で行われるイベントへの参加である。
例えば東京競馬場所属のレヴォルトソーは、本来はホースショー用の馬として導入されており、競馬場内のホースショーイベントに参加することがある。
元競走馬も馬術競技の調教を受けている場合が多く、馬場馬術や障害馬術のデモンストレーションにかり出される。馬によっては外部の馬術競技大会に参加することもある。
また、競馬場内体験乗馬会で体験用の乗馬として参加する誘導馬もいる。運が良ければもとGI馬に騎乗することもできるかもしれない。
日によっては競馬場入り口で来場者のお出迎えをすることがある。
地方競馬の場合、所属競馬場のCMに出演することもある。例えば大井競馬場の誘導馬は、TCKのウェブCMに(CVつきで)出演した。
FNS歌謡祭で『ウマ娘 プリティーダービー』の楽曲が歌唱された際には大井競馬場がロケ地となり、所属しているクリールマグナムがバックダンサーならぬ「バックランナー」として出演している。
大井競馬場は、冬期の競馬不開催日は「東京メガイルミ」というイルミネーションイベントが行われているが、その噴水ショーには大井競馬場の誘導馬が登場することがある。
「展示」という任務もある。競馬場の一角に(本来寝泊まりしている馬房とは別に)展示用の馬房があり、そこに待機中の誘導馬が展示されていることがある。また、シロニイは阪神競馬場所属であるが、JRA競馬博物館(東京競馬場内に設置)の特設展示「白毛図鑑」の開催に伴い、東京競馬場に展示馬として一時期出張していたことがある。
馬装
競走馬が専用の馬装をしているのに対し、誘導馬の馬装は一般的な乗馬とほぼ同じである。
競走馬が(必要なら)メンコ(顔全体を覆う)をするのに対し、誘導馬は原則としてイヤーネット(耳と頭だけを覆う)をしている。また、競走馬の騎手が勝負服を着るのに対し、誘導馬の騎手は乗馬服である。
牝馬限定GIの際は、先頭の騎手は女性が担当し、服装が馬上ドレスになる。
地方競馬(特に川崎競馬)では、人馬が季節の行事になぞらえた「コスプレ」をすることもある。
出自
中央競馬では、ほとんどの馬が誘導するその競馬場に所属している。地方競馬の場合、周辺の乗馬クラブから競馬開催日だけ出向する「非常勤」の誘導馬もいる。
また、中央所属の誘導馬も、同じくJRA管轄である馬事公苑や、JRA競馬学校からの移籍の場合があり、逆にそれらへ移籍することもある。競走馬が引退に際し「馬事公苑で乗馬」とされていたのが誘導馬に変更になっていたというケースも多い。
サラブレッドの場合、元々の出自は競走馬であることがほとんどである。
種牡馬になれなかった馬のうち、毛色や体格が美しく、おとなしい性格の馬が選ばれることが多い。例えばトウショウファルコは現役時代から有名だった美しい尾花栗毛から抜擢されたし、シラユキヒメ一族の白毛馬からは3頭(ホワイトベッセル・シロベエ・シロニイ)誘導馬が出ている。サクセスブロッケンやビートブラックなど、青毛や青鹿毛の馬も選ばれやすい。
また、現役時代特に活躍した(が種牡馬入り出来なかった)り、特定の競馬場で活躍した馬、特に話題性のあった馬が選ばれることも多い。ロジックやサクセスブロッケンは、GI馬でありながらサンデーサイレンス系の余剰傾向から種牡馬になれず、誘導馬となった。小倉競馬場で無類の強さを誇ったメイショウカイドウは、引退後に小倉競馬場の誘導馬となった。同様にボンネビルレコードは大井競馬場の、ミューチャリーは船橋競馬場の誘導馬となっている。ヨシオは成績こそ平凡ながらアイドルホースオーディションでトップに輝く程の人気を集め、引退後に現役時代唯一出走しなかった福島競馬場の誘導馬になった。このケースの場合は「おとなしい性格」が当てはまらないこともある。常時首を振っているヨシオや、舌を出しているペルシアンナイト、ハチャメチャに気性が悪いことで有名なナカヤマフェスタ産駒のガンコなどが代表例。
競走馬デビューできなかったサラブレッドが最初から誘導馬の任務に就くこともある。先述のシロベエは、競走馬としてデビューできなかったために最初から誘導馬としてデビューした例である。
ばんえい競馬の場合も同様で、競走馬を引退した後で誘導馬になる場合と、周辺の乗馬クラブから一時的に出向する場合がある。そのため、ばんえい競馬といえど軽種馬が誘導していることがある。
サラブレッド以外の馬は様々な理由で誘導馬となるが、多くの場合は誘導以外の任務を主目的として繋養されているようである。例えばホースショーに出演するためのアンダルシアンや、ふれあいコーナーで来場者に実際に触らせる場合など。地方競馬の場合、乗馬クラブからの移籍もしくは「非常勤」の場合がある。
主な誘導馬
太字はニコニコ大百科に記事あり。
赤字は現役。
▲はサラブレッドでない誘導馬。
中央競馬
札幌競馬場
函館競馬場
福島競馬場
新潟競馬場
中山競馬場
東京競馬場
- オメガブルーム
- サクセスブロッケン
- サトノソルタス
- シークレットパス
- シュガーヒル
- ショウナンライズ
- デルマラピスラズリ
- トウショウファルコ (馬の博物館に移籍)
- ネコパンチ
- ハヤブサナンデクン
- ボスジラ
- マイネルホウオウ
- マイネルラクリマ
- ミライヘノツバサ
- ムイトオブリガード
- ▲レヴォルトソー (アンダルシアン)
中京競馬場
京都競馬場
- ▲アイスバーグ (中間種 JRA競馬学校から移籍 園田へ移籍)
- サトノアーサー
- シロベエ (競走馬としてはデビューできず、はじめから誘導馬としてデビュー)
- ツルマルツヨシ
- ディープボンド
- トウカイトリック (就任前に骨折で安楽死)
- ビートブラック
- ペルシアンナイト
- ホワイトベッセル
- リーゼントロック
- ロジック (三木ホースランドパークへ移籍)
阪神競馬場
- アドマイヤモナーク
- アフリカンゴールド
- アリストテレス
- カゼノコ
- ショーグン
- シロニイ
- セトノシャトル
- ダッシングブレイズ
- トラスト
- ハギノエスペラント
- バクマツ
- フジノタカネ
- ホウオウジョルノ
- ミツバ
小倉競馬場
地方競馬
帯広競馬場(ばんえい)
門別競馬場
盛岡競馬場・水沢競馬場
浦和競馬場
船橋競馬場
大井競馬場
川崎競馬場
金沢競馬場
笠松競馬場
名古屋競馬場
園田競馬場・姫路競馬場
高知競馬場
佐賀競馬場
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