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誤嚥(ごえん)とは、
- 食べたものや飲んだものが胃じゃない方向(気道)に落っこちてしまう事故のこと。
- 食べものではない異物や、食べものであってもそのまま飲み込むべきではないもの(大きすぎるものや、先が尖っていて危険なものなど)を、誤って飲み込んでしまうこと。誤飲。
の双方を指す言葉である。
2.については「誤飲」として、「誤嚥」とは使い分けられる場合も多い。あるいは「異物でも食物でも、気道に入るべきでないものが誤って気道に入るのが誤嚥で、消化管に入るべきでないものが誤って消化管に入ることが誤飲」と解説されることもある。
ただし「誤嚥」という言葉について1.だけではなく2.の意味も掲載されている辞書は複数あるし、2.の意味で「誤嚥」を使っている医学的文献なども存在するため「異物を消化管に飲み込むことは誤飲と表現するべきなので、誤嚥と書くのは間違いだ」と言うわけではないようだ。
しかし、使い分けた方が紛らわしくないのは確かである。この記事でも以下、主に1.の意味について説明する。
概要
人間でもなんでもそうだが、動物が通常食事をした際は、食物は口から食道を通って胃に落ち、消化管のコースに乗って消化される。このことを「嚥下」という。
しかし何らかの原因で食物がこのルートから外れ、咽頭や気管などの気道に入ってしまうことがある。これが誤嚥である。
一般的に誤嚥と言えば、食事中にアクシデント(驚かされる・極端に意識が散る等)があった際に嚥下がうまくいかず発生する。とはいえそもそも一連の処理は無意識に行われるものであって、普通に生活していれば誤嚥が発生することはまずない。日常生活の中で発生しても、せいぜい声門の上で留まって気管には侵入しない「咽頭流入」が起きるくらいである(「変なとこ入った」でゴホゴホするやつがこれ)。
誤嚥が発生しても大抵はそこまで一大事にはならない。というのも咽頭流入同様、むせたり吐き出したりすることで異物が気道から除去されるからである。しかしそれでも除去しきれず残留してしまった場合、そこから炎症を起こすことがある。この誤嚥から生じる肺炎が、世にいう誤嚥性肺炎である。
誤嚥性肺炎に罹患する患者の大部分が高齢者で占められている。高齢者は筋力の衰えなどで正しく嚥下する能力が落ちやすく、食物が気道に落ちるエラーを起こしやすい。体力や免疫力が低下している高齢者だと、特に誤嚥性肺炎が命に関わる疾患に繋がりかねないため、咀嚼や嚥下が容易な柔らかくて細かいものを食べることが勧められる。
炎症を起こすどころか、気道が詰まってしまって窒息してしまう場合もある。「もちをのどに詰まらせた」という話が典型的な例だろう。こちらも高齢者、そして幼い子供で起こしやすい。
またこれは若者にも言えることだが、冷たいものや熱いものを急に飲み込もうとすると、身体がビックリしてうまく嚥下できず、気道に入ってしまうことがある。これは嚥下のシステムが自律神経によって管理されていて急激な温度変化に対応できないためで、ストレスや疲労で自律神経の働きが低下している時も同様に誤嚥を起こしやすいので注意が必要である。
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関連項目
- ニコニコ大百科:医学記事一覧
- もち
- むせる
こちらは誤嚥以外にも、煙や炎の匂いを吸い込んだ場合などの固形物以外による咳き込みを含んでいる。
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