諸怪志異とは、諸星大二郎による短編漫画作品集である。諸星大二郎が「聊斎志異」のような中国志怪の世界に惹かれたため、描かれた作品である。短編集ではあるが、レギュラーとも言える人物が登場する。年代もバラバラ、不詳な物が多いため、表題作のみ解説する。なお連載雑誌がなくなってしまったため未完であったが2011年、光文社から発行されているSIGNALコミック叢書、諸怪志異/燕見鬼編にて完結した。
レギュラー
- 五行先生
- 宋代に生きた道士。五行先生は本名ではなく通称。本名は劉真人という。本作の前半では主人公、後半では準主人公とも言える存在。
- 燕見鬼
- 幼名は「阿鬼」。子供の頃から幽霊を見ることができたため、阿鬼と呼ばれた。阿鬼とは「おばけちゃん」の意。長じてからは燕見鬼と名乗るようになり、剣術に長けた若者として成長した。本名は燕光青眸という。物語後半の主人公。
異界録
呉の諸葛恪がある群の太守だった時、山中に狩りに出た。その時、息子の諸葛元が二つの山の山あいで行方不明になってしまった。このあたりの山の中には子供の姿をした化物が出るという。
元はその子供のような化物に引っ張られて姿を消したという。諸葛恪の前にも子供のような化物が現れ、引っ張ろうとするが逆に諸葛恪が化物の手を引っ張ると化物は「裏返し」になって死んでしまった。
これは奚嚢(けいのう)というもので「白沢図」という書物に載っており、諸葛恪はその書を読んでいたのだった。
元を探していると、一人の女が息子を探しているという。その女に連れられて山の裂け目に入っていくが山がめくれて諸葛恪は不思議な洞窟に迷い込んでしまう。
壺中天(こちゅうてん)
明の頃、崔某という骨董の好きな男がいて商売の合間に変わった品を買い求めていては楽しんでいたが、ある日、小さな骨董店で変わった壺をみつけた。
数日後、道士が訪ねてきて壺を売ってくれと頼まれる。これは玄門壺といって銀十両で売ってくれとせがまれるが、ケチな崔の妻は「ちょっとやそっとでは売ってはいけない」という。崔は銀三十両出しても売らないと言ったが、道士から壺を家から一歩も出さずに仕事を手伝ってくれたら礼をすると言われ、その仕事を手伝うことにした。
その仕事とは、時が三更になったら、道士が壺の中に入り、身体に結びつけてある綱を合図があったら引っ張ることであった。かくして仕事を手伝った崔は道士から金(きん)を受け取り、同じように金儲けをしようと思って壺の中に入ることにした。
鬼市
宋の頃、李と張という男がいて、深夜の城外に夜市が立つと聞いて物好きな心を起こして出かけて行った。
夜市に行く途中、少年と出会い、道連れは多いほどいいということでその少年とともに夜市に出かけることにした。墓地にたどり着くが、少年によるとこの市は怪しげな連中が取引をする泥棒市だという。少年の忠告によると中には本当の化物も混じっているかもしれないから気をつけたほうがいいとも。
燕見鬼
前作「鬼市」で登場した少年は阿鬼が成長した姿で現在は燕見鬼と名乗っていた。五行先生が持っている書物「推背図」を狙って仇道人という道士と十四娘という剣士との戦いが繰り広げられる。
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アクションコミックス版は旧版。燕見鬼編は50ページの描きおろしがあり新版で完結。値段は高いが厚いので一巻から読む方はこちらをおすすめする。
関連項目
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