謎のレインジャックとは、鳥山明の習作漫画である。表記には中点を用いた『謎のレイン・ジャック』もあるが、本記事ではレインジャック表記に統一している。
概要
全体的にスターウォーズのキャラクターデザインを用いた作品となっている。但し、ストーリー的には特にスターウォーズに関連した作品ではない。投稿時にはパロディと見なされて月例ヤングジャンプ賞の最終選考に残ったものの賞の規定に従い選外となっている。
『PINK』『SAND LAND』など鳥山作品で頻繁に用いられるモチーフの「乾燥地帯に雨が降らない」という話の元祖。ちなみに、本作が掲載されている鳥山明保存会会報のBIRD LAND PRESSの3号には『PINK』の詳細な裏設定が掲載されている。
後の『Dr.スランプ』のパイロット版的な側面もあり、空豆クリキントンの元になったキャラクターが主人公を務めるほか、巨大なドラム缶サイズのコーラを用いたギャグもこの作品が初出となる。
この作品について鳥嶋和彦は「スターウォーズのパロディで絵に随分クセがあるなぁというのが第一印象。ところが、絵の後ろにある書き文字の処理が、絵を壊さず見事なレイアウト感覚で為されていることに惚れ込んだ」と語っている。
なお、本作は本来鳥山明保存会会員にのみ公開される予定であったが、保存会会報の3号に前編を掲載後、江口寿史が「スペースパイレーツ」の加筆原稿を落とした為、急遽愛読者賞特集の少年ジャンプ1982年12月増刊号に掲載された。これは鳥山明の習作が本誌掲載された唯一の事例となっている。これでは保存会会員への約束違反になってしまうとして、本当に会員独占で掲載したのが5号、6号に掲載となった鳥山の処女作『あわわワールド』である。
1997年9月に秋田県増田町のまんが美術館で開催された原画展において本作の原稿も展示されていたが、何者かによって15ページ分全てが盗難に遭っている。2020年7月現在も犯人は見つかっておらず、原画の行方は分かっていない。この為、本作の原稿が万が一、中古市場や転売等に出回っていればそれは100%盗品か贋作かのどちらかであるので、絶対に手を出してはならない。見つけ出した場合は速やかに警察と集英社に御一報を。
ちなみに、国立国会図書館には掲載誌の増刊少年ジャンプ、BIRD LAND PRESS共に収蔵があり遠隔複写可能であるが、扉絵が完全な状態で読めるのはジャンプの方だけなので御注意を。(会報掲載版は前編だと文字で、後編はトリミングで共に見切れてしまっている)
関連項目
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