護衛艦とは、
概要
自衛隊の保有する艦船(自衛艦)の一種であり、国際法上も「軍艦」と見なされるが、現在の憲法及び憲法解釈上自衛隊は軍隊でないとされているため、この呼称が用いられる。ミサイル、魚雷、砲熕兵器などを備え、領海やシーレーンの防衛、海外協力などに当たる。
書類上の分類は
自衛艦(自衛隊の保有する、国際法上の「軍艦」) | |||||
┣ | 警備艦 | ┳ | 機動艦艇 | ┳ | 護衛艦 |
┃ | ┃ | ┗ | 潜水艦 | ||
┃ | ┣ | 輸送艦艇 | |||
┃ | ┣ | 哨戒艦艇 | |||
┃ | ┗ | 機雷艦艇 | ┳ | 敷設艦艇 | |
┃ | ┗ | 掃海艦艇 | |||
┗ | 補助艦 |
となっており、地方隊配備の2,000トンに満たないものから、10,000トンを越える「ヘリ空母(のようなもの)」までを含めた呼称である。分類略号は米軍の駆逐艦のもの(DD(G,H))を用いているが、駆逐艦・巡洋艦・フリゲートといった艦種に厳密に対応するものではない。
主な護衛艦の分類
- DD(汎用護衛艦)
- 護衛艦隊の主力となる艦艇。魚雷、砲、ミサイルなど対空・対潜・対艦兵器を備えるほか、哨戒ヘリの運用も可能。2015年現在、新型の平成25年度計画艦(25DD)の建造が開始された。
たかなみ型、むらさめ型、あきづき型など。 - DDG(ミサイル搭載護衛艦)
- 長射程の対空ミサイル(スタンダードミサイル)を装備し、艦隊全体を経空脅威(ミサイル・航空機)から守る「エリア・ディフェンス」能力を持つ艦隊の要。イージス艦(イージスシステム搭載艦)を含む。近年では対弾道ミサイル任務も担う。
こんごう型、あたご型など。 - DDH(ヘリコプター搭載護衛艦)
哨戒ヘリコプターの整備運用能力を持ち、対潜水艦作戦の主軸を担う。ひゅうが型といずも型は全通型の飛行甲板をもち、よく「空母だろこれ」とか言われるが、見た目だけです。かといって「ヘリ搭載護衛艦」といわれても素直にうなずきにくいのも事実である。但し真髄がC4I経由の統合運用なのも確か。
現在は、ひゅうが型と比較して輸送・揚陸能力や医療機能などが向上した、いずも型護衛艦が就役しており、単純なサイズであれば旧海軍の正規空母に匹敵するに至った。- 2015年に現役にあるのは、いずも型・ひゅうが型・しらね型。はるな型は2011年3月をもって2隻とも退役し、しらね型も2017年3月に全艦退役した。
- DE(地方隊配備の小型護衛艦)
- 沿岸海域での警備・対潜哨戒に当たる小型の護衛艦。本来の意味での「護衛艦」に近い。近年は「DEとDDを並行建造した場合、新型艦開発に支障が出る」という理由で、あぶくま型を最後にDE艦種は建造されず、お下がりある程度艦齢に達したDDを転用している。同時に近年、護衛艦は全て護衛艦隊所属となった。
過去にあった分類
- DDK(対潜護衛艦)
- 対潜任務を主任務とする護衛艦。ヘッジホッグやボフォース対潜ロケットなど多彩な対潜兵器を搭載していた。DDの整備に伴って姿を消した。
あやなみ型やみねぐも型などがある。 - DDA(多目的護衛艦)
- 対艦、対潜、対空といった一通りの任務をそこそここなせる程度の能力を持った護衛艦。DDやDDGの整備に伴って姿を消した。
- むらさめ(初代)型、たかつき型がある。
- PF(護衛艦、当初は警備艦と称された)
- 海上自衛隊創設当初に米国から貸与された艦。もとはタコマ級哨戒フリゲート(Patrol Frigate)。老朽化や国産護衛艦の整備に伴って姿を消した。
- くす型がある。
現役の護衛艦の一覧
DD 計29隻(練習艦3) | DDG 計8隻(艤装中2) | DDH 計4隻 | |
---|---|---|---|
DE 計6隻 | |||
計画中・建造中の護衛艦
- 5000t型汎用護衛艦(しらぬい)
平成25年度、26年度予算で計2隻建造される、あきづき型護衛艦の発展型となるあさひ型DD。
あきづき型の対空戦闘システムから機器を取り外しコストダウンしたため対空戦闘能力は低下した。
一方新型ソナーシステムと対潜望鏡レーダーの採用により、対潜戦闘能力は大きく向上した
「対潜型」と言える。さらに低速時はモーターによる電気推進で燃費を改善するCOGLAGを
新たに採用。
2016年8月に26DDの建造が開始され2017年に進水し「しらぬい」と命名された。2019年就役。
- 8200t型ミサイル搭載護衛艦(27DDG 28DDG)
平成27年度予算で1隻、及び28年度予算で1隻追加で計2隻建造予定の新イージス艦。
あたご型の改良型で500t大型化し、ヘリ格納庫の拡大やCOGLAG推進、新型対艦誘導弾の採用、
居住性も強化される。
建造時から弾道ミサイル防衛能力(BMD)を有し、弾道ミサイルの迎撃が可能。
また共同交戦能力(CEC)に初めて対応し射撃に使用できる水準の高精度データの共有が可能。
これにより、CEC対応艦同士なら、他艦のセンサー情報だけでミサイル攻撃が可能になる。
27DDGが「まや」、28DDGが「はぐろ」と命名・進水され、現在艤装工事中である。
- 3900t型多機能護衛艦(30FFM)
海上自衛隊が新たなコンセプトの元建造予定の護衛艦。
元々は日本版LCSという位置づけで一般的な護衛艦より10ノット速い最高速力40ノット、
2000t~3000tクラスを想定していたが防衛事情の変化とLCSの迷走を反映して排水量の
増大と引き換えに最高速力を従来型護衛艦と同等にした。
計画当初から陸自の火力支援にも使える127mm砲の搭載や、小規模港湾への単独入港能力、
機雷除去用無人機の搭載、将来的には国産艦対空ミサイルの装備等が予定されており
単独での戦闘能力は低いが、数を揃えられて様々な任務に使える多機能を反映して艦種記号は
『FFM、Multi‐purpose=多機能(機雷(Mine)戦を含む)フリゲート』となっている。
海外派遣や島嶼戦における陸自支援など、従来とは別の視点から練り上げられたコンセプト故に
正否が注目される。
なお、掃海艇の一部とミサイル艇の代替であり、年2隻のハイペースでの建造が予定されている。
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関連項目
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関連リンク(公式サイト)
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