貴志祐介(きし ゆうすけ)とは、日本の小説家。2ちゃんねるでは頭髪が薄いことをネタにされることが多い。
概要
1959年大阪市生まれ。少年期からとんでもない読書家で、1日に7冊読んでしまうこともあった。大学時代は本来の志望ではない学部を選んでしまったため勉強に身が入らず、せめて小説以外の本を読もうと「利己的な遺伝子」など動物行動学に関する本を読んだことが作品に影響を与えている。保険会社に勤めながら投稿生活を続け、1986年にハヤカワ・SFコンテストに投じた短編「凍った嘴」で佳作を受賞(岸祐介名義)。受賞作は『S-Fマガジン』には掲載されず、翌年短編「夜の記憶」が掲載され商業デビューを果たす。
しかしSFでは食っていけないと判断したのか、その後保険会社を辞めて再び投稿生活に入り、1996年に第3回日本ホラー小説大賞で佳作を受賞した『十三番目の人格 -ISOLA-』で「貴志祐介」としてデビュー。翌年、同賞の第4回に『黒い家』で再挑戦、大賞を受賞し、ベストセラーになる。
現在は専業作家だが、1999年に出した『青の炎』のあと、2004年に『硝子のハンマー』を出すまで5年、2008年に『新世界より』を出すまでまた4年と、基本的に寡作。本が売れた資金で株を始めて儲けていたが、リーマンショックで大きく損失を出し、それを取り戻すために最近は執筆ペースが上がっているとの噂。
初期は登場人物が狂気に陥っていくホラーが多く、保険会社での経験を生かした『黒い家』、奇病がホラーへ直結する『天使の囀り』、デスゲーム小説としても質の高い『クリムゾンの迷宮』ではその傾向を顕著に見ることができる。
青春倒叙ミステリ『青の炎』からはミステリも書き始め、密室殺人を扱ったガチガチの本格ミステリ『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞を受賞。「このミステリーがすごい!」では6位にランクインし、防犯探偵シリーズとして珍しくシリーズ化。2012年には『鍵のかかった部屋』のタイトルでドラマ化された。
2008年には幻のデビュー作「凍った嘴」を原型とする大長編SF『新世界より』を刊行し、第29回日本SF大賞を受賞、「SFが読みたい!」第1位となり、2012年にアニメ化。2010年には久々にB級サイコホラーに徹した『悪の教典』で第1回山田風太郎賞を受賞、「このミステリーがすごい!」第1位に輝く。直木賞にも今更のようにノミネートされたが受賞は逃した。
将棋愛好家で、二、三段の棋力があるといわれる小説家としては有数の実力者。将棋をベースにした特殊空間のゲーム小説『ダークゾーン』では第23回将棋ペンクラブ大賞特別賞を受賞した。
ボクシング観戦とテレビゲームも好きなようだ。
前述の『鍵のかかった部屋』『新世界より』のほか、『十三番目の人格 -ISOLA-』『黒い家』『青の炎』『悪の教典』が映画化されている。映像化作品には本人がカメオ出演するのが恒例。防犯探偵シリーズのドラマ版で自身が脚本を書いた話もある。
著作リスト
小説
◆は防犯探偵シリーズ。
- 十三番目の人格 -ISOLA- (1996年、角川ホラー文庫→1999年、角川書店)
- 黒い家 (1997年、角川書店→1998年、角川ホラー文庫)
- 天使の囀り (1998年、角川書店→2000年、角川ホラー文庫)
- クリムゾンの迷宮 (1999年、角川ホラー文庫→2003年、角川書店)
- 青の炎 (1999年、角川書店→2002年、角川文庫)
- 硝子のハンマー (2004年、角川書店→2007年、角川文庫) ◆
- 新世界より (2008年、講談社[上下巻]→2009年、講談社ノベルス→2011年、講談社文庫[上中下巻])
- 狐火の家 (2008年、角川書店→2011年、角川文庫) ◆
- 悪の教典 (2010年、文藝春秋[上下巻]→2011年、文藝春秋[新書判]→2012年、文春文庫[上下巻])
- ダークゾーン (2011年、祥伝社→2012年、ノン・ノベル→2013年、祥伝社文庫[上下巻]→2017年、角川文庫[上下巻])
- 鍵のかかった部屋 (2011年、角川書店→2012年、角川文庫) ◆
- 雀蜂 (2013年、角川ホラー文庫)
- ミステリークロック (2017年、KADOKAWA) ◆
→ ミステリークロック / コロッサスの鉤爪 (2020年、角川文庫[分冊]) - 罪人の選択 (2020年、文藝春秋→2022年、文春文庫)
- 我々は、みな孤独である (2020年、角川春樹事務所→2022年、ハルキ文庫)
- 秋雨物語 (2022年、KADOKAWA)
- 梅雨物語 (2023年、KADOKAWA)
- 兎は薄氷に駆ける (2024年、毎日新聞出版)
エッセイ・その他
関連項目
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